星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 WIを持って外に出た全NPC達、であれば当然シャルティアは……


三十五話

「はぁ……一先ずリイジー達の事は後回しだ、それより先にオルトさんのエリア(小世界)に有るモノの再確認だな」

「そうじゃの、アヤツは言葉が少ないからのう」

「一旦ナザリックにーー」

「〖アインズ様。シャルティア・ブラッドフォールンが人間と共に変わったアイテムの入手し帰還。

 そしてオルト様のNPC、佐々木小次郎が離叛しました〗」

「〖は?〗」

 

 まさしく寝耳に水。まさかそんな、オルトさんのNPCに限ってそんな事をする訳が……。

 ━

「〖アルベド、何を言っている。オルトさんのNPCがそんな事する訳無いだろう。

 その様な(たち)が悪い嘘を吐くな〗」

「〖それが……オルト様にも連絡を致しまして、その時に『アレならしてもおかしくないかな、余程面白い者を見つけたんだろうね』。と(おっしゃ)りました〗」

「〖………オルトさんのNPCの事は後でオルトさんと話し合おう。それで、シャルティアが人間と一緒にアイテムを持ってきたと言ったな〗」

「〖はい。()が描かれた変わった服にございます〗」

「〖龍が描かれた服?〗」

 龍が描かれた変わった服………!? まさか! 

 

「〖直ぐ戻る。オルトさんは?〗」

「〖ナザリックにお戻りになられる様です〗」

「〖その服を持って会議室に全階層守護者を集めておけ〗」

「〖畏まりました〗」

「はぁ、いったい何が起きたんだ」

「どうかしたのか?」

「シャルティアが人間と共にアイテムを持ち帰還、そして佐々木小次郎が離叛したらしい」

「ほぅ、あの風流人がのう。()もありなんじゃな」

「お前もかクヴァール」

「あの者は面白き事を見付ける(知る)と其方を優先してもおかしく無いからのう、何か見つけたんじゃろうな」

「そうなのか……」

「あの、アインズ様。ナザリックにお戻りになられるのですか?」

「そうだ、お前達は此処で待機だ、クヴァール後は頼んだ」

「あい分かった」

「行ってらっしゃいませ、アインズ様」

 

 そう言うと転移門(ゲート)を使いナザリックへと向かった。

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 ━━

 

 ━━━━

 

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「お帰りモモンガくん」

「オルトさんもう戻っていたんですね」

「丁度良く暇が出来たからね、それにあんな事(・・・・)言われたら直ぐに戻ってくるさ」

「オルトさんやっぱり」

「うん、傾城傾国だね。昔に見た事が有るから見た目は知ってるんだ」

「シャルティアよ」

「は、はい!!」

「良くやった、これはーー」

「此こそは! ンンン、ナァまさァァしくワァァルドアイテムにございます!!」

「は?」

 

 ポカンと鳩が豆鉄砲打たれたように、驚いて呆気にとられる。ソコにはオーバーリアクションをしている自分(・・)が造ったNPC、パンドラズ・アクターが居た。

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「な……な、何故お前が此処に居る」

「ン~ンンン!! One Radiance Thing(ワァァン・ラディアンス・シィィング)様より見て欲しい物が有る、と宝物殿までいらっしゃいました。

 そしてOne Radiance Thing様と共に此処に参じた次第にございます」

 

 やはりそのNPCはオーバーリアクションでモモンガに答えた。

 ━

 ああああああ!!! や、止めてくれ! そのリアクション! 

 

 アンデッドの基本特殊能力である精神作用無効が連続で発動する。

 ━

「そ、そうか。確かにお前はワールドアイテム(WI)に詳しかったな」

「私めにイイ、おぉ任せくださいモぉモモンガ様!! このパンドラズ・アクター! 我が主であるモォモンガ様のご期待に添えるよォおうに粉骨砕身をもってとりくまァせていただきます!!」

 

 ぬぁあああ!! や、止めてくれぇえ、喋るな、それ以上喋らないでくれ! 

