星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 デミウルゴス牧場の別の使い道を考える、もったいないからね。


五十話

「でも人間とはね。ナザリックらしいと言うか君らしいと言うか……どうする? モモンガくん」

「そうですね、パンドラは今後私の影武者をさせるつもりです。

 デミウルゴス、お前の勝手に付き合わせる気はない。オルトさんのエリア(小世界)でスクロールの材料のドラゴンハイド、そして低位のスクロール材料も手に入る以上、外で低位のスクロールを確保する必要は無い。

 故に………イヤ、スクロール以外に利用価値はある……か」

「………そうだね、モモンガくん。折角集めたんだしさ、()のあの幻術を使って施設に居る人間達を完全に洗脳しようか。

 その後でローブル聖王国? って所に送って、百貌達とは別口で情報を集めさせよう」

「あの幻術………世界を騙す幻術(ディシーズ・ザ・ワールド)ですか?」

 

 

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 幻術系魔法詠唱者(マジック・キャスター)の究極奥義。

世界を騙す幻術(ディシーズ・ザ・ワールド)

 極限まで幻術を修めた者が数日に一度行える幻術で、世界に幻術をかける。

 世界が騙されればそれは真実となり、ありとあらゆる系統の魔法に置き換える事が出来る。

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「うん。デミウルゴスが捕まえた人間達……女は別で使いたいから除外しよう。男達にかけようか」

「畏まりました」

「ならデミウルゴスはその者達の管理・監視にしましょう」

「そうだね、君を窓口にして情報を集めるとしよう。ローブル聖王国は君に任せよう」

 ローブル聖王国か……情報次第では使えるかもしれないね。

 

「ああそれとデミウルゴス、君に頼みたい事がある。後で()部屋(エリア)に来なさい」

「何かさせるんですか?」

()達が世界の正義になるための茶番劇さ、詳しくは後で教えるよ」

「分かりました」

「後程オルト様のお部屋にお邪魔させていただきます」

 

 デミウルゴスが主導で牧場なるモノを作ったが、モモンガもオルトもスクロール以外で利用価値有りと判断し、()のオルトが使える幻術系職業(クラス)の最高位スキル。

 世界を騙す幻術(ディシーズ・ザ・ワールド)を牧場に居る男達に使い、元の場所へ戻し情報の吸い上げを行う。

 そして情報共有の窓口をデミウルゴスに任せる事にした。それは、アルベドと違いデミウルゴスには名誉挽回のチャンスが与えられたと言う事だった。

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「女達はどうするんですか?」

()のスキル、『灰色の毒』を使う。

 ユグドラシル時代はそこまで使い勝手のいいスキルじゃなかったけど、こっちに来てフレーバーテキストが意味を持つようになってかなり化けたスキルだね」

 

 

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 アトラク=ナクアの種族スキル『灰色の毒』。

 能力は『女性NPC・女性プレイヤーおよび性別のあるモンスターでメスに限り、毒による1日の間『奉仕種族(支配は出来ない):灰色の織り手・アトラク=ナクアの娘』にする攻撃スキル(項目上は攻撃系スキル)ではあるが、実際は嫌がらせスキルと言うなんとも使い勝手の悪いスキルの1つだった。

 しかしフレーバーテキストが意味を持つようになったこの世界では、フレーバーテキスト通りの能力となる事が分かっている。

 そしてこのスキルのフレーバーテキストは『性別『女』が毒を受け、毒から回復できた場合は体に痣が残り、時間をかけて巨大な蜘蛛に変貌し奉仕種族(完全支配)、『灰色の織り手・アトラク=ナクアの娘』にする。更に毒と親和性が高い者は『偉大なる織り手・チィトカア』へと進化する』と言うモノだった。

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「ん"ん"ん"、デミウルゴスの問題はこれで一先ず解決としよう。

 次は本格的な蜥蜴人(リザードマン)侵攻に関して話そう」

 

 

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 ノックの音が3回鳴り「オルト様。デミウルゴスにございます」とドアの外から聞こえてきた。

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「ああ来たかい、入っておいで」

 

 デミウルゴスを部屋(エリア)に招き入れる。

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「失礼いたします」

「ああいらっしゃい、そこの椅子に座るといい」

「い、いえ、その様な畏れ多い……」

「いいから、座りなさい」

「で、では、失礼いたします」

 

