怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 試験的に開催されました。




ゲェム-大人になる

 

 

 やぁやぁ、久々に前世の全てを取り戻せてテンションが抑えられないチカです!

 クールに進めたくは有りましたが無理ですこれは!健康な体と正常な思考!チカは常にテンションマックスのスーパーハイテンション勇者です!

 

『ええと…』

 

「指輪さんダメです!サングラスかけても抑えられません!」

[おぉい、お迎えっぽいのにまだテンション下がらないのか?]

「心はいつだってディスコぱーりーです!抑えられた力が…今…目覚める!」

[……いきすぎ]

「ンアーー!!アァアァァアア!!!……どうもこんばんは!拳獣のチカですか?ここに居ます!」

 

『ええと…笠木雪町さんはこちらへどうぞ』

 

 叫んでちょっと落ち着きました!

 そして懐中時計を持ったうさぎさんが居ますね?今のチカはコレを殴って怪我をさせることができます!

 貧弱な身体じゃなければ出来るんです。暴力はいいぞ指輪さん…走るって楽しいんです。

 

「しかし殴るのはやめてあげます…代わりに質問に答えて下さい!」

 

『宜しい、幾らでもどうぞ』

 

 そんな危なっかしい思考はダメですね。自制が大事です。

 この3日間、怪奇を一切見ませんでした。コレは普通の霊感だからです。えぇ、普通の感覚は喜ぶべきです。しかし、それは今行く場所の安否に関しては不利でしょう。慎重に聞き出します。

 

「行けばこの身体はどうなりますか?」

『どうもなりません』

「行かなければどうなりますか?」

『死ぬでしょうね』

「行くと本物の雪町さんはどうなりますか?」

『魔女になるか確かめられますよ』

「行くと偽物はどうなりますか?」

『貴女が負ければ本物に戻り、貴女が勝てば死ぬでしょう』

「勝負があるんですか?」

『大衆的に考えての理想の身体と不老不死、魔法の力を賭けた勝負が』

「棄権するとどうなりますか?」

『貴女は死ぬでしょう』

「負けると本物はどうなりますか?」

『死ぬでしょうね』

 

 勝ち続ければ雪町さんと勝負相手は死にます。負けるか棄権すればチカが死にます。

 うわーん!どうしましょう、八方塞がりです!

 それにローゼン染みたデスゲームですから、絶対碌なことになりません!ゴシックな空間での死なんて、残酷で冷酷な結末に決まってます!チカはハーレムなろう英雄になりたいんです!此処では終わりたく有りません!

 

「はい!引き分けるとどうなりますか?」

『死に繋がる裁定は保留に、一蓮托生のチームなります』

「勝負方法はなんですか?」

『力比べ、知恵比べ、個性比べの3つです』

「何の為に、誰が始めた事ですか?」

『ゲェムの開催、そして貴女には「メシアゲームプロジェクト」…と、伝える様に言いつけられています』

「……急に身近な話になりました」

 

 頭がスッと冷え込みます。聞きたくない名前と理由が出てきました。

 え、コレ始めたの【ゲームガチャ】の連中なんですか?魔法が出来たのに便乗してゲェムを開催しやがって…差し詰め【魔女のお茶会】のゲェムです。引けない理由が増えてしまいました。

 

「なら、参加します。それ以外なさそうです」

『分かりました。では…』

 

 うさぎさんは懐中時計時計を閉じて、2回叩きました。

 

 


 

 

 転移の魔法は、チカ達を会場まで連れて行きました。

 今にも雨の降りそうな暗い曇り空、点々と居る人を薔薇の茨が生垣になっていて、簡単に会話することは出来そうに有りません。

 指輪は有ります。手袋も、3日間の間に新しく買ったサングラスやお洋服も問題なさそうです。

 チカがどれだけやれるかは判りません。ですが、出来る限りしないと行けない物なら、チカは頑張ります。

 

 拍手と声が頭に響きました。

 

【ようこそ、魔女志望の皆さん。1000人全員参加頂けるとは何とも有り難い話で、ワタクシ感激に咽び泣きそうです…!】

 

