怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 ゲェムのしらせ
 休息を選択した事により幾つかの不具合とバクの修正が完了しました。
 【DDRPG】がver.0.60からver.0.63にアップデェトされました。
 コレからもゲェムをお楽しみいただけるように調整します。お楽しみください。




ゲェム-あうお

 

 

「あえんえああいああいあえあ」[あめんぼあかいなあいうえお]

 

 ぐうううぅぅ

 

 やぁ、「い」も言える様になった俺だ。集中して練習できる環境はやっぱり大事だよな。コレで「お」が出来れば舌の根っこから、喉の使い方のとっかかりを得られそう何だけどな。やっぱり厳しいものがある。

 喉は俺が思いっきり押しても中々潰れたりしないからな。体感で言えば首締めとかの技を誰かやってくれたらいい感じに出来そうな気がするんだけど…居ないんだよね。子供の首絞めてくれる人。

 医者もなぁ…無意識から使い方忘れるなんて早々無いから教えようが無いのよ。

 記憶喪失でもエピソード記憶だけの場合が殆どだしな。遺伝子に刻まれた基本が無いってのはそれだけ不利なんだ。

 

「あえんえああいああいあえあ」[あめんぼあかいなあいうえお]

 

 ぐうううううぅ

 

 そんな訳で、喋れなくなって3日目である。まぁ簡単に出来る訳ないわな。嘔吐やえずけないから、食事は管で直に胃袋に入れて何とかなってはいるが…コレ気持ち悪いから精神にクるんだよ。気持ち悪いのに排除出来ないストレスって本能に訴える気持ち悪さなんだよな。

 液体だから満腹感は無いし、腹の虫はずっと鳴りっぱなしである。

 

 さて、あらかじめ言っておくとこの世界の病院は前世と変わらない事の方が多い。医者が診て、手術や入院がある普通の病院だ。俺は最初、怪奇があるから違う箇所もあるんじゃないかと思ったんだが、驚いた事に怪奇に関しては全く触れてこなかったのだ。

 そこは怪対員の一部が担当している、怪奇療院という施設で診れるんだとか。リハビリセンターや薬屋が病院とは別みたいなものらしい。

 

「ん、いえい」[とは言え、怪奇療院で診れる範囲は狭いけどね]

 

 狭いと言うか、未知の新しい怪奇やどうすることも出来ないのが多いから、やれる事が少ないって感じだけどな。基本即死で、記憶なら俺の口や喉みたいに「忘れる」じゃ無くて「無くなる」事が多いし、臨床検査をしようにも死体が無いなんて良くある話だ。

 死体を取り戻すにも、相手のテリトリーに入って危険を侵さないと行けないしね。

 例えば前に佐々木と一緒に近づいた、たけのこみたいな増え方をする『猫草』の怪奇なら、死体を手に入れる為に相手の胃袋に入って出ないといけない。『裏世界』ならもっときつい。

 

 まぁ、こんなのばっかりだから怪奇の医療技術が進まないんだよな。対応した怪奇が消えればそれだけで不要な物になるし。残した医療書も千年万年遺せるかと言えば…難しいよな。

 だから、俺の眼や手という未知は分からないし、治療法もわからない。なら怪具売りに対処療法でいい感じの貰った方がいい。『魂蝶』の卵だって、使い慣れてる母さんのほうが上手く摘出出来る。正直不遇な立場の分野だと思うよ。

 

「あ、あ、あ、あ、あーぅ…あーぁ、あーぅ…う、う!う!う!」[でも無いと困る立場なのは間違いないよね。逆を言えば確立された方法なら治せるんだし]

 

 やぁ、「う」が言える様になった俺だ。そろそろコツが掴めて来たぞ。

 そんな感じに散歩がてら怪奇療院のガラガラな待合室に座って、ちまちまと練習していた時である。

 

「何とかしてください!燃え尽きた灰にはなりたく無いんです!」

「ですがね、初めての事例なんですよ。『鬼火』に触れて一瞬で燃え尽きずに、ゆっくりと進行してる患者なんて」

「妖魔の怪対員に電話しても此処に行けってばかりで!」

「あっちの方が治すのは無理ですよ。妖魔関係は外交官に近い仕事なんですから」

 

