星雲からの使者 作:完全にわかのバカ野郎
「はーい。とうちゃ~く」
「此処は………謁見の間、か。本当に一瞬だな」
「ま、まさか、これは長距離転移魔法!
十三英雄が使ったとされる人類未到達領域!!」
そう言えばそんなん居たな、レイシフトした
でもなぁ、意識同期が遠いと言うか途切れ途切れと言うか……緩い? んだよね、同期される記憶が遅いと言うか。まぁ、当然か700前に行ってんだし。
……過去の記憶ならもう有ってもよくね? なんで過去の記憶が無いんだ? 確定していないからか?
レイシフトは常に
本来存在しない存在が、確定した時間軸で活動した結果過去があやふやになった? う~んよく分からん。
ま、帰ってきたら同期されるでしょ。それまで放置放置。
「なぁ、トール」
「ん? 何」
「王国に行った後の事は考えているのか?」
「今のところは考えてないね」
「なら竜王国に行くのはどうだ?」
「竜王国? 何それ」
「定かではないがかつて
「ドラゴンが人間と子供を? ソイツやべぇな」
「それに関しては同感だ。だが、実際に国は有る」
「ふーん。で? 行かせたい理由は?」
「ははは、お見通しか。
今あの国はビーストマンと呼ばれる者達に攻め立てられ、自国の防衛を法国に委ねるほど余裕がない。毎年少なくない額を寄進する事で兵力を援助してもらっている崖っぷちの国だ。
尚且つ、いつ法国に見捨てられるか分からん状態でもある」
「その国に
「そう言う事になるな。(やはり見抜くか、まあトール相手に隠し通せるとは思っていなかったが、こうも早く見抜くのか。…………今までは細部まで言わねば理解出来ん奴らばかりだつた。良いもなだなこの関係性は)」
「んー……。ま、良いよ。別にやる事もないし。
あーでも、例の
「あの男か、手伝ってやりたいが、
「そうか。なら、今は捨て置こうか。情報を集める事くらい簡単だ。
優先順位はジル、君からの提案だ。でもその前に最初の目的を終わらせたい。てな訳で、先ずは王国のアダマンタイト級冒険者に会って、終わり次第竜王国? に行くって事で」
「すまんな。頼めるか?」
「良いとも!
「報酬は要求せんのか?」
「別に要らないかな、お金は有るしこれ以上領土も要らないし……うんやっぱ要らないかな。特段他に欲しいものもないから」
「成る程確かにトールらしい。だが、皇帝として褒美をやらんのは沽券に関わる。何かしら用意しておくぞ」
「そ、ご自由に」
振り返り「それじゃあまたね」と気安く手を振りながら謁見の間から出ていく。
━
「……爺、どう思う」
「トール様の事ですかな」
「しかないだろ」
「正直に申せば如何なる手段を用いようとも帝国に留めるべきかと」
「例えば」
「トール様であれば皇女殿下、ディラシグ様であれば皇子殿下を嫁がせる事ですな」
「それでどうにかなるのか?
