星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 今更ですが法国の面々の名前は捏造です、簡単なアナグラムですね。

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 天使十字(エンジェルクロス)は消滅させますが聖者殺しの槍(ロンギヌス)の様なモノではなく、ちゃんとリスポーン地点で復活します。但し体が消滅しているのでその場での蘇生はできません。
 リスポーンしない現地人は文字通り消滅しますのでどうにもなりませんが。


七十八話

「お? 出た」

「レベルは?」

「えーっと………64?」

「来た時からして約二倍か、良く頑張ったね」

「ソイツはどーも。んでさ、職業(クラス)ってのはどーすんのよ」

「何がある?」

「増えたのは忍び寄る者(ストーカー)に野伏(レンジャー)で……あ、あんたから渡された教練書に載ってた斬刀士(ブレイド(FORCE:ERA))ってのがある。あとは鎌闘士(フリッカー(.hack//R:2))だね。

 でも知んないのがあるけど……呪騎士(カースナイト(FORCE:ERA))ってヤツ」

 呪騎士(カースナイト(FORCE:ERA))? これは嬉しい誤算だね。

 

「今のレベル64、これは種族レベルも合わせてか?」

「ううん違う。種族は別で15になってる」

「は? 別と言ったか?」

「うん」

 前回ので種族レベルが触れる事は分かっている。なのに別で計上されている? どう言う事だ……。

 

「褪せ人(あせびと)のレベルは変えられるか?」

「んー……無理そう、灰色になってる」

 グレーアウト? 褪せ人(あせびと)はアンデッドの筈だ、………まさか。

 

 一連のやり取りで何かを考えついたのか無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)からポーションを取り出し、「クレン」と呼びながら投げ渡す。が、WI(ワールドアイテム)産まれなき者の大ルーン『レナラ』を使っている最中はステ振りしかできず、ポーションを頭から被った。

 

「痛っ。いきなり何すんの」

「痛みはそれだけか? 焼ける様な感覚は?」

「え、うん。焼ける様な痛みはないね」

「これは面白い発見だな、クレン、お前はアンデッドじゃない、人間だ」

「は? アンタ前にアンデッドになるって言ってたじゃん」

「それはあくまでユグドラシルでの話だ」

「ユグドラシルと言うのはトール様が此処にいらっしゃる前に居た世界ですか?」

「うんまあ間違っちゃいないね。で、そこでは褪せ人(あせびと)は間違いなくアンデッドだった。でも此処は違う。

 此処はちゃんとした世界(・・・・・・・・)。であれば、だ。褪せていても人(・)は人、この世界は褪せ人を人として(・・・・・・)認識した………良いね! サイッコーに良い情報だ」

「ご主人さまが喜んでんなら別に良いけどステ振り? はどうすんの」

「ああそうだったね、一先ず列挙してくれるかい」

「へーい。『戦士(ファイター)』、『軽戦士(フェンサー)』、『蛮族(バーバリアン)』、『傭兵(マーセナリー)』、『双剣士(ツインソード)』。これが前からあったヤツ。で、増えたのが『忍び寄る者(ストーカー)』、『野伏(レンジャー)』、『斬刀士(ブレイド(FORCE:ERA))』、『鎌闘士(フリッカー(.hack//R:2))』『呪騎士(カースナイト(FORCE:ERA))』だね」

「随分と増えたな、んーそうだな双剣士(ツインソード)を『15』、斬刀士(ブレイド(FORCE:ERA))を『15』これで『30』。鎌闘士(フリッカー(.hack//R:2))を『15』呪騎士(カースナイト(FORCE:ERA))を『5』『軽戦士(フェンサー)』を『5』忍び寄る者(ストーカー)を『5』。これで『60』、残りの『4』は……悩ましいな」

 ステ振りをしていない職業(クラス)のスキルが使えなくなるのなら既存の職業(クラス)も欲しい、だが問題なく使えるのなら今まで取得していた職業(クラス)を取得する必要は無くなる。どうする……基本職の戦士(ファイター)にするか? 投擲武器を使わせているから野伏(レンジャー)の方が良いのか? ………。

 

「野伏(レンジャー)を『4』にして」

「はーい。これでしゅーりょー」

「クレン」

「まだなんかあんの?」

「以前取得した職業(クラス)のスキルは使えるか?」

「ちょっと待って…………感覚としては使えそうな気がする」

「それは良い情報だ」

 職業(クラス)を取得させればさせる程できる幅が増える、そして本来であれば人間種にレベルはないが、人間種として認識された褪せ人(あせびと)には種族レベルもあれば種族スキルも使える。褪せ人(あせびと)にさせるのは損かと思っていたがさせ得だな、しかも『10』だった褪せ人(あせびと)のレベルは『15』に上がっている。

 褪せ人(あせびと)になれば種族レベルが追加され合計レベルは『115』なる! 大発見だ、僕(私)の『体』の中には普通の人間種がある、褪せ人(あせびと)にさせるか? やってみる価値はあるな。

 それとクレンには色々と叩き込むか、そうすれば夢のカンストオーバーの現地人の出来上がりだ。

 

「トール様」

「使いたい?」

「はい。コレを使う事でトール様のお役に立てるのなら使いたいです」

 

 目を閉じ逡巡し「イヤ、まだサンプルが少ない。賭けに出るのはしたくない」と保留した。

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「君で試す前に僕(私)の『体』を使おう、人間種の『体』があるからね」そう言うと奥から森妖精(エルフ)のオルトに似た人物が現れる。

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「夢のカンストオーバーだって?」

「可能性が出てきた」

「だから僕(私)でやると」

「試すのに僕(私)程適役はいないからね」

「確かに。じゃあやろうか」

 

