星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
「ッ! 流水加速! 超回避!!」
本来は攻撃に使う武技『流水加速』を使い、神経を一時的に加速させた状態から『超回避』で、あり得ない体勢からブリュンスタッドの手振るいをギリギリで避ける事に成功した。
この行動は本能、或いは直感からくる行動だった。
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「……これまた面白い動きをするね、それも武技かい? 武技とは何とも不思議なモノだ」
「(コイツ……コイツはただ手を振っただけで
「んー……このままだとワンサイドゲームだね。君の攻撃は
だから……そのスキルをオフにしよう、そうすれば君の攻撃が
後は……そうだね。君に魔法をかけてあげよう、そうすれば少しの間は愉しめるだろうからね。
これで、心置きなく君を4回殺せるよ」
ブリュンスタッドは敵であるクレマンティーヌに2つの魔法をかける。
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「(………マジで魔法かけやがった。でも今の魔法は聞いたことがねぇ、
クレマンティーヌは自身の体を軽く動かし掛けられた魔法がどの様なモノか確認する。
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「(どこもおかしくない、なら何の魔法をかけた?)」
「あぁ、
それどころかその逆だ、君にかけた魔法は回復魔法の類いだ」
「……何でンなもんかけた」
「理由? そんな事決まっているだろう。君を、楽に殺さないためだよ。
言ったろう、楽には殺さない、と」
「てめえ……マジで巫山戯ンじゃねぇよ! カスが!! 能力向上! 能力超向上!! 死ねよてめえ!! 流水加速!」
先程同様、瞬く間に接近しスティレットをブリュンスタッドの首めがけ突き刺す。
すると……今度は止まる事なく突き刺さる。
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「! (刺さった!!)死ねよてめぇ!」
スティレットに籠められていた魔法、
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「アハハハハハ!! イキがってっからこうなるンだよバカが!」
首元で炸裂する
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「成る程、中々に面白い武器だね、ソレ」
スティレットは首を貫通し中から火球が炸裂したにも関わらず、首は繋がっており燃えた痕跡すら無かった。
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「それで? その次は?」
「はぁ!? (何だよコイツ……刺さって……イヤ、確かに刺した。
肉を貫く感触もあった、だから
「無いのかい? となると……今のが君の奥の手、と思っていいのかな?」
「ッ!」
背筋を走る怖気を感じ、すぐさま後方へ大きく飛び退く。するとーー
「ーー!」
カハッと、肺から空気が漏れだしながら転がる。
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「(はぁはぁはぁ……今、何……何が起きた? 何かが破裂した。魔法?)」
「……この程度なのかい? 君は人外なんだろう? もっと魅せてよ、この程度だと面白くない。
もっと
「ッ! ……ザッッけんなよクソがぁ!! はぁはぁ、私は、私は人外!! 英雄の領域に足を踏み込んだクレマンティーヌ様なんだよ!! この私が負けるはずがねぇんだよ!」
「そうか、なら先ず1度……死ぬといい」
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ユグドラシル時代のフレーバーテキストでは『空想を『限定的』に具現化・指定範囲内を『限定的』な確率変動による世界の再構築』。
このブリュンスタッドは
そして、実際のスキル効果は『物理・魔法耐性貫通攻撃と防御力無視攻撃、そして無敵状態貫通攻撃』と言うスキルだった。
ユグドラシル時代でも反則スキルだったが、この世界に来てフレーバーテキストが意味を持つようになった事で、フレーバーテキスト通りの攻撃となった。
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「あ?」
その結果が一瞬でクレマンティーヌは次々と切り刻まれる感覚と共に微塵切りになり死んだ……筈が、体に異常は無く生きていた。
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「あ……カハッ」
「
その言葉と共にクレマンティーヌの
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「はぁ……はぁはぁ。ぁ……あぁ、今、今体。体が……ぁ?」
「これで1回、君は死んだ」
「あ、ぁぁ……。アァアアァア!! し、死ねぇぇえ」
乱暴に突き刺す、何も考えずただただ突き刺す。そして刺す度に血が吹き出すが、ソコには傷が無い
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「何で、何でだよぉ。死ねよてめえ!」
「それだけかい? はぁ、煩わしい」
羽虫を払う様にまた、手を振るう。たが、ブリュンスタッドにすれば、ソレだけで充分。その行為だけで
であれば人間ならどうなるか……世界が抉れればソコにいる人間も抉られる。
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「ぁーー」
だが、やはりクレマンティーヌは無傷で佇んでいた。
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「から……だ。……は? ……うぐぁ」
2度の死の記憶力と経験に胃から酸っぱい液体が込み上げ、吐き出される。
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「は、は、は、は……」
これ程の蹂躙をしていても今の彼は弱い。今の彼は本来の彼から何段階もスケールダウンした種族と
それでも
その絶対的な強さから、国を傾けそうな程の美しさから、ユグドラシル時代の彼にはファンクラブが出来る程のプレイヤーでもあった。
最も、もう1つの方は嫌われていたが。
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「
これで、2回目。クレマンティーヌ。
次はどう戦う英雄。後2回、どうやって
クレマンティーヌが取った行動はーーー『逃げる』だった。
いくら彼女でも理解出来ていた。1回だけなら勘違いと誤魔化せる、しかし2回目ともなれば違う。『今、確かに自分は死んだ』そう魂に刻み込まれる。故の逃走、なりふり構わない逃走。
今すぐ此処から立ち去らねばまた死ぬと言う現実、だから彼女は逃げようとした。
しかし、気がつけば足は
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「あぁあぁあぁあ!!!」
「逃げるなよ英雄、みっともない。強大な敵に立ち向かってこその英雄だろう?
