星雲からの使者   作:完全にわかのバカ野郎

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 上位ならこれくらいで倒せる。倒せてくれないと困る。


八十話

「なあ」

「使ってない」

「となると現実化の影響か?」

「かもしれないね」

「決壊(バースト)、あり得る可能性がでてきたな」

「予想外の出来事だね、どうする?」

「ジルクニフに言った以上どうしようもないだろう」

「だよね」

 

 意味深な会話のやり取りをし二人同時にタメ息を吐く。その後、全員を呼び龍(ドラゴン)を解体して、そのまま古代樹の森に居るモンスターを討伐してから来た道を通り帰る道すがら今の竜(ドラゴン)の話になる

 ━

「トール、今のはなんだ」

「今のは『鋼龍』或いは『風翔龍』と呼ばれる古龍(エルダードラゴン)のクシャルダオラ、見た目通り外皮が硬く並大抵の武器じゃ斬る事すらできない龍(ドラゴン)。僕(私)達なら倒せるけど君達はどう足掻いても勝てない龍(ドラゴン)だよ」

「古龍(エルダードラゴン)……だと……。ここはそんな竜(ドラゴン)も出てくるのか……」

「稀にね」

「稀でも出てくるのか」

「なあトールの旦那、一つ聞きたいんだが何故この巣に居る竜(ドラゴン)が外に居たんだ?」

「さっきも言ったけど本来は此処に来る為には鍵が要る、その鍵をちゃんとした手順で使えば捕獲して外に連れ出す事ができるんだよ」

「それは今戦った竜(ドラゴン)もできるのか?」

「生きたまま捕獲できればね」

「躾る事は?」

「特殊な技術が要る」

「可能ではあるんだな?」

「一応ね、でも君達には無理だよ、せめて難度120以上の竜(ドラゴン)を倒せる様にならないと」

「さっきの竜(ドラゴン)の難度はいくつだ」

「さっきのは140前後」

「140前後か、化け物だな」

「俺の時に出てきた竜(ドラゴン)の難度は?」

「ジルが見た竜(ドラゴン)は160以上、あの時は四人で難度(レベル)の平均値が高かったからね」

「あの時の竜(ドラゴン)より弱いのか」

「今回は人数が多い分難度(レベル)の平均値が低いからね」

「アレでも弱い部類だからな」

「アレが弱い!? あんな化け物が弱いと言うのか……」

「同じ個体でも個体ごとに強さ(レベル)が変わるんだよ」

「地獄だな」

「まだマシな方だよ」

「強ければ私(僕)達ですら手を焼くレベルの竜(ドラゴン)が出てくるからな」

「次元が違いすぎて理解を超えたよクソッたれ」

「でも一つ僕(私)達にとっても予想外の事が起きた」

「このパーティーの平均難度は140前後、であれば出てくる竜(ドラゴン)もその程度の竜(ドラゴン)だ」

「それなら丁度適性じゃないのか?」

「出てくる龍(ドラゴン)が異常なんだよ、此処にクシャルダオラが出てくる事自体が可笑しいんだ、間違いなく竜(ドラゴン)の巣に異変が起きてる」

「決壊(バースト)の可能性が確認された訳か」

「そ、危機感を持って行動しようって訳」

 

 タメ息を吐き「そうだな」と呟くと「決壊(バースト)の時にナルガクルガみたいなのが出てくれば僕(私)か僕(私)の所の精鋭を派遣しないと倒せる、でも強い個体のクシャルダオラレベルだった場合は僕(私)かレインダーカじゃないと倒せない」と言うと「待て、お前の兵士はアダマンタイト級に匹敵するのか?」と聞かれ「最大でね、ティル・ナ・ノーグでは早い段階から『門』の不活性化させる為に兵士を投入してたんだよ、意味なかったけどね」と答える。

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「不活性化とやらはどうやっていたんだ」

「定期的に門に入って門の中に居る全ての竜(ドラゴン)の討伐するんだよ。

 そうすれば魔力が外に出る、その結果が僅かではあるけど不活性化させられる」

「何故今言うんだ」

「忘れてた」

 そうならないと思ってたけどどうやらその可能性がマジであり得る様になった、フレーバーテキストが現実化した事を喜んでたけどまさかこうなるとはね、困った。

 

「重要な事を忘れんでくれ。しかしさっきの行動はそういう事か」

「活性化に気を取られすぎたね」

「まあいい。で、だ。ティル・ナ・ノーグの兵士、それも精鋭部隊の難度はいくつだ」

「低くて60、高ければ90前後だね」

「低くてもミスリル級で上はアダマンタイト級とか化け物じゃねぇか」

「門の不活性化する為に門に行かせてたからね、当然強くもなるさ」

「そんな事をしていたのか」

「見つけてすぐね」

「一つ確認したい」

「何?」

「弱い竜(ドラゴン)の難度、どの等級の冒険者が勝てる」

「弱い奴は銅(カッパー)級でも倒せるよ、さっき言ったけどパーティーの平均値の竜(ドラゴン)が出てくるし」

「それを聞けて安心したよ」

「その辺りがドス・ランポスだな、奴らは竜(ドラゴン)ではなく鳥竜種(ちょうりゅうしゅ)と呼ばれている」

「区分が違うのか」

「竜(ドラゴン)にも種類があるんだよ、さっきゾロゾロと居た奴ら、アレらがランポスで鳥竜種(ちょうりゅうしゅ)だね」

「奴らもそれなりに強かったと思うんだが……」

「このパーティーの平均値がそれなりに高いからね」

 