 人間種のオルトがアイテムを使い『レナラ』を発動させる。

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「成る程確かに、これはステータス画面だ。もう一人の僕(私)、どうする?」

「侍を『1』」にして褪せ人(あせびと)を『14』にしよう」

「りょーかい………完了だ、これでレベル上げをしてこようか」

「よろしく」

「ふつーの人間のご主人さまって初めて見た、いるんだ」

「色々とあるからね」

 しかし成る程、純人間の僕(私)と繋げたら感覚が、感情が、感性が暖かくなってくる。

 天使(エンジェル)の僕(私)やモモンガくんが言う意味がよく分かる、僕(私)達は人間だ、そこは間違えてはいけない。忘れてはいけない。抜け落ちていたな、確実に。

 

「さて、実験が終わり次第アンティリーネ………此処に来たし名前を変えようか」

「お願いします」

 

 どこか嬉しそうに顔を綻ばせ、ソワソワしている。

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「んー……。リネイだ、君は今日からリネイだ」

「私を愛してくださったオルタニアン様……トール様に名付けて頂けるなんてこれ以上の幸せはありません」

「それは何より。次はどうしようかな、帝国にでも行くか。

 …………その前にモモンガくんに法国を潰した事と理由を言わなきゃだね、君は僕(私)の部屋(エリア)で待ってて」

「畏まりました」

 

 そう呟くとRoAOGを使いモモンガが居る場所へと転移する。

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「やあモモンガくん」

「説明してくれるんですね?」

「うん。先ずはーー」

 

 

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「てな事があったから潰した」

「オルトさんにそんな事を………しかもそんな外道な事をしてる国なんて潰して正解ですよ。でも森妖精(エルフ)方も外道ですね、そっちも潰しましょう」

「そのつもりさ、森妖精(エルフ)を助け出してデケム・ホウガンとか言う奴は楽には殺さない」

「ナザリックで攻めますか?」

「んー……イヤ、僕(私)達がそんな事をしたと知られるのはよろしくない。僕(私)だけでやるよ」

「分かりました、でも何かあればすぐに言ってください」

「そうさせてもらうよ」

 

 

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「てな訳でデケム・ホウガンって奴を殺しに行く」

「もう好きにしろ」

「そうするよ」

「だが一応聞こう。どうやって潰す」

「そりゃあ領地の兵士を連れて行くんだよ、同族の保護となれば全力でやるだろうしね」

 

 何かを考え「バジウッドを連れてけ、エイヴァーシャー大森林まで案内させる」と、本人のいないところだ話を進める。

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「いいの? 案内ならリネイがするし」

「リネイ? ……誰だ」

「アンティリーネ。僕(私)の所に来たから名前を変えたのさ」

「そうか。

 それと一応とはいえ帝国の貴族が行くんだぞ? 帝国の、帝国三騎士の一人を連れてけば俺達の本気度が分かる筈だ」

「じゃあありがたく使わせてもらうよ」

「そうしろ」

 

 

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「我々は行かなくて良いのかね」

「君は竜王国行ってビーストマンとの交渉と決裂した場合の間引き、数を減らせば従うでしょ」

「牛若丸はどうする、彼女なら君についていくと思うが」

「そこなんだよねー、あの子って交渉の場には行かせられないけどエミヤ一人で間引くのはちょっとしんどいでしょ?」

「そうだな、死ぬ事は無いが手間取るだろうな」

「牛若が居れば楽にはなるだろうから悩み中」

「答えは出たか?」

「エミヤについていってもらうよ、恐らくその方が順調に進む」

「そうか、ではそうしよう」

 

 

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「案内ご苦労様」

「トール様の為なら」

「なんで俺が居(要)るんですかねぇ」

「それはジルに言って」

「はぁ……陛下も困ったもんだ、で? 俺はなにすれば良いのか教えてくれ」

「んー……取り敢えず死なない様にしてくれればそれで良いよ」

「そいつぁ嬉しいね。(法国の有り様があんなんだし、俺は要らんだろ。適当にやるとしますかね)」

「さて、挨拶代わりだ」

 

「超位魔法」

 

 

「太古の大樹の根ルーツ・オブ・プライミーバル・シルヴァ」

 

 

 オルトが使う超位魔法は3/4がレベル消費型で、今回使った超位魔法もレベル消費型。

 レベルを消費する理由は、消費する経験値の量によって出現する木の根の数が変わってくるからだ、そして今回オルトが消費した経験値は2Lv。

 その結果が数千、数万もの巨大な水晶の木の根が地面を裂いて出現し、エイヴァーシャー大森林へと向かっていく。

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「(ウッソだろオイ、なんだよこの魔法は……神の領域……敵に回したら帝国か滅ぶな)こんな事して良いのか? 無関係な森妖精(エルフ)も死ぬかもしれねぇぞ」

「その辺りは大丈夫。この魔法に殺傷能力はないから」

「こんな魔法がか?」

「この魔法は相手を拘束して魔力(MP)を吸い上げるだけ、死ぬ事は無い」

「アンタが味方でいいと心底痛感したよ」

「森妖精(エルフ)を害さない限り敵にはならないから安心しなよ、それに領地運営も楽しいから続けるつもりだし。まあ国を興しそうだけどね」

「そうかい安心したよ、で、これからどうするんだ?」

「大森林観光でもしながらデケムとか言う奴を殺しに行く」

「了解」

 

 オルトは本当に観光する様に大森林を歩き、様々な植物に木々を見て、触り何かを呟き何かをしていく。

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「ん? 君がデケム・ホウガンって奴かい? 意外と頑張ってるね」

「誰だ貴様は、何をした!」

「ただの挨拶だよ、後強いて言えば戦力を削いで非戦闘員の保護だね」

「(左右で違う目の色、アレは王の証。私の子か? どこかで外に出たのか)子が親に牙を向けるとはどう言う了見だ」

 

