怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 ゲェムのしらせ
 休息を選択した事により【DDRPG】がver.0.63からver.0.80にアップデェトされました。
 それに伴い【GGDDLC,1】が不完全ながらも作動開始。各ゲェムが修正、アップデェトされました。以後抽出されたゲェムもDLC,1付きとなります。
 【裏世界探索ゲェム】の不具合が修正され、マッチング対象が広がりました。
 【かなたらの願い】の可能性観測を多重的に選べる様になりました。
 【不思議いっぱいTRPG】に【キャンペーンシナリオ】が追加、それに伴い【フック】の項目が追加され、明文化されました。
 コレからもゲェムをお楽しみいただけるように調整します。お楽しみください。




日常-ようこそ

 

 

「掃除頑張ったなー、そのおかげで今日からプールでーす」

 

「「「「わー!!!」」」」

 

 プールは前世で泳げたが、今世だと溺れる気しかしない俺だ。何がダメって眼鏡外したら目が無くなって血をダラダラ出しちゃう所だな。俺を海やプールに入れたら一発で死ぬぞ!

 

「貧弱…だから…見学なんだよね…ふぅ…悲しい事に…ヌっ!」

「奇遇だな。俺の魂の義体、長時間の浸水がダメなんだ」

「機械は…クッ…しょうがない…イタタ」

「身体硬過ぎ無いか?」

 

 と言う訳で、この時間は桐根と一緒に柔軟でもしながら見学である。何もしないでいるのも不健全だからね。渡されたプランに沿って軽い運動をこなすのさ。長座前屈ダメダメな俺にはそれでも辛いけど。

 

「ふぅ…筋肉がね…硬いんだね…イタタタ」

「関節が普通に動くとこまでは余裕の筈なんだけど…腹や関節のない場所で曲げようともしてないな…一回普通に正座してみ?」

「ほい」

「其処から女の子座り」

「………いたい、むり」

「女子の関節なら出来る筈なんだけどな…ほれ、こんな感じだよ」

「んー…女の子座り出来てる…!すごぉい!」

「…褒めるのは良いが、顔を足元に近づけ過ぎだ」

「この距離じゃないと見えなくて…」

 

 こんな感じに、プールは桐根とのんびり過ごせるからそんなに嫌な時間にはならなそうだな。

 そして偶にこっちに手を振ってる真倉達は…あれ真倉達で良いよな?金髪の真倉以外日差しがすごくて判断つかない。取り敢えず和やかに手を振り返せば良いや。

 

「休憩!…ふぅ、疲れた」

「じゃあ見学だな。動き方を知る分にはどっかで役立つだろ」

「残念ながらぼやけて見えないんだなぁ。後ろの席から黒板が見えないってそういう事なんよ」

「やっぱ伊達じゃ無くて本物の眼鏡かけたらどうなんだ?」

 

 あれ、言ってなかったっけ…桐根には言っても良いだろうし、言うか。

 

「このメガネ外すと目が無くなっちゃうからだよ」

「なんだそれ」

「このメガネ怪具でさ、かけてる間は目を作ってくれてね。視力はかけた人によるけど、目がないよりはマシなんだよ」

「…怪具?怪具ってDDの奴だけじゃ無かったのか?」

「うん。それも結構良いやつ」

 

 なんか桐根が驚いてるな…そういえば、怪具ってメガネや手袋で身近にあるから全然気にしてなかったけど、本来なら丙の一番粗末な物ですら1000万で買える高級品だっけ。

 使い方を間違えなければ怪奇を安全に使えるってそれだけすごい事だし、本来なら怪奇とは滅多に遭遇しないんだよな。俺毎日会ってるから気にしてなかったけど。

 でも桐根は親の仕事的に見たことあると思ったんだけど…そうでも無いのか。

 

「あれ、お父さん怪奇の研究してるんだよね」

「あ……はぁ、白状する。俺は、実は怪奇には詳しくは無いんだよ。親が遠ざけてたからさ、俺の魂を埋めてる機械だってどんなのかは知らない。学校で学んだ事と、親の零した言葉が全部だ」

「え、なら何でDDの時に関わったの?」

 

