突然ですが転生者が引いた特典のワースト10を紹介します。
有能だけど迷惑、余計な事をする、用途が超限定的、大器晩成過ぎて使い物にならない。部活やサークルやSNS友達グループレベル、犯罪集団、ぼっち、用途不明、使い手を選ぶ、持った瞬間死ぬ
「では本日もやって参りました!異界探検隊の時間ででございます!本日のゲストはこの二人!どうぞ!」
「こんにちは!アイドル「マジカルガール」の笠木雪町です!」
「どうもぉ、今居る異界の面倒臭さに辟易してる霧晴千歌です」
「…霧晴ちゃん、芸名!」
「…あぁ、一応…5分前に笠木ちゃんとのユニットアイドルって事にするために貰ったあれ?「リリカルガール」らしいねぇ」
「身も蓋もなーい!」
「あっははは。まぁね!死ななければ売れっ子のペアなんて大躍進ですし、頑張っていきましょう!」
「へぇい」
やぁ、真昼間な時刻なのに周りが真夜中の俺だ。テレビに出演しているぞ。
この番組、俺も見てたけどさぁ、実際に参加すると正気の沙汰じゃ無いよね。車も移動費も全部向こう持ちだけど、この異界のヤバさ考えたら足りないもん。断る暇の無い10万じゃ足りないに決まってるんだよなぁ。
一応動き易い服とかで来たけど、カメラマンやスタッフ達のライト以外の灯りないし、メイクは要らなかったかも知れん。
「今いるのは『深夜廻り』と名付けられた異界の入り口と言う訳でね、入って即振り返っても出口がないと言うわけで、はい、先ずはそれを探す所から始めたいと思います!」
「私ってこういうのって初めてなんです!頼りにしてますね!」
「まぁね、どんと任せてくださいよ。この番組五年受けてますからね」
事前に知らされた感じだと、東京と鎌ヶ原の間にある地区…まぁ船橋にできた異界みたいで、影のある場所で何かを切ると来れる異界だ。手軽さに対して帰ってる人は少ないが、電波は届くので情報はある感じだな。
今回の撮影の目的は近隣の皆様の為に確実な帰り方を見つける事。そして俺は帰り方が分かったら途中いい感じに別れて、死んだって事にして危険なのを伝える役割らしい。
セリフ回しは二人でやってくれるみたいだから、楽で良い。まぁこの場限りのゲストみたいなもんだし、気を負わなくて良いのは楽だ。
「それで隊長さん、建物とかは異界に入る前と同じみたいですけど、コレってどうなってるんでしょう。まさか、怪奇が作ったとか?」
「お、渋いとこに目を付けたねー。異界って基本周囲にあるものを真似る傾向にあるんだけど、雰囲気が似てるだけとか、ずっと砂漠とか、単純化され易いのよ、でもこの異界は違う。全く同じ!真っ暗だけど、ライトを当てた場所を比較すると全部一致してるの!」
「へー!じゃあ珍しい異界に来たんですね!」
聖女のは使わないでもいいや。で、えー…彷徨ってるのが5体で…あー、メリー二人居る?…んー怪奇5体かぁ。異界も含めると6だけど、これ自体は無害だから問題なし。
「あ、ちょっと止まって」
「きゃ!…どうしたんですか?」
「居るから、みんな隠れよう」
「あ、カメラマンさん、ちょっと一緒に」
「え?あ、ちょっと!」
「リリカルちゃん!」
丁度二人とスタッフが隠れてくれたので、私を追うのが今回の仕事であるカメラマンの伊東さんと一緒に行く。
ここで黙って一緒に来てくれるの、プロって感じするよな。怪具とか持ってマージンしてるけど度胸すごいよ。
「はいでは皆様のためにー…今回の異界をリリカルって感じに解説したいと思います」
十字路の中心に居る、クラゲみたいな怪奇にライトを当てて近づく。ぶっちゃけここまでの移動で疲れたからな。さっさと番組のやる事全部終わらせよう。
「今回訪れた『深夜廻り』の異界は5体の怪奇が住まう場所でして、まぁ危険です。目の前に居るクラゲっぽいキノコの『つきのこ』とか、あのデッカい奴の近くにずっといると、身体からキノコ生えるんですよね。まぁその分他の怪奇は近寄りませんから、追われた時の安地ではあります。数回通り過ぎる程度なら別状は無いので、進みましょう」