 頭を搔き毟り「一先ずは安心材料があって助かったな」と呟く。

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「それでも僕(私)達でどうにかするしかないかな」

「門の不活性化には次第バジウッド達を行かせる、フールーダが抜けるのは……イヤ、フールーダも行かせるか」

「その時は僕(私)のところの兵も同行させよう、あの子らはまだ弱いから連れていけば平均値が下がって安全に竜(ドラゴン)を狩れる」

 まあ精鋭はレベル30超えたから連れていかせられないけど。イヤまあ雑兵? でもレベル20超えだからまだマシ……の前にコイツらのレベルはいくつなんだ? 

 

「君達の強さ(レベル)はどれぐらい?」

「自分で言うのもアレだが大体オリハルコン級の上位ってところだな」

「オリハルコン級………」

 んー、となるとレベルは20から25辺りか? そこまで強くないな、僕(私)の所の精鋭の下限と同じくらいか? 

 

「忌憚なく言わせてもらうけど強くないね」

「アンタらに比べればそりゃ弱いだろうよ」

「僕(私)基準じゃないよ、兵士としての強さ(レベル)だよ。せめて僕(私)の所の兵士より強くないと」

「英雄級と比べんでくれ」

「さっきの龍(ドラゴン)は当然例外中の例外、だからあんなのが出てくる事はまずないよ。

 とはいえそれ以下の、ジルの時に出てきた竜(ドラゴン)が決壊(バースト)時に出てくる可能性はある」

「俺の時に出てきた竜(ドラゴン)はどうなんだ、適性なのか?」

「あの時は適性だね。あの時は四人で平均値も高かったからね」

「アレが適性か。(トールは知っているから驚かんが、レインダーカとか言う奴の強さ(レベル)はトール並みに高いと言う訳か)同じ強さ(レベル)のパーティーじゃないと死ぬ訳か」

「まあそうだね」

 

 項垂れタメ息を吐き「問題だらけだな」と呟く。

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「合鍵でも作るか?」

「あー、そうすれば調節できるのか」

「合鍵が作れるのか!?」

「一応は、だけど」

「時間が掛かるのか?」

「一つ作るのに早くても半年は掛かる、何せ秘宝(WI)だからね」

 イヤまあ合鍵を造る前提のWI(ワールドアイテム)だから造ろうと思えばすぐに造れるんだけど、それじゃあ危機感を抱かないか、危険度を低く見積もるかになるから仕方ないね。

 

「早くて半年か……だが合鍵を作れば中の難度の調節が可能となり、入る場所を決める事ができる。冒険者の適性の合った巣に行ける」

「半年も待てればね」

「そこが課題だな」

「だから強く(レベルが)ないと門の中では生きられない、すぐに死ぬよ」

「………なあトール」

「何?」

「俺達はどうすればいい」

「強くなる。それだけだよ。

 だから強くなってよ、何もクシャルダオラレベルの龍(ドラゴン)を倒せとは言わない、土台無理だからね。

 でもナルガクルガ程度の竜(ドラゴン)を簡単に倒せるくらいに強くなってほしい」

「その為にはお前の所にある門を使えと?」

「そうだね、帝国三騎士である君達が一人ずつ精鋭部隊に同行して強くなる。これが一番手っ取り早い、後で教練書をあげる。

 それを基に職業(クラス)を得るんだ、できるね?」

「強くならねば世界が滅ぶ」

「クシャルダオラレベルの龍(ドラゴン)が出てこればね。だから掃討し続けて不活性化に成功させて門の出現を無くす、或いは軽減させられる事に賭けるしかない」

「やらなければならないと言うわけですね?」

「僕(私)はそう考えている。いくら質が良くても数には敗けるんだよ、下手をすればどこかの国が滅ぶ」

「真っ先に滅ぶのは王国だろうな」

「まあそうだよなぁ、あの国は腐ってるからな」

「それにあの天使(エンジェル)の魔法によって数万もの兵士が死んだ」

「アレを死んだと言っていいか分からないと思うが」

「言葉通り消滅したからな」

「悍ましい魔法ではありませんが、心底恐ろしいと思いました」

「ああ、あれ程恐ろしい魔法はない」

「今は関係ないんだから考えなくていいって、目先の危険を見る。いいね?」

「そうだな、その通りだ。

 フールーダ、バジウッド、ニンブル、ナザミ。お前達にティル・ナ・ノーグへの出向を命じる、だが一人ずつローテーションを組んでだ、帝国の戦力を削ぐわけにはいかんからな」

「ああそうだ、一つ言う事がある」

「まだあるのか」

「今クシャルダオラが出てきたから活性化が僕(私)の想定以上に進んでる、たがら門が開くまでの期間が早まった」

「…………どれぐらい早まった」

「上火月(じょうかげつ(7月))中旬から下火月(げかげつ(9月))中旬だな」

「三ヶ月も早まったのか」

「今僕(私)が持ってる合鍵を渡しておくよ、いくつか有るからね」

「助かる」

「不活性化の為なら構わんさ」

 

