怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 後悔のないようにやり切って行きましょう。
 初の怪奇が一体も主張しなかった時の事です。




日常-処分品だ

 

 

「う、UNO」

「負けた」

「…霧っち、コレで10連敗だよ?」

「凄まじく運がないな君は」

 

 誰もが一番になれやしないからオンリーワンこそが至高なりな俺だ。ウノもトランプも運勝負全部負けたぞ。手元にある25枚の手札が哀愁を誘うな。

 

「すごいけど…ちょっと連続じゃんけんしてみよ?それなら一回は勝てるよ!」

「いいよぉ、じゃんけんほいほいほいほいほい」

「急ね!ほいほいほいほいほい…待って、こんなに勝ててるの怖いんだけど!」

「…え、あいこもしないのは私も怖い。確率論が仕事してない」

「コレが今の私の運勢だよ。基本悪い方に行く」

「…実力勝負しよ!」

「ワードウルフとか良さそうじゃないか?」

「なにそれ?」

「話題を書いた紙を配るけど一人だけ別の話題が配られるって感じさ」

「最後に誰が違ったか当てるって事ね、理解したわ」

 

 おかしいなぁ前なら普通に勝ったりもしてたし、ゲェムならまぁまぁ良い感じに進められる方が多いんだけど。ゲェムに運が吸われたのかな。寿命を残機にするしあり得そうで困る。

 それはそれとして俺は「恋愛」の話題か。俺の寿命じゃそもそも出来ないだろうから初手話題出したら見に徹するか。

 

「よし、好きなのを答えようね。私は優しい感じがいいかな」

「好きねぇ…メガネ」

「ウチ的に肌を隠しても良い感じにやれるのがいいかな!」

「尽くしたい感じがタイプだよ」

「尽くしたい?どんな感じよそれ」

「貧乏アパートとかで二人仲良くって感じかな」

「私と正反対ね。金をかけれるなら良いのを建てるわ」

「麻か人工繊維かってこと?帯電的に人肌に近いのが良いと思うよ」

「コレ建物と服と恋愛の話してる?例え話だと分かりにくいねぇ」

「でも直接言うのも違うでしょ。霧晴はどうなの?」

「私は…別に。気にする必要が無いかなって」

「いや、霧っちは普段から匂いや髪とか気にしてるし、そんな低い意識じゃ無いよ!」

「そうかな…違うと思うけど」

「それはそれとして私に似合うのは黒色よ!」

「あぁ、それは分かる気がするよ」

 

「3分経ったから時間ね。各自仲間外れを指しなさい」

 

 俺は自分、多々良は夏奈を、夏奈は俺を、真倉は夏奈を指した。それぞれが話題を取り出す。

 俺以外は「服装」だった。正解だけどよく会話が成立したな。

 

「多々良ちょっと突っ込みすぎよ。あれじゃあ気付かれるじゃない」

「ごめーん!」

「でも夏奈が番狂せ過ぎたわね。何よ尽くしたい服って。分かんないわよ」

「いや、分かるだろう?ボロ布な感じだと奉仕したいなって思うだろう!?」

「自分のしたいファッションを語る所で、なんで好きになる相手の服を言うのよ!」

「いーや真倉も建物の話題突っ込んだのもあれだったぞ!後メガネ!」

「それは…流れよ」

「私は発言数少ないからバレないと思ったんだけどなぁ。夏奈すごいねぇ」

「まあね。でもそうか、優しいのがタイプか…」

「…私を見ても何もないわよ」

 

 姦しいとはこの事だな。如何なるかと思ったけど普通に楽しいわ。やっぱ怪奇がなければきららって感じに輝いてる世界なんだよな。良い人ばかりなのもそうだし。

 

「…そろそろお風呂の時間ね?」

「なんだかんだで遊びまくったからねぇ」

「霧っちのポケモン何でもありのクリアはすごかった!」

「あー、1時間もせずに終わったあれね。分かってたけどその手のセンスが凄まじいよ」

「知ってただけだから私はすごくないよ。ゲームは初めてじゃないから」

「お風呂は狭いから二人組にするわよ!」

「なら、さっきのゲームで使ったクジを引こうかねぇ」

 