 そのレベルなのに俺の筆箱から出た血を拭いたり関わりに来たのか。結構怖い物知らずだな。

 …ん?ならコイツマジで聞き齧りの知識で指示に従えって言ってたのか。それを見守ってたお父さんの方もアレだけど肝の据わり方ヤバいな。それに従った俺もアレだけど。

 

「…気に食わなかった。研究してる父さんと母さんに仲間外れされてる気がした。だから、関わりに行った。俺も出来るんだぞって見せたかった」

「それで私のゲェムに?」

「万が一の時は父さんが何とかするだろうし、ゲームはクリア……違うか」

 

 その時の桐根はバツの悪そうな、居心地の悪そうな顔をしていたと思う。少なくとも申し訳なく感じてる音はしていた。俺は怒ってないけどな。何とかなったんだし。

 

「ごめんなさい。アレ、後で父さんに命が懸かってる奴だったって聞いてさ、それなのに俺の自分勝手で素人の口出して、怒られたく無くてずっと黙ってた。ごめんなさい」

 

 ん、コレ簡単に許すのも桐根の経験的にダメな事だな。アレから桐根も随分と感情豊かになったし、普段からノートとかでお世話になってるし、ここはしっかりしなければ。

 

「んー…許すよ。その謝罪を受け入れる」

「…ありがとう」

「ただし、コレからも仲良くしてね。謝罪して席が変わったら話さなくなるとか、そんななぁなぁの縁の切り方はダメだから」

「分かった。これからも友達だ。約束する」

「ん、宜しい」

 

 それから、握手とハグで仲直りとした。親に対する憧れは俺もよく分かるからな。そのせいでついやっちゃったのは仕方ない。コレからも友達として、ノートや授業や体育の援護は任せた。俺は結構普段の優しさに甘えてる分桐根の好感度は高いぞ!

 

「わぁ!」

「後ろから手を回すな。汗と線香の匂いがする」

「えぇ?でもプールの見学って暇だし、柔軟大変だからやりたくないしぃ」

「だからってだる絡みはすんなよ」

「ん、なら折角だし説明しようか?怪具の話。怪奇を道具に出来る、現象がこの世界に合わせて変質するこの世界の法則の話」

「………離れてからだ」

「へぇい」

 

 良い感じに柔らかい寄りかかれる場所ってどうしてこんなに心地良いんだろうな。地面や柵には無い楽になれるって感じの感覚、電車で隣の人に寄りかかるみたいな姿勢が楽になるアレに近いよな。

 うん、自分でも変な事考えてるって分かるわ。最近あったかくなったからそのせいって事にしよう。

 

「まず先に断っておくと、コレは怪奇現象では無い追加された物理法則の一つです。その名称を「怪奇変質の時間法則」と言います」

「…追加された?」

「コレから学校でも習うと思うけど、何事も無ければ怪奇って千年単位で2回変質して、3千年居るでしょ?」

「ああ、よく耳にするな。あの時の変質のせいでーって」

「今からずっと昔々の怪奇ってさ、そんなきっかりと変化しなかったんだよ。パッと現れて、数百年で消える。消えても今みたいに丸ごと消えなくて、色んな怪奇の痕跡が有ったんだよ」

「どれだけ昔の話だ?」

「紀元前の…5000年くらいまでそうだったってのが有力な説だね」

 

 今なら、怪奇が消えればその痕跡も消える。例えば『妖魔』が消えたなら、産んだ全ての悪魔も妖怪も、それに伴う法則も綺麗さっぱりと。

 例外が『踊り猿』といった昔の怪奇の影響下を受けた存在だ。そういうすごく昔の怪奇の影響を除いて、それ以降は後に残らないのだ。

 

「そんな中ある時、この世界の法則にガッチリと嵌る怪奇が現れた。それは3千年かけて完全に適合して、その法則を全ての怪奇に当て嵌めたんだよ」

「それが「怪奇変質の時間法則」って事か」

「そう。怪奇は千年経ったら変質する。三回目にこの世界に適合しないなら消える。この時間は特定の条件で早くなる。ここまでがこの法則の範疇。ただし、この世界の物質として成立したのは消えない。怪具として存在する時、その影響を受けない。怪具の法則は最初からあった物だから、こっちが優先されるんだよ」

