「ここは?」
気づけば、知らない部屋に飛ばされていた。
ボス部屋にあんなギミックがあるとはね……。
とにかく、早くセインと合流しないと。
そう思っていた時、矢継ぎ早に新たなギミックが作動する。
今度は、周辺が暗転する。
「いや、これは……」
ギミック、ではない?
「
衣装が解除される。
残ったのは動きにくいフレアスカートと、それに似合わない無骨な剣だけ。
何より感覚で、ありのままの自身の身体そのままだと理解できる。
装置の不具合?
だとしても、タイミングがおかしい。
「……ッ」
嫌な予感が増していく。
とにかく、早くセインと合流を……。
「またかよ……!」
足が動かない。
足元を注視すると、その原因が発覚する。
「……糸?」
それも、蜘蛛の糸といった類の。
粘土の高い細い糸が幾重も重なり、網を張ってわたしの足元に絡みついている。
「まさか……」
この事象を起こした犯人。
その張本人は、次第にその暗闇から這々と黒い影を伸ばしてくる。
「ふふふ……」
不気味に、暗闇に鈍重に響く声の主。それは……
「マナ……さん?」
「はい。正解ですお姉さま」
堂々と素性を明らかにしたその人物は、次の瞬間に天高く嗤う。
「ああ、やっと!! やっとここまできました!!」
思考が追いつかない。
いや、違う。
認めたくないだけだ。
犯人はずっと、この為に動いていた。
セインの疑念は、直感は間違ってなかった。
セインに、申し訳なく思う。
ただ、それ以上に……!
わたしと同じハーフで、辛い境遇だったのだと。
信じたかったのに、信じてあげたかったのに……!
「マナ、お前……おまえええッ!!」
「そう怒らないでくださいな、お姉様?
ブチりと、瞬間的にスイッチが入る。
瞬時に、血の塊を生成する、
――血晶《アスタリズム》。
「…………あ」
は、不発に終わる。
全身が固まって、動けない。
「…………こ、れは……」
「ムダですよ〜〜」
身体が、動かない。
この感覚には、覚えがある。
まさか、まさかまさかまさか……!
「改めてご挨拶を」
彼女の――マナの右目に。
琥珀色の眼が光る。
「母方の姓はフィーラ。そして、父方の姓を取るなら――」
犯人は、その素性を明らかにする。
「マナ・
は?
こいつは、何を……
「よろしくお願いしますね?」
そう絶句するわたしの前で、彼女は踊るようにくるりと回りながら謳った。
「お・ね・え・さ・ま?」
わたしは突きつけられた真実に、驚きの声をあげることすらできなかった。
◇
人間の頂点は、目を閉じその居場所を突き止める。
「ミラはそこか。さて、うまく調整しないとな」
冷静に、戦場にいることを認識して彼女は剣を構える。
「一線を越えた者は、相応の罰を受けてもらう」
否、彼女は平静を装っているだけ。
――その目に映るのは間違いなく、殺意である。
◇
『もう、おねえさんのうそつき』
紅き竜はその翼を羽ばたかせながら、空を飛んでいた。
約束の日に出かけている主を前に、ぷんすかと怒りを顕にする。
『もうすぐつくから、かくごしといてね』
居場所は割れている。
自身との約束を忘れ、呑気に遊んでいることががまんならなかった。
『リリー、おこってるから』
そう告げる少女の無垢な怒りは、着々と戦場へと近づいていた。