星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 洗脳はされなかったため危険度で判断し、冒険者達を逃がしたシャルティア。結果、原作同様に吸血鬼討伐隊が編成される。運命とは残酷ですね。


三十八話

「〖……あー、そうか。何人か逃がしたって言ってたね〗」

「〖はい。なので今組合の会議室で吸血鬼(ヴァンパイア)の話をしているんです。

 それで今、吸血鬼が近郊の街道にいる、しかもかなり強い、どうする。よし、討伐隊を組もう。となりました〗」

 

 シャルティアが見逃した(捨て置いた)冒険者が生きて帰り、シャルティアが……吸血鬼が街の近くにいると知ったエ・ランテルの冒険者組合は、討伐隊を編成しているとモモンガから伝言(メッセージ)により伝えられた。

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「〖どうしようね〗」

「〖今討伐隊は誰にするかを話し合っています〗」

「〖うやむやに……取り消すのはもう無理だね〗」

「〖オルトさん。女吸血鬼で有名な人物は誰がいますか? カーミラは知っているんですけど〗」

「〖そうだね、有名な女吸血鬼で真っ先に出てくるのはカーミラだね。でもそれがどうかしたの?〗」

「〖その吸血鬼は俺達が追っている吸血鬼だって言っちゃいまして、それで、その〗」

「〖あー成る程。モモンガくんネーミングセンス無いもんね〗」

「〖うっ。言わないでくださいよ。事実ですけど〗」

 

 自分達が行けるように咄嗟に自分達が追っている吸血鬼の可能性が高いと言ったが、適当な名前が思い浮かばずオルトに聞く。

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「〖それで、カーミラの名前を使ってプレイヤーを炙り出しますか?〗」

「〖そうだね、吸血鬼でカーミラは有名だ。

 その名前を知っているプレイヤーは炙り出せるかもしれない。

 でも()が思うにプレイヤーが居る可能性は低いと思ってる〗」

「〖そうなんですか?〗」

「〖ニグン達を法国に帰した時、アインズ・ウール・ゴウンの名前と死の騎士(デス・ナイト)を使役出来る者が居ることを伝えさせる様に言っておいた。

 でもそれ以降音沙汰無し、プレイヤーが居れば()達のギルド名を聞けば何かアクションをする筈だ。なのに何も無い、それから察するに今現在プレイヤーはいないと考えてる〗」

「〖そ、そんな事してたんですね。でも確かにAOGの名前を知っても何もしないのはおかしいですね、それか手を出さない……出せない理由が有るといったところでしょうか〗」

 

 ギルド:アインズ・ウール・ゴウンの存在を知り、何もしないのは警戒し何も出来ないのか、攻略するために何かを計画しているかのどちらか。

 だが今のオルトはどちらも無いと考えている。もし、法国にプレイヤーが1人でも居れば傾城傾国を奪われた時点で取り返しにきてもおかしく無い、しかし時間が経てどその気配が無い。

 とすれば、少なくとも法国にプレイヤーはいないと判断した。ならば帝国に居る可能性は無いのか? 確かにそちらはまだ分からない。

 もし帝国にプレイヤーが居れば、或いは居たとすれば第8位階以上の魔法が伝説扱いなのはおかしい、となればいない可能性が高い。

 王国は論外。魔法詠唱者(マジック・キャスター)を低く見ているからだ、プレイヤーが居れば魔法詠唱者を侮らない。つまり王国にはプレイヤーの影は一切無いと結論を出した。

 つまりここでプレイヤーが出張ってくる警戒をする必要は無い。

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「〖だからカーミラの名前を出しても問題は無いと思うよ。でもそうだね、ソレだと面白みに欠ける。

 カーミラのアナグラムのミラーカだったりマーカラ・カルンスタインなんてのも有る。

 後は……カーミラのモデルと言われてる血の伯爵夫人と呼ばれていたバートリ・エルジェーベトかな〗」

「〖ミカーラにマーカラ、それで、モデルのバートリ・エルジェーベト……分かりました。ちょっと待ってください〗」

 

 会議室に集まった冒険者達と組合との長く話し合っているのか伝言(メッセージ)が途切れる。

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「〖えっと、組合には元貴族のマーカラ・カミラ・エルジェーベトと言いました。