 予想外の言葉が出て一瞬呆けるが一転して笑いだし「僕(私)が君の子? たいして強くもない森妖精(エルフ)風情が僕(私)を子と言ったのか?」と静かに返す。

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「ただの森妖精(エルフ)? この私がか?」

「事実だろう? オマエは上位森妖精(ハイ・エルフ)でもなければ上位森妖精の王(ハイ・エルフロード)でもないただの森妖精(エルフ)だ、勘違いも甚だしい」

「巫山戯るな! この私がただの森妖精(エルフ)である筈がない! 私は森妖精(エルフ)の王だ! そして我が父が全ての森妖精(エルフ)の祖だ!」

「父親?」

「そうだ! 我が父クロウ・ホウガンこそか森妖精(エルフ)の祖だ」

「貴様の父がそう言ったのか? この僕(私)を差し置いて?」

「何が、何が言いたい」

「森妖精(エルフ)の祖はこの僕(私)だ、全ての森妖精(エルフ)の頂点に立ち、全ての森妖精(エルフ)を生み出した太古の森妖精(プライミーバル・エルフ)である僕(私)を差し置いて森妖精(エルフ)の祖を名乗るとは烏滸がましい。楽には殺さんぞ」

「太古の森妖精(プライミーバル・エルフ)………まさか、まさかお前は!」

「千蔦の魔兵器(ミリオン・ヴァイン・アーセナル)」

 

 周囲の蔓が生えて次第に弓と槍が複数編まれていきオルトの周りを浮遊し、「Shot」の言葉と共に槍が弓に番え(つがえ)られ目にも止まらぬ速さで射出される。

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「うぁ……クソ! かぁッ」

 

 転びながら様々な魔法で槍矢を壊しながらギリギリで躱していくが、二本の槍矢が当たり左肩と右足の付け根から抉れ切り離される。

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「うっ…………くぅ、この、私がぁ」

「安心しろよ、楽には殺さんからな。黄金樹の回復(アウレアエ・アルボル・レスタウラティオ)」

 

 デケム・ホウガンを包む様に黄金色の魔方陣が広がり立ち上ると抉れて無くなった腕と足が元通りになっている。

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「は!? (アレほどの怪我がこんな一瞬で? やはり我が父が言っていた!)貴様はORーー」

 

 槍矢を番え(つがえ)る前に切り札を使おうとするがその腕が消し飛ぶ。

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「は?」

「魔法無詠唱化(サイレントマジック)ってのを知ってるか? 詠唱せずに魔法を使う事ができるスキルだ」

「何を……そんな事……が」

「できないんだろう? 君程度にできる訳がない、何故なら君は選ばれた存在ではないからだ」

「あり得ない、そんな事あり得ない!」

「バジウッド卿」

「バジウッドでいい。で、なんだ?」

「コレの身柄は僕(私)が預かってもいいかな? 徹底的に教える必要がありそうだからね」

「あー、まあ好きにしたら良いんじゃね? 陛下からも好きにさせろって言われてるからな」

「じゃあありがたく身柄は貰っていくよ」

「スキル・原初百獣の号令(パンデモニウム・オブ・プライミーバル)」

 

 スキルを使用しレベル85の固有異形植物モンスター、『太古の森の番人(プライミーバル・ガーディアン)』を一体召喚する。

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「ひ、ヒイィ。な、なんだこの化け物は!」

「君では知りえない存在だよ。殺すな、生きて連れ帰る」

 

 重々しい音を響かせデケムに近づき頭を掴み一度地面に叩きつけてからオルトが蔓を生やす魔法を使い拘束し太古の森の番人(プライミーバル・ガーディアン)が担ぎ上げる。

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「太古の森の番人(プライミーバル・ガーディアン)、ソイツを外まで連れていけ」

 

 その言葉に緑色の目を光らせ頭に生える草を揺らし指示に従い外へと向かっていく。

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「超位魔法」

 

太古の大樹の陣フォーメーション・オブ・プライミーバル・シルヴァ

 

 エメラルドグリーンの魔方陣がオルトを包み数時間が経過すると、地面から次々と水晶の若芽が生える。そして若芽は凄まじい速度で生長していき水晶の大樹へと成りドーム状の「聖なる水晶樹の要塞」を形成した。

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「おはよう諸君、気分は如何(いかが)かな?」

 

 見知らぬ男が玉座に座っている事に驚くも、その男から漂う新緑にして神秘に包まれた芳香が全ての森妖精(エルフ)を落ち着かせる。

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「落ち着いたかい? 順を追って説明しよう。

 君達を虐げていた愚王は僕(私)が捕らえた、あの男にはこれから地獄が待っている。そして君達は愚王から解放された、君達には二つの選択肢がある。

 一つは新天地を求め旅に出る事、二つは私の国に来て新たな生活を送る事の二つだ。ああ二つ目は強制じゃないから安心して良いよ」

 

 巨樹の値に襲われ気を失い眠りから覚めると見知らぬ男からの発言に混乱していると一人の森妖精(エルフ)が手を上げ口を開く。

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「もし……もし貴方ついていったら何をする事になるのですか?」

「何も」

「え……」

「君達はただ毎日を平穏無事に過ごせば良い。戦いは無い、何せ法国は滅んだからだ、故に訓練も望まなければ無い。君達は各々が望む幸せを享受していいんだ、僕(私)が願うのは君達の安寧だよ」

 

 耳を疑う言葉に絶句していると「君達が住む場所は三ヶ所。先ずは此処、エイヴァーシャー大森林。二つ目は僕(私)の領地、三つ目は元法国であり僕(私)の国となるティル・ナ・ノーグ。どこに住んでも構わない」と説明してくる。