 恐縮しながらも、オルトに言われた通り質素な椅子に座り、顔を上げその姿を見ると動きが止まる。

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「オルト様、その御姿は………」

「ああこれかい。ウルベルトくんと一緒に考えて作ったロマンを詰め込んだ悪魔の『体』だよ」

「ウルベルト様と!!」

「ロマンビルドだからウルベルトくんとは違ってそこまで強くは無いけどね」

「お、おお! 何と! オルト様も悪魔の御姿を!!」

 

 オルトが自身の創造主と同じ悪魔の姿を持っている事に、驚きと喜びが要り混ざった感情が抑えきれなかった。

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「それで、だ。デミウルゴス、君に頼みたい事がある」

「わ、私にですか!?」

「君にしか出来ない事でね」

「何なりとお任せを」

「さっき、玉座の間で()はナザリックが世界に出るには順序が有ると言ったね」

「はい。そして私はオルト様の計画を崩しかねない事をしてしまいました」

 

 自身が仕出かした事を思い返し、椅子から降りて頭を下げようとするが、オルトが止める。

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「あぁ、それはいいよ使い道が出来たからね」

 

 デミウルゴスが何かを言う前に制止する。

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「…………畏まりました。それで、私にさせたい事とは」

「ああそれはねーー」

 

 

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「と、言った事をしたくてね」

「流石オルト様!! とても素晴らしい案かと。(やはり素晴らしい御方だ!! ナザリック地下大墳墓の三大軍師の1人であらせられるオルト様。

 私の創造主であらせられるウルベルト様が言っておられた事はこの事なのですね。

 確か………『現実(リアル)でもユグドラシルでもアイツ(オルト)の盤外戦術は恐ろしい』でしたか。盤面を整え、自分達にとって理想な状況を作る。ああ……ああ!! なんと素晴らしい御方なのだろうか! 私の失態さえもこの様に利用するとは)このデミウルゴス、感服の極みにございます」

 どうした急に。何を言い出すんだこの子は、まあいいか。

 

「だろう? ()達は世界の正義(・・・・・)となる。その時に使う必要な物は()が用意しよう」

「畏まりました。不肖デミウルゴス。必ずやオルト様のご期待に添えるよう粉骨砕身に務めさせていただきます!」

「あぁ、期待しているよデミウルゴス。

 モモンガくんには後で()の方から伝えておくよ」

「ハッ!」

 

 

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「モモンガくん、コキュートスの嘆願をどう考えてるか、聞いてもいいかな」

蜥蜴人(リザードマン)を殲滅させず生き残らせる……ですよね」

「うん。君の意見を聞かせて」

 

 少しの沈黙の後、口を開く。

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「戦力として見るのであれば要りません」

「うん、ナザリックの戦力は充分足りている、これ以上無い程にね。

 まあ()が言えた義理じゃないんだけどね」

「ははは、そうですね。オルトさん沢山連れてきてますもんね」

「それは本当に申し訳ない」

「ああいえ、責める訳じゃありません。オルトさんが『要る』と、思ったならそれがベストですから」

 

 目を丸くさせ「随分と信用してるね」と言うと「オルトさんは無駄な事はしませんから」と返される。

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「それで、次に考えたのは殲滅する事で起きるメリットとデメリットです。

 先ずはデメリットから。

 もし仮に、殲滅するのであれば徹底的にする必要があります。俺達ナザリック……AOGが蜥蜴人(リザードマン)を殲滅した事が知られれば世界の敵、と言う程ではありませんけど少なくとも、『ナザリック地下大墳墓を率いるアインズ・ウール・ゴウンと、惑星統括細胞(スターセル)と言う存在達(片方は天使だがアンデッド)は多種族に容赦しない、塵一つ残さず殲滅するまで止まらない恐ろしい存在達である。何としてでも滅ぼすべきだ』となり、一時的な3ヶ国同盟を組まれでもしたら目も当てられません」

「それだけは避けたいね、世界の敵になってしまえばそれこそ大戦争だ。まぁ、負ける事は無いだろうけどね」

「そうですね、俺達ナザリックが負ける事は万が一……いえ、億が一もありません。それでも避けるべき事なのは事実です」

 