「うーう、うー?」[なにっなんだぁ]

 

 何やら、療院の先生とさっき入って来てた女性が争論をしていた。『鬼火』に触れて髪先が燃え続けてるだけなのは珍しいな。挙句の対応が良かったんだろう。

 …言い忘れてたな。俺はご飯食べられないだけだが、一応は怪奇関係だから怪奇療院に入院しているぞ。だから点滴から口に管入れるやり方に変えてもらうのが通ったんだ。患者の意見に臨機応変に合わせてくれるのは怪奇関係施設のいいところだ。

 

「これを診てくださいよ!爆弾の導火線みたいになってるんですよ!?この調子で燃えてくと今日の夜に私は人間松明です!」

「でもねぇ、燃え尽きない火に水をかけても無駄ですし、切ってもまた燃えたのならどうすればいいかって話ですし」

「其処を何とかするのが仕事じゃ無いですか!私は娘が居ますし、お腹に新しく宿った子供と死ぬ訳にはいかないんですよ!」

「取り敢えず睡眠薬出しときますか?死ぬ時に苦しまなくていいですよ」

「それは最悪の場合です!!まだ抗えます!考えて下さい!」

 

「うー?」[パラジクロロベンゼンとホルムアルデヒドを][4:7の比率で混ぜたので消せるよ]

 

 取り敢えず見えた情報だけでも渡すか…信じるか兎も角、不活性の『鬼火』ならコレでいけるし。

 コレでも俺は怪奇災害の時にこの女性の方と同じく髪から燃えてたからな。あの時は虫避けスプレーと消臭剤を混ぜた低品質な奴で誤魔化したけど、しっかりした施設ならこのくらい用意出来るたろ。

 

「…この子は?」

「霧晴ちゃん、言ってもいいかな?」

「いえーい」[いいよぉ]

「『悪魔』を殺す為に口周りの動きを記憶喪失した子ですよ。今はまた喋れる様にリハビリ中なんです」

「それは…すごく危ないことしましたね。で、このメモは信用できる奴ですか」

「ここで言い争いするだけよりはやってみる価値はありますね。やけに具体的ですし」

「ん」[前に虫除けと消臭の奴混ぜて延命しまくって助かったから][GOーーっ!]

「先生!前例あるじゃ無いですか!今すぐ持って来なさい!」

「そう言われたからにはやりますが…出来なくてもあの子には当たらないでくださいね」

 

 先生は怪訝な顔をしながらも、患者の言う通りに作って持って来た。治療法が無い怪奇に関しては基本安楽死を勧めるしかやること無いし、だからと言って治す努力を怠る訳にもいかない。だから患者の意見は積極的に採用して、コレほどやっても無理だったって納得を与える。辛い仕事だよな。

 

「はい、じゃあ後ろ向いて、今からいいと言うまで息は止めて下さーい。揮発したの吸ったらダメですからね。危険物ですから…嘘でしょ?本当に消えた」

 

 扉を閉めて、診察室から立ち去る。その後は見なくてもいいだろう。何故か信じてくれて無事に終わったし。

 

「う、あ、え、い、あ」[良かったねぇ]

 

 上手くいって良かったと思う。なんせ先生、俺が来た時なんか落ち込んでたからな。相当堪える事が直前に有ったんだろう。

 今回は上手く行ったけど、普段は助けを求めた患者が死ぬのを眺めるしか無いし。俺どさくさに紛れて立ち去るし。幸薄い人だと思うよ。

 

「あんああああい」[そんなことよりだよ]

 

 そろそろかなたらの願いを確認する時期だ。色々有って確認出来てないからな。音関係の怪奇消えたしなんか変わって無いだろうか。え?未来が変わったタイミングはいつだって【ゲームコイン】貰った時だけだっただろって?…確認しなきゃ分からないじゃん。

 何でケリーを中心とした視点なのかもまだ分かってないし、多少は変わって欲しい気持ちもあるんだよね。そうじゃなきゃ俺の苦労は未来を変えるほどじゃ無いって事になるし。

 

「あい、あーいうあーあ」[いけるかなっと]

 

[操作対象が居ません。未来を変えてください]

 

「ういあぁ」[むりかぁ]

 