あの二人は
この二人を連れていると言うのに浮いた話しはない」
「そうですな」
「ソレ以外の方法を考えておけ」
「畏まりました。陛下はどうなさるおつもりで?」
「一先ずロクシーに会いに行く。アイツは聡いからな」
「行ってらっしゃいませ」
ジルクニフが出ていくまで深々と頭を下げる。
━
━━
━━━━
━━━━━━
「たっだいまー」
「元気そうだな」
「上手くいったからね。それに
「そうか、それは良かったな。で? どうなった」
「うん。話そうか」
━━
━━━━
━━━━━━
「と、言う事になりました」
「ぼ……私は残るのですか?」
「うん。君には領地運営している
「畏まりました」
「
「君は引き続き
「はい!! 畏まりました!!」
オルトの周りをぴょいんぴょいんと嬉しそうに飛び回り、その姿を羨ましげに見つめるユリ・アルファという構図をエミヤは苦笑しながら見ていた。
━
「取り敢えずは、だ。王国に行くのだな?」
「そうなるね」
「ユリにはこの後ジルに会って
「畏まりました、オルト様」
「さて、これで一通りはすんだかな?」
「出発はいつだ」
「
「仰せのままに」
エミヤは腕を組、牛若丸は見えない尻尾をブン回しピッっとオルトの隣で直立していると蘆谷道満から
━
「ん?」
「【セバス殿の前にご連絡致します】」
「〖何かあった?〗」
「【例の人間。名前は……まあこの際どうでもよいですな。して、どうやらあの者達が行くようですが、如何なさいますか?】」
「〖あぁ、あの犯罪者集団か〗」
「【はい。恐らく
「〖
「【
「〖今のうちにそっちに行こうかな、セバス達にも伝えといて〗」
「【では、そのように】」
道満との
━
「何か、有ったのかね」
「道満から
「あぁ、前に言っていた犯罪者集団絡みか。で? 何をするつもりかね」
「そりゃあ、ねぇ。お愉しみって事で」
「加減は……まあ構わんか。だが、やり過ぎんようにな」
「分かってるって。じゃあ行ってくるね」
「あまり派手にやるなよ
「はーい」
笑顔で「じゃあねー」と手を振り
━
━━
━━━━
━━━━━━
エントランスに転移してきたオルトにセバスとソリュシャンが同じように最敬礼の姿勢で「お帰りなさいませ、オルト様」と出迎える。
━
「やあセバス、元気そうでよさそうで何よりだ。道満から話は聞いてるね?」
「はい」
「準備は?」
「万事抜かりなく」
「うん、良いね! 迎え撃つとしようか」
━━
━━━━
━━━━━━
何も起きてないのに「来たみたいだね。セバス」とセバスに声をかけると、声に出さず敬礼し玄関へと向い、来訪者がノックするより先にドアを開け「巡回使のスタッファン・ヘーウィッシュ様でございますか?」と、問いかける。すると相手は自分を知っている事に驚き、瞠目し狼狽えているのが見てとれる。
━
「う、ウム。そうだ。そしてーー」
スタッファンが言う前に「そちらの方は
「あ、ああそうだ」と返ってきて二人が小声で〔どう言う事だ! 話が違うぞ!! なんで俺の名前を知ってんだこのジジイが!〕」「〔私が知るわけなかろう! 私とて驚いているんだ!〕」と言い合うのを聞こえてないフリをし、二人を交互に見て「どうぞお入りください。
━
「此方です」
目の前には絢爛豪華なドアが有り、二人はたじろぎ「〔な、なんだよコレ! こんなの聞いてねぇぞ!〕」「〔だから私が知るわけなかろう!〕」と小声で話しているが、やはりセバスは聞こえているが先程と同じように気づいていないフリをしてドアが開く。
すると
━
「そろそろ来る頃合いだと思って待っていました。して、何用ですか?」
この時、スタッファン・ヘーウィッシュは『この人物は全てを知っている上で我々を迎え入れた、何を考えているんだ』と冷や汗をかきながら内心で思っていた。
そしてスタッファンが喋ろうとした時、いきなり口を開き「ああいえ、待ってください。
貴方達、セバスが
━
「……あ、ええそうですな。ある店から報告がありまして、ある人物が店の従業員を連れ去った……と。
その際に不当な金銭を別の従業員に渡したとも聞きまして、ご存知かと思われますが法律で奴隷売買が禁じられております。あー、今更で失礼ですがお名前をお聞きしても?」
「うん? ああすみません、まだ言っておりませんでしたわね。それはご無礼を。
「(メレム? 聞いた事の無い家名だな、それともモアの方か? だがそれでも聞いた事が無い。それに家名が二つ? 王族か? もしどこかの国の王なら何故此処に居る。滅ん、だ? …………傲慢な王……には見えんな。
我々を調べる余裕が方法がある、当然だが愚王にも見えない。何者だ?)」
「どうか、されましたかスタッファン様」
