星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 これからの展開どーすっかなー。


五十四話

「ほ、本当にそれだけなのか?」

 

 ザリュースの言葉遣いにデミウルゴスが反応したが、オルトが目で制した。

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「そうだ。お前達に多くは望まない。我々がしたい事はお前達現地人達との接触、およびシモベの強化……正確には武技を習得出来るのかの実験だ」

「現地……人?」

 

 モモンガの聞き慣れない言葉に反応するが、オルトが「その辺りは気にしなくていいよ、君達には関係無い事だからね」と暗に『これ以上何も聞くな』と釘を刺す。

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「君達には定期的に()達の拠点に来て、()達のシモベと訓練してもらう。

 ()達のシモベの武技習得のための戦闘、そしてこの実験は結果的に君達の強化にも繋がる。一石二鳥だ」

 

 2人が発した言葉の意味を理解しようと咀嚼するが、反って混乱してしまい深い疑問が頭を埋め尽くす。

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「(本当に間引かないのか? それどころか俺達の強化? シモベとやらとの戦闘? 何を考えている……分からない。この天使の言っている意味が分からない。

 それにあのアンデッドは俺達の事を現地人と言った、どう言う意味だ? この2人……そして後ろに居る化け物達、いったい何者なんだ…………本当に、本当に天から舞い降りた神なのか? 死の神と生命の神……そうじゃないと説明がつかない。

 天使は昨日死んだ戦士達も、そして今死んだ俺達も容易く蘇らせた。旅の道中聞いた事がある、蘇生魔法を受けた者は一時的に思考が鈍り弱くなると、そして耐えられない者は灰となり消えると。だがこの天使の蘇生魔法(スキル)はそのどちらも無い……やはりこの天使とアンデッドは…………)」

 

 考えを巡らせれば巡らせる程、目の前に居る天使とアンデッドは本物の神なのだ。と、言う結論しか出なかった。

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「さて。先ずは君達蜥蜴人(リザードマン)を……この村を統治する者を教えよう。

 コキュートス、来なさい」

「ハッ! 御傍ニ」

 

 出てきたのは先程戦った相手、カマキリとアリを融合させたような姿。そして直立歩行しライトブルーの外骨格を持ち、2.5mもの巨躯で4本腕の蟲だった。彼を見れば口らしき場所から白い息を吐いている。

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「コレカラオ前達ヲ管理シ、村ヲ統治スル大役ヲ得タ、ナザリック階層守護者・コキュートストダ。

 コレカラ先オ前達ハ我ノ、ソシテ偉大ナル至高ノ御方々ノ命ニ従ウノダ」

「…………わ、分かった。初めからそう言う約束だ、従おう」

「ウム、ソレデイイ」

「コキュートス、後は頼んだよ」

 

 跪き、二本の右腕を器用に左胸に当て「オ任セクダサイ。コノ勤メ成シ遂ゲテミセマス」と誓いを立てる。

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「さて、と。()は用事があるから先に帰るとするよ」

「何かありましたっけ?」

 

 ニコリと笑いながら「ちょっとした事さ。何、後で君にも話すとも」とモモンガにも関係がある事を匂わせる。

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 俺にも話す? 俺に関係する事って何かあったけ? ……まさかまた誰かが何かをしたのか? 誰がやらかした? 分からん。

 まあオルトさんが俺に話すのは今じゃないって言っているし、そこまで大事(おおごと)じゃないんだろうな。

 それどころかオルトさんがすぐに話してくる方が怖いレベルで何か起きてるって事になるし、今じゃなくって良かった

 

「分かりました、待ってますね」

「悪いねアインズ。ここの事と後処理は頼んだよ」

 

 そう言うと天使の翼を折り畳み、転移魔法を使い消える。

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「セバス様、オルト様(・・・・)が応接室でお待ちです」

 

 その一言にセバス・チャンは数瞬動揺し、小さく「何故……」と呟くが、自身の創造主であるたっち・みーがオルトに隠し事は出来ないと言っていた事を思い出す。

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「(以前、たっち・みー様があまのまひとつ様とお話されている時でしたか、その時に仰られていた事はこう言う意味なのですね。

 確か『オルト様はなにがしかの方法でありとあらゆる物事の情報を誰よりも先に知っている。それ故に、常に誰よりも一歩先に行動している御方であると。

 仲間であればこれ以上無い程に頼もしいが、敵に回せば誰よりも恐ろしい御方だと』。

 であれば当然、ツアレの事を知っておられる)」

 

 沈痛な面持ちで「分かりました」と答え、ソリュシャンの後に続き部屋に向かう。

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「やあセバス、仕事は順調かい?」

「……はい。滞りなく」

「そうかそうかそれは良かった。で? どうして今言い淀んだ、聞かせてくれるかな」

「(やはりオルト様は全てお気づきになられていた。今までは見逃してくださっていただけ……隠す意味は無い。それに、今のオルト様の御姿なら……)……いつもと同じように任務……魔術師組合にてスクロールを購入し、帰ろうとした時にございます。