 病室にあるテレビを使ってみたが無理だった。やっぱゲームコイン貰える奴じゃ無いと変わらないんだな未来って。やだなぁコレ、結構やばい事実に繋がるんだけど。

 

「いぁうあんぉぉえんあんぉああああい?」[50倍差の死者数が些事になるって事じゃん]

 

 …今「お」が言えたじゃん。やったな。俺喋り方マスターしたわ。コツ、掴んじまったな。

 

「…ぉぉ、ぉ、お、お、お!お!おぉぉぉ!!」

 

 うわ、未来の死者よりこっちの方が嬉しい。いつ来るか分からない事より今のこの事実が嬉しいわ。いや、推定4950万が死んだだろう事件が無くなって特に変化が無い事は確かに問題だけどね?

 そんな事よりご飯も食べられるきっかけができたのが嬉しいの。日本人のサガなんだよコレは。

 

「いぁーあいいーあういーいーあお」[不思議いっぱいの方試すか…]

 

 単体での挙動は知っとかないと何だが…読み込んでみたらミニゲームとかもあるみたいだし、今回はこのミニゲームをやってみたくはある。TRPGなんだから単体なら前回のVRみたいにはならないという予想だ。

 DDが悪さしたって俺、信じてるからな。俺DDの方はRPG名乗るなってくらいには好きじゃ無いんだわ。少なくとも1時間の時間制限はこっちのせいだろ。パソコンゲームだから視界端の目的とかのデジタルなのはコレのせい疑惑が高いのよ。

 そもそも曲がりなりにもゲームを名乗るなら筆箱から血を撒き散らしたり、休息とか言ってプレイ制限をするな。ゲェムをやらなくていいから俺は良いけどね、ゲームとしては落第もいいところなの。今までがレアならお前はコモンだ畜生めぇ!

 

 気を取り直そうか。鬱憤はコレでも感じててな、当たる相手が欲しかったんだ…折角だし、仮想とかついてるコレが良さそうだな。

 

「…あい、いおおいあおいえ……おーい、うあーお」[ミニゲーム選択:【仮想戦闘】]

 

 指でミニゲームの項目をなぞる。すると、本が捲られて、幾つかの項目が新たに書き足された。

 目の前に人影が現れる。よく見ても、情報は得られなかった。

 

【再現したい人物を選んで下さい】

【霧晴千歌】【真倉朝凪】【木香 証】

【霧晴健太】【橘多々良】【桐根 聡】

【霧晴百葉】【橘 夏奈】【花神楽響】

【佐々木三千代】【ジョン・コフニス】

【座式布物】

 

 …名前を知っている上で人となりを多少は把握しているくらいの人達だな。俺やもう死んでるだろうジョンさんもいるから本人が来る感じでは無い…なら戦闘能力を見てみたい人を選べばいいか。

 

【霧晴百葉が選択されました】

【→直近の可能性から戦闘する可能性のある存在が選ばれます】

【『メリー』が選出されました】

 

「あああん?」[母さん『メリー』と戦う場合があるってマジ?]

 

 目の前の人影が変化する。影の背丈は小さくなっていき、金髪の、青色を基調にしたロリータ服を着た『メリー』に変化した。前の探窟家の服装よりも随分とらしくなったが、見ても情報は得られない。どうやら見た目だけらしい。

 するとメリーはどこからとも無くダンボールを取り出し、突如上から被ってスネークみたいになった。役作り本格的だなぁ…。

 

【私メリー、今主人の家の前でダンボールに包まれて待ってるの】

「ええ…」[何をしてるのメリー]

【あら主人、今時のお届け物は木箱や樽じゃ無くてダンボールに入るのよ?メリーは『人形』だもの。初めての主人の家に行くにはおきはい?が最も礼儀に則ってるのよ】

「いんいぉういえんあえ」[それは…そうだけども。デカいんだよね。120cmの人形入れるダンボールは]

 

【テメェ人ん家のドア塞いで何してんだい】

 

 視界の外から、母さんがメリーに話しかけて来た。見ても魂は無いのでコレも特典が再現した物だ。なるほど分かって来たぞ。本来ならこんな風に本格的な演技が現実とリンクしてるゲェムなんだコレ。今回は仮想らしいけど。

 やっぱり直で行ったのDDのせいじゃ無いかよ許せねぇ。

 