 そして『門』の事で話し合い、どうするかを煮詰めていく。

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 [雪がちらつく上水月(じょうすいげつ(1月))上旬に森妖精(エルフ)の理想郷であり神王トール・インシュリフト・オーリウ=ダナーンが『ティル・ナ・ノーグ郷(きょう)国(こく)』の建国を宣言。それに対し竜王国女王ドラウディロン・オーリウクルスがいち早くティル・ナ・ノーグを新国家として承認し、それに続きバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスもティル・ナ・ノーグを新国家として承認した。

 しかし先の戦争にて疲弊している王国は沈黙。事実上の不承認だったが、この日を以て『ティル・ナ・ノーグ郷国(きょうこく)』は正式に国家となった。そして同時にトール・インシュリフト・オーリウ=ダナーンは法国が隠し続けていた竜(ドラゴン)の巣を公表、及び他国に対し不活性化の協力要請。

 これを聞き帝国、竜王国は竜(ドラゴン)の巣の不活性化の協力を受託。協力体制を整える為に三ヶ国会談が上水月(じょうすいげつ(1月))下旬にティル・ナ・ノーグにて行われる事が決まった]

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「集まったなはいいが……どうする?」

「竜王国はトールのお陰でビーストマン問題は解決した、手を貸す手筈は整ってるぞ」

「二人には頭が上がらないな」

「何を言うかと思えばそんな事か、先に助けられたのは私が先じゃないか。それにトールは私の夫だからな、国が変わろうができようがその事実は変わらん」

「俺はお前との関係が続く事こそが国家安寧の為になる……と言う発表してはいるがそれはあくまで王としてのモノだ。

 俺は俺個人の感情が大きい、お前は俺の大事な友人だからな」

「だとは言え本当に助かるよ、ありがとう。

 さて、本題に入ろうか」

「うむ」

「ああ」

「僕(私)が考えている計画はーー」

 

 会議は問題なく進み、話題は煮詰まり最後の仕上げになった。

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「現状ではその方法しかない……と」

「俺が見た竜(ドラゴン)、ナルガクルガ……だったか? あんなのが外に出てこればトール以外の国は確実に滅ぶからな」

「ジルの言う通りティル・ナ・ノーグの兵士はどこの国より強いと自負しているよ」

「難度90の竜(ドラゴン)を倒せるんだろう?」

「精鋭部隊の一部だけどね」

「トールよ、それでも充分だと思うんだが」

「この程度で胡座をかいてちゃ駄目なのさ」

「『鋼龍』……か」

「先程言っていた古龍(エルダードラゴン)か」

「竜(ドラゴン)の巣にはそういった竜(龍)も出てきてね、まあでも滅多に出てこないから警戒しなくてもいい良いよ。

 それでも難度100前後の竜(ドラゴン)が蔓延ってるけどね」

「その古龍(エルダードラゴン)は出てこないかもしれないが俺が見た竜(ドラゴン)、ナルガクルガは難度160の竜(ドラゴン)だ、つまり運が悪ければ160以上の竜(ドラゴン)が出てくる可能性もある訳だ」

「お前達は何故そこまで落ち着いていられるんだ、難度160以上の竜(ドラゴン)だぞ。

 そんな竜(ドラゴン)が外に現れれば国が滅ぶんだぞ!」

「そうならない為の会議だ、決定した事を再確認するがいいな?」

 

 二人は首肯をもって返した。

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「竜(ドラゴン)の巣、不活性化へ向けて週に一回。フールーダ及び帝国三騎士、そして竜王国精鋭部隊から一人或いは二人までをティル・ナ・ノーグに派遣。ティル・ナ・ノーグの精鋭部隊に同行し、竜(ドラゴン)の巣の中に居るモンスターを掃討作戦を決行。異議はあるか」

「異議なし」

「私もだ」

「両名賛成により決定とする。各々帰り次第準備を」

「僕(私)は既に整ってる、いつでも行けるよ」

「それは何よりだ」

「私も帰り次第準備をする二週間程待ってくれ」

「了解」

 

 話しは決まりドラウディロン、ジルクニフはティル・ナ・ノーグの会議室に置いてある転移門の鏡(ミラー・オブ・ゲート)を使い自国へと帰る。

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 はー、想定外の事が起きたけどこれで少しでも面白くなれば良いな。以前の想定より高いから死者が出るだろう危険性は増した、それでもこれで冒険者が対モンスター用の民間傭兵・便利屋から脱却させられるかもしれないし、やる意味はあるかな。あるのかな? あってほしいな。

 

 

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「前々から言ってましたけど本気でやるんですか? てっきり冗談だとばかり……」

「本気だとも、冒険者が対モンスター用の民間傭兵・便利屋なんて寂しいじゃないか。冒険者とは冒険をしてなんぼでしょ? 