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「本当に、本当に何もしなくても良いんですか?」

「うん」

 

 度重なるオルトの言葉に森妖精(エルフ)達は嗚咽をあげながら涙を流していた。

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「あぁそうだ、これをしておこうか。超位魔法」

 

 エメラルドグリーンの魔方陣がオルトを包み時間が経つと魔方陣は空間に解けていき超位魔法が発動される。

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太古の大樹の癒しヒール・オブ・プライミーバル・シルヴァ

 

 天から神々しい光柱が降り注ぎ、光り輝く『世界樹の葉』が全体に舞い落ちる。すると範囲内に居る全ての者のHP・MPを100%完全回復し、部位欠損や致命的なデバフ(毒・呪い)から解放していく。

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「これ、は……」

「体が軽い」

「水晶の、大樹……」

「古傷が治った?」

「腕が生えた……」

「ふぅ」

「随分と疲れてるな」

「この魔法は色々と疲れるのさ」

「そうか。(つまり連発はできないと、良い情報だな)」

 超位魔法の仕様が変わったのか? なんと言うか、体力が削れる様な感覚がするんだよね。僕(私)にはEXPクリスタルが有るからレベルが下がる事は無い…………まあフレーバーテキストにも『体力を消耗する』とか書いてあったしそれが現実化した。と、みるのが妥当かな。

 まあ無視できる範囲だから問題ないけし、あのスキル使えば疲労感も解消されるから。

 後はもう少し待ってあの超位魔法も使うか…………スキルも使うか。

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「スキル『フォレスト・ベイジング・イン・エインシャント・ネイチャー『エインシャント・ナチュラル・スピリット・インセンス』』。

 スキル『エインシャント・ネイチャーズ・グレイス『エインシャント・ネイチャーズ・ブレシング』』」

 

 スキルを使うと共にオルトを中心点にして円心円状にエイヴァーシャー大森林全域に水晶の若芽が生え急成長していき、遂にはエイヴァーシャー大森林を水晶の大樹が呑み込んだ。そして、水晶の大樹は森妖精(エルフ)達に膨大な祝福(バフ)を与える。

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 あー、しまった。ティル・ナ・ノーグにもこのスキルを使うのを忘れてた。帰ったら使うか。

 

「(ここまでくると驚きすらしなくなるのか)」

「んー、どうしようかな」

「何がだ?」

「森妖精(エルフ)達の対処だよ」

「アンタの国に連れてくんじゃないのか?」

「望む者はね」

「無理強いはしないとか言ってたもんな」

 

 スキルの効果を実感していくと此所に居る全ての森妖精(エルフ)が両手を地面につけ、頭を垂れ代表らしき人物が嗚咽の混じった声で「私達を助けてくださりありがとうございます。私達は貴方様の……偉大なる神王様について行きます」と答えた。

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「そうか、それが君達の望みならその意思を尊重しよう」

 神王……ね、これまた大層な名前を付けてくれるモノだね。

 

「ははは! 神王か! ソイツぁお似合いじゃねぇか、アンタは間違いなく神な領域に立つ森妖精(エルフ)だからな」

「勘弁してよ。ま、取り敢えず国に行こうか」

「はい」

 

 力強い返事を聞き魔法十重化(デカプレットマジック)と分割思考:Ⅴ(パラレル・ソート・プロセッシング)を使った召喚魔法(サモン・マジック)、嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)を召喚する。

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「これらに乗っ……イヤ、馬車にするか。中位道具創造(クリエイト・ミドル・アイテム)」

 

 魔法で製造した豪華な馬車を八十体の嵐を纏う蒼雷獣(ヴォルテックス・アズール・レド)に付けてティル・ナ・ノーグへと向かう。

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「此処が、ティル・ナ・ノーグ……」

「あ、あぁあ……此処が森妖精(エルフ)の理想郷…………」

「此処には既に数百人程の森妖精(エルフ)が住んでいる、君達はその子らから話を聞くといい」

「はい、神王様」

 やはり慣れん、その内慣れるのか? まあいいや、城についたらさっきのスキルを使っておくか。

 

 

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「てな訳で、レインダーカ。君にティル・ナ・ノーグの管理運営をしてほしい」

「いきなり繋いで呼んだと思えば何を言い出すんだもう一人の私(僕)は」

「記憶(記録)の同期は?」

「してある。してあるから知っているが文句の一つくらい言わせてくれ」

「頼むよ、僕(私)って結構忙しいんだ」

「知っているさ、はぁ、まあいい名代(みょうだい)ぐらいはするさ。だがちゃんと手伝ってくれよ? 私(僕)一人では回しきれん」

「ちゃんと手伝うって、だからよろしくね」

「はぁ…………」

 取り敢えずはこれで良し、と。問題はラディとジルか、どう説明しようかな。……まあ……なんとかなるか。

 

 

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「神王なんだって? ピッタリな名称じゃないか、良かったな」

「何一つ良くないよ、王様なんてしたくないってのに」

「自業自得だ、諦めろ」

 

 砕けた口調で和気藹々? と今回起きた事、これからする事を話し合う。

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「僕(私)が王様になったら困るんじゃないの? 帝国の貴族なんだしさ」