クラゲっぽいのは、鳥籠みたいに生えてるのとキノコの上側がそんな感じだから。
まぁこの真っ暗な異界だからこの程度なだけで、光を当てる程増えるからだいぶ危険だけど。
外に出したら一日で船橋沈むんじゃ無い?自己発光する分で近づく生物に生やして栄養にするし、どういう怪奇を使って進化したんだか。
「ほら、ライトを地面に近づけて、水平にすると…光に沿ってキノコが生えてきましたね。人が走る程度の速さです。外に出したら船橋キノコで沈みますねぇ。でも異界の出入り口は超えられないので、除菌とかは気にしなくてもいいです」
ライトで歩いた後をキノコで追わせつつ、十字路から出て駅に着いた。いやー、チェイスする奴も『つきのこ』の近くだと来ないから安全で楽だよな。
「ほら、ここまで歩いても何も出ない。『つきのこ』の小さいのは放っておけば、真っ暗なのもあって勝手に枯れますし、人を栄養にしませんし、見つけたらこうして誘導しながら進みましょう。それだけで逃げ惑う必要は無くなります…目の前真っ暗だからそこは不便ですけどね」
駅の中に入り、外とリンクしているのか、人が居ないのに自動で開け閉めされてる改札を通り抜ける。電車も同様に動いていた。
「では次、『巡り電車』ですね。異界同士を繋いでいる電車です。多分今までの放送でも出てたと思うんですけど、乗ったら二度と帰れないって奴ですね。…まぁ、帰れますよ?要は異界を走る異界なので」
適当な売り場にあった赤ペンで、目の見えない人用の黄色い線の一つを真っ赤に塗り潰し、移動して別路線の同じくらいの位置の奴も真っ赤にする。1.2番線と3.4番線、それぞれ横を合わせて塗った感じだな。
「異界には入り方と出方があります。『深夜廻り』なら影で何かを切れば入れて、『巡り電車』は出入り口から入る。そして出方は入り方に加えてもう一手間加えるのが大半です。今回の場合は…ちょっと歌いますね。とおりゃんせ とおりゃんせ……」
電車がやって来る。
「とおりゃんせ…と」
速度を落として止まるはずだったそれは、俺の作った赤い点を通り過ぎようとした所で、何かにぶつかったみたいに正面と真横をぐしゃぐしゃにしながら、壊されて止まった。離れててよかったな。
「別の怪奇をぶつければ…まぁ止まれます。正規方法だと体力居るんですよね。貧弱な私には無理です…というわけで『とおりゃんせ』の幽霊です。今名付けました。勿論この異界に…さっきからずっと居た怪奇ですよ?今みたいに真っ赤に塗ったり、禁止って感じのイメージがある物とルールを作って、それで遊ぶ幽霊です。今回は歌った事で、とおりゃんせの遊びをルールとして『巡り電車』に押し付けて、下車する方法を無理やり突破しました。車両の扉、私壊せませんからね」
途中から見ていたからなこの幽霊。ここからじゃ何も見えないけど、確かにそこにある幽霊だ。遠くからでも力を届かせるって相当だぜ。
「魂見えなかったとか言う人居るかもですけど…単に射程が広いんです…よっと。ありがとうございますカメラマンさん。あ、ほら、あそこにある山です。あそこからここまで力を届かせたんですね。やばいですねぇ」
停車した『巡り電車』の上にカメラマンさんの力を借りて登り、山を映させる。強力なライトを使えば、山の輪郭なら簡単に分かるからな。持ち物豊富なカメラマンさんはすごいよな。
「まぁ、遊びたがりみたいですから、もし乗ってしまった力のない人は今みたいにやりましょう。降りた先の異界は運ですけど、電車で乾いて死ぬよりはマシです。もし船橋周辺が見えたならお試し下さい。ただし、歌うタイミングは慎重にです」
電車の上から降りて、引き続き散策する。途中電車からオドオドしながら降りた人も連れて、キノコを連れながら散歩だ。この人見えたから寄ったんだよな。今なら遊びだけで助けられるし、儲けもんだな。
「あ、あのぅ…出口は分かりますかね?」
「知ってるねぇ。でもまだこの異界の紹介終わってないし、もうちょっと待っててね」
「はい…着いていきます」
