それで……何々、八……欲王。あー、なんか聞いた事あるな。確か……おとぎ話としての伝承としての色が強い話だったっけ。それで、えっと……アイツ、法国に帰した……ああニグンだ、ニグン。
アイツが言ってたなドラゴンを……竜王を狩りまくった強欲な八人、同期された記録から推測するに実際に居たプレイヤーだ………しかも、ミキンヒアーとスルシャーナはコイツらにKILLされたのか。だと言うのに法国ではスルシャーナだけ大罪を犯せし者達によって放逐されたと伝わっていると、しかもそれを見たアーラ・アラフは法国を見限って凶刃に斃れたミキンヒアーの魂を持って天上の国に帰ったとされてるのか、この時点で法国は腐ってんのか? まあそこはもう良い所詮クズはクズと言う事だ、滅ぼす理由が一つ増えただけの事。この記録の精査は後だ気分が悪い。
それにしてもコイツらマジで強欲過ぎんだろ、最期が仲間割れを引き起こした結果に全滅したとか、名前の通りの欲深さだな。残当な末路を辿ってんじゃん。
それで? ほうほう、当時の竜王達がこぞって八欲王に戦いを仕掛けたのか、それでも最終的に竜王側の負けた、と。
ん? 僕も戦ってね? しかもコイツはさっきのドラゴン……白金の竜王の……あー、つ、つ………ツァイン、ド……ルクス=ヴァイシオン……だった? かな? なんで僕がソイツと共闘してんの?
理由、理由はっと………えー、スルシャーナとの取り引き? めんどクセー。しかも手伝っても同格の存在達を八欲王は争いで殆ど狩り尽くされてんじゃん、何してんの竜王どもは。竜王なら勝てよ記録を視る限り僕はちゃんと仕事してるじゃん、この世界のドラゴンはそんなに弱いのか? イヤでも、そうは見えないんだよな。
ん? 手伝ってはいるけど………バッファーとして、か。直接戦闘しないないのは……ああどうなるかを見る為か、なんと言うか流石僕だね。つまり僕のバフ受けても勝てないのか、となるとコイツら八欲王の方が竜王を圧倒出来るレベルで強い? そんなプレイヤー………在り得る可能性……ワールドチャンピオンか?
それなら竜王どもが負けたのも仕方ないのか、何せワールドチャンピオンは僕同様公式チートで名高いからな。
後コイツらが竜王と戦った理由はドラゴンハイドが目当てかもな。でもだからこそ大陸を支配出来たのか、まあ国は滅んでるけど。しかも仲間割れで。んで、残ってんのは……首都だけか、首都の名前は……エリュエンティウ? 南の砂漠の真ん中に八欲王が作り出したとされる浮遊都市で、無限の水が流れ込んでいる。しかも都市全域が魔法的結界に包まれている……プレイヤーが作った都市、か。
考えられるのはギルド拠点の可能性が出てくるな………南の砂漠か、いっちょあの『体』で飛んで行くか? 考えとくか。
それで……次の記録はっと、あん? 何処だ此処? うお! ドラゴンか!? デッケェなコイツ。んーと……聖天の竜王? 誰だよソイツ知らねぇよ聞いた事ねぇよ、また今度ジルにでも聞いてみるか。
与り知らない所で、とんでもないビッグネームの存在の事を聞かれるジルクニフは帝国で謎の寒気を感じていた。
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聖天の竜王の秘宝:腕輪? なんだソレ、んーと聖天の竜王と共に造った腕輪………マジでなんだソレ。しかもそのアイテムで竜王と八欲王の戦争に介入して二人KILLしてんじゃん。で、だ。材料はなんだ? んー……うっわマジか、神器級のデータクリスタルにウイルスコアとフォトニック純結晶体だぁ? 莫迦だろなにしてんの天使の僕とこの竜王は、てか誰が造ったんだ? 鍛冶系統の山小人でも居たのか? それともこの竜王が何かしらの方法で造ったとか? でもデータクリスタルに熱素石、そしてフォトニック純結晶体が想定より少なかった理由はコレか、そりゃ無いわな、過去で使ってんだから。
最も、どんなアイテムが有ろうが無かろうが僕には勝てんよ、僕は並みのプレイヤー程度が勝てる相手じゃないんでね。フハハハ、人がゴミのようだ。
………なんで、と思いたいけど多分スルシャーナの敵討ちかなコレ、流石カルマ値中善の僕だね。恩や親しみなんかが有ったのか? 優しいね天使の僕は。後は腕輪の試運転も有るのかな。で? 件のアイテムはどこに有るんだ? ああ彼のストレージか。となると彼が持ってる無限の背負い袋に入ってるだろうから僕にはどうしようも無いので次。
良く分からないドラゴンの名前とそのドラゴンと造ったアイテムの記録を知るが、現段階ではどうしようも無いため思考を切り替える。
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…………これは困った、マジで困ったな。彼女に関する事柄が何一つ無い。
となるとこの後の出来事になるんだけど………彼女は約三百年前と言った、なら十三英雄関連か? でもなぁ、ドラゴンに反応したんだよねー。んー……さっき、聖天の竜王、それか白金の竜王とか居たし、片方は一緒に腕輪を作るんだから仲は良いと踏まえて、もう片方は一緒に戦ったんだし会えるんじゃね? えーと、記録ではっと……聖天の竜王は空を飛び続けたまま移動している………どうやって会えば良いんだ?
