星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
「スクロールの材料となった獣はどんなモノだ」
何故デミウルゴスはスクロールの材料を確保したんだ? 必要無いと言った筈だが……オルトさんに頼まれたのか?
何故スクロールの材料を確保しようとしたかは後で聞こうと考え、一先ずどのような獣から作られているのか疑問に思い、支配者としては知っておいた方がいいだろうと判断しデミウルゴスに聞く。
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「獣? …………ああ! アインズ様が仰った獣達ですが……そうですね、ローブル聖王国に生息しておりますので聖王国両脚羊でアベリオンシープなどという名前はどうでしょうか」
ピクリと眉を動かし「何?」と呟き、少し考え「まさか」と再度呟く。
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愉しそうに答えるデミウルゴスにコキュートスは疑問を抱く。デミウルゴスは基本的に気立ての優しい人物だが、それはあくまで至高の御方々によって生み出された者に対してのみ。
それ以外には非常に残酷な人物だ。なのに彼は笑みを浮かべ機嫌が良かった。それを見たコキュートスは機嫌の良さの下に彼の残忍さが、見え隠れしているのをコキュートスは不思議に思っていた。
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「成る程………羊か………まぁいい。ではその羊から皮を剥ぎ取れ」
羊かーわざわざそんな低レベルのモンスターから皮を使って作るのか、オルトさんの
いやでも確かにドラゴンはユグドラシルでも強力なモンスター、倒すのはそう簡単ではない。ソレを考えれば低レベルモンスターを倒して低位のスクロールを作った……なくはないか。となるとやっぱりオルトさんからの指示? イヤでもオルトさんがそんな必要無いことを……
オルトは思案する。この世界に来た時にNPC達の事を自身で書いていたナザリック地下大墳墓および、自身の
そのため、全NPCの在り方を知っているオルトは、愉しそうに嗤うデミウルゴスに違和感を抱いた。
それ故に聞いた。
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「デミウルゴス、
「先程も申し上げた通りまだ
これも非常に優秀なモンスター、トーチャー達のお陰です」
成る程、困った事をしてくれる。スクロール問題は来た当初から解決している。勿論低位スクロールを作るのは間違いではない、
なのに彼はあろうことか
でもそれは悪手だよ、デミウルゴス。
「………そうか、そうか。今度その
君が自発的に造ったモノだ知っておくべきと思ってね」
「!! それは是非ーー」
それはましく天にも昇る喜び。自分がした事を誉めてくださり、わざわざ足を運んでくださる事は天上の喜びだった。しかしーー二の句を告げられるまでは。
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「この場で
何故その前に連絡しなかった、何故やる前に相談しなかった。
なのに何故勝手に動いた、
あ、やっぱりオルトさん指示出して無かったんだ。だとすると何故、デミウルゴスはーー
モモンガが考えようとしたその時、オルトの言葉と共に周囲の空間が歪み、幾筋もの金色の光が迸り玉座の間を埋め尽くした。
それは運が悪い事に今のオルトは人型でもエルフ型ではなく、本来の姿に1番近い暗色力の身体に水晶が散りばめられた蜘蛛の姿だった。
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……うっわ、ヤッバ!!