 一人一人でも問題ないだろうが…まぁ折角のお泊まりなんだからコレでも良いだろう。非日常感は大切にする方針だな。…あ、コレ手袋外しても問題ない相手じゃないとダメじゃないか?見えない人には見えないっぽいからな、この左手。

 …あ、コレ3対1の奴だったし俺1の方引いた。

 

「で…クジの結果に従うなら私以外が一緒に入る事になるんだけどさ、じゃんけんにしようよ」

「それなら…霧晴は風呂は長いかしら?」

「やる事ないならゆっくりしてるね」

「なら最初に行きなさい。私達は途中から割り込んで行くから」

「なぁにその人為的バッタリハプニングは」

「一番風呂、楽しんで来なさい!」

「いつも通りなだけだね」

「ねー」

 

 なにやら企んでそうではあるが、俺は気にせず風呂に入る事にした。メガネかけながらやるから絵面が変な感じになるんだよなぁ…。

 

「はぁ…のぉびぁぁ」

 

 風呂に入るこの瞬間は何物にも代え難いね。俺がリラックス出来る時間って少ないし、凝った身体も癒される。

 

 トントン

 

「霧っちー」

「なぁにぃ?」

「突然ですが質問の時間でーす!」

「突然どぉしたのぉ?」

「ウチは普段霧っちとツルんでるけど、それは何故でしょーか!」

 

 あー…怪奇では無いな…音は…間違えて欲しいのね。知らね、合っててもいいだろ。

 

「居心地がなんかいい、でしょ?」

「…今悪くなった!」

「普段は聞いて欲しい事聞いてるし、合わせてるからね。今日くらい良いじゃん」

「もー。やっぱわざとだったんだねー」

 

 ガラガラと扉を開けて多々良が入る。普段から仲良くしてるけど、俺はやって欲しい事や役割をふんわり聞こえたり、魂の調子を見て体調が悪いなら気遣ってるからな。そりゃあ居心地が良いだろうな。中身4歳なんだし、そのくらいはしても良いはずだ。

 

「うわ、お風呂でもメガネしてる!」

「本体だからね」

「うわ!服の下の肌しわしわ!だからいつも長袖なんだ!」

「お風呂ならこうもなるよぉ」

「そうかなーぁ?」

 

 普段は年相応でも、リラックスしてると如何にも身体の年齢がね?人肌程度のお湯に浸かるとこうなっちゃうんだよな。

 多分胎児の状態に近づいてるんだと思う。怪奇に関係ない体質なので、これ以上深掘りしても無駄だぞっと。左手を後ろに隠しつつ、風呂の端に寄った。

 

「何だか今の霧っちおばあちゃんみたいだねー」

「産まれたばかりの子供と言いなさい」

「あー、言われたらそうかも!でも線香の匂いのせいでそっち連想しちゃうな!」

「ん、親の仕事手伝ってるからね」

「それでもじゃない?週一で普段からそーなるかなーぁ」

「なるようになってるから、そうなんだよ」

「へー?…と、おじゃましまーす!」

「はい、どぅぞぉ」

 

 ばちゃぁとお湯が流れていった。中にいる人が増えたからな。

 

「はー…霧っちー」

「なぁに?」

 

 多々良は真面目な話をするみたいだった。この気に言う事ってなんか合ったっけ。

 

「いつから『人形』なんて手に入れたの?」

「向こうからお前が主人って押しかけられたんだよ」

「ウチさー、何で『人形』がたくさんあるかって、神様の為もあるけど、みんなにお父さんが好かれたからなんだよ。そーいう体質って奴」

「うん」

「気をつけてね?『人形』は霧っちが思うよりずっと…悍ましいから」

 

 そう言った多々良の目は、今まで見た中で一番真剣な目をしていた。

 