「竜王国の王配(おうはい)になった時点で今更だろ」

「……ジル、なんか楽しんでない?」

「こんな事を楽しまずにいられるか」

「全く、僕(私)は冒険者なのに」

「もう冒険者を名乗るのは無理があるだろ」

「嫌だね、僕(私)はどんな立場になろうが冒険者だ、ソコだけは変わらないし変えない」

「お前らしいと言えばお前らしいのかもな。ま、頑張れ」

「嫌だなー」

「法国………ティル・ナ・ノーグだったか? ソコにも名代(みょうだい)を立ててるんだろう? ならある程度は自由が効くんじゃないのか?」

「本当にある程度はね、なんでこうなるかな」

「さっき言ったろ」

「何が」

「自業自得だとな」

「正論過ぎてぐうの音も出ない」

「だろう?」

「でも仕方ないじゃん、法国も、デケムって奴もド外道なんだから滅んで当たり前だよ」

「法国はアレでよく人類の守り手を名乗れていたな」

「アイツらにとってあのやり方が人類の守り方だったんだろうね、やってる事は外道だけど」

「叡者の額冠? だったかよくあんなモノを作ったな、アレ程理解できんアイテムはない」

「あの国にとってそのアイテムに選ばれる事は名誉ある事らしいね」

「理解できんな」

「本当にね」

「それで? 竜王国の方はどうなった」

「数は減ったけど契約に応じたよ」

「応じさせたの間違いじゃないのか?」

「まさか、平和的解決だよ」

「ククク、そうか、ならそうしておこう」

「これからどうしよう…………ローブル聖王国の事忘れてた、彼処(あそこ)に行くのが目的だったのになんか凄い遠回りしてる気がする」

「大分遠回りしているな」

「だよねー」

 

 後頭部に手を置き体を反らしながら愚痴を溢す。

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「しかしこれでお前に教職を頼む事が不可能になったな」

「それ諦めてなかったんだ」

「当然だろ、お前程魔法を極めた者はおらんからな」

「ナザリックって連中が居るじゃん」

「あんなのを呼べるか」

「ま、だよね」

「次はローブル聖王国か、いつ行くんだ?」

「………その内行く」

「行けると良いな」

 

 深いタメ息を吐き「ゆっくり休みたい」とまた愚痴を溢す。

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「じゃあ僕(私)は領地に行ってくるよ」

「何かあるのか?」

「ディラシグに呼ばれててね」

「そうか」

 

 また一つ、タメ息を吐いて腰を上げて転移(テレポーテーション)で姿を消す。

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「……トールと付き合っていると転移(テレポーテーション)ですら可愛く思えるな」

 

 その呟きは誰にも聞かれる事なく消えていった。

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「やあディラシグ、何か用?」

「はいコレ、読みなさい」

「ん? …………何コレ」

「軍への志願者よ」

「こんなに?」

「ええ」

「なんで」

「法国との戦争、私(僕)が水晶の画面(クリスタル・モニター)で領地各所に映し出してたのよ」

「何してくれてんの君は」

「森妖精(エルフ)にとって法国は仇敵だもの、その行く末を見たいと思うのは当然の事でしょう?」

「それはそう。で、その結果がコレと」

「良かったわね」

「何が」

「戦力が増えるじゃない」

「別に戦力は求めてないんだけど」

「皆貴方の力になりたいのよ、喜んで受け入れなさいな」

「ぐぬぅ」

 

 肩を揺らして笑いながら「私(僕)自身であるとはいえ困ってる姿を見るのって面白いのね」と言ってきた為、「君も忙しくなるのにいいのかい」と嫌みったらしく返すと「私(僕)にそこまでの権限はないもの」と戻ってくる。

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「それで? ティル・ナ・ノーグの事はどうするのかしら」

「此処と繋げる」

「どうやって繋げるのよ」

「その当たりは僕達(森妖精君主)の得意分野でしょ? 後はレインダーカにも手伝ってもらう」

「転移門の鏡(ミラー・オブ・ゲート)は使わないのかしら」

「勿論それも使うさ、それだけだと色々と不便だからね」

「森林間の移動ね」

「うん、森妖精(エルフ)しか通れない条件付けができれば尚良し」

「そんな事ができるとは思えないのだけれど」

「フレーバーテキストが現実化したんだ、僕(私)の持つ移動系の魔法の中にはそう言った事が書かれたモノがあるし実験ではあるけどやってみる価値はある」

「そう、頑張りなさいな」

「君はいいよね、斥候(スカウト)系ビルドだから」

「そうしたのは私(僕)達じゃない」

「ぐうの音も出ない正論は時に人を傷つけるんだよ」

「あはは! でもお陰でできる幅が広がってるのも事実、マイナスだけじゃないわ」

「そうだね」

「それでどうするの?」

「何が」

「軍人志望者よ」

「試験をして適性ごとに振り分ける」

「前衛、中衛、後衛。後は?」

「生産系かな」

「ポーションね」

「有って損はしないからね、その辺りはディラシグの職業(クラス)看破で見つけてよ」

「了解、後は生まれながらの異能(タレント)ね」

「ソレは僕(私)達じゃどうしようもないさ」

「あぁそうそう、その事で言う事があったのよ」

「言い知らせ?」

「ええ、言い知らせよ。貴方の弟子が言うには『タレントを調べる魔法』ってのがあるらしいわよ」

「へぇ、それは良い事を知れたね。で、その魔法が使える子はどこに居るんだい」

「さあ、知らないわ」

「じゃあ意味のない話だね」

「だから今元学友や請負人(ワーカー)仲間を探してるらしいわよ」

「よくやるねあの子も」

「貴方の力になりたいのよ」

「それさっきも聞いた気がするね」

「あはは、そうね。でも貴方の力になりたいのは事実よ、貴方は貴方のカリスマ性を自覚しなさいな」

「へいへい」

 

 今回の事で起きた領地の出来事を共有し、軍の志願者用のテストを二人で作る最中に「それでさ」と、いきなり声を掛け「何かしら」と返すと「その生まれながらの異能(タレント)を調べる魔法とやらはどの分類?」と聞き「確か精神系と言っていたわね」と返ってくる。

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「精神系……精神系か、じゃああの子ならできるかもしれないのか」