 

 またもや精神作用無効が連続で発動する。

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「あー……うん。まあナザリック地下大墳墓においてWIに一番詳しいのは彼だからね、連れてこない訳にはいかないしさ。まぁうん、頑張って」

「おおお……オルトさん………いえ……そうですね、確かにナザリックの中でパンドラ以上にWIに詳しい者は居ませんもんね。分かってます相応しい判断です」

 

 どこか、自分に言い聞かせるように反芻する。

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「まぁ……さ、これを機に表に出すのも良いんじゃないかな。

 この子は『頭脳はナザリック頭脳陣に匹敵する』んだしさ、うんまあ、その辺りはモモンガくんに任せるよ」

 カッコいいけど、悶えるよねぇこれは。服装は……まぁ、元の国もう無いしいっか。

 

「さて、話を戻そうか。

 先ずはシャルティアが持ち帰ってきた老婆が着ているこのアイテム、これは間違いなくWIの1つ、『傾城傾国』だね。

 シャルティア、良くやった。これで()達は1つの懸念、そして危険を回避できた。これは君のお手柄だよ」

「は、はい! お褒めに預かり光栄です」

 

 モモンガ・オルトの2人に誉められ、喜びに震えていた。

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「じゃあ次の話題としようか」

 

 しかし、オルトが告げた二の句にピクリとシャルティアが反応する。

 ━

「そうでしたね、オルトさんのNPCーー佐々木小次郎の離叛。先ずはシャルティアから聞こう。

 何が起きた」

 

「はい。予定通りセバス達と別れ、武技が使える傭兵達がいると聞いておりんしたので、私達……オルト様のNPCであられる佐々木小次郎様と共にその者達を探していた時でありんした。

 私達はその集団を見つける事に成功いたしました。ですが、その……人間どもの血を浴びすぎたのか『血の狂乱』が発動していたでありんす」

 

 気を付ける様に言われていた、シャルティアが持つペナルティとも言える種族スキル『血の狂乱』。

 血を浴び続けると戦闘力が増大するが、精神的制御が利かなくなってしまい、ある種のバーサク状態となり攻撃を受けるまで止まらなくなってしまった事に恥じていた。

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「その時でありんした、私に向かってくる人間が1人おりまして、私は何も考えずにその人間も殺そうといたしんした。

 その時に小次郎様が私に斬りかかり、止めたんでありんす。

 彼の方が言うにその人間は他の者らと違うと仰られまして、小次郎様が私の代わりに相手をすると言いんしたのでそのまま代わりんした。

 ですので私は小次郎様の戦闘を後ろで見る事にしました。

 その戦闘の最中、人間は小次郎様が遠くにいた私に聞こえるように大声で『武技を使った』、と言っておりんした。

 小次郎様はその事にたいそう喜んでおりんした。それで……その後の会話は小さく、2人から離れておりんした私には何を言っておられるのかは分からず、ただその後に小次郎様が恐らくですが、スキルを使いんした。

 それを見た人間は呆然として小次郎様は大笑いしておりんした」

 

 その時の事を思い出したのか、自分を止めた小次郎に感謝していたが、暴走せず任務を全うしながら戦う小次郎が羨ましかったのか、肩を落としていた。

 ━

「それで小次郎様に近づき何をしたのか聞こうとしたら『何やら外が騒がしい』と言われ、私に見てきて欲しいと。

 ですので私は先に眷属を向かわせ、その後で外に向かいんした。

 眷属を通して見て外には人間どもの集団が居ることを知り、私の事を見られた事と中に入られる前にその人間どもを殺しました。

 ですがその中の1人が私に何かを投げてきたでありんす。それはポーションでありんした」

 

「ポーション、だと」

「はい。私にダメージが入る程の物でした。

 なので直ぐ様魅了を使い何故持っているのかを聞きんした。それで、その」

 

 誰に渡されたのか知っているためか言葉を濁してしまう。

 ━

「私が渡したポーションか、なんとも言えん偶然も有るものだな」

「はい。ですので殺すのを悩んでおりした。

 その時、その者らの後方で隠れていた人間に気付き、その人間を帰らせる訳にはいきまぬので、外に向かわせた眷属にこの場に居る者全てを殺せと命じいたしんした。

 ですが、その者が逃げた方向とは違う場所で私の眷属が倒されたでありんす。

 危険度はそちらが高いと考えその者らは捨て置き、眷属が倒された場所に急いで向かいんした」

 