「指輪さん、どうですか?」

[此処はヨーロッパ…地中海か。海上に浮かぶ異界だな。薔薇の満ちた異界、此処で死ぬと全てに忘れられる以外は害のない異界だ]

 

【…ふむふむ、急かす人が居るので早速説明と参りましょうか。今の皆様には『魔法』を習得した人の身体を与えられています。これは公平さを保ち、魔女になる為に必要な事だからです】

 

「声の特定はどうですか?」

[発生源は相変わらず分からない。だが、この異界なら元の千歌の身体には戻れるな]

「やり方は?」

[雪町の身体で自殺する]

「いいえを選択しますね」

[俺がいるから安全に雪町に身体返せるのに…アイドルとしての知名度は無くなるだろうけど]

「…痛いのはイヤです!」

 

【後は……もう案内人に聞いた人が大半ですし、飛ばしましょう!やって覚えるのはゲェムの醍醐味と聞きましたしね!では初戦は知恵比べです。参加者は出来るだけ早く道なりに進んでください】

 

 あ、面倒になって説明を放棄した!GMとしては論外も良いところですね。

 …本当に声が聞こえなくなりました。仕方ありません、生垣が開いて出来た道を駆け足で進んでみましょう。

 

「何かありますか?」

[道を迷わせる怪奇が二つ。道を見えなくさせる『隠し道』と空間を繋げる『輪っか道』の二つ。法則のある隠し方と繋げ方をしているが…まぁ俺の言う通りに動いたら大丈夫だ]

「ナビゲートをお願いします。今のチカには見えませんから」

[了解。次を左だ]

 

 そうやって進んでいくと、あっという間に次の会場に着きました。やっぱり身体能力は正義ですね!…にも関わらず既に9人居ますね?もしかして転移で来たのでしょうか。賢い人達です!

 

【………ああ来ました?おめでとう君が10番目、最後の知恵物で、唯一転移をせずに来た人だ】

 

「…つまり、転移に気づけたのは9人だけか」

「1000人居るのに、定員は10人とか心狭すぎるっしょ」

 

 後ろの生垣が閉じ、知恵比べと言う名の早い者勝ちの競走は終わりました。

 

[…声に出すなよ?今、990人が死んだ。本物の方がだ。参加者は転移で送り返された]

「…ッ」

[詳しくは…もう忘れた。この異界で死ぬと忘れられるって言ったよな?もう証拠も何も無い。誰も知らない死体が今頃990人分転がってる頃合いだな]

 

 あんまりにもあっさりした終わりに、少なからず動揺してしまいます。

 こんな簡単に殺すのは、あんまりにも不合理です。まるで、殺すのが目的みたいな…魔法はチカが考えつきました。だから、不穏分子として処理された?

 【ゲームガチャ】は、世界を救いたい人達のギルドです。その人達にとって、チカは目障りなんでしょうか?だから、『魔法』も要らない子として消す為、こんな事を…?

 何故でしょう、今までなら思いつかない事が思い付きます。雪町さんの頭だから?人格は前世の物に戻ってますが、身体は違います。チカだった時と同じく影響はあるのかも知れません。

 

【次、力比べ。生きてたらオッケーの定員3人】

 

「え、こんなすぐ、あっさりと…そんな作業みたいに!」

 

【あ、100秒までに3人以上なら全員殺しますね。ワタクシ飽き性なので、長く待たされるのキライなんです。爪切りが終わるまでに済ませてくださいね】

 

「うっそ、自己紹介も出来ないの?」

「…マジで殺す名目欲しいだけじゃん」

「ゲームじゃねーよなこれ。この身体殺したいからやってるだけだろ」

「引き分けならグループに…そうなる余地あるかな…」

「すみませんこの身体娘のなんです…席を譲ってくれませんか?」

「無理、俺も母さんの身体で来てるから。てか、この中で身体の方との縁ない奴、居ないだろ」

「うーん…翻訳とか技術力はありそうなんですけどね…」

 

[…あー、無理だ。今、この異界に悪魔が10体出現した。一直線でこっちに来て…丁度100秒後には到着してるぞ]

 

 …理不尽です。ゲームの体すら成してません。こんなの、ちっとも楽しくありません。元々ゲェムには期待してませんでした。ですが、コレは…コレはあまりにも酷いです!