「…思ったんだけど、例外が多く無いか?」

「元々別世界の法則の一つが偶然この世界に完全に適合する形でやって来ただけって感じだし、仕方ないよ。元々は存在しない法則なんだから」

「…頭がこんがらがって来た」

「そりゃそう。完成された物に余計なのが付け足されてる様な物だからね」

 

 ここら辺は本当にややこしいから面倒なんだよな。だから普段はぼかし入れて簡単解説してる訳だし。まぁ、今回の話なら結論は一行で済むけど。

 

「まとめぇ。怪具はあらゆる怪奇の消える条件を無視して有り続ける元からあったこの世界の法則である」

「…ここまでの説明全部、怪具は無視してるって事か」

「そ、この眼鏡も壊れない限り何万年も怪具として動作するんだよぉ」

「はー…面倒だな」

「そもそも、怪具は略称だし正式名称あるからね。2つあるけど分かる?」

「…怪奇道具?」

「ぶー。「怪奇の道具」と「怪奇現象具現化現象」の二つだね。桐根が言ったのは惜しかった。前者が私のメガネで、後者は怪具になる際に起きる現象」

「…ややこしいな」

「だから全部纏めて怪奇呼びになったんだよ」

 

 人も魚も虫も植物も、全部纏めて生物って言ってる様な物だし。抽象度高すぎて正確性に欠けるんだよな。まぁ普段からそんな細かいの気にしないし、滅多に会わないならそれでもいい。

 俺はよく遭うけど…面倒だから雑に纏めてるし、研究者になる予定は無いからな。

 


 

 そんな感じにプール開きを過ごしたんだけど、今週はコレ以外にも色々な人から話しかけられる事があった。普段ならこういうのは1週間に一度、纏めてくるんだが…まぁ、そういう日々もあるか。

 

「良い感じの交換会をしたいわ」

「いきなりどうしたの真倉ちゃん」

「使用人に聞いたのよ。お泊まりで何がやれるかって」

「お泊まりが前提なんだねぇ」

「お泊まりかー。ウチらと霧っちと…後は誰誘うの?」

「いつメンでいいでしょ。4人で収まりもいいし」

「我が家はやめてね、団地に4人の子供が泊まれるスペース無いからさ」

 

 メリーと君達を会わせると変な事暴露されそうで嫌なんだよ。特に真倉に左手の事とか、橘達にゲェムの事とか。

 

「えぇ、そういうと思ったわ。でももう霧晴の両親には話を通してるから」

「あ、もう根回しが終わってる感じかぁ」

 

 先読みされてるなぁ。メリーの反応には気をつけなきゃな。

 

「私も話は聞いてたよ。当然お姉ちゃんとして荷物は用意してある」

「…ウチに話回ってない!」

「奇遇だねぇ私もだ」

「霧晴は聞いたら遠慮するし、多々良は姉の方に止められたからよ」

「要はサプライズさ。多々良はこういうの、気合い入れ過ぎて空回りするからね。当日の方が良いと判断したよ」

「…うーん?そうかな、そうかも…」

「多々良、騙されちゃいけない。コレ余計なお世話って奴だから」

 

 夏奈って完璧主義な所あるからな。計画に成功率が下がりかねない要素を入れたく無かっただけだ。

 

「…ところで霧晴、一つ聞いて良い?」

「ん、どうしたの真倉ちゃん」

「霧晴のちゃん呼びと呼び捨てはどういう基準なの?」

 

 ……特に意図してる事は無いよ?俺の気分と好感度次第なだけだよ。

 

「好感度」

「ゲームみたいな単語出てきたね」

「霧っちそういうの良くないよ!」

「えぇ?気分次第な部分もあるからそうでもないと思うけど」

「アレだね。ちょっと一回全員の名前を言わせたら分かりやすいかな」

「よし、霧晴は友達全員の名前好感度順で言ってみなさい」

「んー」

 

 ええと、友達ね?それなら…

 

「証、桐根、多々良、夏奈ちゃん、真倉ちゃん、佐々木ちゃん」

「言っててちょっとアレだなって思わないかい?」

「…地味に私の順位低くないかしら。佐々木と同列なの?」

 

「同列で傷つくのはどうなんですかー?」

「あ、いや違うのよ佐々木。私はただもうちょっと高いと思ってただけで…」

 