デミウルゴスは絶望に染まっていた。オルトに捨てられるのではないか、ナザリックを去ってしまうのではないかと思わずにはいられなかった。
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「お、オルトさん。落ち着いてください。確かに連絡をせずに勝手に動いた事は叱るべき事柄です。
そのためにも先ずは落ち着いてください」
「………そうだね、ごめんよモモンガくん。少々熱くなりすぎたようだ。
さて、改めて聞こうかデミウルゴス何故勝手に動いた」
「そ、それは……」
生唾を呑み込み正直に話す。
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「い、偉大なる御方々であられるオルト様の
故に多用するのは畏れ多い行為ではないか。と、思い我々の総意で別の手段でスクロールの材料を確保できないものかと話し合いました。
その中で
する必要は無いと言った事を勝手に、しかも自分達に連絡せず事に憤り強い口調で話す。
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「はぁ、その程度のために危険を冒すのか……愚の骨頂だなデミウルゴス。
それと我々と言ったね、後誰が関わっている」
「は、はい。私の他にアルベド、そしてパンドラズ・アクターです」
「アイツも関わっているのか……バカ
自身が造ったパンドラズ・アクターも関わっていることにタメ息を吐き、小声でパンドラズ・アクターの事を息子と呼んだ事が聞こえたのは、隣にいたオルトだけだった。
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「それは本当かいアルベド」
「は、はいオルト様」
「はぁ、いいかい君達。
「順序……ですか?」
オルトが考えるナザリックの世界進出。確かに自分も考えていたが、既に具体的な手段を考えている事に感心していた。
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「うん。
「……! 俺がアンデッドだからですね」
「その通り、この世界においてアンデッドは生きる者を憎むモンスター、故に討伐対象であり
それを払拭する大義名分がいるんだよモモンガくん」
常に先の先を見て盤面を整え世界を動かす。それはオルトが得意とする手法で、ユグドラシル時代にも数多くのプレイヤーを裏から操り、猛威を振るった。
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「
「……確かに……それなら俺達は侵入された被害者でそれを建前に被った損害を送り込んできた連中に請求できる。後は……可能であれば此処には昔から居たと主張し、この近辺は我々ナザリックの領地だと言えますね。
ソレ、良いですね。それでいきましょう」
「それは良かった。モモンガくんが嫌だって言ったら尊重して別案を考えるつもりだったからね」
「確かに……皆で造ったナザリックを荒らされるのは嫌です。でも俺もどうやってナザリックを表に出すかを考えていました。多分俺もその結論になっていたと思います」
2人の発言に待ったをかけたのはやはりアルベドだった。
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「なりません!! 至高の御方々がお造りになられ統治するナザリック地下大墳墓に人間を……それどころか侵入させるなんて!!」
「アルベド、それは視野狭窄だ。言ったろう?
「ですが!!」
「愚かな行いをした君に否定する権利は無い」
その言葉に来た時の事を思い出しアルベドは歯噛みするしか出来なかった。
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「でもオルトさん、どうやって侵入させるんですか?」
そう。ソコが1番の問題だった。どのようにして冒険者・
しかしどうやってナザリックの事を認知させるのか……その際にモモンガとオルトが関わっている事を知られてはいけないからだ。
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「本当はデミウルゴスに動いてもらい王国か帝国、或いは両方の冒険者や
「か、畏まりました」
オルトから言い渡された事は暗に『何もするな』。と、言われたのと同義だった。
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「そうだな、王国では道満に帝国ではジェームズにやらせよう」
「法国はどうしますか?」
「あの国か……墳墓と知ればアンデッドがいると考え何かしらの行動を起こすだろうね」
「法国ではどうやってナザリックの事を知らせますか?」
「………あの国なら綺礼にやらせよう。旅の途中に墳墓を見つけた……と、言ったところかな。
どうやらあの国で綺礼はそれなりの信頼を得ているらしいからね」
恐らくはニグンを助けたからだろう。利用しない手はない。
「でも、その前に色々とやって、最後にコキュートスの方を解決してからだね」