 世界の敵になってしまえばモモンガが言うような事が起き、王国・帝国・法国が一時的に同盟を組み、ナザリックとの戦争は火を見るよりも明らかだった。

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「はい。なので次はメリットを考えました。

 現地の種族と友好的に接する事でこの世界の共通認識である、アンデッドは生きる者を憎むモンスターと言う認識を変えられるかもしれません。

 それが成功すればナザリックが世界に出た時に『天使は当然、もう一人のアンデッドは生きる者を憎まず、話し合う事が出来る知性がある存在』と思わせる事が出来れば世界の敵にはならずに済みますね」

「うん、()達は世界の敵になってはいけない。善であれ……とまではいかなくとも『彼らは悪では無い』と思ってもらわないと世界に出た時にマイナスからスタートしてしまう。

 せめてプラマイゼロ、理想はプラス……現地人に好印象を持たれた上での進出だね」

 

 プラマイゼロでの世界進出はナザリックが抱える喫緊の課題であった。

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「はい。なのでコキュートスの考えを採用します。オルトさん、構いませんか?」

「勿論だとも。それに、()もその方が良いと思っていたからね。

 ああそれと、デミウルゴスの牧場の使い道を考えたんだ」

「もうですか?」

「うん実はねーー」

 

 

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「成る程……それなら俺達は世界を救った正義(・・・・・・・・)になれますね」

「でしょ? 演技(・・)、頑張ってね」

「……頑張ります」

 

 牧場の使い道の共有、そして蜥蜴人(リザードマン)の対処法が一致し、蜥蜴人(リザードマン)の殲滅から征服へと変えた。

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「よく聞け。蜥蜴人(リザードマン)侵攻は殲滅ではなく、征服とする! 

 これは私とオルトさんの合意による判断である! 

 コキュートス、お前は前線に出て可能な限り殺さず捕縛せよ」

「仰セノママニ!」

 

 一拍置き、新たな罰を告げる。

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「だが、お前には罰がまだ残っている。そして蜥蜴人(リザードマン)は殲滅ではなく征服へと変えた。故に、侵攻後蜥蜴人(リザードマン)をお前が統治せよ」

 

 少しの逡巡した後「カシコマリマシタ、不安モ多イタメ、オ力添エの程ヨロシクオ願イシマス」と本音を言い、目だけを少し上げ至高の御方々を見ると、自分の言葉を聞いた2人は、どこか嬉しそうに見えた。

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「勿論だ。資材や食料、そして人材。

 多く必要となるだろう、それに関してはナザリックから出すとしよう」

「アリガトウゴザイマス。コノコキュートス、アインズ様、オルト様カラ頂イタ御慈悲ニ見合ウダケノ働キヲオ約束シマス!」

 

 コキュートスの叫びは本心からの叫びだった。

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「よし。では全守護者に出撃を命じる。一つは囮として、そしてもう一つ蜥蜴人(リザードマン)に我々の力があんなモノでは無いと言う事を見せ付けるためだ。勿論コキュートスが後に統治に差し障りあると言うのであれば、撤回するが……どうだコキュートス」

「問題ハ無イカト思ワレマス」

「そうか。ではお前達よ、出立の準備を整えよ。

 アルベド、デミウルゴス。此度の出撃を以て汚名を灌いで見せよ」

「「ハッ! 必ずや」」

 

 オルトとどのような対処をするか、どんなシモベを連れていくかを話し合い、ナザリックからは見栄えの良い『ナザリック・オールドガーダー』および『ナザリック・エルダーガーダー』を、水晶樹渓谷からはPOPする『レンの蜘蛛』を連れていく事にした。

 そして、『とあるゴーレム』も使う事も決めた。

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「次に警戒網はニグレド、それと………オルトさん、マーリン借りても良いですか?」

「ああ構わないよ、()から伝えておくよ」

「お願いします。これでこちらの警戒網の懸念は無い、セバス達はーー」

「彼らには百貌を付けているから問題は無いかな」

「助かります。よし! では各員行動を開始せよ。明日には蜥蜴人(リザードマン)にナザリック地下大墳墓の力をみせつけるのだ」

 

 ━━━

 

「演技……演技かぁ、俺に出来るかな。でもやるしかないよな。

 それにしてもオルトさん、あれだけの会話でデミウルゴスが捕まえたのがただのモンスターじゃないってよく分かったな、後で聞いておこう。これからの参考になりそうだし」

 