「それは俺も思ってましたけどいくらなんでも竜(ドラゴン)犇めくモンスターハンターの世界(ワールド)を開くなんて」

「一番それっぽいからねモンスターハンターの世界(ワールド)を選んだんだけど、後は現実化した影響で門から竜(ドラゴン)が出てくる可能性が発生したね」

「それ大丈夫なんですか!?」

「それを今どうするか考えてる、なのでモモンガくんも手伝ってね」

「当たり前ですよ、開く世界(ワールド)を間違えた…………とも言えませんね。

 .hackの世界(ワールド)はザ・ゲームな世界(ワールド)なのでマシですけど、現地人に違和感を覚えられたら困る」

「.hackの世界(ワールド)を出すなら僕(私)の国からしか行けない様にするか、専用の魔法道具(マジックアイテム)とか言ってカオスゲートを設置するかだね」

「そうですね、フロム世界(ワールド)は地獄そのもの……なのでフロム世界(ワールド)が決壊(バースト)したら目も当てられませんもんね」

「でしょ? だから一番良いのはモンスターハンターなのさ、それに下位の竜(ドラゴン)でも倒せる様になれば市場が潤う。市場が潤えば金は国々を回り豊かになる………かもしれない」

「竜(ドラゴン)の素材ですか、市場が崩れません? それに竜(ドラゴン)だけに冒険者が取り掛かれば他のモンスターに目が向かなくなって街がモンスターの脅威に曝されるんじゃ」

「その辺りは合鍵を作っては規制しようかなって、まあ銅(カッパー)級でも倒せる竜(ドラゴン)も居るから別にいいんだけどね」

「オルトさんにしてはザックリとしてますね、丈夫なんですか?」

「僕(私)の所から兵士を用兵させるさ、それにアインズ・ウール・ゴウンが外に出て国になればモモンガくんのアンデッドで対処できるでしょ?」

「それは……そうかもしれませんね。あ、それとオルトさん」

「何かあった?」

「型月世界(ワールド)アレですけど、アヴァロンの鍵の世界(ワールド)はよく分かりませんけどあの世界(ワールド)なら良さそうじゃないですか?」

「アヴァロンの鍵か……悪くはないね。イヤ、でもアレを知られるのはマズいか」

「オルトさん?」

「アヴァロンの鍵の世界(ワールド)を出したら惑星統括細胞(スターセル)の姿をした召喚モンスターが居るから駄目だね、それに惑星統括細胞(スターセル)が召喚するモンスターも召喚できる様になるし」

「あー、確かに。駄目ですね」

「面白い事をできそうだと思ったんだけどね。ま、今は目下の目的を果たそうか」

「建国、そして世界の正義になる。ですね」

「うん頑張ろうか」

「それでシナリオは?」

「ああそれはねーー」

 

 

 

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 [下土月(げどげつ(12月))中旬に起きた帝国と王国の戦争にて帝国側に現れた魔法詠唱者(マジック・キャスター)のアンデッドのアインズ・ウール・ゴウン。悍ましき蜘蛛の怪物、ナクト=アラクア。

 そして11万もの兵士を塵一つ残さず消した天使(エンジェル)の惑星統括細胞(スターセル)。

 季節は春、中風月(ちゅうふうげつ(5月))に差し掛かった頃、エ・ランテル住民は春を迎えた。しかしエ・ランテルは静寂に包まれている、理由は言うまでもない。そこにはアンデッド、蜘蛛の怪物、天使(エンジェル)が現れたからだった]

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「静かですね」

「仕方ないさ、アンデッドにどこからどう見ても怪物の私(僕)、そして王国軍を壊滅に追いやった恐怖の象徴の天使(エンジェル)。恐れるな、という方が無理がある」

「でもどこか変わった気配も感じとれるね、消し飛んだのが正規軍だけだったからかな?」

「民兵に被害が出なかったからですか?」

「多分ね、あの結果で此処に住む人達がどう反応するのか……分からないね」

「死んだのは悪徳貴族にソレに追随する腐った連中、民間人にはマイナスどころかプラスですらある」

「ん? 坊やどうかしたかい?」

「あ、あなたは神様なんですか?」

「どうだろうね、王国軍を壊滅させた張本人。悪(あ)しき邪神かもしれないよ?」

 

 子供は天使(エンジェル)の隣に居るアンデッドと蜘蛛の怪物を恐る恐る見て、天使(エンジェル)のオルトをもう一度見て「でも神様がいるからおそろしいアンデッドも大きな蜘蛛もあばれなかったってとうさんが言ってた」と返され、天使(エンジェル)のオルトが珍しく呵呵大笑と言わんばかりに肩を揺らして笑い「そうか、君のお父さんは生きて帰ってこれたのか、私(僕)としても被害者である民兵に手を出すのは気が咎めたは確かだよ。

 でも私(僕)のせいで王国は疲弊し、こうして私(僕)達に領地を割譲する事になった」と色々と答えるが、子供には難しく理解できていなかった。

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「お父さんは悪いひとたち(貴族)だけを倒したから悪い天使じゃないって」

「そうか、君のお父さんは余程貴族に不満があるんだね。私(僕)は王国を下調べした、王国の貴族は王国民がどうなろうと構わない人達ばかりだった、だから私(僕)は可能な限り悪い人達を狙い魔法を使ったのも事実ではある。

 それでも民間人に被害が出なかった訳じゃない、君のお父さんは助かったかもしれないけど他の人達は違うかもしれない」

「ううん。お父さんはエ・ランテルからつれていかれた人達はむきずで帰ってこられたって言ってたの。それでね、お父さんは天使(エンジェル)様と目があってほほえんでいるって言ってた」

 うんまあ民間人を殺すつもりは無かったから道満に言って民間人を左右に配置させる様にさせたけどまさか此処の住人全員が助かったとは思わなかったな、だからこの変わった不思議な気配が漂っていたのか? ……マイナスじゃないし別に良いか。

 