 真倉は言い訳しながら佐々木とその友達の場所に向かった。でもね真倉、若干男女間の方の好かれたいという欲求の音を出しながら話しかけられるのはキツいんだ。

 コレは差別ではない、差異だ。俺から好かれたいならその1割のスケベ心か移り気を無くしてから話せ。

 

「…それ、真倉とは相性悪いやり方だから控えた方が良いと思うよ」

「そうする。比べられたら上を目指したい性分だからね、真倉は」

「そうじゃ無くてね…まぁ、いいか。真倉にも原因はあるし」

「でしょ?」

 

 夏奈は真倉が佐々木達と話してる様子を見て、困った様に言った。

 まぁ分かるよな。夏奈はAIの時に人の感情を診て精神の健診をしてた事もあるし。

 

「でー、お泊まりはいつなの?」

「明日だよ、多々良」

「早くなぁい?」

「そうかい?そうでも無いと思うんだが」

「お姉ちゃん、そういうのは1週間は前に言うものじゃないかなー?初めてなんだしさ」

「…うむ、妹に言われたのならおしまいだね」

「相手は機械じゃないからねぇ」

 

 そう言うわけで、土曜に真倉達が訪れる事になった訳だ。何があるやらと今から心配だな。特にメリー、ゲェム、怪奇関係、お前らだよ。どうか命に関わる事だけは起きないでくれよ?

 なんだったら家で待たないで学校前で待ち合わせしてやろうかな。どうしてくれよう。

 


 

「そういえばメリー、今のディスクはどう思う?」

『別にどうとも。怖く無くなったけど、触りたくないのは変わらないわ』

「じゃあ記録だけしか見れない状況は終わったのかな…明日見てみようかな」

 

 ピンポーン

 

[霧っちー!来たよ!]

 

『お友達が来たわね』

 

 そんなわけで、3人が家に来た訳だ。部屋の中はいつも通り親は居ないので、メリーと私だけである。

 

「…そういえば最近『開けて』来ないなぁ…はーい!」

『あら、質疑応答しないの?』

「ん、見ても問題はないけど…そう言うならやってみようか」

 

 普通に開けようとしたら、何やらメリーが横槍を入れてきたのでやる事になった。きちんと3人分魂は見えるけどなぁ?

 

「ならこの質問には答えられる?」

[どしたの霧っち]

「怪奇対策。答えられたら開けるよぉ」

[なら仕方ないね!ドンと来てよ!]

「他2人喋って」

[あれこれ私のだけじゃないの?]

「ちなみに多々良の一人称はウチだよ」

 

 扉越しに見えていた魂が消えた。久々だったな。この程度の知能なら簡単なんだけど…精度高くなってるな。しっかり魂や音も再現されていた。

 

「怪奇だったよメリー」

『まだまだの青二才だったわね』

「結構すごかったよ?私が見ても分かんなかった」

『主人は高性能な人形細工は見破れないのね』

「1人分しか用意してないのもアレだったかな」

『メリーが言わなきゃ開けていた癖によく回る口ね』

 

 もう暫く待つ事になり、また呼び鈴が鳴った。扉の前に立つ。

 

[来たわよ霧晴ー]

「開ける前に質疑応答の時間です」

[あー、怪奇が来てたのか。なら仕方ないね]

[よく遭うよね霧っち]

「私の好感度が一番高いのは誰でしょう?」

[当然!私以外ある?]

[多々良、私、真倉の順だね]

[証っち!]

「多々良以外は立ち去って」

 

 見えてる魂が二つ消えた。うん、多分4人とも分断されてる説出てきたな。

 

[…2人とも消えたけどそう言う怪奇なの?]

「だから質問してるんだよ。次、私は多々良の味を評したけど、どう言ったでしょう」

[えー?確か…服の雑誌ニコラの4月から8月で安いイタリアコース!人を安いコースって例えるのどうかと思うよ!]

「庶民に愛された味って事で…はい次。『鎌蛇様』の許しの許容量が狭まる条件は?」

[…うーん…知らない!]

 

 …セーフか?今の時間軸なら多々良知らないからな。コレで知ってたら…反応が軽くないか?

 

「最後、私達の仲良くなったキッカケは?」

[霧っちから許して欲しいって謝った時!]

「…それを言ったのは多々良の方からだね」

[……言い間違えって許される?]