「あ、いえすみませんな。どうやら考え事をしてたみたいで、ははは、申し訳ない。
で、ですな。アース様。その人物がした事がまるで……えぇ、奴隷売買……の、ようだと思いませんかな?」
「…………つまり……貴方方は
ええ確かにセバスは少女を拾いました、それは事実です。
ですが、ソコから先は
「ほぅ、ではなんとお聞きで」
「全身怪我だらけの少女がズタ袋に入っていた。と、
「それは当然でしょう。自身の主人に『金を払い人を連れ去りました』………とは口が裂けても言えないでしょう。
何故ならこの国ではラナー王女が提唱し、新たに制定され奴隷売買を禁止されました。
金銭を伴う人の引き渡し……これは奴隷売買をしたのでは? と、疑われても仕方ないかと思いますが、如何でしょう」
「確かに、それが事実であれば疑われても可笑しくありませんね……。セバス、彼が言っている事は本当ですか?」
「一部ですが事実でございます」
「まぁ、一部は事実なのね。では違う部分を教えなさい」
「確かに私は少女を拾いました。ですので、順を追ってお話いたします。
先ず初めに私は趣味のーー」
何が有ったのかを滔々と話し始めていき、何故連れて帰ったのかを話す。
━
「私はその少女に『助けて欲しいですか』と聞きました、そして少女はか細く掠れた声で助けを求めました。ですので私は騒ぐ男性へ向けて『彼女は私が連れて行きます』とお伝えいたしました」
「それで? その男性とやらはなんと答えたのかしら?」
「はい。男性は『連れて行かれると困る。厄介な事になるのだ』と、続けて『八本指が絡んでいる。だから少女を連れて行かれると自分が仕事を失敗した事になり、罰を受ける』と仰有いました」
「あら? 八本指? どこかで聞いた事がある名前ですわね、どこでしたか………ああそう思い出しました。確か……そう、この国で色々とやっている犯罪者集団の名前ですね。
でも、何故その犯罪者集団の名前がここで出てくるんでしょう? 不思議な話ですね。
セバスが少女を拾い神殿に連れて行く事に何故、犯罪者集団が関係してくるのか……是非とも知りたいですわね。
そう、思いませんか? スタッファン様」
「あ、え、ええそうですな。何故あの犯罪者集団の名前が出てくるのか……私には分かりかねますな」
額に流れる脂汗をひたすらハンカチで拭きながら動揺を隠すように答えた二人を、暫く何も言わず交互に見て軽く笑い「それで、セバス金銭の授受はいつしました」と、セバスに話の続きの話を促す。
━
「この後にございます。私は連れて行くともう一度言いました、すると男性が『殺されてしまう』そう答えたのです。ですので私は『何故助けを呼ばないのか』と。
男性は捲し立てるように答えました『助けを呼べば自分がミスを犯した事が仲間に知られる。そして武力では私に勝てる気がしない、だから私の気が変わるように説得している』のだと言ったのです」
「仲間に知られると困る……ですか、何故困るのでしょう、興味が尽きません。
そう思いませんか、サキュロント様」
「そ、そうです……ね。人道的に見ればすぐにでも連れて行くべきだと俺も思います、ええ」
それを見て嗤いながら指でセバスに話の続きを促す。
━
「それを聞き私は『逃げたらどうですか』と提案いたしました。ですが『逃げる金はどうするのか』と言われましたので、命より高いとは思えませんでしたが、その時に私が出しましょうと。そして交易共通白金貨をお渡しいたしました。
私は男性に『全力で逃げなさい』と伝えたのです」
「成る程成る程、つまり金銭の授受はあくまでその男性の逃亡費用として渡したのですね」
「左様にございます」
「との事ですが、スタッファン様どう思われますか? この場合において今回の件が奴隷売買に抵触するのか、それともしないのか……是非、お聞きしたく」
「あ、いや、その……そ、その話を真実たらしめる確証が無い以上奴隷売買ではないと言いきれませんぞ」
「あぁ、証拠ですか。ソリュシャン」
一言、ソリュシャンに声をかけると敬礼し部屋から出ていく。その数分後、見知らぬ
━
「セバス。貴方から聞いた人相の男を連れてきました、彼で間違いありませんか?」
上から下までじっくりと見渡し「はい。この方です」と端的に答える。
━
「それは良かった、違ったらどうしようかとおもってて。スタッファン様、サキュロント様。証拠がやって来ました。彼に話を聞くといたしましょう」
愉悦に浸る笑みを隠そうともせずスタッファン・ヘーウィッシュと、サキュロントを見つめる。
━
え?どうやって金を渡した男を見つけられたのかって?どっかの胡乱な法師陰陽師さまが見つけたんでしょ。