「エ・ランテルはどうなるの?」

「今日からエ・ランテルは私(僕)達アインズ・ウール・ゴウンの領地となり、アインズ・ウール・ゴウン魔導国を建国する」

「けんこく?」

「エ・ランテルは別の国のモノになるんだよ」

「別の国になったらどうなるの?」

「基本的には変わらないよ、ああイヤ少し変わるかな」

「どう変わるの?」

「今はまだ決めてないから私(僕)にも分からない。でも、今までの様な事にはならないのは言えるかな」

「本当?」

「うん、本当だよ」

 

 子供と話していると壮年の男性と、妙齢の女性が駆け寄り子供を抱きしめ頭を下げる。すると男性が「あの時、貴方様は我々民兵に被害が出ない様にしてくださいました。本当に、本当にありがとうございました」と嗚咽が混ざった声で例を言った。

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 うーん。こうなるか、予想外の反応だな。…………利用するか。

 

「見ての通り私(僕)は天使(エンジェル)、そして最も神に近き天使(エンジェル)でもある。故に私(僕)には未来が視えた、それは民間人を左翼、右翼に展開させ捨て駒にする未来が。

 何故なら戦争は横から攻めるのが定石だからだ、故に貴族は中央と左右の内側に集まっていた。

 そして貴族達は武勲を立てる為に中央に陣取り私(僕)達に突撃するつもりである事も知っていたしそれだけではない事も視えていた、それは腐りきった貴族の姿だ。あの様な者達は生かしておくに値しないと私(僕)は分かっていた」

「だから貴族だけを……」

「そうなるのかな」

 有能・優秀な貴族は残したけど、後ガゼフも。彼をこの段階で死なさるのは惜しい。

 

「(相変わらずだけど即興でそんな話し作れるなんて凄いなオルトさんは)」

 

 それを聞いた男性は遂には大粒の涙を流し何度も感謝の言葉を言い続けた。

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「なんと言うか、意外な反応でしたね」

「やはり天使(エンジェル)という存在は大きいな、それにパッと見は神にも見える」

「神様ねー、なんでそうなるのかが分からない」

「何も知らない者達からすればその純白の姿は神にしか見えんさ」

「確かに神様っぽいですよね、その見た目って」

「ふぅむ…………そこまで神様に見えるなら利用しようか」

「宗教でも作るか?」

「んー、そうだね……明確な縋る対象、祈りを捧げられる存在が居ると思ってるし使わない手はないか」

「惑星統括細胞(スターセル)という神が居ればアンデッドに怯えずにすむ……何故なら恐ろしきアンデッドを抑え込めるかもしれない(・・・・・・)神が居ると思っているからだ」

「名前どうしようかな」

「元ネタからとってクリオラはどうだ?」

「んー、クリオラ・スターセル……イヤ、クーリオーラ・スターセル…………うんこっちにしよう」

「なんか面白そうですね」

「試しにやってみようか、でもその前に神殿が必要だね」

「アンデッド達に急いで造らせますか?」

「神殿を造るのにアンデッドを使ったらマイナスイメージがつきかねないから機構天使(ユニットエンジェル)を使おうか」

「成る程、神聖な神殿を造るのにアンデッドだとなんか、こう……不自然と言うか冒涜的と言うか、アレですもんね」

「機構天使(ユニットエンジェル)も似たようなモノに見えるけどね」

「機械仕掛けの天使(エンジェル)だからな、まあでも天使(エンジェル)の私(僕)が『天使(エンジェル)とはこういうモノも存在する』とでも言えば信じるんじゃないか」

「この私(僕)のイメージを最大限利用しようか」

 

 

 

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 [同月にアインズ・ウール・ゴウン率いるナクト=アラクア、惑星統括細胞(スターセル)が属する国家、『アインズ・ウール・ゴウン魔導国』の建国を宣言。それに対し新国家、ティル・ナ・ノーグ郷国(きょうこく)の神王トール・インシュリフト・オーリウ=ダナーンがアインズ・ウール・ゴウン魔導国を国家承認、それに続き妻であり現竜王国女王ドラウディロン・オーリウクルスも国家承認。そしてバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスもアインズ・ウール・ゴウン魔導国を新国家として承認した。

 しかし、リ・エスティーゼ王国は短期間で二つの国が建国した事、真っ先に国家承認をした事を引き合いに出しティル・ナ・ノーグ郷国(きょうこく)とアインズ・ウール・ゴウン魔導国は繋がっていると表明し国家不承認を宣言。

 だが、郷国(きょうこく)、帝国、竜王国が承認した為アインズ・ウール・ゴウン魔導国は新たな国家として認められた。

 僅か数ヶ月で二つの新たな国が誕生し、激動の時代を迎える]

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「どう思う」

「魔導王?」

「それしかないだろ」

「今は静観かな、何もしてないしおとなくしてるからね」

「宣戦布告してきたらどうするんだ」

「してくるとでも思ってるの?」

「ないな、アインズ・ウール・ゴウンは頭が切れる。無闇矢鱈(むやみやたら)に敵を増やす様な事はせんだろう」

「なら今は静観だね、僕(私)もその内同盟でもしようかな」

「アンデッドの力を借りるのか?」

「今のところそれは考えてない、戦力もそれ以外も潤ってるからね」

「お前の所の作物はどれもこれも品質が高いからな」

「森妖精(エルフ)の農民(ファーマー)も育ってるし森祭司(ドルイド)も育ってる、森祭司(ドルイド)には作物の品質を上げる事ができる魔法があるんだ。それを使って作物の生産や品質向上は得意分野さ」