「あの子? ………あぁ貴方が法国から連れてきた占術系統のまほうを修めた子?」

「うん、漆黒聖典の一人だからね、帰ったら聞いてみるか」

「アルシェって子が連れてきたらどうするの?」

「勿論その子も雇えるなら雇う」

「そうね」

 

 会話は終わり、書類仕事をやっつける事に専念した。

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「てな訳でネシス、君は生まれながらの異能(タレント)を見つけられる?」

 

 いきなり帰ってきて突拍子もない事を言われ慌てるが「はい」と短く答える。

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「それは良かった、君に仕事ができたよ」

「ぇ、な、何をするんですか?」

「イヤそれがね、僕(私)の領地の大勢の森妖精(エルフ)達が兵士に志願してきてね、その中に生まれながらの異能(タレント)持ちが居るかどうかを調べてほしいんだよね」

「じゃあ私はお役御免かな?」

「んな訳ないでしょ、時間を見つけて教師をしてもらうよ」

「手心くらいくれても良いんじゃないかな」

「駄目、君ってすぐ仕事サボるじゃん。

 それに君の趣味も兼ねてるんだから問題ないでしょ」

「私って結構忙しいだよ?」

「現状ナザリックに攻めてくる連中はいない、君の仕事も大幅に減っている筈だ。少しは手伝いなよ」

 

 僅かに沈黙し「それでも私にできる事は少ないよ? それでも良いのかい?」と聞かれ「それで構わない、この子に職業(クラス)を習得させるのに使ってるのは僕(私)が作った魔術書を使ってるんだし」と返す。

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「まあ確かに………ん? そう言えば君って精神系統を修めた『体』があると記憶してるんだけど」

「あるね」

「じゃあ君が教えた方が効率良いんじゃない?」

「…………そうだね、一理ある」

「じゃあお役御免って事で」

「はぁ、ある程度は手伝ってよ」

「OKOKある程度は手伝おう」

「後で部屋(エリア)に行って魔術書見繕うか」

 

 

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 ━━━

 

 

「ネシス、はいコレ」

「コレは?」

「僕(私)が習得してる精神系の魔法が書かれてる魔術書、そこに載ってる方法をすれば職業(クラス)を習得できる。此処で生きていきいくのには僕(私)達に価値を示さないと生きていられない、死に物狂いで覚えるんだ」

 

 恐ろしい事を真顔で言われ気圧されながらも「は、はい」と真剣に答える。

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「(…………見た事もないモノばかり……でも、これを習得できれば私は強くなれ、る。……此処で強くなってどうするの? こんな化け物の巣窟で……)」

「こんな所で強くなるのは嫌かい?」

「! それ、は……」

 

 図星を突かれ言葉を失いどう返事をするか悩んでいると「君の気持ちも分かる、何せ化け物の巣窟だからね」と言われ、続けて「だからこそ強くなって僕(私)の領地にくるんだ、そうすれば此処から出る事ができる。

 此処で腐るか、外に出て役に立つかの二者択一だどちらを選ぶ?」と告げられる。

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「わた、私は………」

 

 目を強く閉じ考え「貴方がアーラ・アラフ様である事は事実です、でも此処が怖いのも事実です。でも此処で過ごし、貴方の力にもなりたいです」と答える。

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 またどこかで聞いた事を言うね、流行ってるのかいソレ。

 

「じゃあまあ頑張ってよ」

 

 

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「やあもう一人の僕(私)、調子はどうだい」

「さっき確認してきたよ」

「どうだった?」

「オーバーだ、種族『褪せ人(あせびと)』のレベルは『15』、『侍』のレベルは『10』まで上がった。そして『戦士(ファイター)』のレベルが『1』になっていたよ」

「良いね、その調子でやっていこうか」

「戦士(ファイター)をレベルアップさせていけば騎士(ナイト)にもなれるかもね」

「クレンが言うにはレベルを0にしても感覚的にスキルが使えると言ってたからその辺りも踏まえて育てようか」

「そう言えばそんな事言ってたね、じゃあ僕(私)は行ってくるよ」

「君のレベルアップ次第では僕(私)の『体』が大幅に強くできるからね」

 

 その言葉に「違いない」と返し人間のオルトはエルデンリングの世界(ワールド)に向かう。

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「本当にカンストオーバーしたんですか!?」

「したね、褪せ人(あせびと)はアンデッドじゃない。人間種だ」

「褪せ人(あせびと)は人だから人間種……なんですかその言葉遊び」

「実際にこの世界はそう判断して認識してるし、ある意味では仕様の穴ってヤツかな」

「世界の仕様の穴、ですか」

「もしこれが亡者ならアンデッドだったろうね」

「亡者って確か同じシリーズに出てくる種族ですよね?」

「うん、所謂過去作だね。どっちも死にゲーだけど」

「『死んで覚えろ』でしたっけ」

「アレは本当に酷かった、初心者お断りなゲームだよ。その代わりハマったら沼に落ちるけど」

「ユグドラシルで例えるならどんな感じになるんですか?」

「レベル1でレベル50のモンスターをソロで倒せって感じ」

「えぇ………なんですかその理不尽なゲームは」

「理不尽だよねー、それでも楽しかったんだよ。自分で攻略法を探して見つけて結果を出した時の脳汁はドバドバだよ」

「…………楽しかったんですか?」

「……うん、楽しかった。あの時はいい時代だった……世界は荒んでいなかった、青空、曇り空、雨空。

 ……あの時代は本当に美しかった、だからこそ僕は抗った、それでも時代の趨勢には勝てなかった。だから僕は生き延びる事を選んだ、上に立てる様に奮起した」

「そして上に立つ事に成功した?」

「なんとかね」

「オルトさんって何歳なんですか? いつ生まれたんですか?」

 