 えぇ、えぇ…良い加減な仕事には文句が必要でしょう。神様だって見ているんですから、きっとそうなります。

 

「指輪さん、安全に返す用意を」

[ほい来た。今なら990人分の霊感があるから、想定よりずっとマシなやり方になりそうだ。死に方は何でも良い、やれ]

「では…コレが幽玄の一撃です!」

 

 今の晴れ晴れとした思考とさようならをしたら、もう迷う事は有りません。

 トラックに撥ねられた時みたいに、カッコつけて空を飛ぶだけです。

 

「御笑覧あれ!『泡芽吹く』のは我が血潮なれば!」

 

 全身の血を泡にして、その体積の増加で爆散した。

 風船の様に何倍にも膨れ、血の花火を、大輪の華を咲かせます。

 喋るのをやめ、唖然と他の方々が観てますが…問題ありません。

 

[来い、【裏世界探索記録帳】…用意完了]

 

 もう、身体は元に戻った。

 

 人の皮で出来た一冊の本を添えて。

 

[推定製作者【ゲームガチャ】、スキルを霊感の代用にする魔法『魔法/霊感変換/甲』使用、俺の怪奇探査、偏在自覚者を追加で変換、ジャスト1000の霊感を利用して魔法の作製及び、具現化。つまりは魔導書の作製…名前は……作った異界に因んで、「荊棘(けいきょく)の書」で行こうか]

 

 取り敢えず本を見て確認する。死んでしまった990人の持っていた50の魔法と、おまけに指輪の俺が知ってたり作ったりした450の魔法、合わせて500ページの魔導書だ。所有していれば、其々の魔法の前提と使用条件をとばし、魔法の名前を唱えるだけで発動させる、『魔法』の怪奇による道具。

 道具、怪具、神器に並ぶ、この世界の新しいものだ。即席にしてはなんか過剰だが、まぁいいだろう。

 さて、戻れた原理は把握してないが、指輪が都合してくれたならそれでいい。

 

「…何で作ったの?重くて待てないよ?」

[『本物にする』魔法の乗っ取りついでに…そのまま死ぬのは浮かばれないかなって…おまけで]

「まぁ…良いけどさ。コレは置いていこっか」

[だな]

「あ、要らないなら貰って良いですか?」

「良いよぉ。コレ使えば肉体戻せるし、後は転移して帰ればいいよ」

「ありがとう!返せるなら返すわ!…おーい!普通に貰えたわー!」

 

 まぁ正直この何とかの書は要らないけどな。魔女になれたり、転移も本物にする魔法も使えるけど、それって指輪の俺も同じ事出来るし。

 

「…うん?それなら直ぐにみんなにかかった『本物にする』魔法を乗っ取れば死ぬ人少なくなったんじゃ」

[偏在自覚者で繋がらないと無理だよ。自分と他人じゃ勝手違うし]

「…そっかぁ。その繋がりももう無いし、次からは無理だねぇ」

 

「あ、これありがとう!私自力で転移出来るから返すね!」

 

「…返って来ちゃったなぁ。どうしよ」

 

 そんな事を話してたら、他の参加者はみんな逃げ終わったみたいだ。まぁ9人助けられたならそれでいいか?思った以上に殺意しか無かったし、仕方ないか。

 今から祈っておけば多少は慰めにもなるだろう。今襲おうとして逆にくしゃくしゃに死んだ悪魔達も同じ筈だ。

 

【…あれ?何で生きてるの?】

 

「…何で悪魔が死んだのか?コレがゲェムだからだよ。ゲェムは所有者の安全が担保されてるんだから、自然とそうなる」

 

【…あ、魔法乗っ取られてるじゃないですか。失敗ですね】

 

 今しがた死んだ悪魔と参加者達に祈る。理不尽に死んだのは皆がそうだ。特典の持ち主である俺は、彼らに対して祈る権利は無いだろうが…俺も巻き込まれたし、ちょっとだけなら良いだろう。