【私メリー。今主人の家の前で待ってるの】

【…あぁ書いてたな。千歌は今リハビリ中でね。暫く家には帰らないよ】

【なんで?】

 

 ガキン、と火花が舞って母さんが距離を取る。メリーは赤い鋏を振るい、母さんはアタッシュケースを盾にして防いだみたいだった。

 

【喋れなくなったからさ。もう一度喋れる様になるまで特訓しに行ったんだよ】

【えぇ、それは知ってるわ。でもアレから一月後よ?帰ってなきゃおかしいじゃない】

【簡単に出来ると思うんじゃ無いよ。あの子の魂は使い回しじゃ無い新品でね。私等みたいに既視感で上達したりしないんだよ】

 

「あいおえぇ」[魂に新品なんて概念あるの?]

 

【…それはあり得ないわ。同種族の魂の総量は不変で、あの日から400年よ?誰もが誰かの知能を知らず知らずで受け継いでた。1週間世界中を観たのよ?無能や知恵遅れが存在せずに、皆がある程度は思慮深い不気味な世界だったわ】

 

「おいあいえおえ」[この世界の人々が全員頭良い理由を話してる感じ?]

 

【そりゃどうも。態々魂の記憶を消す地獄を作って進行を遅らせてるんだ。これでも頑張ってるほうだよ】

【あら、あの洗濯屋さんのこと?シミを落としたところで、服をまた着てるんじゃあんまり意味は無いわ、結局同じ服…いえ、それより酷いわね?効率的に魂を研磨して、洗練して、もうそろそろ誰か気づくんじゃない?あの…言わないであげるわ。主人のお母様ですもの】

【親切な『人形』だ。そのまま口を閉じてくれたらいいんだがね】

 

[いぉうあううおい][母さん挑発し過ぎだろ。気持ちは分かるけど]

【主人?】

「んー…」[こっちの事気づいてる?あくまでも再現だよね]

【メリーなら気づける力があるもの。ならその再現もそういう振る舞いが必要でしょ?】

「ん」[特典を感知できるって事ね]

 

 何か…演技で再現とわかってても怖いよこの『人形』。不満が無いなら喋らない特性上、絶対に何かしら不満に思ってるのは間違い無いんだよな、『メリー』は。でも一月後か…それが分かっただけでも今回は儲け物だな。

 

【…そうね、そうしましょう。お口を塞いで欲しいなら、そうするわ】

【…チッ】

 

 ケースがひとりでに開き、二丁の銃が母さんの手元に向かい、母さんが掴む。白く輝く蝶が辺りを飛び回った。

 

【主人とメリーだけなら、不満はないもの。だから死んで?そしたら主人を迎えに行くわ】

【独占欲が強い奴だね。千歌が早く帰ればこうは…いや、それを受け入れるのも母親かね】

 

【能力指標開示】

【3】

霧晴百葉

女 25歳

職:葬儀屋/祭司

出:伝承者/人間

 

戦闘 3  3D6+17

探索 1  1D6+7

精神 2  2D6+6

判断 3  3D6+11

霊感 1  1D6+3

    スキル   

「巡礼」      

「洗礼」      

「澱み刻まれた戦争」

「仏説神判」    

「怪具/ムシカゴ/甲」

「専門/葬儀/乙」  

「魂の指揮者」   

「怪対対応/霊魂/乙」

          

 

「あいおえ」

 

【2】

メリー

423年

職:探索者/卒業

出:現象産/人形

 

戦闘136 136D10+23

探索 8  8D10+67

精神 2  2D10+30

判断 2  2D10+1

存在118 118D10+69

    スキル   

「王国守護」    

「パッチワーク」  

「怪具/裁縫箱/甲」 

「怪具/赤い線/甲」 

「変質」      

「宣告と到達」   

『時間相殺現象』  

「鏖殺」      

「裏世界帰還者」  

 

「うあああぁぁぁぁあ!!!」『う あ あ あ あ !!』

 

【1】

 

 うあぁ!化け物だぁ!根本的に勝てない相手だー!桁違い過ぎるだろ!うぁあ!