そんな感じにゆったり散歩していると、建物の間をジョキンジョキンと鋏を鳴らしながら飛び回る人影が出てきた。…最初から知ってたけど、今かぁ。最後にして欲しかったな。
「ひぃ…あれはなんですか!?」
「メリー…の生まれ変わった奴かな」
『…ん?あら、あらあら?見た事ある顔が見えたわね』
この世が広くても、ドコンッ!とコンクリートを壊して陥没させた穴から飛び出る『人形』は少ないだろう。赤い鋏を持って此方に来るのは、一月前から行方を眩ませていたメリーだった。
「お久しぶり。前より人間らしくなったね」
『ええ、ご無沙汰しておりました。そう言う貴女は前より死に近づいたわ』
「おや、主人とは言わないんだ」
『修理したのよ。前よりずっと弱くなったけど、前よりずっとまともになったの』
「魂に入れた感じ?」
『ご明察、人形と幽霊に分けたのよ。向こうが壊れた部分でメリーがまともな部分ね』
「メリー、それ修理じゃ無くて分解だ」
『ここに閉じ込めてるから問題なしよ』
「わーお」
ほーん、つまり無差別に殺す部分がこの異界に居るのか。もしかして空のビュンビュンしてる奴?鳥か何かだと思ってたらお前だったの…てか、これで5体全員か?キノコ電車幽霊メリーメリー…案外早く揃ったな。
『その分向こうは無駄がなくなって強くなったわ』
「暴力の化身だ」
『ただの力の塊なんて、地震や津波と変わらない。手出ししなきゃ襲うのもままならない奴よ』
「ちなみにそっちから見て『つきのこ』の効果ありそう?」
『有るわね。今空を飛び交ってるの、貴女がそれを連れながら歩き回ってるからよ。一緒に居た人達も貴女を真似てるし、今向こうが降りたらキノコの餌食ね』
「もう察したけど一応聞くね。なんでそうなったの?」
『メリーと向こうで争った結果よ。メリーの知略の勝利ね』
どうやら別れてからずっと、メリーは自分同士で争って居たらしい。こっちはこっちで大変だな。
「あのう…どういう関係で?」
「ん、元『人形』と主人。一月前までは一緒に居た」
『あの時はお世話になったわね』
「…こんな、こんなドライな『人形』と主人の関係って存在したんだ!!」
「んー?」
なんか変な驚かれ方したな。こんなもんじゃないの?
「そんな驚く?クレーンゲームの『人形』とか飽きたら捨てる感じでも文句出て来ないじゃん」
「分かってないですね!人型で、精巧で、ここまで受け答えがしっかりしてる『人形』なんて、愛憎が深いどころじゃないんですよ!?ましてやその主人なんて…人生全てを「お手入れ」されても不思議じゃないのに…!」
「早口だねぇ。その手の仕事してるの?」
「これでも造形師やってます。だからこそ、『人形』の人格生成に関わる品質には人並み以上です!」
『あら、こういうのって珍しいのね?』
「ええ、初めて見たくらいには!…こういうの、『人形』的に恥みたいに感じるらしいですけど、どうなんですか?」
『…あら、それは主人を沢山持った事?長く有るのによく喋って落ち着いてない事?それともー…たっくさん、主人を見殺しにして置いて生きながらえた事?ああ!失礼、今やってる人になろうとしているのを言い忘れてたわ!』
「なっ!」
『────恥なんて、もう感じないわよ』
「…コレ、人基準だとどんな感じなの?カメラマンの伊東さん」
「えーと…高貴な身分に産まれた老人が、人に言うのも憚れる様な淫らな事や快楽殺人をしておいて、お前らを奴隷として扱き使うと公共の電波の前で言おうとした感じ…ですかね?気の触れた悍ましい下衆って感じだと思います」
「…分からないねぇ。怪奇の価値観って」
やば、多分『人形』視点だとめっちゃホラーなんだろうけど、俺の目には助けたい人を助けられなかったって言ってるだけに見える。恐怖って価値観によって感じたり感じなかったりするよな。俺から見たら不安定だけど普通の『人形』でも、本人同士だと違う事もあるんだなぁ。
「じゃあ一旦別れた人達と…どうしよう。伊東さん向こうに合流します?後から私出る感じで」
「あ…そういう感じでお願いします。今こっちじゃ無くて脱出方法見つけた向こうの方映してるんで、そのままにしときますね」