 自分の眷属を倒せる者達を危険視し、直ぐにその場所に向かう事にした。

 その結果が、思いもよらない事に繋がる。

 ━

「そうしたらソコにも人間どもがおりんした。その人間達は何処か慌てていた様子でおりんした。

 ですが、その者らは少なくとも私の眷属を殺せる程の実力者である。と、判断いたしんした。ですのでその人間達を殺す事にしたでありんす。

 戦闘中にその者らの1人の服が光り私に何かをしたでありんす。私はソレが危険であると判断し、その者に向け即座に攻撃いたしんした、その結果としてその者を含め数人を殺したでありんす」

 

 その時はWIとは知らなかったが本能、或いは直感でそのアイテムを使った人間にスキルによって強化したスキル『清浄投擲槍(せいじょうとうてきやり)』を放っていた。

 ━

「それを見た他の者らは私が殺した者の内1人を連れて逃げようとしたので、連れて行かせない様に分断させました。

 そうしたら、人間達は連れて逃げるのを諦めたのか、その人間から離れ私に目眩ましをする様に、魔法をばら撒きながら逃走いたしんした」

「連れて逃げようとしたのが、この老婆だった……と」

「はい。その後、その人間を連れて小次郎様がいる洞窟に行ったら、ソコには誰もおりませんでした」

「一通りの事を済ませ、小次郎を迎えに行ったら武技使いと共にいなかった。

 この状況から考えれば小次郎はその武技使いの人間と何処かへ行った、と思うのが自然だな。

 だが、付いていったイコール離叛である。とするのはまだ早い、武技がどの様なモノなのかを調べるために武技使いに付いていった、と言う可能性もある」

「うんまあ、それもあると思うけど単純に武技使いが気に入った。て言うのも有るだろうね彼なら」

「そうなんですか?」

「『そうあれ』と、彼を造ったからね。正確には少し違うけど、まあそれは後で言おうか」

 シャルティアと鉢合わせた連中、慌てながらもシャルティアと戦える実力者……そしてシャルティアとの戦闘中に死んだ老婆。

 その人間達はこの老婆を連れて逃げようとした……それは、この老婆に何かがあるのでは無く、このアイテムを奪われたく無かった。と、言ったところかな。

 つまりソイツらはこのアイテムの重要性を知っていた、そしてシャルティアとの会敵は予想外の出来事でもあった。

 何か別の目的……シャルティアがいた場所、その先に在るもの…………。

 

「漆黒聖典、そして破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)か」

「漆黒聖典? カタストロフ・ドラゴンロード? 何ですかそれは」

 

 聞いた事のないワードが出てきたからか、率直に聞く。

 ━

「まだ不確定要素が多いからモモンガくんには言わなかったんだ、ごめんねモモンガくん」

「あ、いえそれは大丈夫です。

 オルトさんが言わないのは危険度が分からない、それか単純に忘れているかのどちらかてすので。

 単純に忘れているのならそれは『危険性が無い』と言う事の証ですから問題ありません」

 

 信頼が暑いのかオルトの行動に違和感を抱く事は無かった。

 ━

「あっはっは、そうだね、()直ぐ忘れるからね。ごめんよモモンガくん。

 先ず1つ目の漆黒聖典。これに関して()が知っているのは、推定高レベル帯の人間達で編成された部隊。

 クレマンティーヌが言うにはその部隊の隊長とその上に居る番外席次なる人間達は神人と呼ばれてるらしい」

「神人?」

「何でも六大神の血を引く者だってさ。それで破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)は法国の連中がトブの大森林に封印されている、『世界を滅ぼす力を持つ魔物』と言うことだけ。