 

【戦闘開始】

 

 『メリー』が瞬きしようと目を閉じた瞬間に無数の蝶が殺到し、メリーの視界が塞がれる。母さんは大きな蛾に乗って窓から外に脱しようとするけど。

 それら全て、『メリー』にとっては遅すぎた。

 

【私メリー、今貴女の後ろにいるわ】

 

 周囲を舞っていた蝶を全て殺されると、母さんは首、肩、腰、腹、膝、手首が切断され、バラバラに、メチャクチャに繋いで、一瞬で母さんは不出来な人の塊にされた。

 

【ああ、知ってるよ。包め『魂蜘蛛』】

 

 その状態のまま、母さんは指示をする。母さんの髪から蜘蛛が出て来た時には、既に母さんと『メリー』を覆う糸の球体を作り終えていた。

 

【爆ぜろ。百葉】

 

「え?」

 

 指示通り、不出来な球体が爆ぜて、『メリー』諸共糸の中を真っ白に包んだ。俺には何とも無いし、建物も傷一つだって無い。ただの影で、再現だ。それでも自爆は考えてなかった

 

【綺麗な花火だったわ】

 

 そこから平然と、ちょっと肌が赤くなった気がする『メリー』が歩いてくる。それがどれだけの威力かは計り知れないが、ちょっとつねられた感じの赤みだった。

 

 その後ろから、大量の真っ白な銃弾が放たれた。

 

【そりゃどうも。生憎家族を殺される訳にはいかないもんで】

 

 効いた様子は無い。痒そうにしているだけだ。幽霊になった母さんの攻勢も、大した意味にならない。

 

【…死んでも死なないなんて、幽霊はナンセンスね】

 

【そう言うお前は礼儀がなってないな】

 

 お互いが掻き消える。お互いの速度に俺の目が追いついて無かった。

 分かったのは、蟲の群れを赤い線が無数に切り刻み、その残光が最後はちょっぴり遅れたということだけだ。

 『メリー』の姿が見えた時には、母さんと蟲は粉々になっていて、白く光る蛍みたいに俺の周囲を漂っていた。

 

【蟲みたいに意地汚かったわね?】

 

【そうね…ここは淑女らしく、お手紙で伝えましょう】

 

 それを確認した『メリー』が、手紙を複数取り出して宙に投げる。手紙は闇に溶ける様に消え去って、やがて俺の耳に言葉として届いた。

 

【私メリー、今主人の家に居るの】

 

 飛び交う蛍が増えた。死者が増えた。

 

【私メリー、今学校に居るの】

 

 生首が転がって床が埋まった。知り合いも先生も、全て首だけとなった。

 

【私メリー、今電車で向かってるわ】

 

 病院の窓から、ある筈のない電車が見えた。真っ赤な光に照らされていた。

 

【私メリー、病院に着いたわ】

 

 ちかちかと照明が点滅して、消灯する。上から血が滴り落ちた。

 

【私メリー、今部屋の前に居るの】

 

 足音が聞こえる。

 

【私メリー、今主人の後ろにいるの】

 

 逃げられないと悟った。

 

【コレでずっと一緒ね?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【YOU LOSE】

 

「こあいの!」

 

 本だけを残し、全てが幻となって消え去る。そのことに心底安堵した。

 俺が言葉をマスター出来なかったらどうなるかの結末みたいなのが流れ、恐怖のあまりか行とな行が言える様になった。マジ?俺が家に居ないってだけであんな惨状起きるの?勘弁してよ、そんな簡単に殺されたらもうどうしようも無いんだって。

 

「…うぇ…なにあおおあえ」

 

 何はともあれ、急ぐ必要が出て来た。余りにちんたらしてたら『メリー』の襲来に間に合わない。それに食事もしたい。1週間…違う4日か。6月2日、それが限度でリミットだ。

 

「あうおいえ、あんあおー!」[絶対合格!][覚悟して頑張る!]

 

 






霧晴千歌
 家族が人質に取られた気分で頑張ってる。
霧晴百葉
 『メリー』という怪奇と戦う悪夢を見た。
怪奇療院の先生
 取り敢えず成功事例として論文にして発表した。
佐々木の母
 髪が燃やされて短髪になった。

『メリー』
 良い夢を見た。コレはコレで悪く無いとちょっと迷った。
『鬼火』
 臭いの怪奇。触れたら一瞬で燃え尽きる。

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