星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
「戻ったら意識の紐付けしてジルに会わせるか」
「会わせるのは早ければ早い程その後の手間が減る、可能な限り早めに済ませるといい」
「簡単に言ってくれるね、アレ疲れるんだよ?」
「どの程度疲れるのかね」
「んー、んー……囲碁打ちながら将棋を指す感じ?」
「…………なんとも分かりづらい表現だな」
「うんまあそうかもしんないけど、兎に角疲れるんだよ」
「だが、『やらない』と言う選択肢は君には無い。頑張りたまえ、
「へーい」
エミヤと軽口を叩き合いながら、外での地位、及び活動拠点の獲得の成功はした。したのだが、活動拠点となる領地を運営する為には
しかし、オルトが領地に居座り続けると外での活動に支障をきたす。であればどうするか………普通のプレイヤーであれば不可能な荒業、
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ユリは後で言えばいいか。さて、と。取り敢えずジルに会いに行くか。
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「やあジル、来たよ」
「トールか、待っていたぞ。早速だが明日の事を話そうか」
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「と、言った具合いだな」
「はぁ……
「まあそう言うな、主役が居ない祭典なぞあり得ん」
「分かってるさ、だから参加するって言ってるじゃん」
「来ないんじゃないかと思ってたからな、ヒヤヒヤしていたよ」
「明日かー…………ああそうだジル」
「ん? まだ何か有ったか?」
「領地くれるんでしょ?」
「ああ当然だ、君は侯爵になる。ならばそれ相応のモノを手にするのは当たり前だ」
「正直要らないけどちゃんと貰うよ。で、受け取ったら領地運営しなきゃでしょ?」
「ああ、じゃないと私が困る」
「でも
「ならどうするつもりでいるんだ?」
「
実際は
「名代? 居るのかそんな人物が、君は冒険者だろう?」
「
「誰だ? 私としては素性が知れない者を帝国に入れるつもりは無いぞ」
「大丈夫、
「みたい? 血の繋がりは」
「直接的には無いね」
「では誰だ」
「
「だった? 今は違うのか?」
「
でもね、それだと国は成長しない。だから一定期間過ぎたら王位から退くんだよ」
「……何年で変わるんだ」
「大体二千年くらいかな」
「…………充分長いと思うが、人間と
長命種の
最も、この事は
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「じゃあ名代は明日のパレードに連れてくるから」
「私としては今日の内に会っておきたいんだが、可能か?」
「あー、そうだねぇ……
「夕食、か…………分かった。
「? お互い?」
「私にも君に会わせたい人が居てね」
「ふーん。んじゃあ夜にまた」
「あぁ、また会おう」
会わせたい、か。後継者か? それとも王妃か………どちらにせよ、だ。
彼は……ジルクニフは
うんうん順調順調…………順調過ぎて返って不安だな、足をすくわれないよう警戒しておくか、後は出来れば地固めもだね。ジェームズに敵になりうる貴族を調べさせるか、その後は………適当に懐柔するのもいいかな。出来なければ何故か不慮の事故が起きちゃうかもしれないけど、ああなんという不幸な事だ。
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「初めまして、
「………こ、これはこれはお初お目にかかる。私はジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス。トール同様ジルと呼んでくれて構わない。
そしてーー」
「私はロクシーと申します」
ロクシー。見た目は顔立ちはそれほどでもなく、気品にあふれているわけではないが、彼女はジルクニフの
ロクシー自身も『皇帝になれなかった子に対しても母親としての愛情を与え育てる。
その理由は自身の子は容姿が劣る可能性があるから美女との間に美しい子供を作れ。自分が立派に育ててやる』と本気で思っている。