「んー?例えば?」

「少なくとも、あの『メリー』って子が家に来たウチらを未だに殺してないのが、不思議で仕方ないくらい!」

「よく平然としてたねぇ?」

「だって、あの子もう人に執着してないよ?なら気にしないのが一番殺されないから」

「でも私を主人って言ってるよ」

「きっと何か別の怪奇に影響されたんじゃないかなー?取り敢えず本性はもう殺し続けるだけの『人形』でしか無くて、今霧っちに従ってるのはその怪奇のせいだよ」

 

 普段から『人形』に関わってるだけあって、コレに関しては多々良の方が詳しいな。注意事項として覚えて損は無いだろう。

 

「それで、対策は?」

「最初にウチがしてた事!」

「…質問?」

「自分をちゃんと見てるかって問いかける事だよ。あの子に聞いてみてよ、多分霧っちの名前も消えないから」

「まぁ、そう言う事なら試してみるよ」

「空っぽな中身に程々に、自分って情報の重しを注ぐのがコツだよ!注ぎ過ぎると大切にされちゃうからやり過ぎないこと!」

「…大切って?」

「……はぁアツイアツイ、ウチあがるね」

「おぉい?」

 

 のぼせたのか、顔を赤くした多々良はそのまま出て行った。末路だけは教えないのか…下手に聞いて怖がらなくなる物なのか?分からないが、そうなるなってのはしっかり伝わったよ。

 

「…はぁ…やる事増えたなぁ」

 

 ピシャン!

 

「悪いけど、今だけはそれを棚に上げなさい、霧晴!」

「真倉、扉は音を立てないで閉めてね」

「あ、ごめん…まぁそれは兎も角、お風呂よ」

「そうだねぇ」

「…よし覚えた。シャワー使うわ」

「良いけど自分の髪や肌に合ったの使いなよ」

 

 シャンプーもリンスもそっちの方が良い。変なこだわりよりそうした方がマシだな。

 

「分かってないわねー霧晴。ロマンってのは自分の感情第一にした合理よ?そういうのは後回しが種よ」

「男らしいんだか女らしいんだか分かんないねぇ」

 

 ロマンは男でも感情優先は女らしい。方向性は違って変な方に爆走するのやめなよ。

 

「じゃあ、入るわよ」

「本当に速いじゃん。即終わらせに来たね?」

「待たせるよりはいいでしょ」

「待ってないかな」

「風呂が私を待ってたのよ」

「その情熱が怖いね」

「あら、成功の秘訣に情熱は入りがちよ?なら持ってた方が人生上手く行くと思わない?」

「主語デカいけど、それが友達とお風呂したりお泊まりしたりに注がれてるのはどうなの」

「でも、こうして実現したわ」

 

 おっと…ものの見事に言いくるめられたわ。確かにやりたい事である事の実現に成功している。

 コレが成功者って奴か。

 …そういえば、お泊まりを実現するのに稽古や学習を早めてたんだっけ?なら、一番楽しみにして一番頑張って、ここに居るのが真倉なんだな。

 

「…見直した」

「当然!欲望は叶えてこそだもの!」

「出会った時はあんなに大人しかったのにねぇ」

「…まぁ、そうね。あの時は本当に死んだと思ったわ」

「アレ、聞いた気がするけど、結局如何なったっけ?」

「話す対価は触る許可」

「いいよぉ」

 

 真倉が近づき、俺の背中側から髪を弄り始めた。今は三つ編みも下ろしてるからな。わかめ的くねくねウェーブを堪能したまえ。

 

「離婚ね。私も父も、母は最後まで嫌いじゃなかったけど、向こうから言ってきたわ」

「あ、そうなんだ」

「私は好きでも無いけどね。恋愛感情を優先されて、縁を切った。それだけ」

「じゃあ私を千歌と呼んでいたアレコレも」

「ちょっと、一つだけでしょそういうのは」

「契約は最後まで聞かなきゃだよ。悪魔との契約はいつだって全て知ってからじゃないとだ」

「あーらま、全知の悪魔にしてやられたわね?」

「全部は知らないかな。知ってる事だけだね」

 

