星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
「それで? 何でこの国に
「この国に居るエルフ達は法国から高額で売られてきている。そして、
またあの国か何でもやってるな、人類の守護を掲げてるのに人間種の
もういっその事潰すか?
「法国は取り敢えずイイヤ、エイヴァーシャー大森林っての教えて」
「俺も詳しくは知らないが、法国と戦争中らしい。
そこで捕らえた
「戦争ねぇ、しかも人間種の
オルトの言葉に頷き、嫌悪感……と言う程のモノではないが、なにがしか思うところが有った。
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「それは同意だ、あの国が考えてる事は俺にも分からん。
で、だ。今居る奴隷
「良いのかい? そんな事して。仲が良いんでしょ?」
「ハッ、君との関係が良くなるなら切り捨てるさ。どちらが国にとって……イヤ、俺にとっても重要度が高いのは間違いなく君だ、トール。そのためならあの国など要らんさ」
「随分と
ジルクニフは法国とオルトをどちらが帝国にとって重要なのか、有用なのかを天秤にかけてオルトを選んだ。
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「確かに法国は強大だ。だが、君程ではない。君が帝国に付けば……イヤ、そこまでいかずとも君と帝国が協力関係を築ければ法国なぞ脅威ではない」
「ふーん。面白い事を言うね。それは後ろで興奮してる奴で判断したのかな」
ジルクニフの後ろで未だ興奮冷めやらぬ状況で、熱い眼差しをオルトに向けていた。
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「あー……まあこんなんでも爺は主席宮廷魔術師だ、そしてこの国の最大戦力でもある。爺はタレントが有る、爺のタレントはーー」
「知ってるよ、彼女と同じヤツでしょ」
「彼女? 誰の事だ」
その問い掛けに視線で答える。
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「見た事が無いが……誰だ」
視線に誘導されアルシェを見るがジルクニフは当然知らず、謎が深まるばかりだったが気を取り直したフールーダが「君は……アルシェ君じゃないか。
突然帝国魔法学院を辞めてしまうものだから、あの時はとても驚いたぞ。何かあったのかね」と何も知らないが故に聞いてしまう。
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「あ、えっと……その……」
ローブの裾を握り、意を決して
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「私は、私はアルシェ・イーブ・リイル・フルト。
皇帝陛下の改革の一環である貴族位を剥奪の際、剥奪された元貴族です」
「フルト? ……覚えてないな」
「…………100年以上バハルス帝国を支えていた貴族です。でも、選民思想が強い貴族でもあります」
両親の事を思い浮かべフルト家が鮮血帝に屈していない事を見せつけるため等と言い、今も尚貴族らしい生活を続けるためにタチの悪いところ借金を増やし続けている。
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「あぁ、あのバカ貴族か。歴史が有るだのなんだのほざき続けた無能か」
「……そう、ですね。バカで無能です。貴族に返り咲くとか言ってタチの悪いところ借金をしていますから」
「やはり無能だな。俺の帝国に無能は要らん」
ジルクニフの物言いはアルシェに現実を突きつけるのに充分なモノだった。
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「だが、お前は違いそうだな」
「えっ……」
「お前は爺と同じタレントを持っているのだろう? であれば国に重用したいモノだ」
「!? それ……は」
「どうだ?
耳を疑う発言はアルシェを混乱させる。
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「な、陛下は何を仰有って………」
「皇帝陛下。申し訳ありませんがアルシェは俺達の大事な仲間です。
引き抜きはお止めいただく思います」
使いなれていない敬語を使いジルクニフの提案を拒否する。
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「ハッ! それは本人が決める事だ、部外者が勝手に決めるな」
「ッ! (そう、その通りだ。辞める辞めない、国に仕えかどうかを決めるのはアルシェ本人の意思だ、部外者が決める事では……無い)」
ジルクニフの言った事が事実であるため、奥歯を噛み締める。
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「ああだが、重用するのはお前だけだ。お前の親は無能だからな、帝国には要らん」
「わ、私は!」
考える素振りすらせず堂々と答える。
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「私は
ハッキリとキッパリと言い切った。
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「そうか、それは残念だ。だがいつでも訪ねてくるといい、俺は歓迎しよう」
「過分な評価、ありがとうございます。皇帝陛下」
「そうか、君が帝国魔法学院を退学した理由はその両親のせいか。
君には才能が有った。いつかは三十人に入ってもらうつもりだったが………まさか親のせいだったとは」
いきなり退学し行方をくらました弟子であるアルシェの事情を知り憤慨する。
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「そうなのか? 爺」
「ウム、アルシェ君はとても優秀な子だった。10代中盤に入る前には第3位階魔法を習得していた」
「なら何故止めなかった」
「仕方なかろう、気づいた時には既に辞めていたのだ。
その後を追ったがついぞ見つけられなんだ。が、まさか
ジルクニフが腹立たしそうに顔を歪め「無能極まりない
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「王様さぁ、それで物事が終わるとでも思ってるの?」
「違うのか、無能どもを殺せば片付くだろう」
「じゃああの子の両親がした借金は誰が返すの?」
「ならその貸し金業者を潰せばいいだろう、タチが悪いらしいじゃないか」
アルシェを横にオルトとジルクニフが話し合う。
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「確かに最終的にはソレをする必要がある。
いいかいジル。
「ならばどうやる?