あー、あの『体』にも紐付けして飛んでみるか? 僕の事だ、あの『体』が有る事くらい話すでしょ。
もう一人の白金の竜王はっと……分からない…………役に立たねぇ、何処行きやがったコイツ、もし見つけたらぶん殴ってやるか。しゃあない、聖天の竜王とやらに会いに行くか、うん、次の目的が出来た。
先ず、聖天の竜王とやらに会い人間を吸血鬼に変えられるドラゴンが居るのかを聞く、そしてそんなドラゴンが居たら見つけに行って即ブッ殺す……前に彼女の前に連れて行くか? それとも首だけ持ってくるとか……うーん悩ましい。ん? 待てよ、天使の僕の行動を考えてみよう。
望まぬ形で吸血鬼に成ってしまったなら吸血鬼である事を嫌って居る筈。天使の僕のカルマ値は極善寄りの中善。
天使、或いはあの指輪を嵌めた僕と知り合いであれば、だ。僕は必ずあの指輪を渡している。
問題はどうやって確認するかなんだけど………出来るのか? ああイヤ出来るかもしれん、彼女が吸血鬼である反応出来たのは夜の僕である朱い月だけ、今の僕は彼女から吸血鬼の気配を感じ取れなかった、理由は薄かったからだ。
相手が普通の、例えばシャルティアと同じ生まれつきの吸血鬼なら朝の僕でも姿を変えようが、何をしようが吸血鬼であると察知出来る。
でも今回は夜の僕しか察知出来なかった、つまり、彼女は指輪を……種族変更指輪:人間を嵌めている。
そして人間種に姿を変えて冒険者として活動している………ん? 人間種に成ってるのになんで顔を隠してんだ? 隠さないと困る理由が有るとかか? んー、僕が僕であると証明出来れば彼女は何が有ったのかを話してくれるかもしれない。
方法はこの二つ、か。より手早く、より手軽に出来そうなのは指輪の証明だけど、うーん……悩ましい。
長々と天井を仰ぎ見て首を傾げて暫し考えに耽っていると『ゴツン』と頭に鈍い痛みが襲う。
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「ぬがッ、いきなり何するのさ普通リーダーを殴るとかダメだよ」
「言葉を掛けても、肩を揺さぶっても反応しない君が悪い」
「えっ、マジで?」
「ああ大マジだとも」
「そんなに考えてた?」
「二十分程な」
「うわぁお、それは悪かったね。いやね、どーしよーかなーって思ってさ」
「さっきの、イビルアイ嬢の事か?」
「うんまあそうだね。もしかしたら、もしかするかもしれない」
「ほぅ、ならば好きにすると良い。私は何も言わんよ」
笑みを浮かべ「流ッ石シェロ、話が分かるね」と朗らかに言い、流れる様に「えーと……君、ラキュース? だっけ」とラキュースに話を振る。
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「え、あ、うん。そうだけど」
「君ってさ、天使って知ってる?」
「ええまぁ、知ってるけど……それがどうしたの」
「君が知る天使の印象を教えて」
「天使の印象? そうね、無機質なモンスター……かしら」
「つまり君は種族としての天使は知らない訳か」
「種族? 天使の?」
「うん、天使はちゃんと種族として存在しているよ。まぁ、見る機会なんでそうそう無いけどね」
「種族として天使が居るなんて聞いた事………いえ、待って……確か十三英雄の中に翼を持った人物が居るって言う伝承があるわ」
「!! へぇ、それは良いことを聞いたね。
そうかそうか十三英雄に翼を持った人物が居たのか、良いね良いね、ソレは最高に良い情報だよ」
「そ、そう? 役に立てて良かったわ」
「………コレは良い情報をくれたお礼だ、受け取るといい」
オルトが望外の情報を聞き、バ腰の鞄から竜がモチーフにされたアミュレットが、オルトの手から投げ渡される。
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「これ、は?」
「とあるドラゴンの巣への鍵だよ。君でも狩れるんじゃないかな、使う使わないは君が決めると良い」
「ど、ドラゴンの巣への鍵!? え? えぇ!?」
「ソレで行けるドラゴンの巣の主は『イャンクック』、昔は『先生』と呼ばれる程人気なドラゴンでね。多くの戦士達の前に立つ最初の壁、多くの戦士が戦い方を教わるドラゴンだよ