 

「…よし、行こうか。指輪、本の皆さん」

[本は浮かせる感じて運んどくわ]

 

 一応魂を素材にしてるからな。参加者の意識も多少はなくも無いだろう。

 次のステージに行く。恐らく個性比べの会場なのだろう。電気椅子や鉄の処女などの処刑と拷問の器具が並ぶ場所を通り抜け、長机と椅子のある場所に来た。遠巻きに眺めるに留めておく。

 来る前に見たうさぎさん…『人形』の怪奇を始めに、沢山の『人形』が生き物の様に振る舞っていた。

 アリスの小説みたいな状況だが、ただの雰囲気作りだな。魔女になったら、此処に座ってお終いにする予定だったんだろう。俺の立っている場所から2歩進めば、時間の速さが万倍にもなるんだから。

 

「ゲェムの体裁を最低限守る為に作ったみたいな監禁場所だねぇ…コインを利用したかったのかな」

[なんじゃ無いか?人とゲェムがセットなら、ゲェムの企画を最低限体裁を整えて使えば、望んだ施設になるだろうし]

「まぁ今回のは抽出前の状況から抜け出したいから、ゲェムをやる条件をとても厳しくして出れるだけ出たみたいな感じにも見えるけど」

 

【……おめでとう!景品受け取って魔女になりますか?】

 

「要らないかなぁ」

 

 まぁ、優勝したからといって景品を受け取るかは別だ。ゲェムにした以上やらなきゃいけないんだろうけど、俺には無駄な品物だし。

 

【あぁ良かった!貴女ならそう言うと信じてました。ではこれは笠木雪町さんに渡しますね!さようなら!】

 

 パパン、

 

 拍手が2回鳴らされた。

 

 


 

 

「…すっごい厄介払いされたね」

[だな。結局990人も死んで、「荊棘の書」を遺品代わりに作って持って来ただけか]

「ん、魂は霊脈にやった方が良かったんじゃ?」

[輸血したとして、された側がその血に染まる訳でも無い。魂も同じで、継いだとしても繋がってない。それなら、本にする方がまだ連続性がある]

「大丈夫?苦しんでたりしてない?」

[写真の人物像が苦しむ世界なら、苦しむだろうな。つまりそんな事起きない]

「ならいっかぁ」

 

 こつ、こつ、こつ、

 

 結局、ちょっぴり帰り道が長くなっただけだな。座式先生の家から4日かけて帰宅した。それだけの話だ。

 まぁ友達の家に泊まるとは連絡したし、雪町サイズの服がブカブカな事以外は特に問題もない。下のスカート?サイズ合わなくて着れないから放棄した。お陰で今の俺はTシャツ一枚だ。

 いつの間にか線香の匂いも復活したのか、人や車も多いし…万事何とかなるもんだな。

 

「ねぇ君、お父さんとお母さんは?」

 

「ん?」

 

 そんな感じにのんびり歩いてると、知らない20代の女性に声をかけられた。お腹の膨れた…妊婦さんだな。人がのんびりしてる時になんの用なんだ?

 

「今は居ないねぇ。帰ってる最中だし」

 

「えー!?こんな小さいのに…捨て子?」

 

「小学生だよ。友達の家から帰ってるの」

 

「でも…服のサイズも合ってないし…杖とか持ってるし…良かったら家に泊まる?見た感じ私の子の方が大きいみたいだし、その子のお姉ちゃんとか居たら素敵だよね。良かったら来てよ!」

 

 なんだぁ?この人。そんな捨て犬拾う感覚で子供拾うなよ。本を近くに浮かせてるんだし、不思議に思わないのかな。

 

「いえ、大丈夫です。このまま帰れます」

 

「そっか…もし辛かったら間宮家に来てね?あそこの家だからね?」

 

「ええと…はい」

 

 妊婦の人が立ち去り、一息ついて歩く。いやぁ変な人もいるんだなぁ。

 

「…???…なんで子供がこんな所に…おい、ウチ来るか?」

 