「ソレをして残るのは
まるで長年の友人が如く問題解決の方法を本人そっちのけで話し合う。
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「その娘が………あぁ、自分で決着をつけたいと」
「その通りだ。
この問題は先ず、アルシェが方を付けてこそ意味がある。
そしてその後で君が処理する。それは君が王だからだ、国の膿は絞り出さなければソコから腐っていく。ソレら全てをやって漸く抜本的な解決なんだよ」
「それは分かった。だがその娘の問題はどう解決する」
アルシェに解決方法を教える。
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「考えられる解決方法は2つだね」
「2つ?」
「1つ目は彼女が借金を完済する」
「ソレは無能がつけあがるだけだろう、意味がない」
「残念ながらその通りだ。
彼女が借金を完済してしまえば親は彼女が返済するからと、また借金するだけで意味がない」
「2つ目は親と縁を完全に切る」
「ああ確かに意味はあるな、無能が追いかけてこない事が前提だがな」
「そうなんだよね、縁を切っても居場所が知られて追いかけ回されては意味がない」
提示した方法では結局は意味がないと2人は結論づける。
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「やはり殺すのが無難だ」
「問題は彼女の心の持ちようだよ。『自分はここまでしてやった、後はお前達がやれ』彼女がそう考えられるようになった時、決着がつく。
つまりはだ、アルシェ、君が見切りをつけるしか方法はない。君が返済し続ければ親は勝手に借金が減った、だからもう一度借りられる。それの繰り返しだ。
見切りをつけ、切り捨てる。ソレが出来ない限りずっと続く、早々に見限るしかないんだよ。
ジルの言う通り、君の中で今も尚貴族だと考え莫迦な事をする
「私の……中で、殺す」
それは仲間達から何度も言われてきた事だった。自分の中で決着を、親を殺す。
目を強く閉じ考え込む。
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「わた……私は……」
「こればっかりは
「だがトール、その後はどうするつもりだ」
ポカンとした後「そこからは君の仕事でしょ」と伝えるとジルクニフは少し考え、「ああそう言う事か」と得心が行く。
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「ま、彼女の問題はここまでにして、エイヴァーシャー大森林ってのがどこに有るのか教えて」
「聞いてどうする」
「やる事なんて1つしか無いでしょ」
「潰す気か?」
「違うね、助けるのさ」
「(本当に変わったな。イヤ、あの体だからこその考え方か、体を変えてしまえばどうなるのか……少々不安だな)」
頭を傾げ意味を飲み込むのに時間がかかったが、オルトが言った事の意味を理解した。
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「まぁトールがしたいならするといい。俺には関係ないからな」
「それは良かった、君が邪魔してきたら構わず潰すところだったからね」
「それは……ゾッとしないな」
「ですな。一軍どころか全軍が壊滅するでしょうな」
フールーダの発言はジルクニフに怖気が走る。
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「あー……で、だ。エイヴァーシャー大森林はスレイン法国の南方に広がる森林地帯にある」
「
「……それもそうか。(どうする、協力するか? するとしても誰を行かせる……爺は、駄目だなさっきみたいになるのが関の山だ。四騎士の誰かを供にするか? 悩ましいな)」
「考えてるとこ悪いんだけどさ、肉の腐った臭いがするんだけど」
「!? 何を言って……」
オルトの発言に耳を疑った、この国には呪われた騎士がいる。だがそれを知っているのは内部の、それもごく僅か。
なのに今日此処に来たばかりのオルトが言った事に驚きを隠せなかった。
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「あ、なんか有るんだ。臭いから早く教えてよ」
「そう言えばこの国に入る時に言っていたな」
「そうなんだよねー、入ってきた時は鼻につく程度だったけど、城に入ったら臭いのなんの。
鼻が曲がりそうだ」
隠す事でのメリットデメリットを思案し、包み隠さず教える事にする。
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「爺、連れて来い」
「良ろしいので?」
「隠す方がデメリットが高い」
「ですな。では連れて参ります」
「デメリットねぇ、中々面白い事言うね」
「何となくだが、君には隠し事しない方が良いと思ってね」
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「陛下、レイナースが呼ばれたって聞いたんだが、何があったんだ」
「ああちょっとな。それで、レイナースは何処にいる」
「すぐに来るってよ」
「そうか」
騎士らしき男がジルクニフに砕けた口調で話し掛ける。
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「仲が良さそうだね」
「帝国は力さえあれば重用する、言葉遣いなど些事だ」
「へぇ、だから
「その通りだとも」
2人の会話に割り込むようにバジウッドが小声で話しかける。
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「〔陛下。何です? あの化け物は〕」