鍵さえ持ってさえいれば何度でも巣に入れるけど、主を倒さないと出ることは出来ない、巣を出る条件は主の討伐だ。
だから倒すまで出れないから気をつけてね、ああでも砕く事で緊急脱出が出来るから、無理だと思ったらすぐに壊すと良い、巣から出られる。
でも壊してしまうと鍵として使えなくなるから、考えて使ってね」
「……リーダー、なんのつもりかね」
「さっきも言ったけどお礼だよ」
「そうか、リーダーの意向に従うとしよう。
ラキュース嬢、私からも忠告をするとしよう、そのアミュレットで行ける巣に居るドラゴンは私達からすれば弱い部類になる。が、それでもドラゴンはドラゴンだ。気をつけると良い」
「あ、ええ肝に銘じておくわ」
「じゃあ僕はやる事あるから失礼するよ」
「あ、うん……今日は楽しく話せたわ。アダマンタイト級冒険者同士仲良く………しましょう、イビルアイには私からーー」
「ああソレは僕の方で解決するから大丈夫だよ、君は待っていて」
「でも……」
「あの子があの反応をしたのは僕にも責任が有るからね」
「え、あ……うん。分かった」
「じゃあね」
オルトが手を振り出ていくと、牛若丸は何も言わずオルトの背中を追うように部屋から出ていく。それを見たエミヤはタメ息を吐き「では失礼する。縁があればまた会えるだろう」と言い出ていったのを見送り「ええ。また、会いましょう」とエミヤの背中に声をかけ、エミヤ後ろ手で手を振って出ていった。
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「イビルアイがあんな風になった……責任? 何かした風には見えなかったけど………」
一人部屋に残りオルトがした事を考えるが、何も思い出そうとしてもパーティーメンバーのイビルアイがいきなり騒ぎだし、難癖をつけた様子しか思い出せなかった。
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「何をするつもりかね」
「んー、先ずは簡単な方からやってみようかなって」
「君が何をする気で、何をするつもりかは分からないが、失礼のないようにしてくれ」
「あっはっは、気をつけるよ」
そう言い残し転移でどこかへと跳んでいった。
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「はぁ、何も起こらなければ良いのだが………」
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「やぁ、探したよ」
どこからともなく現れたオルトに驚くがさっきの事を思い出しぶっきらぼうに言葉を返す。
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「!? お前は……何をしに来た」
「んー、取り敢えず謝罪と有るモノを見せようと思ってね」
今の僕と天使の僕両方が持っていて、尚且つ見せても問題の無いアイテム。そのアイテムはーー
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「! ソレは………慈愛の天使像!! 何故お前がそのアイテムを持っている!」
「ああやっぱり思った通りだ、コレを君に見せてたか。もしかしたら渡してるんじゃないかなって思ってね」
「答えろ! 何故貴様が持っているんだ!!」
「そんなの一つしかないでしょ」
「酸の飛沫!!」
何を思ったのか、それとも勘違いしたのか有無を言わさず強酸の飛沫を放つ、すると「おぉっと。いきなりだね、躊躇いも無く撃つとは思わーー」と、間抜けな声を出しながらもわざとらしく避け、それを見たイビルアイは間髪いれず水晶の散弾をまき散らす魔法『結晶散弾』を使う。それを見たオルトは「おん!? その魔法は……っと。トープスの力場」と使われた水晶の魔法に驚き、興味を示しながらも魔力の力場を生じ、魔法を逸らす魔法を使う。
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水晶を放つ魔法? たが僕が知る魔法とは少し違うな。
「!? その、魔法……は」
「うん? もしかして今の魔法を知ってる?」