 ソレ以外はどんなモンスターなのか分からない。ただ、法国が危険視するモンスターだからね、入念に調べさせてる途中なんだよ。

 でも、今回の事を鑑みて導き出せる目的は漆黒聖典の連中で、そのモンスターの支配とみていいかな」

「慌てていたという事は、その者達にとってシャルティアとの戦闘は予想外だった。

 そして、思いの外シャルティアが圧倒的に強く全滅の可能性があると考えたのか、シャルティアに傾城傾国を使った………」

「恐らくはね。兎に角、支配できればそれでいいとでも思ったのかもしれないね。

 しかし、意に反してシャルティアに効かなかった。しかも、コレを使った人間は返り討ちにあって死んだ。

 それはそれは驚いただろうね、彼らにとってこのアイテムは切り札だったろうし。だから即座に逃げる事を選んだ。

 そして何としてでもこの老婆を連れて行きたかったけどシャルティアに邪魔をされ、仕方なく置いて逃げるしかなかった。

 今頃その人間達は頭を抱えているだろうね、大切なアイテムを失ったんだから」

「オルトさん、傾城傾国の効果はシャルティアの様な精神支配無効の者にも精神支配を与えるというモノ……。

 相手はシャルティアが吸血鬼だと分かっていたんですかね」

「どうかな、アイテム名さえちゃんと伝わって無いんだ、効果を十全に把握していないかもしれない。

 例えば『どの様なモンスターでも支配出来る』アイテム。程度の認識かもしれないよ。

 うーん。今考えられる範囲はここまでかな、後は百貌達の情報を待とうか。変に考えて行動を変えて気づかれたらこれまでの事が水の泡だ」

「成る程、でもこれで俺達の予想は当たりましたね」

「うん。この世界にもWIが有る。

 それを意味するのは、この世界に()達以外のプレイヤーが居る、或いは居た……そのどちらかだね。

 これからはプレイヤーが居ると思って行動した方が良さそうだね」

 そして恐らく六大神或いは神人とやらがプレイヤーの可能性が高い。

 ……イヤ、もし神人がプレイヤーであればニグンを帰し、アインズ・ウール・ゴウンの名前と最低でも1体の死の騎士(デス・ナイト)を使役出来る魔法詠唱者(マジック・キャスター)が居る事を伝えさせた時に何かしらの行動をする筈。

 何せAOG(我々)はユグドラシル時代に悪名を轟かせたギルド、ソレを知っているプレイヤーが何もしないのは考えられない。となると神人はプレイヤーでは無いとみていいな。

 もう1つ、六大神。コイツらがプレイヤーであると仮定して、今も生きているのか、それとも死んでいるのか……もし仮に生きているとして動かない理由はなんだ? あり得る可能性……()達に対して隠れて何か画策している……ナザリック襲撃の顛末を知っていれば正面衝突を避ける事もあり得る、その辺りを百貌達に調べさせるか。

 まぁ、()の事を知っている時点で敵に回さないように、知らぬ存ぜぬを決め込んでもおかしくは無いか。

 だがそれなら敵対しないように友好的に接触してきてもおかしく無い、やはり死んでいるのか? 不確定要素が多すぎる。

 圧倒的に情報が足りない、王国・帝国に割いている百貌達を法国に行かせるか? ベストよりベター、法国に行かせるか。

 

「俺達以外のプレイヤーの存在……か。慎重にならざるを得ませんね」

「うん、だけど慎重過ぎるのもダメだ。

 ()達には情報が必要だ、この世界を生き抜く為にね。

 それでも良かったよ、シャルティア達にWIを渡しておいて、じゃなきゃ今頃は……想像もしたくないね」

「!? それは! そうですね。もしシャルティアに渡して無かったらシャルティアは精神支配され、俺達の事が知られていた可能性とシャルティアとの戦闘の可能性があった……もしそうなっていたら………」

()が出るしかなかったね。()なら安全に倒せる、でも同時にシャルティアと言う存在が無くなるかもしれなかった。

 この世界に来てフレーバーテキストが意味を持つ様になった。それは()の本体のフレーバーテキストに不安要素が多くなった事を意味する。

 ユグドラシル時代の様に倒しても時間が経てば戻せるのか、それともフレーバーテキスト通りになって完全に消えるのか……それが分からない以上、この子達との戦闘では可能なら出たくはない。

 出来るなら、()の本体が動く時は世界を呑み込む時だけにしたいね」

 オルトさんの本体が動く………それは世界(ワールド)の崩壊を意味する。ユグドラシル時代に運営が行動規制をかけるくらいだった程にOne Radiance(ワン・ラディアンス・) Thing(シング)は規格外の存在だった。

 まあ実装した運営の自業自得な気もするけど、それでもオルトさんの亜種と正統のどちらの姿でも出れば文字通り世界が終わる。

 ………確かにそれは避けたいな。

 

 恐らく亜種も正統もフレーバーテキスト通りになっているだろうね。

 弱体化しているあのスキルを使ってチンピラ達を食べた時に経験値が入ってきたし、百貌達からチンピラどもは水晶の欠片と共に消えたって言ってたしねぇ。

 これらを加味すると………うん。考えるのは止めておくか。




 何だよ郭言葉って、エミュ出来ないって、無理だってコレ。
 それに、パンドラズ・アクターのエミュも出来んよ。無理だよ。
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