星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
スキルを使うと、オルトを中心点にし同心円状に太古の大樹が生え、急成長し周囲500mまで広がり、その中に居る全ての種族を問わない味方プレイヤーに対し、全ての
それはレイナース・ロックブルズ長年苦しまされた呪いが解かれた瞬間だった。
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「ほら、終わったよ」
ただ、スキルの影響で屋外修練場はオルトがスキルによって生やした大樹が生い茂り、埋めつくされてしまっている。
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「あ、あぁ……顔が……私の顔が元に、戻って………」
呪いにより、濃い悪臭の膿を常に分泌し続けていた部分が完全に治っており、何度も自身の顔を触りながら嗚咽をこぼし、しだいに大粒の涙を流し泣いていた。
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「あー疲れた。ま、でも、治ったしこれでもう良いでしょ? 疲れたから何か飲みたい」
「すぐに作らせよう」
未だに泣きながらも、オルトに近づき手を両手で握り込み涙声で何度も何度もお礼を言い続ける。
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「んー、あー……まあいいか」
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「ですので陛下。私はトール様に従いますので騎士を辞めさせていただきますわ」
屋外修練場で宣言する泣き止んだレイナース・ロックブルズは、今まで髪の毛で隠していた顔右半分の髪の毛を上げ、誇らしそうに見せていた。
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「あー、元からそう言う契約だからな、仕方ないか。処理しておこう」
「随分と簡単に辞めさせるね」
「レイナースとは騎士に取り立てる際に『呪いの解呪が成功するまで』という契約を結んでな。
その呪いが解かれたなら辞めても当然だ。(最も、トールの傍に居れば必然的にも俺とも関わる、完全に離れる事も無いだろう、現状問題は無い)」
「ふーん」
2人の関係に興味が無いのか、他人事のような返答をする。
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「君がした事には責任を取りたまえ」
「ちゃんと面倒みるって………多分」
「多分では困るんだが……私もフォローをする、
「ああそう言う。……でもなー興味無いしなー。ねぇ君、何が出来るの?」
「私は帝国四騎士において『重爆』と呼ばれておりました、それは私が攻撃力は四騎士最強だったからです。ですので攻撃力は自負しております我が主よ。ああ失礼、元・四騎士ですわね。
ですが、なんとなく……では在りますが以前の私より弱くなった気が致します」
「弱くなった?」
「はい」
弱くなった。と、本人の口から突然言われ思案し問いかける。
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「理由は分かる?」
「………1つ、試したい事がございます」
「言ってごらん」
「何か……適当な武器をお持ちでありませんか?」
「武器? どんなのがいいの?」
「そうですわね……あまり強くない武器であれば何でも構いません」
強くない武器……ねぇ。呪い、騎士……。
「シェロ、確か短剣有ったよね? えーと、そうそう黄銅の短刀だ。出して」
何か思いついたのかエミヤに
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「これだな、彼女に渡せばいいんだな?」
「うん」
「受け取るといい」
エミヤから黄銅の短剣を受け取ると……何も起きなかった。それを見てレイナースはある事に思い至った。
それは今までであれば
そこから推測するに呪いが解けた今、自分は今までのような強力な攻撃力は無くなったのだと悟った。
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「トール様。今まで私は一定以下の武器やアイテムなどを手に持つと壊れていました。ですが今、この武器を手にしても壊れません」
「ああ成る程、カースドナイトか」
だとしてもカースドナイトには就くための前提条件を満たす必要がある、確か最低でも60レベル分の
それに特殊技術を得ることを考えれば70レベルは必要になってくる………だがこの女はそこまで強くは無い………考えられるのはこの世界に来てフレーバーテキストが意味を持つように、イヤ、フレーバーテキスト通りに成っている事。
となるとこの女のカースドナイトはフレーバーテキストの影響か? 確かカースドナイトのフレーバーテキストは『呪いによって汚れた神官騎士』という設定だった筈………そしてこの女はさっきまで呪われていた。
へぇ、面白いね、
うんうんイイネイイネ、色々と実験が捗りそうだ。
「ねぇ君。名前は」
「ハッ! 私はレイナース・ロックブルズと申します。此から先お仕えさせていただきます」