 シナリオは貴族だった伯爵夫人が血の儀式を行い吸血鬼と成った。と。

 ただその結果、俺達はその吸血鬼に滅ぼされた、国の騎士と魔法詠唱者(マジック・キャスター)になっちゃいました〗」

「〖あー……まあ仕方ないか〗」

「〖それで……どうしましょう。実際には吸血鬼はいませんし、かといってここまで話し合ってもう逃げて街道にはいない。

 何て言っても意味ない上に、そもそも何故知っているのかを聞かれても困りますので、どうしようもありません〗」

「〖んー……()達で吸血鬼を捏造するしか無いかな〗」

「〖ですよね……本当にどうしましょう〗」

「〖()がやろうか〗」

「〖オルトさんが!?〗」

「〖吸血鬼の体も有るし、適役……とまでは言わないけどシャルティアにやらせる訳にはいかないしね〗」

「〖それは……そうですけど……でも〗」

「〖ここまで来たらやるしか無い、そして吸血鬼役を出来るのは()かシャルティア。

 さっきも言った通りシャルティアにやらせるのはダメだ、残る選択肢は()しかいない〗」

 

 悩んでいるのか伝言(メッセージ)が途切れる。

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「〖分かりました、お願いします〗」

「〖うん。それとさ、折角だし盛大にハデにいこうよ〗」

「〖あはは、オルトさんらしいですね。そうしましょう〗」

「〖また後でね〗」

「〖はい〗」

 

 伝言(メッセージ)をやり終えキングゥが何が有ったか聞いてきた。

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「ん? ああ、君達にも言っておこうか」

 

 そう言い何が有ったかを話し始めた。

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「ふむ、また面倒な事になったな」

「こればかりは仕方ないさ、それにシャルティアの判断は間違いではない。

 あの時あの場所でより危険なのは法国の部隊だ、並み以下の冒険者は捨て置くのは正しい」

「だが、その結果がこの大騒ぎだ。収集もつけられねぇんだろう、どうするつもりだ」

 

 そう、あの時の判断は間違ってはいない。ただ、冒険者達が街の近くに『吸血鬼』という存在が居ると知った。

 確かに問題はあるにあるがソレを利用すればいい。

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「御主、何を考えている」

「盛大に見せ付けるのさ」

「見せ付ける? 何をだ」

「モモンガくんの強さをだよ。今回の吸血鬼騒ぎを逆に利用する。

 ()が吸血鬼役をしモモンガくんに倒される演技をする、勿論気づかれないようにね。それを他の連中に見せ付けモモンガくんをより高い階級の冒険者になってもらう」

「お前がやられ役だぁ、出来んのかよンな事」

「んーまあどうにかなるんじゃない?」

 

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「彼処に居るのが例の吸血鬼か? だが情報では白髪の女吸血鬼の筈……情報が間違っていたのか?」

 

 情報を元に駆けつけた場所には、聞いていた情報とは違う金髪で男の吸血鬼が居た。

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「もう1人の吸血鬼のかもしれませんね。ですが、吸血鬼がいる以上倒さなければいけないのは事実。

 行きましょう」

「てめぇが仕切るんじゃねぇよ」

 

 飛び級でミスリル級になったモモンガ達が気にくわないのか、イグヴァルジが敵愾心を露にし食って掛かる。

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「でしたら貴方が先陣を切ってください。私達はその後に続きます」

「ハッ、当たり前だ。てめぇが俺に従うんだよ。(コイツの化けの皮を剥いでやる)」

 

 イグヴァルジを先頭に吸血鬼の前にでる。

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「よぉ、兄さん。女の吸血鬼を知らねぇか」

「聞いていたモノ達とは違うな。イヤ、当然と言えば当然か何せ君達人間は弱い、だから直ぐに群れる。最も、私達からすれば有象無象の塵芥でしかないが。

 それでも可愛い妹に手を出されるのは兄として好ましくない、可愛い妹を人間どもに汚されたく無いのだよ」

「妹? 吸血鬼を妹と言うのかてめぇは」

「そう言ったろう耳が悪いのか君は? それがどうかしたのかね、人間」

「(マジで儀式をして吸血鬼に成ったのか、だが、()何て話は出てこなかった。

 血縁の有る兄妹……それか吸血鬼として何らかの事があり兄妹となった?)てことは何だ? てめぇも吸血鬼だってのかよ」

「そうだとも人間、私は吸血鬼であり君達の敵だ。

 そしてあの子が安全圏まで逃げられるように私が君達の相手をするのさ。

 さて、人間諸君。君達が妹に追い付け無い場所に辿り着くまで……私が相手をしよう」

「言うじゃねぇか吸血鬼。(逃がしただと、クソッどうする……イヤ、どうもこうもねぇな)女吸血鬼は気になるが、てめぇを殺す前に聞けば言い」

「ははは、君程度に出来るとは思わないが……どれ、相手をして(遊んで)あげようか」

 