 組合を出て暫く歩いていたら老婆を見つけましたので家まで送り届ける事にしました。その結果として帰宅時間を超えてしまいましたので、影の悪魔(シャドウ・デーモン)を使いソリュシャンに遅れる事を伝えさせました」

 

 ソリュシャンに目をやり事実か確認すると、頷きと共に「確かに連絡がございました」と返ってくる。

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「その後、私は情報収集の一環として王都内の地理を把握するため様々な道を通る事にしておりました」

「実に君らしい行動だ。任務に忠実であり、更にナザリックにとって有益になると判断すれば行動に移す。引き続き行うといい」

「畏まりました。

 その日も同じように知らない道を通って帰っており、その道中に路地裏を見つけソコを通る事にしました。

 その道を通っていた時にございます。道の先にある、恐らく建物の裏ドアと思われる場所から何か(・・)が投げ棄てられるモノを目撃致しました。が、特段興味がありませんでしたので通り過ぎようした時、何かに足を掴まれました。ソレ(・・)は死にかけの人間でした」

「建物から投げ棄てられた人間……ねぇ」

 

 何故この状況に至ったのかを一息に話すと、セバスの狙い通り捨てられた人間に興味をもった。

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「はい。ですがその時、建物の中から男達が現れ少々揉めましたが、お話(・・)で解決する事が出来ましたので……」

「それで拾ったと?」

「はい」

 話の流れを聞く限りセバスは人助けをしただけ、こちら側に問題は無い。無いが相手が面倒な…………百貌からの情報によれば道満が見つけ、飼い殺しにしている連中と繋がっている。反社の連中だ、金の匂いがすれば間違いなくこの事に絡んでくる。

 ……道満にやらせてもいいが、何故道満が出張ってくるのか奴らも疑問に思うのが自然……その結果、道満とセバス達が仲間である事が知られればより大きな面倒事に発展しかねない……仕方ない、別々で問題を解決するしかないか。

 

「それで拾う前に人間へと問いかけました」

「何を」

「『助けて欲しいですか』、と」

「一応はその人間の了承は得ている……と」

「はい」

 セバスのカルマ値はナザリック唯一の極善、そして造ったのはたっちくんだ。

 これまでのNPC達の行動はフレーバーテキスト通りでもあったが、製作者達の性格(在り方)も反映されている節がある、それはデミウルゴスがやって見せた。あの子は製作者のウルベルト君の信念である『確固たる悪』、そして『悪たる者は斯くあるべき』をゲーム時代に追究し演じていた。だからデミウルゴスもあんな事をしたんだろう。

 ウルベルト君の……彼のリアル事情を考えればそうなっても仕方ない環境だった。だから彼も僕の(・・)アーコロジーに呼んだ(助けた)けど、その時の彼は(やつ)れながらもその目には所謂『勝ち組』への憎しみで満ちていた。そして僕が彼が憎む『勝ち組』である事を知った時は僕にもその目を向けてきたな、時間はかかったがなんとか打ち解けてくれたけど……大変だったなあの時は。

 ……ふぅ、今は昔の事は関係無い、今はセバスの事を考えろ。

 さて、たっち君の性格(在り方)……彼は『弱きを助けずに強者を名乗れるはずがない』と常々言っていた。

 その在り方が反映されていればセバスは『弱者救済』を良し。と、している可能性が高い。その事を加味して考えればセバスの行動はやって当た(・・)り前(・・)の行動とも言える。そこに問題は無い。問題なのはーー

 

「セバス。()達は君の……ナザリック地下大墳墓に居る者達全ての性格を熟知しているつもりだ。だから君が人間を助ける事を不思議に思わないし、その行為事態はそこまで問題ではない。

 問題なのは何故()達に黙っていたのかだ」

 

 そう、セバスが誰かを助ける事はモモンガも、オルトも不思議に思わない。そしてセバスの性格ならばすぐに連絡してくる筈なのに、しなかった理由がオルトは分からなかった。

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「報告を躊躇った理由はなんだ」

 

 オルトの言葉に目を伏せ、逡巡し口を開く。

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「任務に無い行為……人間を拾う事は仰せつかった王都の情報を集めると言う任務からかけ離れた行為であり、また、人間を拾うことで最悪の場合ナザリックに不利益を齎す可能性がございます」

()が言えた義理じゃないが、その通りだ。

 拾う(引き入れる)のであれば完全にこちら側に入れる必要がある。だから()()エリア(小世界)に連れていった、外から隔離しナザリックの事が露呈しないようにするためにだ。