 見えたのを鑑定していると、本当にそう思う。分かった範囲より分からない方が多いんだから、全知なんて名乗れる気はしないな。暗号を言語化出来ても、それが未知の言語なんだから威張れる気はしないんだよな。

 真倉が髪を弄るのに飽きたのか、首元に腕を回して密着してきた。…なんで中身男の俺より興奮度合い高いんだよ。まぁ俺の方は子供は対象じゃ無いだけなんだけどさ。

 

「しわしわの身体によくもまぁ怪しい手付きになるね」

「そんなのは些事よ。好きにな……まぁ、うん。そんな細かい事は気にしないわ」

「そういうものかねぇ?」

 

 だからって俺の股と胸に手を伸ばすのはダメだぞ?それはさすがに抑える…左手だけ無くて掴めないから胸は通っちまうな…言葉で止めればいいか。

 

「それ以上触れたら嫌いになりかねないよ」

「おっと、欲張りだったか」

「で、話を逸らすのもダメだよ」

「…言わないとダメ?」

「ん、そっちの私と区別して考えてる限り、私は真倉の事を好きになる努力はしないかな」

 

 俺の好感度が一番低い真倉だけど、俺に別の俺を重ねるのはなんか違うんだよ。恋愛ならなおさらそういうもんだろ?

 失礼な奴がどんなに耳触りの良い言葉を言っても、好きになんてなろうと思わない。スケベ心以上に、聞いてて嫌な気持ちになる音だ。嘘の音は違和感あって嫌なんだよ。

 

「…そうね、貴女に失礼だったわ」

「貴女達、だよ。誰の為にもならない」

「そうね…」

「…………」

 

 沈黙は気まずいのとそうで無い物がある。今回は、俺が後者で真倉が前者として感じていた。別にどっちでも良いからな。言っても言わなくても。

 どっちにしろ、大切なのは真倉がこの事に向き合えるかだし、態度が変われば音で分かるからな。俺が全部知る必要はないって事だ。自分から千歌と俺は別だと言っておきながら、重ねて見てるのが気に食わないだけだし。

 

「今は…言わないでおくわ」

「そっかぁ」

「でも、これからはしっかりと霧晴と向き合う。そう努力する」

「…正直、私は言った言葉を守ってくれるならどうでもいいかな。最初に貴女と千歌って分けてるのに、最近重ねてるし。それが不快なだけだからね」

「ごめんなさい。思ってるよりそのままだったから…ついね?」

「そりゃあ一月も経ってないなら変わるわけも無いよ。ただ、知らないってだけだし」

 

 木香と真倉と俺が一緒にあちこち行った話はまた今度だな。どうせそんなの気にならなくなる程の出来事がゲェムや未来にあるだろうし、過去改変で一生語られなくてもおかしく無いな。

 

「私、もう出るわね…はぁ!楽しむつもりだったのに、しんみりしちゃったわ!先に遊んでるから、良いところであがりなさい!」

「らじゃぁぁ」

 

 そして真倉も出て行った。左手の事バレなくて良かったな。それで変に責任取るとかの口実与える方が不味かったし。善意で何されるか予想出来なくて困るんだよなぁ。

 

「やぁ霧晴、入るよ」

「真倉の直後じゃん。もしかして待機してた?」

「予想時刻通りに動いただけさ」

「うーんこのロボらしさを全面に押し出すスタイルよ」

 

 真倉と確実にすれ違ってる早さで夏奈も来た。高性能な頭脳を無駄な事に使いやがってもう…。結局3人ともお風呂に入っちゃったし…俺は嬢とかじゃ無いんだけどなぁ。

 