「それ以前に、許して欲しいよりごめんなさいって言いに行った時って答えると思うんだけど」

 

 魂の幻が消えた。この世界の多々良、別に『鎌蛇』に取り憑かれてないからな。普通に謝りに行くだけだろうし、話の前提を置き間違えた回答だったな。

 

「メリー、アレってどう言う名前の怪異になるんだろうね」

『さあ、それは主人達が決めてる事じゃない。メリーには関係ないわ』

「それはそう。でもこんな事になるとは思って無かったな。もっと普通に来て遊ぶ感じだと思ってたよ」

『ところで主人、今日は私によく話しかけるわね』

「普段なら黙ってるならスルーするけど…今日はほら、友達が来るから念を入れられるなら入れたいなって」

『ところで主人、あなたはかなたらの願いは「未来を変えてくださいって感じの文しか見れない」って言ってたけど、いつから記録も見れる様になったのかしら?』

 

……うーん、鋭い方だな。よく持ち主の事を見てるんだな。

 

【そりゃあ視点が違うもので、仕方ない話だ】

『あら、はぐらかさないのね。てっきり惚けるかと思ってたわ』

【メンテも終わってるからね。大きめなプロジェクトも稼働したし、コレからって感じに軌道に乗ったから。機嫌が良いんだ】

『ところで、貴方はどちら様?主人の側にずっと居た方達なのは知ってるけど、1人しか挨拶してない物ですから』

 

 礼儀正しいな。人形と人が混ざってる…元ネタの方は転生者なんだな。アリスさんの所だろうか。あそこも分かりづらい屈折の仕方をしていたから、面倒な事になったんだろう。でなければ普段の私達を知る事は難しいだろうし。

 

【あぁ失礼。私は【かなたらの願い】担当だよ。未来からの支援を元に今を良くする事をコンセプトにした、ゲェム開発をしている者だ】

『あら、かのゴミみたいなゲームを作ってる方?それは知れて光栄でしたわ。死んでくださる?』

『あ、無駄になった。メリーには手に負えない方なのね』

 

 未来を観測し、それで上書きした。変にリソースを使いたくないんだが、困ったものだよな。

 

【分かり合えて嬉しいね。私は怪奇も仲間になれるって信じてるから、尚更だ】

『人を信じられないだけの癖してよく回る口ね。前の【裏世界探索ゲェム】の方もそうだけど、普段からその力で支えてあげればいいのに。…それで、どの様なご用件で来たのかしら』

 

 前…バグで安全保障が出来ないからと言いに行った時か。先輩がメリーに私達の事を伝える様にお願いした時だったな。まぁ、全部伝えなかったが、やらない様に誘導しただけマシだろう。

 

【DLC第一弾の実装。ゲェムの利用率が低いから、上げるための盛り上げに早めに実装した。と言うのを伝えて欲しい】

『主人に直接言いなさい?主人、誰かに見られてる自覚はずっとしてるし、そのせいでメタを認知してるキャラみたいな説明口調の独り言してばっかりよ?』

【それはまだ抽出されてないゲェムと担当に言ってくれ。暇つぶしの観測に持ち主は丁度いいせいで止めても聞かないんだ】

 

 予算(コイン)が通って抽出されるゲェムはランダムとはいえ、準備だけはしっかりしてる。不親切だが、仕事はする連中なんだ。その点を以て許して欲しい。

 

【元々、怪奇を利用して実在非実在問わずに組織が特典にされて渡されたんだ。完全に意見が統一された特典は少ない。ましてや、それがたった1人の為に活動しろなんて…それも意思疎通出来ない人に対しての活動なんて、やる組織の方が少ないよ】

『つべこべ言ってるわね』

【これでも、私達は友好的だ。交流打診した他の特典には、寧ろ持ち主を殺そうと、悪意を持って情報を秘匿する場所もあった。メリー、貴方と会話出来るのも【曖昧な主人】を不完全に所有してるからに過ぎない。この私だって、【不思議いっぱいTRPG】担当からPCを生成して貰っただけだからね】

 

 そう言う意味では、持ち主は運がいい。比較的にシナジーのあるゲェムや人材を引けているのだから。お陰でゲェム開発環境は順調に潤っている。

 