「ああうんよろしく。後で君に合う装備を見繕うから待っててね。
どうせだし上から下まで用意しようか」
「そうだな、そうしてくれると助かるよトール。国から渡した装備も有る、それに、お前達四騎士の装備は安くないからな」
その時、ジルクニフの後ろから呻き声が聞こえてくる。
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「陛下! フールーダ様が!!」
「!? 何だ! どうした!」
ソコには踞るフールーダ・パラダインが居た。
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「爺! どうした! 爺!!」
大量の脂汗を流し、体は震え「わ、私の不老魔法が……と、解けて……しまっておる」と掠れた声でジルクニフに伝える。
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「何!? そんな事が起こり得るのか!?」
「あり得ぬ、こんな事は……初めてじゃ、何故このような………」
「トール」
ただその一言をかける。
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「あー。アレか、そう言えば魔法が見たいって言って
「どう言う事だトール」
「
「そ、そのような魔法が……」
震え脂汗を流していながらもその目は見た事も聞いた事も無い魔法を知り輝かせていた。
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「爺!! 今の状況を考えろ!! このままではお前は……トール!!」
「あー……まあ
「意外だな、私が何も言わずに君がするとはな」
「まあ
「それに……何だね」
「ここまでしてくれたし
それでさ、ソイツ何か変わったな魔法使ってない?」
「変わったな魔法………爺は人間だ、
「ただの人間が?」
ジルクニフは逡巡するがフールーダの事を話す。
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「爺は複数の魔法を使い独自の
それでも凄まじい
2人の間柄に昔の………
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「そうか、親代わりか。大切な者を喪う辛さはよく知っている。
コメカミに指をあて色々と思案しあるスキルを思いつく。
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「うん、アレが良いかな」
そう呟き、フールーダに向けてスキルを使う。
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「スキルーー」
スキル対象のフールーダ・パラダインの周囲に小さな植物が芽吹き、緩やかに成長していき細い蔓となり、その蔓がフールーダの体に巻き付き始める。
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「トール!! 何をしている!!」
「今ソイツを戻してるから邪魔しないでよ」
「戻……す?」
2人が話している間もフールーダ・パラダインの体には蔓が巻き付き、遂には蔓が覆い様々な花が覆い隠す。
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「信じて……良いんだな?」
「悪いようにはしないさ。それに此処まで来て関係が拗れるような事もしないとも。
だから安心して見ているといい」
オルトの発言はエミヤにとって驚きでしかった。
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「(変わった。他人に、ナザリックそして我々以外の者達以外にここまでするとはな。だが、良い変化だ)」
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2人の会話から凡そ5時間が経った時、蔓に咲く様々な花が光り輝き、消えるようにフールーダ・パラダインに浸透していく。
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しかし、このスキルがこんなエフェクトになるとは。確かにフレーバーテキスト通りではあるが……使いづらくなったな。
「これは……いったい何が起きて……」
ソコには以前とは違う
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「ソイツは寝ているだけだから、1時間もすれば起きる」
「トール、何を……何が起きた」
「……
若返りや
今のは
ユグドラシルにおいてこの種族と
その1が『全ての生命は原初の植物から生まれる』である。
このスキルは
そのためスキル効果が『死亡時レベルダウンの無いHP100%での即時復活』そして『オルトの種族・
当然フレーバーテキストにはブッ飛んだモノが書かれている。
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「
「まあ
「は、ははは。どうやら俺はトンでもない者を引き入れたみたいだな」