 その質問に数分沈黙し「西暦2000年、ミレニアムだ。その当時は『ミレニアムベビー』とか言われてたよ」と答えた。

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「西暦、2000年? でも、今は……」

「電脳化技術の確立、義体化技術の確立、その全てに関わった。そして僕はすぐに電脳化したよ、立場を利用して一番最初にね」

「立場を? もしかしてオルトさんって……」

「僕のリアルでの名前は■■■■■。

 電脳化技術の第一人者で、義体化技術の第一人者でもある、それが僕だ。

 僕が電脳化したのは60歳の頃、2060年だね。すぐに電脳化して義体化技術を押し進め、確立させ、そしてすぐに全身義体化した。

 ……当時は電脳も義体もお粗末なモノだった、だから常に最新のモノを作り続けて新しいのができる度に換装した、僕はそうして延命し続けた。

 間違った事をしたとは思っていない、と言うより義体化技術が確立された時には既に世界が荒んでいた、最低限の義体化ができないと生きていけない程にね」

「オルトさんは抗ったんですか?」

「僕は僕のアーコロジーを造り上げ家族や親戚、社員に社員達の家族、そして友人や僕に賛同してくれた人達。彼らを集めに集めアーコロジーを造り上げた」

 

 震える声で「アーコロジーNo.はいくつなんですか」と絞り出し「……アーコロジーNo.Ⅷ、通称楽園のⅧだよ」と答える。

 ━

「! 唯一……巨大複合企業に屈しなかったあの巨大企業があるアーコロジー……」

「アイツらの事大嫌いだからね、自分達で壊しておいて国を呑み込んだ連中だ、好きになる理由がない。

 ………何度も潰そうとしたけどできなかった、複合企業と名乗るだけはある。僕だけじゃ奴らの一部を削ぐしかできなかった」

「削げたんですか?」

「ほんの少しね」

「それだけでも充分じゃないですか」

「削ぐ間に多くの人達が散っていった、そして散ろうとする人達も多くいた。だからそういった人達を協力者を通して何人も僕のアーコロジーに移したんだよ」

「オルトさんのアーコロジーに?」

「ウルベルトくんもその一人だね、彼は巨大複合企業に喧嘩を売ったからね」

「ウルベルトさんってそんな事をしてたんですか!?」

「してたねー、危うく連中の手が届くとこだったよ。ああそれとウルベルトくんは大丈夫だよ、僕の所に来てもらったからね。後は彼もだね」

「彼?」

 

 名前を言おうとした時、オルトがピクリと何かに反応し「ちょっとごめんね、レインダーカが呼んでるから向こうに行くよ」と伝え、続けて「この話はまた今度ね」と区切りRoAOGを使い姿を消す。

 ━

「急に呼び出してどうしたのさ」

「これを見ろ」

 

 差し出された書類には『自分ができる事がしたい』といった旨が書かれた書類だった。

 ━

「…………えぇ」

「ギットゼンでも同じ事が起きたんだろう?」

「そうだね、こっちはなんで?」

「ディラシグから借りて録画を流した」

「何してくれてんの君は」

「私(僕)達の正当性を知らせるのに一番手っとり早いんだ、やるに決まってるだろ」

「正論パンチやめてくれるかな」

「で、その結果がそれだ。諦めろ」

「マージでかー、今更兵士を編成しても意味ないんだよねー」

「それは分かってる、分かってるがなったモノは仕方ないだろ」

「本当にどうしよう」

「ローブル聖王国とやらに連れていけば良いんじゃないのか?」

「そこまで強くない子達を?」

「無駄に死なせるだけだな」

「助けたのにそんな事したら意味ないから連れてかない」

「だが連れていけばティル・ナ・ノーグの戦力を知らしめる事ができると思うが」

「あー、んー………一理ある、あるけど躊躇われるね」

「私(僕)達が守れば良いだけの話だ」

「確かに」

「ああそれとコレも見とけ」

 

 少しの沈黙。その後に出てきた言葉はや「完全に王様になったね」とボヤく。

 ━

「帝国及び竜王国からの新たな国家として承認し、ギットゼン領はティル・ナ・ノーグの直轄領になった。良かったな」

「良くない良くない何一つ良くない」

「何故だ、彼処(あそこ)がティル・ナ・ノーグの領地になれば色々と楽になるだろ」

「うんまあそうなんだけどさ、なんか、こう……なんかなぁ!」

「諦めて王になれ」

「僕(私)は冒険者だ」

「冒険者兼領主から冒険者兼王配(おうはい)になって冒険者兼王になっただけだ、治める範囲が少しばかり増えただけで問題は……少しあるな。領主をやらせる者がいない」

「それこそ志願してきた子達の中から向いてそうな子を領主にすれば良いさ」

「裏切られる可能性は0だしな」

「神王とか言ってるからね、あれはもう崇拝だよ」

「ナザリックNPCと大差ないよな」

「無さすぎてマジで困る」

「重要書類以外は私(僕)がやる、重要書類は君がやれ」

「…………分かったよ、こっちにも生まれながらの異能(タレント)所持者がいるかどうかを調べないとね」

「生まれながらの異能(タレント)を調べる魔法か」

「一人は既に確保してる、できれば後三人は欲しいよね」

「ギットゼンに二人、ティル・ナ・ノーグに二人だな」

「最低でその人数、贅沢を言えばもっと欲しい」

「四人じゃ少ないからな」

「生まれながらの異能(タレント)所持者が分かる生まれながらの異能(タレント)とかないかな」

「可能性はあるんじゃないか? 生まれながらの異能(タレント)はなんでもアリなんだろ?」

「みたいだね、戦闘に役立つモノ、生活に役立つモノ、なんにも役に立たないモノ。なんでもアリだ」

「ま、ゆっくりやればいい」

「……そうだね」

「なあ」

「何?」

「ギットゼンはティル・ナ・ノーグの領地になった」

「うん」

「領地名を変えるか?」

 