「帝国でも評判は高い、その分値が張るがな」

「適切な価格設定だよ」

「不満は無いとも。それと、話しは戻るがあの話しは聞いたか?」

「神殿?」

「そうだ、見た事がない変わった天使(エンジェル)が神殿を造っている。それを指揮しているのがあの天使(エンジェル)だ」

「スターセルだっけ? そんな事もできるんだね」

「調べた限り新たな宗教、自身の名を取ってクーリオーラ・スターセルと言うらしい」

「クーリオーラ・スターセルねぇ、あの天使(エンジェル)……スターセルがアンデッドのアインズ・ウール・ゴウンの暴走を止めてるみたいな事も聞いたけど、実際はどうなんだろうね。何せあんな魔法が使えるんだし」

「俺のところには不確かな情報しかないが、お前はどうだ?」

「似たようなモノだよ」

「きつい・汚い・危険な労働をアンデッドにやらせている……か」

「僕(私)が知ってるのはアンデッドによる『農業の自動化』に『物資の輸送・運搬』、『大規模な土木工事・開拓』。そこに天使(エンジェル)も加わってるって事くらいかな。

 アンデッドへの忌避感を天使(エンジェル)を加える事で緩和してるんだろうね」

「俺が知るモノと同じだな、あのアンデッドは何がしたいんだ。世界征服か?」

「その割にはおとなしいじゃん」

「今は(・・)ソレを考えていないだけかもしれんぞ」

「将来的にはすると?」

「無くはないだろう?」

「少なくともこの先数百年はおとなしくしてるんじゃないかな」

「何故そう思う」

「建国してすぐにそんな事をすれば国内が荒れる、魔導国の現状はエ・ランテルが魔導国に割譲されて混乱してるし天使(エンジェル)が居るとはいえアンデッドは恐怖の代名詞だ、国内が落ち着くまで戦争はしてこないかなって」

「一理あるな、つまり俺が生きている間は戦争はないと思っても良さそうだな」

「寿命でも延ばす?」

「俺は人として死ぬ、人として死にたい」

「寿命がちょっと延びるだけで人として死ねるよ?」

「数千年も生きるなぞ御免だ」

「それは残念。長生きしていると友人知人がどんどん……先に死んでいくんだ。当然と言えば当然だ、でもこれは何度経験しても慣れないんだよ」

「長寿故の痛みか」

「そうだね、だから少しは本気で言ったんだよ、まあ断られるのは分かってたけどね」

「爺が居るだろ」

「ああそういえば彼の寿命延ばしたね」

「爺とお前とで魔導国の監視をし続けてくれ」

「そうだね、そうなるよね、めんどくさいなー。まあでもそれが役目だと思えば悪くないか。それにその頃には次世代も育ってるでしょ」

「お前の子か?」

「できれば良いね」

「できんのか?」

「前も言ったと思うけど僕(私)達太古の森妖精(プライミーバル・エルフ)は生殖能力と言うか、そういった能力が非常に低いから数千年もの間生まれないとかザラにある。だから僕(私)の子供ができる可能性は限りなく低い」

「それは同族同士の話だろ? ただの森妖精(エルフ)やドラウディロンとの間にできるかもしれんぞ?」

 

 僅かな驚きとで沈黙し「成る程、ソレは考えた事もなかったね」と返す。

 ━

「この国の森妖精(エルフ)との間に子を設けるのも悪くないだろうよ」

「望む子が居ればね」

「お前が言えば全員手を挙げるんじゃないか?」

「うんまあ……だよね」

 子作りかー、ぶっちゃけその辺り枯れてるんだよなー、でもリネイが言う神人とやらの正体には興味がある。

 プレイヤーと現地人の子供……一般的な現地人とは隔絶した早さで強くなれる存在。強くなる幅が違う存在……作る価値はある、あるが、それを確認するだけの為にソレをしてしまえばあの下道と同じだ。死んでもやるかそんな事。

 

「ま、望む者が居たらね」

「国内に発表してみろ、我先にと押し寄せるぞ」

「建国してすぐにそんな事を?」

「だからこそだろう、次代を考えるのも王としての責務だ」

「責務、ね。今は考えない。やる事が山積みだからね」

「はは、そうだな。ああそうだもう一つ確認したい事があるんだが」

「漆黒のモモン?」

「やはり知っていたか」

「天使(エンジェル)は市民に対して様々な事をしているらしい、マトモな食事にありつけない者達への炊き出しや仕事の無い者を神殿建造の為に雇用し、更に神殿裏に作る畑の開墾。

 魔導王側ではあるが比較的市民側に近いとも言える、言えるがそれでもやはり魔導王側の存在、市民を守るかと言われれば正直分からない。そこに現れたのが……」

「市民の英雄、漆黒のモモン」

「配下に下る代わりに……ってヤツだな」

「まさしく英雄だね」

「内部分裂は狙えるか?」

「まず無理、やるだけ無駄」

「何故だ」

「僕(私)が調べた限りだとナザリックの家臣達はアインズ・ウール・ゴウンに絶対の忠誠心がある、闇妖精(ダークエルフ)が居るみたいだけど離叛させるのは無理だ、やめた方が良い。魔導国を敵に回すことになる」

