星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 ゲヘナまでもう少し?


六十一話

「ああそうだ、さっきの……セバスが拾ってきたツアレとか言う少女どうします? ナザリックに連れて行きますか?」

「んー。今のところはこの家でいいんじゃないかな、あの計画を実行する前に帝都に行かせて……()の領地にセバス共々御抱えとして召し上がれば誰も何も出来なくなる。

 いやはや全く、良い立場を手に入れたモノだよ」

「帝国の貴族ですもんね。そのお陰で俺達が動きやすくなりそうですよね」

「そうだね、最終的には僕は帝国で、モモンガくんは王国……いいや、新たな国の建国『魔導国……アインズ・ウール・ゴウン魔導国(・・・・・・・・・・・・・・・)』の建国。それが()達が目指す最終到達地点だ」

「そのためにあの計画を成功させる必要がありますね、頑張らないと」

「あはは、気楽にね」

 モモンガくんは心配してるみたいだけど人間の姿をしていれば問題はない、人間の感性のままならあの所業は許せないだろう。

 だからこそ王国を、モモンガくんを選んだ。問題ない上手く事は運ぶ、後は()の方かな。

 問題はないだろうけど何が起きるのか分からない不確定要素が有る。ふぅ、どうなる事やら。

 

「ああそうだった。ねぇ、モモンガくん」

「なんでしょう」

「蒼の薔薇って子らに会うにはどうしたらいいかな」

「王都を拠点にしているアダマンタイト級の冒険者パーティーですよね」

「うん。()がこっちに来たのはその子達に会うためだからね」

「俺も王都に来たのは今日が初めてなので……」

「そっか。確かモモンガくんはエ・ランテルが拠点だっけ」

「はい。本当はこっちに来たいんですけど、エ・ランテルにはアダマンタイト級は俺達しか居なくて……その、ソレも有って来れないんですよね」

「冒険者を留めるとか凄い事してるね、冒険者って基本的に自由業なのに」

「そうなんですけど組合長の押しが強くて、それに今のところはまあいいかなと思っていまして。

 ですけど、王都に来る理由が出来たら来る感じですね」

「その辺りはモモンガくんの自己判断に任せるよ。()は明日にでも王都に着いたフリして、そのまま組合に行こうかな。行けば会えるでしょ」

「帝都のアダマンタイト級冒険者なので向こうも興味を持ちそうですよね」

「そうなって欲しいね。さて、それじゃあ例の計画の事を煮詰めようか。先ずはーーー」

 

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 王都正門。そこに二頭立て馬車が近づき門兵が静止する。

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「お止まりください。身分証の確認を行います。(二頭立ての馬車? それにあの二つの紋章。

 一つは帝国の紋章と似ているな、もう一つは見た事が無いが紋章だが……紋章が有ると言う事は貴人が乗っているのか?)」

「分カリマシタ。ゴ主人様、身分ノ確認ヲ行イタイトノ事デス」

 

 人間とは違う見た目をした何かがたどたどしい声で馬車の中に居るオルトに声を掛ける。

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「ああそりゃあるよね」

「して当然だろう。特に我々は帝国の紋章を付けているからな」

「あーそう言えば描いて有ったね、別に描かなくてもいいのに、ジルもなんで描いたかな」

「私達は一応帝国の貴族だ。他国に行くのであれば当然描くに決まっているだろう」

「メンドくさ」

「(今帝国の貴族と言った、何故帝国の貴族がこんな所に)貴族様であらせられるのですね。ですが、決まりですので身分証の提示をお願い致します」

 

 そう言われ、オルトは帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスの指示で作られた身分証を門兵に見せる。

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「(て、帝国侯爵!! り、領地の名は………ギットゼン!? 二週間程前盛大にパレードをしたあのトール・ギットゼン・インシュリフト領主! た、確かギットゼン領主はアダマンタイト級冒険者でもあった筈。王国に何をしに……)み、身分証、確かに確認致しました。バハルス帝国、トール・ギットゼン・インシュリフト侯爵様。よ、ようこそ王国へ」

 

 声が震えている門兵に「蒼の薔薇ってどうやったら会える?」と気さくに声を掛ける。

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「お、恐らく冒険者組合に行かれれば会えるかと」

「そうか、ありがとう。お勤めご苦労様」

「あ、有り難きお言葉。(なんと言うか、随分と気さくな貴族だな。この国の貴族ではあり得ない貴族だ)」

 