「またかぁ…」

 

 今度も腹の膨れた…30歳くらいの男性に声を掛けられた。何でみんな、そんな声をかけて来るんだよ。普通遠巻きに見て、良くて写真撮ってネットに[マジ魔女っ子ww]とかのツイートが精々じゃんか。いいか?本が浮いてる杖付いた子供だぞ?仮装とか疑えよ。

 

「大丈夫でぇす。帰ってる途中なのでぇ」

 

 こつ、こつ、こつ、

 

「あーちょっと…本当にいいのか?その年でそれはキツイだろ?」

「しつこ…」

 

 そんな感じの応答を更に5、6回繰り返し、流石に変だなぁと見ても怪奇はいつメン以外居ない。

 ちょっと妊婦多い気がする以外は変哲もない日常だ。…男性って子供孕めたっけなぁ?なんで腹から生存欲求の音が…?

 一回適当な建物の上に転移し、指輪と作戦会議をする事にした。

 

「…なんでこんなに心配されるの?みんな不審者さんになっちゃった感じ?」

[一旦試しに自分の味確かめておくか?何か変わってるか見るべきだろ]

「そうだね」

 

 カプリ、と腕に噛みついて…うん、いつも通りのたんぽぽコーヒーだな。寿命はいつも通りの6年で…

 

 …おい、なんで知らない味がある?

 カフカの「変身」の味、よく熟成されたチーズみたいな、青黴を感じるリンゴの味?味が2つ混じってるな…片方怪奇か?…寿命は80歳……恋愛いい感じそう…可能性に満ちた人間の味だ…。可笑しいな…コレじゃあ、俺が妊娠したみたいな…。

 

 してるのか?

 

「…いつものに加えて、カフカの変身の味、80年。赤ん坊が居る感覚がする」

[…作っておいた魔法に『正しく認識する』魔法がある。今俺とお前、本にかけるぞ]

「頼む…いや、やっぱり私は除外で」

[よし、何も一回しか使えない訳でも無いからな…『全てをこの世界の根元に帰属する』……うーわ、うーわ、うっわ]

 

 指輪の方がドン引きして、本が数メートルバックした。…本は自我ない筈だよな?

 あー、もうなんか嫌な予感がするなぁ。見た感じ普通のお腹だけど、いつからだ?

 

[よし分かった。名前を付けるなら『妊婦行灯』。妊娠したという結果を感染させる怪奇だ]

「タイプと犯人」

[人に有益?な認識かなぁ?何コレ…多分政府がやった?]

「どういう?」

[現状最も交配する可能性のある人物との血を混ぜた子供の作成、安産と居るのに不自然に思わない現象…怪具か、コレ?産まれたら20〜30代に一気に成長する…歴史の揺り戻し?]

「まとめて話してよ…今ショックを感じたいのにゴキブリ見た程度の嫌悪感しか湧かなくて気持ち悪いんだよね」

[…ちょっと時間をくれ]

「うん…」

 

 いやー、マジで男性にも妊娠してたんだなぁ…せめて証の子供…精通してないからどうなんだ?父さんは本当にやめてくれよ。

 

[…よし。纏まった。恐らく最初は昔、国が『歴史の悪魔』との契約で歴史の一部を貸したのが始まりだ]

「うん」

[契約内容は省くぞ?そして歴史を貸したなら、いつかは帰って来る。音楽史、機械史、数学史……歴史は分割して語れるからな。分割で貸してたんだろう]

「うん。それは『昔昔新聞』で薄々知ってたよ」

[で、分割した歴史はどうやって戻るか?答えはそれを進めた人物の誕生と、人々の関心だ。音楽なら、歌う人と聞く人が居れば歴史になる]

「うん。そう言えば新技術に対してはやけに好意的だよねこの世界」

[今回で分かったけど、多分空白の歴史の反動だろう。貯めた分、一気に来てるんだ]

「……そう言えば、世代を問わずに漫画家や娯楽の人が居たね?」

 

 そう言えば、藤雄先生と米津玄師、どっちも若いまま居たなぁ?