 まぁ、強くした後に色々させるつもりではあるが……少なくとも今は()エリア(小世界)から出すつもりは無い。

 で、だ。セバス。不利益を齎す可能性が有ると分かっていたのであれば尚更報告すべきだった。だがお前はそうしなかった、何故しなかった」

 

 少しの沈黙の後、セバス・チャンは理由を語る。

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「我々ナザリック地下大墳墓は異形種である至高の御方々の手によって造り上げられた偉大なる組織にございます。

 そして至高の御方々が御造りになられた階層守護者の皆様、我々プレアデスは1人を除き、異形種です。

 そして我々は人間にたいして善くない感情を持つ者が多数おります。それは私も例外ではありません。

 その理由など今更語るまでもありません」

「ナザリック侵攻か、あの時は数多くの守護者達が斃されたからな。人間を憎んでいても可笑しくは無い」

 

 ナザリック侵攻はユグドラシル時代にDQNギルドとして有名だったギルド、『アインズ・ウール・ゴウン』に八ギルド連合および関係ギルドや傭兵プレイヤー、傭兵NPCなど合わせて総勢2500人と言う軍勢を率いてナザリック地下大墳墓(DQNギルドとは言え、一ギルド)へと攻め込むというサーバー始まって以来の大討伐隊(ある種のGvG)

 その大軍勢がナザリック制圧を目指したが討伐隊2500人の内1000人がオルトの階層、7.5階層で倒れ、そして残りは第8階層にて全滅した。

 しかし、討伐隊が8階層まで到達したと言う事は即ち、1階層から7階層までの階層守護者達が倒された事を意味している。

 そしてNPC達はユグドラシル時代の記憶を(ゆう)しているため、ナザリックに攻め入ると言う無礼な行い、そして自分達を斃した人間種への強い憎悪と、カルマ値からくる人間種への蔑視(べっし)をしている。

 ━

「ですが、私は他の者達より少し……人間に悪感情はありません」

「だろうな、お前はそう言う奴だ」

 

 しかしセバスはたっち・みーの影響を受け、『極一部の例外を除いて人間・亜人種は踏み潰すべき弱者』と考えており、今回の『死にかけの人間(少女)』は助けるに足る存在だと思った。思ってしまったが故に彼はモモンガ達の指示に背き、任務に無い行為(人間を助ける)をしてしまった。

 ━

「……オルト様。1つ、お聞きしたい事がございます」

「ん? 何だ」

「何故……私が誰かを、人間を助ける事を不思議に思われないのですか」

「ああそんな事か。理由など単純だよ、君がたっち君の子だからだ」

「私が……たっち・みー様の……子、だから……」

「ソレ以外の理由など無いさ、()が造った子らが自由奔放なのはフレーバーテキスト通りと言う事もあるが、()の在り方が反映されている、何せ()は面白いモノが好きだからね。

 小次郎を見なよ、あの時以来連絡すら寄越さない困った子さ。

 だからたっち君の子である君が誰かを助ける事にたいして『何をしているんだ』と、()もモモンガ君も思わない。思ったとしても、『あの子ならそうするだろう』としか思えわないよセバス」

「オルト……様」

「だから君はすぐに()達に……どちらか片方でも良い、報告するべきだった。そうすればこれから起こり得るだろう厄介事を協力して対処が出来る」

 

 その言葉にピクリと眉根を上げる。

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「厄介……事にございますか?」

「君が拾った人間は道満が飼い殺しにしている連中……犯罪組織と繋がりがある。金の匂いがすれば確実に出張ってくるだろう。

 そしてソイツらは面倒な事に貴族とも繋がっている、恐らく法律を盾に金をせびりに来る筈だ」

 んー……使えそうな連中だから潰したくは無いが……邪魔になるようなら消すか? だがどうやって消す……。

 イヤ、この状況を上手く利用すればナザリックのプラスになるか? ……どうすれば、どうやればプラスになる。

 考えろ。徹底的に、合理的に、余す事なくナザリックにとって益になるように。

 

「まさか……その様な事に……浅はかな行動をし、申し訳ございませんオルト様」

「ん? あぁ、そう気に病む必要は無い。上手く利用出来ればナザリックのプラスになる」

 

 ユグドラシル時代にぷにっと萌え、ベルリバーの軍師コンビだけではなく、たっち・みー、ウルベルト・アレイン・オードルの計4人がオルトに対して同じ評価をしている。

 それは、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』において最も恐ろしいのはゲーム外での情報戦を得意とし、盤外戦術にてプレイヤーを操るオルトであると。

 そしてたっち・みーは何故かオルトの事を、リアルでも警戒していた。

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 まさしく難産。苦しい1話だった。まだ何か書ける筈なのに、納得出来ない仕上がりだ。
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