 返答を聞きながらザワザワしている周囲を無視して門を通り抜ける。

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「緊張してたねー、彼」

「当たり前の反応だ。盛大なパレードを行ったアダマンタイト級冒険者で、爵位は侯爵。

 そんな人物がいきなりやって来たんだ、緊張するなと言う方が無理がある」

「ふーん、そんなもんか。

 さてと彼が組合に行けば会えるかもって言ってたし取り敢えず組合に行こうか」

「……そうだな」

 

 会話を終えた二人は馬車に揺られながら冒険者組合へと向かう。

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「組合って同じ造りなのかな」

「冒険者組合は国から独立した機関だ、国(ごと)に造りが変わる事はないんだろうな」

「そー言えばそうだったね。つまんないの」

「言ってやるな、この方が効率が良いんだろうよ」

 

 オルトとエミヤの二人が話し合いながら冒険者組合のドアを開け入り、牛若丸は今まで同様に無言でオルトの後を追う。

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「やっぱり中も同じだね、つまんない」

「はぁ……もういい。好きに考えたまえ」

「受け付けは~……ああ彼処だね」

 

 受け付けを見つけふんふんふんて鼻歌らしきモノ口ずさみながら受け付けへと向かう。

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「ねぇねぇ受け付けのお姉さん、蒼の薔薇に会いたいんだけどさ、どうやったら会えるか分かる?」

「アダマンタイト級冒険者の『蒼の薔薇』様達ですか? アダマンタイト級の方ですので、そう簡単には会えないかと。

 失礼ですが等級を聞いてもよろしいですか?」

 

 受け付け嬢に等級を聞かれたため「はい」と気軽に冒険者の認識票(プレート)を渡すと、受け付け嬢が目を見開きオルトと認識票(プレート)を交互に見る。

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「(て、帝国の……アダマンタイト級冒険者!? 確かバハルス帝国に居る冒険者で最高位はアダマンタイト級二パーティーから三パーティーに増えたって情報が入ってきた。

 以前は確か……銀糸鳥と漣八連(さざなみはちれん)の二つで、三つ目のアダマンタイト級………そう! 帝国初のアダマンタイト級冒険者はその後、帝国の貴族になったって……つまりこの人は……)ば、バハルス帝国アダマンタイト級冒険者の、花樹の恵(かじゅのめぐみ)様達の認識票(プレート)で間違いありません。か、確認致しました」

 

 受け付け嬢の一言に冒険者組合に居た王国の冒険者達色めき立つ。中には「帝国の冒険者が何しに王都に……」や「アダマンタイト級……冒険者!? しかも帝国の!? 帝国の冒険者は銀糸鳥でも漣八連(さざなみはちれん)の二つじゃないのか!」と「イヤ、新しいアダマンタイト級冒険者の花樹の恵(かじゅのめぐみ)って奴らだよ!」といった知らない帝国の冒険者である事を驚く者、アダマンタイト級である事を驚く者が多かった。

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「ねぇ、蒼の薔薇に会える? 会いたいんだけど」

「あ、えっと……し、少々お待ちください!」

 

 と一言残し奥へと行ってしまった。

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「行っちゃった」

「当然の反応だ私達は帝国の冒険者。それも、アダマンタイト級冒険者が王国のアダマンタイト級冒険者に会いたいといきなり言ってきたのだ、あの反応は妥当なモノだ」

「ふーん。ま、待ってよっか。折角だし此処の依頼(クエスト)でも見よっか、ど・ん・な・モノが有るかな~」

 

 またもや鼻歌交じりに依頼(クエスト)ボードを眺める。

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「…………んー……依頼(クエスト)は変わんないんだね」

「そうだな、基本的に冒険者は対モンスター用の傭兵だ。

 似たり寄ったりの依頼(クエスト)になるのは必然なのかもな、ごく限られた上位冒険者の冒険者が本当の意味で(遺跡や秘境の探索が)冒険ができるらしいがね」

「おー遺跡や秘境の探索(ダンジョンアタック)か、久しぶりに(遺跡や秘境の探索)したいね」

「私達ならいつでも行けるだろうに」

「それはソレ、これはコレ。別問題別問題、知らないダンジョンをアタックするのが面白いんじゃないか。シェロもまだ分かってないな~」

「分かる様に努力するよ」

 