『残機システム作った貴方達がそれを言うのね』

【だって持ち主が気にしてなかったし…ならリソースは出来る限り貰いたいし…企画したのアイツだし…】

『つべこべ言ってるわね』

 

 うん、的確に耳の痛い所を突いてくるな。これは勝てない勝てない。さっさと帰ってゲェムのデバッグでもするとしよう。

 

【なら、さっさと帰ろうか。そろそろ持ち主達も帰ってくるし…後そうだ、先輩に言われたから質問するけど、なんで私達の存在を認知出来るキーワードを伝えないんだ?そしたら私達も持ち主により干渉できて利便性が上がるのに】

『愚問ね、愚民』

 

 まぁそう言われるのは知ってたが。先輩は鈍いからな、聞くまでも無く帰ってもいいだろう。

 

『そんな事したら、貴方達は主人が死ぬまで利用し尽くすに決まってるからよ』

 

【だよね、知ってた】

 

 私だって、そうなったら持ち主の可能性全てを、吸い取って分解して、次の持ち主の下でやるゲェム開発に使うし。うちの組織、全員目的が同じでも手段は違う連中の集まりだからね。集団の利益になっても、個人の利益は考えないろくでなしだ。それでいいと思うよ。

 

【ではまたいつか。あ!気が向いたなら【かなたらの願い】をプレイしてください!世界が自分の手の中にあるゲェム体験が出来ますから!】

 

『…そんなだから主人に嫌われるのよ』

 

 


 

 

「………へぇ、特典って組織を…へぇ」

「霧っち扉前で止まってどうしたの?」

「ん、なんでもない。もう居ないから」

「怪奇的な?」

「おぅいえぇい?」

「どういう反応なの?それ」

「真倉、多分微妙に判断に困るタイプだと思うから追求はしないでやってくれ」

 

 やぁ、なんか玄関前に『開けて』の変質した怪異…さっき『ウワサネット』を確認したら『存在しない訪問』という怪異になってるのを確認してた俺だ。

 うちの団地防音性死んでるからな。部屋の中にいるメリーが誰かと話してる挙動をしてたからこっそり聞き耳を立ててたら、どちら様とか、残機システムを作ったとか如何とか聞こえたから大体察したぞ。

 

「…まだ待った方がいいかな?」

「霧晴、中で何が起きてるの?」

「うーん、雑談?」

 

 そうか…知らないふりしないといけないタイプの奴か。

 でもこうして察しても何も起きないって事は、間違ってるか、特定の行動が条件なんだろうな。合ってると思うけどさ。…特典、あの神様材料にとんでもないの使ったんだなぁ。俺の特典とか不満絶対多いと思う。ゲームって本来世間に公開して色んな人にやって貰うものだし。俺1人で、しかも週一は少ないよなぁ。

 

「…もうちょい待って」

「えー……うーん」

「まずいな、多々良が階段に座ろうか迷い始めた」

「流石にやめなさい。多分大人達が大事な事話してるのよ」

 

 しかし…これ記録に残して良いのかな。ずっと見られてる感じは産まれてから段々増えては居たけど、相手が人なら内面も取り繕うのやめていいか?ずっと怪奇だと思って思考の仕方気をつけてたし。……いや、油断はダメだな。それで失敗したんだ、気をつけて損はない。

 

 つまり、何も変わらないって事だな!

 

「…よし、もう大丈夫。ようこそ、我が家に」

「待ちくたびれたー!」

「ようやくね、今日は一日中パーリーよ!」

「大人の居ない夜…不安と興奮があるね。前に遊びに行った事があっても楽しみな自分がいるよ」

 

 何はともあれ、今大事なのはゲェムよりもみんなと遊ぶ事だ。そうだろう?

 

 






霧晴千歌
 最近相手の顔をよく見る為に顔を近づける癖がついた。
真倉朝凪
 この日の為に予定を頑張って開けていた。
橘夏奈
 各親御さんに話を通していた。
橘多々良
 正直泊まるのと遊びに行く違いが分かってない。

「サンカイ」
 二回までは消さず、三回目で消す。この世界の怪奇の法則に組み込まれた。
『存在しない訪問』
 『ぬらりひょん』を本体にした怪異。留守の間に訪ねてインターホンの履歴に不審なのを残す。

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