「意外と知っているな」

「優秀な諜報員も育ってるのさ」

「竜(ドラゴン)の巣でか?」

「使わない手はないよ」

「大丈夫なのか?」

「事ここに至って使わないのは愚者がする事だよ」

「不活性化は不可能だと?」

「させる為にやってるんだ、可能な限り早く巣の魔力を霧散させる必要がある。今は二日に一回のペースで入ってる」

「それでも間に合わんのか」

「活性化のペースが上回ってる、このままのペースで進めば下風月(げふうげつ(6月))下旬から上火月(じょうかげつ(7月))中旬までには門が開く」

「また早まったのか、魔導国に竜(ドラゴン)の巣、問題だらけだな」

 

 呟きと共にタメ息を吐き頭を抱える。

 ━

「ああそうそう、今のところ天使(エンジェル)は市民に受け入れられてるらしいよ、他二人より人に近い形をしてるからだろうね。

 後はアレ、漆黒のモモンを受け入れる様に進言したのもあの天使(エンジェル)だそうだ」

「それが救いなのか、何かの策略なのか……図りかねるな」

「今は静観するしかないね」

「そうだな………」

 

 項垂れるジルクニフに国で採れるハーブティーを差し出しながら「飲むといい、少しは落ち着く」と言うと、笑いながら「合法か?」と返され「当たり前でしょ」と答える。

 ━

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「私(僕)の方は順調だよ」

「まさか二週間かそこらで神殿がここまでできるとは思ってませんでしたよ」

「機構天使(ユニットエンジェル)と住民のお陰だね」

「住民があそこまで協力的なのは驚きましたね」

「いつの時代も人は己を助く存在を見いだし縋る、特に神を名乗った天使(エンジェル)の私(僕)に。

 縋りたいのは平常心を取り戻す為、日常を取り戻す為、そして惑星統括細胞(スターセル)という神に恐ろしいアンデッドを止めてもらう為だ」

「宗教とはそういうモノだからね、ある意味一番手っ取り早い人心掌握だ。私(僕)に縋れば縋る程に沼に嵌まっていく、だからと言って沼が濁っていては意味がない。

 清廉潔白でなければいつかの時代に背中から刺される事になる」

「カルトか」

「早い話がね」

「カルト? なんですかそれは」

「元号は平成、その初期に起きた無差別テロを行ったカルト宗教。不当に寄付をさせたカルト宗教。

 片方は法で裁かれ、片方は被害者家族の手によって裁かれた。しかし悲劇も起きてしまった」

「悲劇?」

「無関係と思われる(・・・・・・・・)人物が凶弾に倒れたんだよ、逆恨みのテロだ」

「逆恨みの、テロ……」

「『あの国』にはテロが無い。等と思っている者達が数多くいたがそんな事はない。

 いつの時代にもテロは有った、ただその事を忘れただけだ。『平和』という仮面の中には数えきれない程のテロが起きていた」

「赤の軍団や山荘だね、まあその時はまだ産まれて無かったから詳しくは知らないけどね」

「いつの時代にもテロはあった……じゃあ俺達がいた時代はどうなんですか」

「日夜各地でテロ三昧だ、巨大複合企業が隠してたけどね」

 

 一つ息を吐き「僕らも人の事を悪く言えないさ」と呟き「そうだな、僕はテロの一部を扇動した」と溢し「でも僕はその行為が悪とは思っていない」とも言った。

 ━

「扇動した? なんでそんな事を」

「削る為だよ」

「そう、奴らの力を削る為にはこの方法しか無かった。まあそれもあってかたっちくんには警戒・監視されてたけどね」

「へ?」

「たっちくんは警察官だからね企業の長であっても……イヤ、だからこそかな。僕は単独企業、僕の会社は一個の会社で全てを回せたし、誰にも慮らずに奴らと戦えた。奴らは奴らで僕に手を出せずに拱(こまね)いていた」

「それはどうして」

「電脳化、義体化するには僕の会社を通さないと行えないからだよ」

「僕の会社は全アーコロジーに分社がある上に電脳化技術も義体化技術も僕が独占していた、だから奴らは僕に手を出せなかった」

 

 二人のオルトが代わる代わる『何が』あったのか、『何を』していたのか、『何故』警戒されていたのかを話し「だから僕は様々な情報を掴めたし、掴める立場にいた」と完成しつつある神殿を見ながら答えた。

 ━

「(だからたっちさんは俺にあんな事を………)」

「ゲーム内では私情を抜いて一緒に楽しんでたけどね」

 ……まあ警戒はしてただろうけど、特に僕とウルベルトくんの二人を。仕事熱心だよね、彼って。

 

「さて、昔話はこれで終いにしてこれからの事を話そうじゃないか」

「え、あ、はい」

「神殿が完成したら専用? の神官も任命しないとね」

「育てるのには森妖精(エルフ)の私(僕)がやろうとしている事に乗っかるか」

「モンスターハンター世界(ワールド)の解放、ですよね」

「うん、エ・ランテルと王都近辺にいくつか開くつもりだからね」

「ティル・ナ・ノーグに同盟の使者を送りましょう」

「条約は……なんでもいいか」

「基本的な条約で良いでしょ」

「送るのは誰を送りますか?」

「アルベド辺りでも送るか、最近張り切ってるみたいだしな」

「悪い方に転ばないといいよね」

「空回り気味ですもんね」

「思いっきり空回りしてるよね」

「アルベドにつけてる百貌曰く『無礼を働いた』とか言ってたな」

「無礼を働いた? なんですかそれ」

「私(僕)も分からないから困ってる」

「もう一つの問題はいつ送るかだ」

「誰もいない時に送りたいけどあの国って溜まり場なんだよね」

「オルトさんか連絡がくるまで待ちますか?」

「それが一番かな」

 