 二人の会話にまたもや周りの冒険者達が色めき立ち「遺跡や秘境の探索(ダンジョンアタック)!?」や「マジかよ、アダマンタイト級になる前に遺跡や秘境の探索(ダンジョンアタック)した事あんのかよあの三人」等と言う声が聞こえてくる。

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「トール様。お待たせ致しました、此方へどうぞ」

 

 依頼(クエスト)ボードを見ていると後ろから名前を呼ばれ何処かに案内される。

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「此処でお待ちください。只今蒼の薔薇リーダー、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ様をお呼びに行っておりますので少々お待ちください」

「至れり尽くせりだね。いいよ、此処で待ってるよ。ああ焦らなくていいからね」

「あ、ありがとうございます。私はこれで失礼致します」

 

 着いた場所は会議室で、オルト達に何が有ったのかを僅かに震えた声で事を伝え、そのまま部屋を出る。

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「これで最初に決めた目的は果たせそうかな」

「ここに来るまでに色々とあったモノだ」

「ねー、オルトとしてはコキュートスが少し成長したのを見たり、セバスの独断専行を処理したり。あの子達には報連相の重要さをもっと周知させないとね」

「その辺りは君の判断に任せるさ。私としては私達が貴族になったのが驚きだったな。最も、それもこれ君がドラゴンの頭を持って行ったせいだがね」

「アダマンタイト級になるにはアレが一番かなって思ったからやったんだよ、それにあのドラゴンの頭は弱いヤツの頭だよ? あんな風になるなんて思わないじゃん」

「ドラゴンの頭の時点で少しは疑問に思いたまえ」

「そんなもんかねー、幾らなんでも弱すぎやしないかい」

「ソレは私の預かり知れぬ話だ、君が調べるといい」

 

 冒険者組合から突然使者が来て組合に来て欲しいと言われ理由を聞けばなんと帝国のアダマンタイト級冒険者の訪問であり、つい二週間前に盛大なパレードが行われた新たな貴族……それも侯爵位を賜った人物だと言われ興味が沸き、好奇心から二つ返事で応答し急いで組合会議室に辿り着いた。

 入ろうとしていたら中から「私達が貴族になったのが驚きだったな。最も、それもこれ君がドラゴンの頭を持って行ったせいだがね」と聞こえ、すわ聞き間違いかと思えば「アダマンタイト級になるにはアレが一番かなって思ったからやったんだよ、それにあのドラゴンの頭は弱いヤツの頭だよ? あんな風になるなんて思わないじゃん」と、信じられない言葉を聞き「ドラゴンの頭の時点で少しは疑問に思いたまえ」の声を聞き頷いているとまたもや「そんなもんかねー、幾らなんでも弱すぎやしないかい」と、目眩がしそうな言葉が聞こえ「ソレは私の預かり知れぬ話だ、君が調べるといい」どこか投げやりな返しに、中に居る人達はとんでもなくヤバい人達じゃないのか……と、思ってしまい気づかない内に手が震えていると後ろからパーティーの魔法詠唱者(マジック・キャスター)、イビルアイの声が聞こえた。

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「い、イビルアイ!!」

 

 驚きながらも声を掛けてきた仲間の名前を小声で呼び、「どうしてイビルアイが此処に?」と此処に居る理由を聞いた。すると「ガガーランから聞いた。なんでも帝国の冒険者が会いたがっているらしいじゃないか」と事も無げに言ってきた。「それに、お前だけだと不安だからな」と言われなんの事か分からず頭を傾ける。

 そんな事をしていると中から「どうぞ~」と気さくな声が聞こえてくる。

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「し、失礼します」

「邪魔をする」

 

 片やおっかなびっくりと入り、片や堂々と入る。

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「やぁ、待ってたよ。君達が蒼の薔薇の人達だね」

 

 目に入ったのは立ち上がり手を広げている、自分より高い背丈で森妖精(エルフ)特有の尖った耳をしている男性と、森妖精(エルフ)の右隣に赤髪混じりの白髪、そして森妖精(エルフ)よりも更に長身で引き締まった浅黒い肌の肉体に珍しい眉の形と金色の目、赤い外套を纏った男性が座って居る。

 そして左隣には自分と同じか少し高い身長と見た事が無い鎧と武器を着けた可愛らしい女性が座っている。

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「初めまして、()はトール、彼がシェロでこの子はシャナ。君達に会いたかったんだ。会えて良かったよ」