「全員の役割と
モモンガより下賜されたシモベを引き連れ、
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「次はヴィクティムか」
「『はい。あいんずさま、おるとさま』」
「お前を呼んだのは他でもない。想定外の事件が起こった際に……喫緊で言えばオルトさんが考えたナザリックへの侵入者達への対応だな」
「多分ヴィクテムが出る程の強者はいない、問題ないよ。それに8階層に行く前に
「『ありがとうございます、おるとさま。ですが、わたしもあいんずさま、おるとさまのシモベ。
それにわたしはしぬためにうみだされたのです。そのちからでしこうのおんかたがたのおやくにたてるのであれば、これいじょうのよろこびはありません』」
「そうか……許せ」
突然頭を下げたアインズと目を閉じ黙る至高の御方々の姿にヴィクテムが驚き、ワタワタとした動きを見せ、独自の言語で騒ぎだす。
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「場合によっては相手を逃がさないために私達がお前を殺すかもしれない。それも受け入れてくれ」
「
「オルトさんの言う通りだ、そのために……」
ヴィクテムが独自の言語で2人に自身の心情を語り、それは誇らしい事であると言う。
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「ナザリックのギミックの1つとして用いられているこんな言葉がある。福音書から引用したものだが、『人、その友のために自分の命を捨てること、これよりも大いなる愛はなし』。まさにおまえに相応しい言葉だ。お前の愛に感謝しよう」
ヴィクテムの深い忠義・忠誠心を噛み締め、次の守護者へと視線が動く。
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「次はシャルティアだ」
「は、はい!」
「先ずはお前の功績を称えよう。
お前の働きのお陰で我々の脅威が1つ減り、そしてWIがこの世界にも有ると言う脅威を知った」
「それだけじゃないよ、シャルティア。
君が連れてきた老婆から中々面白い話を聞けた、これはかなりのアドバンテージだ。良くやった」
至高の御方々であるモモンガとオルトにこれでもかと言わんばかりに誉められ、脳がパンクし夢見心地だった。
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「どんな事が分かったんですか?」
「あの国はプレイヤーが関わっている」
「!? プレイヤーがですか!」
「うん。法国は600年前に現れた強大な力を持つ者達によって救われた人間の国だ。そしてその者達は間違いなくプレイヤーだ、何せ老婆がプレイヤーの事を知っていたからね。
その数は6人。だからあの国は自分達を救った6人のプレイヤーを六大神と呼び信仰している。『土・水・火・風・闇・光』に分けられている。
あの老婆曰く、『最初、世界には
故に
そして闇の神:スルシャーナはモモンガくん、君と同じ
「!?」
「老婆に君の
だが気になるのはニグンが天使の
「天使じゃないんですか?」
「老婆が言うにはスルシャーナ以外は死んで残って居たのはスルシャーナのみ。
もし、アーラ・アラフが天使であればスルシャーナ同様生きていた筈だ、なのに生き残ったのはスルシャーナだけ、これでは辻褄が合わない。
可能性として考えられるのは天使に見えるような装備をしていた……少々無理があるけどそう考えなければ間違える理由がない」
「その老婆にオルトさんの天使の姿を見せなかったんですか?」
「勿論見せたとも。そしたらニグンと同じ反応をしたよ、だからこそ解せない」
何故天使のオルトを見てアーラ・アラフと思ったのか、スルシャーナ以外は死んでいる。であれば寿命のある存在だと分かる筈なのに見間違えるのか……オルトにも答えが出せないでいた。
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「オルトさん、そのスルシャーナ? はどうなったんですか?」
「ああ、ソレかい。口伝ではあるけど500年前に転移してきた八欲王なる者達に殺されているとの事だ」
「プレイヤーを殺せる相手………その八欲王もプレイヤーですね」
「恐らくはね。ああそれと法国が人類の守護を掲げるのは
彼らは人類の守り手として他種族狩りなどの活動を長年に渡り行っている、それは人こそが神に選ばれた民であるという宗教概念を持ち、人以外の他種族は殲滅すべしだってさ」
「本当に極端ですね」
「さて、法国の事は後でモモンガくんと話す事にして、今はシャルティアへの褒美だね」
一先ずの共有を終え、功労者であるシャルティアへの褒美を考える事にした。
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まさかまさかのデミウルゴスへの謹慎処分。ゲヘナはどうなるんですかね。
アルベドの失態が
ヴィクティムのえのぐ語は各自変換してください、私にえのぐ語を書くのは出来ません。
今回の内容は書籍・web版が混同しています。注意してください。