 手で口を覆い「そうだね、ケルト神話から持ってくる?」と聞き、「北欧でも良いんじゃないか?」と返され「北欧か……なんかあったかな」と呟く。

 ━

「リョースはどうだ」

「北欧神話の?」

「そうだ、リョースアールヴからとってリョース。アールヴではアールヴヘイムと混同するからな、後は.hackのリョースからだな」

「…………そうだね、.hackからとってグリーマ・レーヴにしよう。初めての領地だしね」

「なんだ、大聖堂でも作るか?」

「それも良いね」

「しかしロスト・グラウンド(喪失の地)を名付けるかね、分割するか?」

「グリーマとレーヴに?」

「その方が色々と楽じゃないか?」

 

 口を手で覆い「そうだね、グリーマにしようか」と返し「その内レーヴも作るか」と聞かれ「その内ね」と答えた。

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「ならグリーマ領の領主は誰にやらせる」

「このままディラシグにやらせる」

「それが妥当か」

「君にはその内どっかの領主やってもらうからね」

「良いのか? それだと此処はお前がやらんと回らんぞ?」

「優秀な副官とか宰相とか見つけて育ててやらせる、君が言った通り裏切りは皆無。安心して任せられる」

「育つのにどれだけ掛かるんだろうな」

「育つまでは君がやって」

「結局そうなるか」

「当たり前じゃん、君しかいないんだから」

「こんな事になるなら森妖精(エルフ)の『体』をもっと造っておくべきだったな」

「そんなの四人(・・)で充分だと思うじゃん、それにこの種族にするの面倒だったし」

「違いない」

「……誰かを森妖精(エルフ)に……したところでか」

「人間の僕(私)とかな」

「人間の僕(私)にはしてもらう事があるから無理」

「夢のカンストオーバーか?」

「うん」

「だが褪せ人(あせびと)も人なんだろう? その後に森妖精(エルフ)にすれば問題ないんじゃないか?」

「種族変更のWI(ワールドアイテム)にも限りがあるし」

「僕(私)達はたらふく持ってるじゃないか」

「うんまあそうだね」

「その辺りはお前が考えとけ、最終決定権はお前にあるからな」

「面倒くさいなー」

「自業自得だ」

「ぐうの音も出ないからやめて。……なんかムシャクシャしてきたから久しぶりに依頼(クエスト)受けてくる」

「そうか」

「僕(私)が見る書類はコレだけ?」

「今のところはな」

「じゃあ帝国に行ってくる」

「今は存分に遊んでこい」

「そうするよ」

 

 最後に言い残すと転移(テレポーテーション)で帝国に向かった。

 ━

「今更だが自分同士で話し合うのは笑えてくるな」

 

 

 ━

 

 ━━

 

 ━━━

 

 ━━━━

 

 

「やあ久しぶり、なんか依頼(クエスト)ない? なんでもいいから」

「でしたら最近近隣の森に現れたギガント・バジリスクの討伐をお願いしてめよろしいですか?」

「雑魚しかいないか、まあ良いや。それ受けるよ」

「(ギガント・バジリスクを雑魚……この人が可笑しいのかアダマンタイト級冒険者なら簡単に倒せるのかどっちなのかしら)では依頼(クエスト)受注を進めます」

「よろしく」

 

 

 ━

 

 ━━

 

 

「あんた一人でギガント・バジリスクを倒しに行くのか?」

「あの程度なら僕(私)だけで充分だからね」

「慢心してると死ぬぞ?」

「ははは、可笑しな事を言うね。

 僕(私)が慢心? 純然たる事実を言ったまでだよ」

「(それを慢心って言うんだが、ついてくか?)なんならーー」

「そうだぜ兄(あん)ちゃん、ギガント・バジリスクの難度は83。一人で倒せる様なモンスターじゃねぇ、オリハルコン級の冒険者がパーティ規模で漸く倒せるモンスターだ」

「そうよ、考え直した方がいいわよ」

「トール様、お待たせしました」

「じゃあねお人好しの誰か達」

「大丈夫なのか?」

「見ねぇ顔だなお前さんら帝国に来たのは初めてか?」

「ん? そうだが、それがどうかしたのか」

「さっきの奴はアダマンタイト級冒険者、花樹の恵(かじゅのめぐみ)のリーダーのトールだ。ギガント・バジリスク程度なら一人で問題ない」

「あの森妖精(エルフ)が花樹の恵(かじゅのめぐみ)のリーダー!? マジかよ」

「噂では数万年生きてるらしいぞ」

「森妖精(エルフ)の寿命はよくて千年じゃないのか?」

「さっきの奴は特殊な森妖精(エルフ)らしい」

「どんだけ強ェ(ツェ)のか興味が出てきたな、隠れて見に行くか?」

「やめとけやめとけ、次元の違いを見せつけられて心が折れるぞ」

「そんなにか?」

「四人パーティーで竜(ドラゴン)の頭を持ってくる様な奴らのリーダーだからな」

「竜(ドラゴン)!? ソレ別の意味でヤバくねぇか?」

「なんでも自分だけが知る竜(ドラゴン)の巣に行ったらしい」

「ははは……次元が違う奴ってのはマジでいるんだな」

 

 色めき立つ冒険者達を尻目に依頼(クエスト)に向かう。

 ━




 何度も書き替えてて今更ですが『太古の森妖精の君主(プライミーバル・エルフソヴリン)』は種族なのか職業(クラス)なのかが分からない。

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 ご都合主義万歳

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 遂にオルトくんの秘密が!?

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 なんか昔に森妖精(エルフ)は三人って書いた気がする、見つけたら変えとくか。
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