「あ、はい。ご丁寧にどうも?」

「私はイビルアイだ、それでコイツが蒼の薔薇のリーダー、ラキュースだ。(この三人……私より遥かに強い。イヤ、私どころか……もしかしたらリグリット以上……か?)」

「ちょっと、相手は帝国の貴族よ、ちゃんと礼をするのよ。

ん"ん"。初めまして、(わたくし)はラキュース・アルベイン・デイル・アインドラと申します」

 

 そう言うと綺麗なカーテシーを披露し、オルトが口笛を吹く。

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「ラキュースとイビルアイか、よろしくね二人とも。

 それと、()相手にそこまで礼を尽くさなくて良いよ、()はあくまで冒険者だからね」

 

 オルトが話し終えるとイビルアイをじっと見たかと思ったら「フッ」と笑い椅子に座る。

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「(なんだ、今の反応は…………イヤ、まさかな)」

「それで……帝国の、それも侯爵でアダマンタイト級冒険者の皆様が何故我々蒼の薔薇に会いに?」

「ああ逆だよ逆」

「え?」

「さっきも言ったけど、()は冒険者だ。だから貴族で冒険者じゃない、冒険者で貴族だよ。

 まあ貴族になったのは予想外な出来事だし出来れば成りたく無かったけど、アレだねフールーダに見つかったのが運の尽きってヤツかな」

「(あの逸脱者のフールーダ・パラダインを呼び捨て!? どう言う間柄なんだ……)」

「それより彼に気に入られた方が大きいと思うがね」

「それもあるね。全く面倒な事になったモノだよ」

「彼? いったい誰の事を……」

「ジル。あぁ、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス。帝国皇帝だよ、イヤになっちゃうよね貴族にするなんてさ」

 

 まさかの人物の名前が出てきて、更に呼び捨てにした事に耳を疑い、目の前に居る人物………帝国のアダマンタイト級冒険者花樹の恵(かじゅのめぐみ)を見て目を丸くする。

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ん"ん"。それで? 私達になんの用だ」

「んー…………会って見たかっただけだね。だから特段用事はないかな」

 

 二人して間抜けな声が口をついて出る。

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「いやね、ジルが王国には女性だけで構成されたアダマンタイト級の冒険者がいて、そのリーダーが貴族だって聞いたんだよ。だから会いたいなーって思ったんだよね」

「そ、それだけ……なのか?」

「シェロ、他に何か有ったっけ」

「他に………そう言えば特に無いな」

 

 ラキュースとイビルアイがポカンとし、どこか呆れた表情をする。

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「んー、そうだねぇ………折角だから一緒に自由(フリー)依頼(クエスト)でもする? 例えば……そうだね、ドラゴンの巣(・・・・・・)の攻略とか」

 

 到底あり得ない、信じられない『ドラゴンの巣』の攻略と目の前の森妖精(エルフ)が言ってきた。

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「どうだい? 面白そうだと思わないかい?」

「バカな!! ドラゴンの巣なんてモノは無い!」

「大丈夫。()が知ってるから連れてってあげるよ」

「………リーダー(マスター)良いのか?」

「問題ないよ、入り口(・・・)はどうとでも出来る」

「はぁ、君がそれで良いのなら私はこれ以上何も言わんよ」

「あっはっは、心配しなくて良いってなんとかするし、なんとでも出来るから。

 それで? どうかな、良い提案だと思うんだよね」

「ドラゴン…………戦ってみたい!! ねぇ! イビルアイ! ドラゴンよドラゴン! 冒険者の夢じゃないの! ほら、最近は……ねぇ、冒険者らしい事してないし」

「だが私はドラゴンの巣なんてモノを見た事も聞いた事もない。この男の言葉を鵜呑みには出来ない」

「世界には君が知らない事が沢山、そして山程有るんだよ、お仲間(・・)さん」

「(仲間? なんの事を…………まさか! この男は!? イヤだが……そんな、筈は…………)」

 

 オルトから発せられた理解出来ない、されどもしかしたら(・・・・・・)、と思わざるを得ない言葉に頭を悩ませる。

 ━




 モモンガくんが王都に行った理由は分かってるけど、レエブン侯の使いの名前が分からない書いてあったっけ。


━━
 オルトくんのパーティー名は花樹の恵(かじゅのめぐみ)(仮)です
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