「じゃあねぇ、出るときは何でも良いから結ぶんだよ?髪の毛とか良い感じにやれるから」
まぁこんな気の抜けた光景見せられないからな。良かったなメリー、爆弾発言は放送されて無さそうだぞ。ライトでキノコを引き連れながら立ち去る伊東さんを眺めつつ、俺は遭難者とメリーの方の話に混ざりに行った。
『それで、この後どうするの?』
「この異界出て終わりかな。向こうも脱出方法見つけたみたいだし、私のやれる事はいい感じにやっただろうしね」
『そう、ならメリーはもう少ししたら立ち去るわ。決着がついたら人として生まれ変わるの』
「ほーん、いつ頃になるか知らないけど、頑張りなよ。赤子に魂が宿れる様になるのは4ヶ月目、場合によっては、私の妹になるかもね」
そうなったら嫌だが、コレが最後の言葉ならお世辞として言っても良いだろう。元『人形』の魂とか、造形師の話を聞くに愛が重くて面倒みたいだし。さっさとどっかの家に行って欲しいな。
『あら…そうね、もしそうなったら主人の事はとことん甘やかしてあげるわ。狂気の内にとはいえ自ら従った主人。こうなったのは不完全燃焼、だものね?』
「しなくてよろしい。私の分まで生きてくれたらそれで十分だし、なにより名前も知らない主人相手に、それは過剰だよ」
手を振りながら、遭難者の手を引いて立ち去る。最後まで顔を向けるような関係でもないし、雑で良いだろ。
『…久々ね、ここまで煽られたのは。良いわ、覚悟しなさい?『人形』の本来の在り方、刻み込んであげる』
そんな感じに別れて、無事異界から脱出した。最後辺り、『つきのこ』が胞子を撒き散らして、空飛ぶクラゲが沢山いる感じになっていたが…まぁ出る直前だったから問題ない。
ついでに電車の汽笛が鳴ってたり、山の方から大きな人影が出てたのも、今は良いだろう。ちょっと遭難者を助けるのに喧嘩売っただけだし。怪獣大決戦は人の居ない間に済ませてくれるとありがたいな。
「お、私らが一番乗りだ」
「あ、そうですね!…じゃあ、私はこの後仕事が有りますのでこれで」
「お疲れ様。今度から出張するときは怪奇の禁止事項は守ってねぇ。電車で移動間の地域もだよぉ?」
「はい!おっしゃる通り今後の業務に対策を講じた上で気をつけます!」
「おや何かトラウマ踏んだ?」
最後に上司の怒り方とそっくりな注意の仕方をしたせいか
そしてカメラをこっちに向けつつ、何やら深刻そうな顔をしている。
「お、ふぁえっふぇひた……モググ…」
「えっと…言うことがあります」
「…ング…なに?」
「まず、お二人とも無事に戻れました。海に飛び込んだりして、無事にこっちに」
「そっち使ったんだね。最後辺り大変だったでしょ」
「何ですけど、どっちも『つきのこ』の安地を使いすぎたみたいで、身体の菌を安全に取り除くのに怪療院に入院しちゃいまして」
「へー……モグ…ふぁいへんふぁねぇ」
「暫くこの企画、霧晴さんがやる事になりました」
「なんでそうなったの?」
思わず2つ目のケバブを落としかけた。
「私子供だよ?何ならさ、昨日まで一般人なの」
「この番組生放送じゃないですか」
「うん」
「それでネット番組にもなってるんですけど、反応や視聴率が良くてですね」
「でも私死んだ事になってるじゃん」
「コメントでは絶対死んでないとか、伝説始まったなって感じでして」
「体力ないよ?私小学生だから平日無理だよ?」
「大丈夫です。視聴率が最終的に17%行ったお陰で足にすごいの貰ったんで」
そう言われながら渡されたのは、手鏡サイズの「怪具/周波鏡」の甲だった。
「それ持って応答に出てるときに片方が異界に行くと、もう片方も引き摺り込まれるんですよ」
「呪いの類いじゃぁん」
「出る場所は其々が元々居た場所ですし、便利ですよ」
まさかこの怪具を教えたのが巡り巡って、自分の首を絞める事になるなんて想像出来るかよ。
どうしてアイドル事務所受けて芸能の常連番組の司会やらないといけないんだよ。