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「…………君、妻……王妃じゃないね。誰?」
「(! 一瞥しただけで見抜いたのか!?)……彼女は私の
「ふーん、妾か。………君、凄いね。自分の役割りを良く理解している賢い
えーと……ロクシー? だっけ? うん良いね、気に入った。そう思わないかいディラシグ」
「ええ、そうね。短命の人間にしては賢いわ。私も気に入った。
「……よろしく、お願いします。(恐ろしい。まるで心の中を見透かされているかのように感じてしまう程)」
「さてジル。どうかな、君のお眼鏡にかなったかな?」
「ああ恐ろしい程にな」
「そうか、期待を超えられて良かったよ」
「(本当に恐ろしい程にな。トールも化物だが、この女の
「…………ねぇ、ジルクニフ」
「……察しはつくが聞こう」
「この方の子を産むのはどうかしら、絶対に聡い子が産まれると思うわ」
「だ、そうだ。どう思うトール」
「別に良いんじゃない? ディラシグ、君はどうかな」
「んー、そうねぇ……面白そうね」
「ははは、冗談はよしてくれ」
「だってさ」
「あら残念」
「(ロクシーが言う通り聡い子供が産まれるだろう。だが、それ以上に恐ろしい子供が産まれるだろうな)さて、挨拶はこれで終いとして、パレードの話をしよう。打ち合わせはじゅうようだからな」
「面倒だなー」
「諦めなさいな、貴方の代わりに
貴方は手を振るだけで終わりでしょう?」
「へーい。仕方ないか、ちょっと頑張りますかね」
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「あ"ー、疲れたー」
「貴方何もしていないじゃない」
「ちゃんと手を振ったじゃん。やる事やったでしょ。それでさジル」
「ん? どうした」
「領地って何処に有るのさ、此処から遠いと困るんだけど」
「ああその事か、そこは安心していい。
帝都からすぐ近くの場所に有る、領土も広いぞ」
「別に多く要らないんだけど」
「そうはいかない。君は侯爵だ、それ相応の領土を持ってもらう」
侯爵の爵位は王族を除き上から二番目で、上から順に『公・侯・伯・子・男』の
ジルクニフにとってオルトの立ち位置は法国への牽制で、尚且つ
これは対外的に『帝国は
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「うぇえ」
「貴方何もしないんだからいいじゃない」
「まあ確かに。じゃあ頑張ってディラシグ」
「はいはい」
「それで? 場所は何処」
「今から行こう、すぐにつく」
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「此処だ」
「おーでっかいね」
「此処が都、ギットゼン。帝国の最終防衛都市だ」
「つまり、何か有ったら国を守れと?」
「強制はしない。君は居るだけでいい」
「へぇ、その理由は」
「君は法国への牽制だ、これ以上
「ふーん。でもまぁ、君が『してくれ』と言えば
「…………そうか。なら、遠慮せず頼ませてもらおう。(友人……か。嬉しい事を言ってくれる。ボクに対等な友人はいない、そんな事当然だ。
ボクは皇族の人間、友人など作ることも、作る時間も無かった。ボクは十代前半の時に即位した。
父が
そんなボクに友人が、しかも対等な友人が出来た。世の中何が起きるか分からんな、だが、悪くない)」
「それで? 領土って何処から何処までが領土なのさ」
「そうだな、端から端まで行けば五日掛かるくらいだな」
「広すぎない?」
「妥当な広さだ。何度も言うが君は侯爵だ、その
「ふーん。ディラシグ、頑張ってね、たまには
「期待しないで待っておくわ」
「まあでもリファを貸すからさ、許してるよ」
「ああメイド長の話ね、ありがたく借りるわ」
「(リファ? 確か……
そんな人物をメイド長に? なんとも贅沢な話だな)」
オルト率いるパーティーの一人リファ。
本名はユリ・アルファ。レベルは51レベル。
そのクレマンティーヌを遥かに超えるユリ・アルファはこの世界基準で見れば『化物』と評されるのも頷ける。
また、バジウッド・ペシュメルがオルトのパーティーの評価も言っていた。
先ずはリーダーの『オルト』にたいしては『化物なんて言葉すら生ぬるい程の化物。勝負云々どころの話じゃない。敵に回せば国が滅ぶ』と評し、フールーダ・パラダインは『神の領域ではなく神そのもの』とも言っている。