そんな彼を差し置いて人外を、英雄を名乗るなど……度し難い、許し難い。
何が英雄か何が人外か、貴様はただ癇癪を起こした子供だ。
その言葉と共に片腕が潰れた。
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「いっ……あぁあぁあぁあ!! 腕、腕が……ひっ、ひは、ああ、イヤ、ぁ」
残った腕で体を引き摺り少しでもブリュンスタッドから離れようとする。
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「では、3回目だ」
クレマンティーヌを囲む空間が圧縮し骨が軋む音をだしながら圧し潰れる。
しかし、また五体満足な体で復活する。
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「
さあクレマンティーヌ、これで治った。次で最後だ。
あぁそうだ。
君では手が届かない程の褒美をだ」
そう言いながら自身を囲むように2・3歩程で出てしまう小さな円を描いた。
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「はぁはぁはぁ……。(褒美? そんな物なんかいらない。
此処から逃げられるなら、褒美なんかいらない……でも、もし出せたらアイツを……)マジでくれんだな」
「ああ、勿論だとも。
「…………やってやんよ、ふぅふぅ……。私を舐めんじゃねぇよ。
私は、私はな! ……私は人外!! 英雄の領域に足を踏み込んでんだよ!! この私が負けるはずがねぇんだよ! ぁあああアアア!!」
左手にスティレット、右手にモーニングスターを持ち、武技『能力向上』『能力超向上』、そして『疾風走破』を使い一矢報いんとブリュンスタッドに襲いかかる。
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「そう、そうだ。それでいい、
左手のスティレットを右目に突き刺し、籠められていた
その時、彼女に神が微笑んだ。3度の死を経験した事で彼女の脳は限界を超えた。
新たな武技『脳力解放』をこの土壇場で習得そして使用。
更にもう1つ、武技を習得した。それは殴打系武技の『
モーニングスターは普段は使わない為、殴打系武技を習得した事に驚きつつも、即座に武技を使いモーニングスターを叩き込む。
そして……その一撃はブリュンスタッドを満足させるのに充分なモノだった。
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「ああーー素晴らしい。君は今、輝きを魅せてくれた」
だがそれでも、ブリュンスタッドを円の外に押し出す事は出来なかった。
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「故にこれは慈悲だ」
最後の死は苦痛の無い死を与えた。
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「……あれ……今、私は……」
「
……我々ナザリックにおいて最大の慈悲とは苦痛なく死ぬ事だ。
だから最後の1回は慈悲を以て君を殺した。やはり
都合3度、最初の死を含めれば4度。この短時間でクレマンティーヌは4度死んだ。
否、死ぬ前に
だが、最後の死は慈悲ある死だった。
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「(今、確かに死んだ。それは分かった。でも今までのモノより痛くも苦しくも無かった。
それどころか、気持ち良くすらあった、何かに包み込まれる様な感じがした)」
「安心するといい、これ以上は殺さない。君は
これは提案だが、クレマンティーヌ。
「何でだよ」
「褒美さ」
「アンタは円から出ていない」
そう彼は円から出す事は出来ていない。だから条件を達していない。しかし、ブリュンスタッドは褒美を与えると言った。
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「ああ、そうだとも。だが、それはなし得ない事だ。
君と
事実、どれ程弱体化していても現地人では
だがクレマンティーヌはーー
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「(悔しいがその通りだ、コイツは私より強い。それこそ番外席次以上だ)」
「だが、君はその不可能を少しだが成して魅せた。この
その褒美だよ。それは君に可能性が有るからだ。今より更に強くなる可能性が」
クレマンティーヌは
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「は? 何言ってんのお前」
「純然たる事実だよ。君は強くなれる、なりたくないのかい? 今より更に強く」
ああ、
「(強……く? 今より更に? コイツは何言ってんだ)」
それに、もう1人程サンプルが欲しいところだったからね、丁度いい。
「マジで言ってんのかよ」
「大マジだとも、君は強くなれる。この
その為には
今より強く、誰よりも強くなる為に」
「誰よりも……強く…………アンタん所行けば強くなれんだな」
「ああ」
「ハッ、なら行ってやろうじゃない。(コイツに付いていってあの男より)」
逡巡すらなくブリュンスタッドの
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「話しは決まったね。
自身か造ったNPC・レオナルド・ダ・ヴィンチに
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「〖レオナルド〗」
「〖おや、私に
「〖今は君しかマトモな子が居ないからね〗」
「〖何だ、またぞろ人間を拾ったか。人間は犬猫では無いというに〗」
「〖これも大事な活動さレオナルド〗」
「〖それで? 私に面倒を見ろと言うのかね〗」
「〖暫くの間ね、頼むよレオナルド〗」
「〖はぁ、仕方ないの、頼まれよう〗」
「〖助かるよレオナルド。それじゃあ今から行かせるから〗」
「〖あい分かった、ではの〗」
「〖あぁ、また近い内にね〗」
「クレマンティーヌ、門を通った先に老人がいる。その老人に従いなさい」
「はいはい」
そう言い残すと
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「彼女はどこまで強くなれるのか、愉しみだ。
…………問題は誰を宛がうのかだ、コキュートスが良いか? 考えておこうか。
さて、と。モモンガくんの所に行くとするか、彼も終わっているだろうしね」
こんな蹂躙劇をしてますが
朱い月なんだからこれくらい強くても良いでしょ。