「後悔したかい? 何せやろうと思えば国を乗っ取れるしね」
「国の統治に興味でもあるのか?」
「そんな事1回で充分だよ」
驚愕の事実を知ったジルクニフは帝国の繁栄を確信した。
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「トール」
「うん? 何」
「今、この時を以てトールに侯爵位を下賜する」
「それはまた思いきった事をするね」
「当然の地位だ、甘んじて受け入れろトール」
「それはそれは、嬉しくて涙がちょちょ切れるね」
んー足場固めとしては満点だろうけど動きづらくなるな。どうするか……まあいいか。
「ああそれと、若返らせたけど不老には成ってないと思うから気をつけてね。
まあ不老にしても良いんだけど」
いやしかし本当に若返ったな、こっちもフレーバーテキスト通りだな。
モモンガくんに使ったらどうなるんだ? モモンガくんはアンデッドだし若返る事は無さそうだけど………使うのは慎重にするか。若返り以外にも色々と書かれてたし、でもその辺りを選択出来るのは良い発見だな。
「今はこれで充分だ、そこまでは高望みが過ぎる」
「それは何より。気が向いたら不老化させてあげ………やっぱり面倒くさいから不老魔法開発に手伝う程度にしておこうか」
「爺が発狂しそうだな」
「
「ははは、そうだったな」
「それとさ王様」
「何だ」
「
「それでも構わんさ、お前という存在が帝国にいる事に意味がある」
フールーダが無事である事に一安心したのか、オルトと軽い口調で話し合っていた。
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「おおおお!! 何だコレは! 私の……私の体が若返っているではないか!!」
「ああ彼起きたみたいだね」
「その様だな。今にすっ飛んで来るぞ」
応接室の隣にある仮眠室から大声が聞こえてきた。
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「ジル!! コレは何だ!! 私の体に何が起きたのだ!」
「トールの魔法だ。良かったな爺、若返って」
「お、おおお。何と言う凄まじき魔法! 肉体の若返りを成す事が出来る魔法があるとは!
やはりトール様は神そのもの!! 是非私の師になっていただきたい!」
魔法じゃなくてスキルだけど、別にいいか訂正するのめんどいし。
「やだよこれ以上誰かに教えるとか。それに
「まさかそんな!! 貴方様から見える魔力は魔力系
なのに魔力系ではないのですか」
「まあ
「な、何と………それ程の魔力をお持ちで有りながら
「だから嫌だって。教えるとか1人で充分だよ」
「で、ではその1人はいったい誰が………!? まさかアルシェ君に!」
「うん」
バッとアルシェに顔を向け「何と羨ましい事を……」
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「で、ですが先生は死霊系の魔法をお得意としていらっしゃいますし、トールさんは死霊系は使えないみたいなのです」
「そうか……死霊系は得意では無いのですね」
死霊系かとなるとモモンガくんの方が合ってるな、会わせて見るか? ……今は止めとくか。
「トール様」
「何」
「闘技場で死体を爆発させていらっしゃいました。ソレは死霊系では?」
「あれは信仰系だね」
「アレが信仰系! 私は信仰系も修めております。ですので信仰系を……」
「えー、何で会う奴全員そんな事を言うのさ、面倒くさい」
申し訳そうにアルシェは俯く。
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………でもサンプルが欲しいのは事実だし、どうしよっかな死霊系で渡せるの何かあったけか。
「あー名前なんだっけ君」
「わ、私ですか!」
「そうだよ」
声の大きさに顔を顰める。
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「お、おおお。んん"ん"。私はフールーダ・パラダインにございます」
「ああそうそう、フールーダね。
はいコレ、死霊系とは少し違うけどまぁ君には合ってるんじゃない」
オルトが渡したのはエルデンリングのコラボイベントで入手出来る、魔術取得用アイテムを個人的に編纂した魔術書ーー『死に仕える者たちの魔術』である。
確かに死霊系とは少々違うが、彼からしたらそれは神から下賜された魔術書であった。
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呪いが解かれたためレイナースはカースドナイトの
魔法狂人のフールーダが見た事も聞いた事も無い魔法を使うって聞いたらそりゃ近くに居ますよね。
なので
そして何とオルトくんがエミヤに言われるでもなく自分から動き、フールーダを若返らせた。この変化が何をおこすのか。分かりません。
ジルクニフ、見事にオルトくんを手に入れ爵位を渡す事に成功した模様。
これで何か起きても帝国は属国ではなく、同盟国になれそうですね。
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エルフオルトくんは魔法でバリバリ戦うタイプでは無く、強力なスキルでサポートするタイプの種族・