「〔重用しようとしている相手だ〕」
「〔あの化け物を!? 本気で言ってんすか?〕」
「〔本当だとも。でなければ此処に連れてこんさ〕」
「〔それは……まぁ確かに。でもなぁ……正直あんな化け物と一緒にいると怖くて仕方ねぇ〕」
「〔ほぅ、勝てるか?〕」
「〔無理言わねぇでくださいよ、アレに勝てる奴なんていやしないって〕」
「〔そこまで言うのか〕」
「〔そりゃあもう化け物中の化け物だ、俺達帝国四騎士が全員でやっても勝てねぇ〕」
「〔そんな事を言われると余計に欲しくなるな〕」
頭に手をやり「勘弁してくれ」と呟く。
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「陛下、私をお呼びとの事ですが何用でしょうか」
そこに帝国四騎士の1人。『重爆』のレイナース・ロックブルズが現れ、その事にフォーサイト達は帝国四騎士がしかも『雷光』のバジウッド・ペシュメルと『重爆』のレイナース・ロックブルズの登場に緊張する。
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「あぁ、臭いの正体は君か。鼻が曲がりそうな程に臭いね、肉が腐った臭いだ」
「(臭いって、そんな臭いするか?)」
「(私は全く分かりませんね)」
「(残念ながら私にも分かりません。イミーナさんは何か分かりますか?)」
「(ちょっとだけ、すえた臭いがするわね。エルフは聴覚が良いけど、トールレベルになれば嗅覚も鋭くなるのかもね)」
初めて見る男が隠している事を知っている事に対して驚きと、何も知らないくせにと激しい怒りがこみ上げる。
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「貴様!!」
「君のソレ、死に際の呪いだね。
ソレって解呪するの面倒なんだよね。死に際の呪いって通常の呪いより強力だからね」
「な、何故それを……」
呪われている事はジルクニフは当然、帝国四騎士を初めとした少数は知っている。しかし死に際の呪いである事は誰も知らない筈、なのに見知らぬ人物がその事を言い当てた事に驚き二の句が出なかった。
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「トール、その死に際の呪いとは何だ」
「そのままの意味だよジル。モンスターが死に際に与える強力な呪い。
だから解呪するのも当然難しいから苦労するだろうね、と言うより出来る人少ない……イヤ、居ないんじゃないかな。
「!? それは本当ですか!!」
「うん、そういった事は得意だからね」
「お願いします! この呪いを……この呪いを解いてください!!」
レイナース・ロックブルズにとってその言葉はまさしく希望の光だった、長年苦しまされた呪いから解放される喜びはひとしおだった。
だが、男から発せられた言葉は残酷なモノであった。
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「やだよ面倒くさい」
「えっ……」
「それに
「お金なら幾らでも出します! いえいえ、私に出来る事なら何だってします! だから、どうか……この呪いを……」
「えー」
助け船を出したのはジルクニフがトールと呼んだ人物の傍に居た男だった。
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「トール、出来ると言っておいて何もしない。は、薄情が過ぎるのではないかね」
「えー、だって本当に面倒くさいんだよ、コレを解呪するの」
「そうなのかもしれない。だが、君には出来るのだろう? そして君は彼女に希望を抱かせた………それを面倒くさいからしない……は、あまり宜しくないな」
顔をムスッとさせ「仕方ないな、でもその代わり条件をつけよう」とレイナースの後ろに居るジルクニフに言う。
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「聞こうじゃないか」
「この国に
「何? (その条件は俺にとって喜ばしいモノだ。なのに何故)」
「
「(成る程そう言う事か。だが俺としても万々歳だ)良いだろう、適当な貴族を吊し上げトールの家にしよう」
「話が早くて助かるよ。さてと、じゃあ解呪しに行こうか」
全員がポカンとした表情をする。
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「此処でするんじゃないのか」
「しても良いけど部屋が壊れるよ? それで良いならやるけど」
「確かに、それは困るな。なら……そうだな、屋外修練場にでも行こう。彼処なら広さ的にも問題無い」
「じゃあ案内よろしく」
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「うんまあこれくらいの広さなら良いかな。さ~てと、やるか。
スキル、太古の大樹の祝福:Ⅱ」
「おまけにコイツもしておこうか、
臭いと言っていながら何もしようとしないオルトくんとそれを嗜め、解呪するように言うエミヤ。だから嫌々ながらやる事にした、果たしてそれを見たフールーダはどうなるのか。スキルだし大丈夫か。
今のところオルトくんの不興を買ってないジルクニフ、極細の綱渡りを成功中。これは誇っていい。
但し騎士を1人失う可能性が大。
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「太古の自然の恩寵:Ⅴ」は呪い関係のデバフを回復させられる
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ダクソやエルデンリングの魔法の類いの設定はエルフオルト種族・