エミヤの評価は『トールに並ぶ化物。しかもコイツは桁外れの
牛若丸には『シェロ同様化物。同じ
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はてさてこれからどうしたものか。領地は
取り敢えずは王国のアダマンタイト級冒険者の、確か……蒼の薔薇? だっけか。
ソイツらに会って可能であれば友好関係を築きたい。なら目下の目標は王国に行く事か、上手くいけば楽なんだけどねぇ……どうなるかは神のみぞ知る、ってヤツかな。
「ねぇ、ジル」
「なんだ」
「王国に行ってくるよ」
「王国に? ……あぁ、王国のアダマンタイト級に会いに行くのか」
「うん、どんな子達なのかなーって思ってさ。
それにアダマンタイト級になったのもその子達に会いに行くのが目的な訳だし、魔法で飛んで行けばすぐに着くしね」
「構わんさ、領地の方は彼女がするのだろう?」
「基本的にはね。確かに
「それは良かった」
「あら、嬉しい事言ってくれるわね」
「そりゃあ、ねぇ。
一応は
「そうね、国家運営は初めてだものね」
「(一国一城の主か。滅んだとはいえ国を治めた国王だ、領地運営め容易く出来るだろう。
これからこの都市がどう発展するのか楽しみだな)」
「まあそう言う事で………今は頼むよディラシグ。
「あの子には
「よろしく。じゃあ先ずは帝都に戻ろうか。念のため
「転移魔法!! トール様は転移魔法を使えるのですか!?」
今まで沈黙していたフールーダ・パラダインが興奮してまた叫んでしまった。
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「だから叫ばないでよ五月蝿いな。そんな事どうでもいいからさっさと近づいて」
「ちゃんとたまには此処に来なさいよ」
「大丈夫だって三割くらい手伝うから」
「せめて四割にしなさい」
「そこまでやると冒険者家業に差し障るから駄目」
「はぁ、まあいいわ。手伝うだけマシなのかしらね」
「
「ねぇ皇帝様」
「ん? なんだ」
「アダマンタイト級の
「あまり詳しくはないが……そこまで多くは無い筈だ、当然と言えば当然だな。
アダマンタイト級の
「ドレイク程度で都市や国が滅ぶとか弱すぎない?」
ドレイクはドラゴンの下位種で、その下にワイバーンがおり、オルト達にとってドレイクもワイバーンも低レベル帯のモンスターにすぎず、
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「トール。
「あー、そうだったね。どうしても癖が抜けなくてね、だってドレイクとか雑魚だし」
「ドレイクが雑魚なのは否定しないわ。でも、ドラゴンもピンキリでしょ、ピンのドラゴンなら
「それはそう。でもピンのドラゴンって居るのかな」
「さぁ、
「そりゃそっか。てな訳で、ジル。
「そう、だな。伝承で聞く八欲王と
「伝承? ふーん伝承ねぇ……。
ああそうだ、この前さ、
「それはこのフールーダがお答えいたします。
先日のドラゴンの頭ですが、国が滅ぶレベルのモンスターにございます」
「へぇ、あれがねぇ」
「トールかまら見たらあのドラゴンはどのていどだ?」
「キリ側のドラゴン」
「あれがキリ側か。(相変わらず化物だな。もし仮に、あの頭のドラゴンが攻めてきたら帝国は滅ぶ。ギリ滅ばないのは、そうだな……若作り婆の国か? イヤ、無理そうだな。何せ今あの国はビーストマンに攻め立てられ今にも滅びそうだからな。
……まてよ、竜王国にトールの名代であるディラシグを……イヤ、この場合トールを俺の特使として行かせるか? それはそれで面白そうだな、考えておこう)」
自分で聞いておきながら話半分でしか聞いておらず、いきなり「ま、それは帰ってから話そうか。もういいやるよ? ディラシグ、後はよろしく。
じゃあねー」と言うや否や魔法……
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老成したオルトくんの直感がロクシーを見抜く。
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人たらしな人外オルトくんにジルクニフが落ちる。