 青筋を立て睨み付け、武器を抜き放つ。

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「ブッ殺す!!」

 

 金髪の吸血鬼は微動だにせず、イグヴァルジの剣を振り下ろす。しかし、指に摘ままれ触れてすらいない。

 ━

「遅いな」

「!?」

 

 摘ままれた事に驚き飛び退こうとしたが、微動だにせず投げ飛ばされる。

 ━

「この程度か? 期待外れ……イヤ期待通りの弱さだな」

「う、が……クソッタレが! 痛覚鈍化、肉体向上!」

 

 痛覚を鈍くし肉体能力を上昇させ、金髪の吸血鬼に向かって走りだし武技『斬撃』を繰り出す。

 ━

「遅いな、欠伸が出る程に遅い」

 

 武技を使い横凪に振るった剣は、剣の内側(・・)を摘ままれ止まっていた。

 ━

「な!?」

「雑魚に用は無い」

 

 そう言うとまたもや投げ飛ばされ、怒りに支配され突撃しようとするが、視線すら寄越さず。

 ━

「お前だ、ソコに居るお前」

 

 金髪の吸血鬼は漆黒の鎧を着る冒険者ーーモモンを指差した。

 ━

「私の事かね」

「そうだ、お前だ。お前からは強い力を感じる。この中で1番強いのはお前だ」

「1番かは分からないが……そうだな、今のヤツよりは強いだろうな」

「そうか、それは楽しみだ」

 

 2人の間にピリついた空気が流れ、モモンガが背中の剣を抜こうとした時、奥から走る音が聞こえてくる。

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「俺を! 舐めんじゃ……ねぇ!!」

 

 吹き飛ばされたイグヴァルジが金髪の吸血鬼に再度斬りかかる。

 ━

「はぁ……また君か、君には興味は無いんだ」

 

 金髪の吸血鬼は迫りくる剣を防ぐ事すらせずそのまま受ける。

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「(当たった!!)どうだ! 血吸いクソ虫野郎!」

 

 確かに当たった。しかし金属音を響かせるだけで斬れていなかった。

 ━

「何か……したのかな?」

「は?」

「だから言ったろう。君のような雑魚に用は無いんだよ」

 

 ただの指鳴らし(フィンガースナップ)。それだけでイグヴァルジは見えない力で吹き飛んだ。

 イグヴァルジの仲間達……クラルグラのメンバーは目を丸くし、何が起きたのか理解出来なかった。

 ━

「これ以上雑魚に邪魔をされたくない……だからこうしよう。中位眷属招来」

 

 金髪の吸血鬼が何か言うとソコには数百体の下位吸血鬼(レッサーヴァンパイア)を初めとした数十体の吸血鬼に、大量な吸血鬼の狼(ヴァンパイア・ウルフ)

 そして複数の吸血蝙蝠の群れ(ヴァンパイア・バット・スウォーム)が現れた。

 ━

「これで雑魚どもを相手しなくて済みそうだ。そうすれば君との殺し合いに邪魔が入らない。

 さあ漆黒の剣士よ、存分にやり合おうじゃないか」

 

 クラルグラ達は召喚された吸血鬼と戦い始め、モモンガは謎の吸血鬼と対峙する。

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「クソッ! いきなり吸血鬼どもが現れやがった! しかもコイツら……強い!!」

 

 クラルグラは召喚された吸血鬼との戦闘余儀なくされ、モモンガに近寄れずにいる。

 それはイグヴァルジも同じで、自分が斃すつもりだった金髪の吸血鬼と戦えずにイライラしながら召喚された吸血鬼と戦うしかなかった。

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「さて、漆黒の剣士よ」

「望むところだ。ルヴァン、ナーベ、お前は彼らのサポートをしてやれ」

「その方が良さそうじゃな」

「分かりました」

 

 ナーベラルに指示を出し、お互いが相手の一挙手一投足を警戒する。

 そして長い沈黙を破ったのはーーモモンガだった。

 ━

「フッ……ハァ!!」

 

 背中に背負うグレートソードを抜き放ち最上段から振り下ろす。

 しかし、その斬撃はいつの間にか手に有った剣に防がれた

 ━




 情報とは違う金髪の吸血鬼との戦闘の火蓋は切られた。
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