 え、その細かく分割されて貸した歴史の反動でそうなってた…てこと?…つまりこのお腹の人著名人じゃん!誰!誰なの!?場合によっては産むのもやぶさかではない!

 

「…今回の歴史って何?」

[見た感じ…ロックかなんか?…じゃないか?]

「…知らなーい。私ロックは詳しくない」

[で、見てたら人の名前一覧が有ってな、産む人はランダムな地域が選ばれて、そこに集中するみたいだ。霧晴千歌の名前の隣には…リチャード・スターキーって書いてる]

「だれ?」

[自分に聞くなよ。知らないよ]

「外国の人?味的には80歳以上は生きてそうだったけど…迷惑だなぁ」

[まぁ…寝てる間に産まれるみたいだし、後には引かないらしいから…気にしないのが一番だよ]

「だねぇ…知らなければ無いも同然みたいだし…でも6歳の腹から産まれるのはアレだね、私に仕送りはして欲しいね。知らない人だし5ドル程度でいいからさ」

 

 まぁ、俺が知らないんだからマイケルやガガみたいな人では無いだろ。どうせちょっとした町で人気の誰かだ。そう簡単にすごい人を当てる訳でも無いしな。

 しかし、本来なら産まれる筈だった子供か…それなら、少しは許容してもいいか。本来の母親から産まれることは出来なかったんだし、蝶の痛み程の苦痛は無いらしいしな。

 特に寝てる間と言うのが気に入った。怪奇にしてはまだ謙虚だわ。

 

「うん、無意識に気を遣われてるなら仕方ないか…赤ちゃん孕んだ小1とか過保護にしないといけないよね」

[まぁ…気持ち悪いけど、知らなければ何も起きてないも同然だし…ごめんやっぱ気持ち悪いわ。今の生身の方の見た目ヤバいし]

「…自分だとわからないのがなぁ…魔法かけなくて正解だったのかどうか…ピンと来ない…」

 

 まぁ3歳程度の身長に妊婦の腹はヤバいわな。コレどれだけ続くんだろ。

 

[そうだな…さっき鎌ヶ原に帰って来た瞬間に子供できたから…今から3日?他の人より1日遅れてだな]

「…あ、そう言えば雪町は?そっちは大丈夫かな」

[待て魔法で…『人を見つける鷹の目』よ…大丈夫だな]

「ならいいや。できるだけ気にしないでおく」

[直ぐに大人になるだろうし、そうしとけ]

 

 後はそうだなぁ…折角なんだし腹いせに驚かせたいよね?産まれたことへのお祝いの手紙と、財布と、服と、指輪と、お金と…直ぐに黙って出ていっちゃうだろうし、今から用意できるのはやっておこうか。魔法も使って総動員だ。

 死んだ者には哀悼を、産まれる子供に祝福を。葬儀屋的に其処は外せないからな。

 何でアレ、恨むのは筋違いの筈だよな。転生者だって、悍ましさならどっこいなんだしさ。

 

 






霧晴千歌
 最終的に手紙と魔法を使える指輪と財布と服を用意出来た。どれも3日後に起きたら消えていた。
笠木雪町
 気づいたら魔女になってた。何だか釈然としてない。
参加者の皆さん
 大半は死んで本になった。うたた寝くらいの感覚。
リチャード・スターキー
 30歳の誕生日を迎えたと思ったら6歳の母から産まれたと思ってる0歳児。手紙などのプレゼントは貰った。

『妊婦行灯』
 突然妊娠する怪奇。歴史の悪魔以外にも、光に当たるだけで妊娠する怪奇がある。
『歴史の悪魔』
 歴史を株式にする。歴史を投資金にして別の歴史に投資して運用する。国は怪奇のせいで規制しないといけないその他沢山の歴史を押し付けてた。最近遂に渡され過ぎて死んだ為、投資で倍増した歴史が戻り始めてる。
『茨の悪魔』
 茨で出来た悪魔。薔薇のある所で出て来る。
『隠し道』
 道を見えなくする怪奇。減る。
『輪っか道』
 道をループさせる怪奇。減る。

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