「3人揃って何で私と一緒に入る事になったんだろうねぇ」

「好かれてる…よりは、全員が二人だけの時に伝えたい事や話したい事があったからだね」

「あぁ、そういう?」

「『人形』には私は詳しく無いし、個人的に仲を深めたかったりね。君はもう少し自分の価値を見直した方がいい」

「えぇ?ちょっと怪奇に物知りでゲェムやってるだけだよ?」

「過去や未来を変えるゲームの持ち主な時点で、国が保護しに来るレベルだよ」

「戦争の結果を変えて何があるか分からないけどね」

 

 夏奈が風呂に入る。みんな身体を洗う時間早いなぁ。

 

「では失礼…ゲームの方はどうだい?」

「変化有り。予想はつかない」

「それは…難しいね。新しい事に挑戦する事の難しさは最近学んだばかりだ」

「動画投稿とか花一匁のゲームとか?」

「まぁね。身体が動かなくなった時はどうなるかと思ったよ。また助けられたね」

「私は相談に乗っただけ。頑張ったのは高倉ちゃんだから」

「では功労者という事で、相談に乗ってくれた事に感謝しよう」

 

 あの後どうなったか見に行ったら、片目を眼帯で塞いでたからな。悪魔の対価を値切りに値切ってそれだけにしたんだそうだ。

 そのお陰でゲーム自体はやっても問題なくなった。まぁ身体の自由が効くようになった子達の声で誰もやらなくなって、結局消えたけど。

 

「先人が何でしなかったのか、その理由が分かるものだったよね。あれは」

「そうだね。あれから真倉の会社の動画サイトへの姿勢やゲームのニュースを見て、社会的にも先鋭的な物に対する姿勢も慎重になった。これまでのイケイケモードにはならなくなったよ」

「閉鎖感、ずっと感じてるもんね。技術は発達しても、それを万全に活かせないもどかしさに焦ってたんだよ」

 

 コレは技術が進んだせいだな。最初のゲェムが来る前はそんなのは無かったけど、下手に進んでしまった物だからみんな辛抱堪らないんだよな。

 目の前に最強装備があるのに使えないのはストレスだからな。ちょっと覗いた掲示板でもそんな意見ばっかりだったし。怪奇なんとかしろって話題でループしていた。

 

「それに、最近はネットに妖怪や悪魔と同列の存在が出てきたとも聞いている。これでますます発展は困難になるだろう」

「下手に活かしたものをチラ見せされた分、落胆は大きいよねぇ」

「情報を広める場所が欲しくてネットが産まれたのに、広めたらマズい相手の手助けをしてしまった。難しいものさ」

 

 コレに関しては俺がやらかした奴だけどな。でもさ、そうならないと信じ込めば本当にそうなる相手が、今だけその制限が解除されてたって思うかよ。

 そういうのを思いつかないくらい信じなきゃ今まで適用されなかった分、思いつかない事自体は確定なんだよな。その後の行動がジャワティーだけど。

 

「それで、ゲェムやる?」

「やる。勿論、真倉と私も一緒にだ」

「そっかぁ、なら明日みんなでやろうね」

「ああ……そろそろ、霧晴もあがろう。のぼせてしまうよ」

「そうだねぇ…そうしようか」

 

 夏奈が上がってから後ろをついて行く。手袋してないからな、バレないようにだ。

 そして身体を拭いて、服を着る。髪はもう夜だから結ばない。…うん、結ばないと母さんに似てるな、俺。タレ目とか、髪質とか、鼻や口は若い父さんに似てる。…今の父さんには似てない。まぁ雪女と似てたらそれはそれで問題だから当たり前だけど。

 

「じゃあ交換会やるわよ!みんなプレゼントは持ったわね!」

「おー!」

「勿論だ」

「急いでたから貰い物だけど…それで良いなら」

「良いのよ、先に教えてない私が悪かったわ」

「…でも霧っちそれデカくない?」

「多々良、こういうのは出してからのお楽しみなのさ」

 

 因みに俺が用意したのは「怪具/思念撮/丙」だ。テレビ屋さんからお礼に貰った物だな。撮る人の記憶や想像も撮影できるインスタントカメラだ。俺が使うにも重いし嵩張って使いづらいし、死蔵してても仕方ないから渡りに船だな。