「ずっとじゃないですよ。それじゃあワンパターンなんで、何でも知ってる電話先の人みたいな立ち位置に、最終的に着地させるつもりです」
「あー…なら良いのかなぁ…で、二人は私が何回やったら出られそう?」
「2週間なので二回ですね。後二つ異界巡って貰って、そしたらワイプからの電話です」
「給料」
「出演15万でどうですか?」
「出るならそれでいいよ。やる」
「ありがとうございます」
そんな感じで、なぁなぁな感じにちょっぴり芸能界に関わる事になった。小学生に頼むのはどうなんだと思わないでもないけど、まぁ怪奇なんてやらかさなければ問題は無いんだ。ちょっとだけ手伝うだけならそれで良いだろう。
「じゃあ話も纏まったし…ケバブ食べる?」
「良いんすか?」
「うん。お腹空いてるでしょ?一緒に食べて帰ろうね」
「ありがとうございます」
久々のジャンクフードは美味しかったと最後に言っておこう。チャーシューみたいな肉と野菜が合わさってボリュームたっぷりだった。祭りの味だね。タピオカ?甘くて歯応えバッチリだったよ。
「ただいまー…誰も居ないねぇ」
帰って誰も居ないのは、慣れてても寂しい物があるよな。母さん仕事を増やしてまで帰って来ないし、コレが日常として馴染んで来たのが悲しいな。
「あ、そうだ。【自己育成ゲェム】の様子も見ておくか」
コレまでの奴らと比べると大人しいけど、それはそれ。定期的な監視は大事だと俺は学んだからな。下手に手を出さずにやれば問題ないはずだ。…それが一番難しいのは言わぬが花という事にしてくれ。
「ええと…特に変化無し。聖女の方も、前と同じく『霊脈』内部の監視カメラみたいになってるまま…ガチャコインは新しく5枚貰ってる…今までの比じゃないレベルで貯まるねぇ」
前回のと合わせてもう10連コイン出来ちゃった。ゲームもそうだけど、成長すると今まで苦労したのが簡単に出来て困惑するよな。
「後は…何コレ【特典ガチャ】?」
【クエスト 「10連コイン作成」 が 達成されました 新機能が 解放されます】
「ふむ…10連コインで単発しか引けないけど、既に引かれた物限定で持ち主の居ない特典が手に入る…組織なの考えると、コレ最初に来たら罠にならないか?」
今まで死んだ転生者の中から、特典を手に入れられるのは凄いけど…役に立つかどうかで言うと微妙だな。正直【ゲームガチャ】よりこの眼の方が役立ってるし。
でもなぁ、組織なの考えても【ゲームガチャ】より悪い特典があるとは思えないんだよなぁ…!
聖女の方を見てくれてる【霊道回廊】だろ?ちょーカッチョ良い暮星さんの【スカイスカイ】だろ?父さんの【除夜の鐘】だろ?
【I・H】【モアミスリル】に、襲撃にしてくれた【銃の子供】に【銘々解明録血脈忌憚】に【スペースマザーマシーン】に【領土王】に【道路断線】に【穢れた血】に…なんかさぁ、有ったら怪奇に対して強く出れそうなのばっかり何だよなぁ…!
惹かれるなぁ、なろう!パワーで無双で毎日楽しく過ごすの良いよなぁ!さっき異界と関わるの確定したしなぁ!
「うーん…知ってても惹かれるこの魔性よ…よし、こんな時こそ母さんと証に相談だ」
そして聞いた結果がコチラだ。
[ん?リスキーだけど力を手に入れられる…私ならやる。だけど千歌、アン……
[え、力が欲しいか?…そうだね、今千歌が持ってるものを見て、それが二つに増えたらって考えてか……
以上だ。後半はやめろと言ってきたから省略したぞ。決して右から左に流した訳じゃない。
そんな目の前に欲しいゲームがあってひたすら駄々を捏ねる子供みたいな真似では無い。
決して【スカイスカイ】単発狙いな訳じゃない。そんなガチャ運が今の俺には無いからな。
「ふぅー……はぁーっ!出ろ出ろ出ろ……」
だから、決してコレはガチャを引く前のお祈りでは無い。ただのストレッチだ。ちなみに俺は出ろ出ろ音頭教だ。今入信した。
「…ふぅ………あーっ!手が滑って…滑…すべ…イタ!…うぇぇ汗で滑ってクリック出来ない!」
足も手も滑って転んだ。クリック以前の問題だったな。くそ、うっかり押しちゃう作戦が!