「アイツが使っていた魔法だ、何故お前がその魔法を使えるんだ」
アイツ、か。間違いない、天使の僕もこの魔法を取得している。つまり、この子は天使の僕を知っている。
人に変わってみるか? イヤしかしこの僕の人の姿と天使の僕の人の姿が同じとは限らないし、そもそも今の僕は人間種だ、耳が変わるだけで見た目はそうそう変わらないだろうし……他に僕達を繋げるアイテムか魔法は何が有る? 何が………この子は魔法詠唱者だったな、それに水晶の魔法を使っただとしたら。
「君は、この杖を知ってるかな」
その言葉と共に腰の鞄から先端に輝石を埋め込まれた杖を取り出す。
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「!? それは!!」
「あぁ、やっぱり知ってたか。この杖は輝石の杖、初心者用の杖だ」
そう言い見せた杖は、木製の杖の先に輝石を付けただけという名前通りのシンプルな杖。この杖はユグドラシル時代にてコラボイベントで実装された、誰でも、何度でも入手出来る低レベル用の武器の一つ。
つまるところ、とても弱い武器でオルト達カンストプレイヤーからするといらないアイテムになる。
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「なんで……どうして、その杖は………私にくれた最初の杖……」
「ふむ、成る程。君に会った僕はやはり優しい僕の様だね」
まあ天使なんだから優しいのは当たり前なんだけど……なんでもしてるね僕は。
うんまあでも、知的好奇心には勝てないよね、しょうがない。
「……お前は、誰なんだ………お前は、まさか……」
「僕は森妖精だ、そして驚異的な寿命を誇る太古の森妖精。
永い時を生きるために様々な事をするんだ、さっきも言ったけど僕達太古の森妖精はある時を境に世界から隠れた。
しかし、僕達は時折姿を変えて人の世に遊びに出る事があるんだ、時には山小人として、またある時には天使として、人の世に出ては隠れる。そんな事していてね、隠れ住むだけだと面白く無いからね、だから………そして、ある時には人間としてその時の人々の前に姿を現す。
故に僕達太古の森妖精は千変万化、変幻自在、千態万様の『体』を持つんだ。
それで……すまないんだが、僕君と会った時の僕の姿はなんだったのか教えて欲しい。年寄りと言うのはすぐモノを忘れてしまうからね」
オルトはレイシフトした後に何かをしていた自分の事を知るであろうイビルアイに両手を広げ朗々と、そして恰も真実かの様にカバーストーリーを話し始める。
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「人間だった………あぁ、何故……どうして私はお前の顔を忘れていたんだ。ただ耳が長いだけだ、顔つきは同じなのに……今の今まで忘れていた」
ふむ、記憶を弄っていたのかな。何かがトリガーになって思い出した……イヤ、条件付けか? 例えば何かキーワードを設定しておいて、そのキーワードを僕が言う事で記憶の鍵を外す。
んー、ユグドラシルの魔法にそんな便利なネタ魔法とか有ったっけ? 記憶を操作出来る魔法たど記憶操作で良いのかな? その魔法を使ってわざと思い出せる様にキーワードを設定した、とか?
分からん、自分がする事だけどさっぱり分からん。僕は気分屋と言うかその場のノリで決める時も有るから、本当に分かんない。
「ああそうだな様々な姿を持つんだ、名が幾つ有っても可笑しくは無い。
私がお前と初めて会った時にお前はエクス・パンディングと名乗った人間だ」
エクスパンディング? エクス……パンディング…………あぁ、膨張する太陽か。色々と思いつくね、関連付けるまでがややこしい。
「そうか、エクス・パンディングと名乗ってたのか。こちらこそすまない、僕は君を忘れている」
僕この子と旅をしていたのは確実。だが、その記録も記憶も同期されていない、となるともっと先の出来事になるのか、同期待ちだな。
語る嘘に真実を二割………胸先三寸、口八丁手八丁でイビルアイを騙しオルトはイビルアイの信頼を得た。
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