 誰もいない自室に戻りベッドの上で一人呟く。

 ━

 

 ━━━

 

 自身のエリア(小世界)に戻り、仕事をしているのか、していないのか分からないNPCーーマーリンを見つけ、声をかける。

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「やぁマーリン。相変わらず暇そうだね」

「おっと(マスター)。酷い言い様じゃないか、私だってちゃんと仕事してるとも」

「はっはっは、そうかそうか、それは何よりだ」

「……どこか含みがないかい(マスター)

「気のせいじゃないかな。

 まぁそれは置いといて、だ。君に仕事を持ってきた」

 

 一瞬目尻をピクリとさせ嫌そうな顔を隠さず「……私は忙しいんだけど」と言うが「君かメディアのどっちかだからね、それなら暇そうな君にやってもらおうかなって思ってね」と返す。しかしマーリンも負けてはおらず「彼女も人気(フィギュア)作りに没頭してないかい?」と言い返す。

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「彼女はほら、仕事はちゃんとやるからその後の趣味は邪魔しないよ。勿論君が仕事をしているのは分かっているけど、たまにほっぽりだして趣味に走る(人間観察)じゃないか」

「それは……まあそうだね! 人間達は面白いからね」

「だからある意味君に合った仕事を持ってきた、今回の仕事は大事なモノでね、ちゃんとやって欲しいのさ」

「私に合った仕事?」

 

 顎に手をやり考える仕草をし、少し考え「人間観察?」と聞くと「正確には蜥蜴人(リザードマン)だね」と言った。

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「ほうほう蜥蜴人(リザードマン)か、その話は耳にしているよ。なんでもトブの大森林に生息する亜人種達だろう? それが何か関係あるのかい」

「明日、蜥蜴人(リザードマン)達に襲撃する予定でね。その時に()らに警戒網を敷いて欲しい」

「ああそれで私に」

「得意でしょ?」

「まあそうだね、私の得意分野ではあるかな」

「趣味と実益を兼ねた仕事じゃないかい?」

 

 オルト製作NPC『マーリン』。

 ナザリックのニグレドと似てはいるが、情報系特化型の魔法詠唱者(マジック・キャスター)ではなく、情報収集や対情報防御も出来る魔法詠唱者(マジック・キャスター)で、さらに幻術による広域隠蔽を得意とするNPCである。因みに近接戦もそれなりに出来る。

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「それで? 私には何をして欲しいのかな」

「そこまで難しい事じゃない、襲撃時の戦場の隠蔽。後ついでに情報統制と対情報防御かな、こっちはナザリックのニグレドがやるけど一応念のためにね」

「フムフム。中々面白そうじゃないか!」

「てなわけで、明日よろしくね」

「任せたまえよ(マスター)

 うんまぁ、ちゃんとやるよね。

 

 

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「凄いね、アレだけ狼狽えてたのにあの蜥蜴人(リザードマン)の一喝で冷静さを取り戻した」

「はい。彼らは確かに弱いです。ですが、侮れる相手ではありませんね」

「コキュートス。頑張りなさい」

「ハッ!」

 

 ナザリックの意を見せ付けるために、コキュートスは奮起し戦場に赴く。

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「アルベド、デミウルゴス。汚名を灌いぐいい機会だが、やり過ぎ無いようにするんだ。

 何せこの後コキュートスが統治するんだからね」

「畏まりました」

「仰せのままに」

 統治するのにやり過ぎられたら困るし、とは言えこの2人が加減出来るのかね。

 

 

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 蜥蜴人(リザードマン)達は仰ぎ見た。ソコに見えるは漆黒のローブを纏い、禍々しく、邪悪なオーラを放つ死者の大魔法使い(エルダーリッチ)を彷彿させる影と、その対となるように真逆の純白な翼を広げ、神々しく、聖なるオーラを放つ天使がいた。

 ━




 世界を騙す幻術。超位魔法にするかスキルにするか悩みどころ。数日に一度って書いてあるしスキルか?いや超位魔法?難しいところですが取り敢えずはスキルにします。
 当然ですが世界を騙す幻術のルビは捏造です。

 デミウルゴス牧場を使った計画。そしてモモンガくんが頑張る演技、はたしてオルトくんは何をさせたいんでしょうね。
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