コレじゃあうっかり出来ない!転んだし俺出ろ出ろ音頭教退会するわ!
「うーん…日を改める必要があるかも知れない…」
ここまで押せないとなると、日を改める必要があるだろうな。何と言うか、運が今は無さそうだ。
「はぁ、さてお夕飯の準備でもげぇ!」
そんな感じに立ち上がり、また転んだ。滴った汗で滑りやすくなってたのを忘れていたな。
カタ
パソコンを見た。…うん。
ノートパソコンのキーボード下にある、指で操作出来る場所あるだろ?
姿勢を整えた時に左クリックしてた。
「ふー…待ってよ今の流れだと絶対悪いやつじゃん、こんな運悪く押しちゃったみたいな感じは本当にダメだって!」
[ガシャン]
態々コインでガチャを引いた時と同じ音が流れ、パソコンの液晶からカプセルが一つ出て来た。
…今思いついたんだけど、特典ってスキルの枠を占領するじゃんか。やり過ぎると俺、破裂するんじゃないか?待って何で引いた後に思いつくんだよせめて踊る前に思いつけよ!
カプセルがひとりでに開いた。中には、鏡の上にビルが沢山有る小さな模型だった。光となって俺の胸の中に吸い寄せられ行き、触っても皮膚に変化は無かった。
「…っ!?」
ただ、コレまで感じていた何千倍の視線を、肌に感じ取った。
怪奇を見る眼、心を聞く耳、在り方を味わう舌…皮膚は、触覚は視線、関心を感じ取れる物だ。
だからこそ分かる。コレは…国だ。国そのものが、俺を見ている。
住まう人々の好奇の眼、科学者の観察する眼、為政者の見定める眼、動物や赤子の純粋な眼。
ずっと、200名弱の眼や、Youtubeの視聴者からの関心を受けたことがあるから分かる。
大体、64億人くらい居た。
それが半分くらい、俺の身体を手に入れようと干渉してくるのを、何となく感じて。
【あなたは 特典【プリズンワールド】 を 手に入れた】
「…嘘だろ?」
視線は、10億程度に減った。
えっ?俺に干渉するだけで死ぬの?なんかめっちゃ怖がってる感じの視界が送られてるんだけど。
数が多すぎてどんな視線か理解できるって初めての経験だよ。
でも俺に手を出すって事は、聖女の方に手を出すって事だし、聖女の方に手を出すって事は『霊脈』と『宇宙の無意識領域』と眼に手を出すって事だし…多分ね?
いや【ゲームガチャ】は普通に聖女作ってたしこの特典の国力がダメなだけだ。人口だけ。
「なんか…期待外れ。この国…国?世界?…数だけで弱くね?」
まぁ…残念な結果だけど、この特典を持って転生した人がいる訳なんだし、あんまり蔑んじゃダメだな、うん。
美味い話があるわけでも無いし、ハズレを引いたかも知れないが…まぁ、害悪じゃないだけマシだな、うん。
霧晴千歌
ワースト10位圏内の特典を引いた。
隊長役
安地逃げ込みを多用し過ぎ。
笠木雪町
メンタルが半殺しになった。
カメラマン伊東
しっかりしてる子だなーって思ってる。
霧晴百葉と木香証
止めはしたが聞き流された。
『深夜廻り』
切り結ぶ。出入りすると、何かしらの縁が切れて別のに結ばれる。霧晴は家族と特典の二つがイジられた。ここで死ぬと死ねなくなる。まだ産まれたばかりの異界。
『つきのこ』
死んだのに生きてる。クラゲみたいなキノコ。光に反応して増える。
『巡り電車』
壊れたのに走れてる。異界間を走る電車みたいな異界。神格の影響で『原風景』から分離した。
『とおりゃんせ』
成仏したのに消えてない。山に住んでる地縛霊。遊びにはよく参加してた。
『メリー』
分離したのに成立してる。動く。1週間後幽霊メリーは殺すのを諦めた。
『黒煙』
終わったのに続いてる。聖杯に参加した煙の生き物。ついさっき異界の思考回路になって共生する進化に成功した。
『夜廻り』
黒煙の知恵、メリーのハサミ、とおりゃんせの魂、巡り電車の車輪、つきのこの増殖、深夜廻りの特性。8/31日