 全員が持ってるのを歌いながら回し、適当な場所で止める。俺の手元には小さなプレゼントボックスがあった。

 

「中くらい!」

「大きい霧晴のか…何だろうな」

「袋包装…もう見えてるけど、多々良のよね」

「私のは?」

「それはウチが用意した奴!折り紙で箱作ったよ!」

「…夏奈のね」

「すまなかったね、そこまで凝った用意は出来なかった」

 

 ふむ、俺が多々良の、真倉は夏奈の、夏奈は俺の…なら多々良は真倉の奴を貰ったのか。円形になってやってたから当然だけど、ぐるっと渡した形になる。

 早速中身をみると…オレンジ色の髪を纏める輪止めやヘアピン、新品の薄い色付きリップ、ビーズの腕輪2つ、耳を挟んだり耳に掛けたりするタイプのピアス、保湿液、四色別れてる…なんだろ、パウダー?が一式セットであった。

 …女の子ビギナー用化粧アクセセットかな?化粧とか全くやってない俺向けだけど…いやよく用意出来たな。

 

「お、女の子しよ!って感じの一式が…」

「ボタンを押すとキラキラ光るガラス細工…プラスチックなら安全だしおもちゃとして売れそう…」

「インスタントカメラ…違うこれ怪具だ…しかも丙かい?…うわ、値段が怖い」

「ハンカチにコップにお箸に耳かきに…あると良い感じのものたくさん!」

 

 四者四様、多々良以外パッと見で動揺していた。この空間の女子力多々良一人で賄ってる説あるな。

 

「…多々良、私おしゃれ頑張ってみる」

「すごい悲痛な声で言われた!?無理しないでいいよ?」

「これは嬉しいけどちゃんとやれるか自信ない声…」

「ならウチが教えるよー!」

 

「良いセンスね?自室に飾っておくわ」

「いいだろう?壊れ易いから包んで持って帰ってくれ」

「ええ、そうする。見ててワクワクする光り方だもの」

 

「倉っちありがと!家族みんなで使うね!」

「ええ、喜んでくれて良かったわ」

「でも女の子じゃ無くて社会人のそしなって奴だと思うよ?これ」

「…ぐは」

「真倉、倒れ無くても良いんだよ。喜んでる音がするから」

「霧晴…気休めでもありがとう、私は前に進…む」

「真倉ぁぁ」

 

「…それで、霧晴、これはなんだい?」

「撮る人の見た景色やイメージも撮れるインスタントカメラ。普通にも使えるよ」

「……あ、うん」

「…失敗した?」

「いや、嬉しいよ。でも…いや、嬉しいねうん」

「霧っち、多分お姉ちゃん情報機関が使う奴来ちゃったって考えてる」

「霧晴、やりすぎ」

「えぇ?ゲェムの在庫処分品だよ?」

 

 交換会は全体的に成功に収まった。俺はちょっと品選びに失敗したが、喜んでたからオールオッケーだ。

 

 そんなこんなで夜も遅くなり、みんなで就寝する事にした。真倉や橘達はベッドじゃないから中々寝付けていなかったが、遊んでいた事もあって最後はぐっすりになった。

 

 メリーもゲェムも大人しかったし、後は明日のゲェムプレイを乗り切るだけだな。…頑張ろう。

 

 






霧晴千歌
 明日の気がかりは沢山あるが、何があっても頑張ろうって思えた。
真倉朝凪
 今日一番楽しんだ人。
橘多々良
 今度の霧っちメイクが楽しみ。
橘夏奈
 今の状況も悪くないって考えになって来た。

【転生特典】
 神様が作った転生者への特典。存在非存在問わず産まれた世界の人間の一族、集団、組織、企業、国家、その他を変換した物。場合によっては、特典の一部になる前の人物や施設に出会える。
【ゲームガチャ】
 ゲームをコインでガチャれる娯楽に困らない特典。

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