 会議と言う名の雑談を終え、トールが治める国との同盟設立を決めた。

 ━

 

 

 ━

 

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 ━━━

 

 ━━━━

 

 ━━━━━

 

 

「使者が来た? いつだ」

「四日程前だね」

「どうだった」

「特に何も無かったよ、条約も一般的なモノだったし」

「そうか……無理難題を吹っ掛けられてはいないと、竜(ドラゴン)の巣は何か言ってきたか?」

「協力するってさ」

「なん……だと……。何を、何を考えているんだ」

 そもそもが同じ根っこだから何もないんだけど……まあ深読みされても今のところは困らないし別にいっか、困るのは僕(私)とモモンガくんが繋がってる事を知られる事だからねぇ。

 あるとすればモモン経由で何か邪推される辺りかな。……今は成り行きに任せるしかないか。

 

「考えが有る無しはおいおい考えるとして、今は竜(ドラゴン)の巣不活性化に協力してくれるんだし取り敢えずは味方って事で」

「……いくら化け物と言えども同等な強さを誇るトールには喧嘩を売らんか」

「それもあるだろうね、単独で乗り込んでくるなら相討ちになるのは目に見えてる。かといって二人、ないし三人で来れば『戦争しに来ましたよ』って言ってる様なモノだからね」

「確かにその通りだな。ふぅー……今は裏が無いと思っておくか」

 こう、深読みするのはデミウルゴスに似てるね。はてさてこの考え方がどう転ぶのか……分からん。

 

「さて、巣の方はどうなってるんだろうね」

「今日はレインダーカと行っているんだったな」

「ナザミって子と二人でね」

「何もなければいいんだがな」

「彼が居るんだし大丈夫でしょ」

「だからこそ怖いんだが」

「大抵の竜(ドラゴン)に遅れはとらないよ」

 

 口を手で覆い「それもそうだな」と呟き続けて「それで? 不活性化の進捗はどうだ」と聞き「大体3%くらいかな」と返すと「それだけか」の言葉と共にタメ息を吐く。

 ━

「一応聞こう、何%になれば安心できる」

「最低で30%」

「つまり無理と言う事か」

「現状ではね、魔導国の協力でどこまで進捗率を上げられるかが肝かな」

「ここでも出てくるか魔導国……」

 そりゃまあ怖いよねー、でもまあしょうがないと言えばしょうがないか、何せモモンガくんアンデッドだから表情が読めないんだよね。その事が有利にも働けば不利にも…………不利になる事はないか。

 

「なんなら魔導国から来る協力者と一緒に行く?」

「やめてくれ、俺はまだ死にたくない」

「大丈夫、僕(私)も一緒に行くから」

「うっ……少し、考えさせてくれ」

「魔導国の兵士が来るのは一週間後、まだ時間があるからゆっくり考えといて」

「そうしよう………」

 

 頭を押さえながら転移門の鏡(ミラー・オブ・ゲート)を通り帝国へと帰って行った。

 ━

「もう良いよ、モモンガくん」

「誰も来ませんか?」

「門は閉じたから」

「そうですか、なら大丈夫ですね。それで、これからどうします?」

「取り敢えず『ティル・ナ・ノーグと魔導国は繋がっているのでは』といった邪推を無くしたい。けど、そんな事を思ってるのは王国だけだろうね、ジルもラディも僕(私)の事を信じてる」

「これまでの活動が実を結びましたね」

「だねー、望外の結果だよ」

「竜(ドラゴン)の巣には誰を来させますか?」

「んー、そう、だね………」

 来させるのは階層守護者達、アルベドとデミウルゴスは無し、変な深読みとかされたら困る。シャルティアは朱い月である僕(私)に嘘を吐けないから駄目、コキュートスは……見た目から保留かな。

 パンドラはモモンガくんの影武者で必要だから無し、と。魔導国的に行動するのなら………。

 

「アウラとマーレにしようか」

「でも二人は闇妖精(ダークエルフ)ですよ? それこそ邪推されません?」

「『闇妖精(ダークエルフ)を送らせたのは森妖精(エルフ)だからと言って全てが神王に従う訳では無い』の印象をつけたい、それにマトモに演技ができるの二人くらいだろうし」

「あー、そうですね。じゃあアウラとマーレに言っておきます」

「よろしく、ああそれと砕けた口調でって言っといてね」

「分かりました」

 

 その言葉を最後に転移魔法で帰っていくのを見送り「どーなる事やら。ま、なるようにしかならんか」と一人考え、これからの事を妄想に耽っていた。

 ━




 月日の表記は捏造です、それらしくしました。

━━
 あんな事書いて大丈夫かしら。

━━
 天刃縮歩(てんじんしゅくほ)の前には武器の名前の一部がつきます、この時に使っていたのは虚空ノ幻(コクウノマボロシ)なので『虚空(こくう)』がつきました。
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