『魔法』が作られて時代が早回しになった結果と、今まで準備してきた方々が動きます。
「…味が薄くなったなぁ」
[まぁ、手足がなくなればな]
「だよねぇ…」
やぁ、最近自分の手足を噛んだ味が薄くなってる俺だ。多分四肢が無くなって寿命が減ったからだな。6年が3年になってたわ。元々が少ないから大した減少量じゃ無いけど、この分だと今年には死にそうだなーって感じだな。
「コレからどうなるか知らないけど、やれる事はやれたと思わない?」
[まぁ、後は俺が居るからな。俺の寿命はないんだろ?だったらのんびり見守るよ]
「そうしてくれると嬉しいねぇ…明日は『閏日』だし、それに合わせてみんな動きそうだしね」
[あの日だけは万が一の時はやり直せるからな…保険としては優秀だ]
「だねぇ…」
二人ぼっちでのんびりと我が家で日向ぼっこしていた時の話だ。そろそろ本やスマホを持つのも辛いからな、芋虫みたいにのんびりするしかやる事がない。
そんな時、日向ぼっこはいい感じなんだ。日差しであったまるし、外に出なくても汗をかける。前世みたく脱水で死ぬのは無いからな、2時間なら普通に動けるし、その間に水を飲めばいい。
「あーあ、コレじゃあ証にも会えないよねぇ」
[会ったら別れないとな。寿命で死ねば向こうに損は無いが、関係を切ってからの方がスムーズに事が進むだろう]
「だねぇ…暇だなぁ」
[聖女の時の俺もそうだったし、甘んじて受け入れろよ]
「…まぁ、生身の体験が少なくなっちゃったのは申し訳無いね。その為に協力してくれてたんだから」
[なら、そろそろ俺が居なくても大丈夫か?良いなら俺はどっか適当な場所に行くけど]
「もう指が無いし、良いよ。魔導書は国に取られたみたいだし、指輪が無いと転移出来なくなるけど…私が足枷なら、自由になりなよ」
魔導書、母さんが持ってかせないと言ってたけど普通に無理だったよ。今は東京の怪具置きに置かれてるし。
[おっけー、生身が俺の世話出来なくなって快適でも無くなったし、適当な金持ちか政治家の家にでも行くわ]
「ばいばーい。元気に過ごすんだよ」
[ん、其方も死ぬ時は安らかだといいな。それじゃ]
近くに転がっていた指輪も消えて、一人になる。
まぁ、あいつ明らかに俺とは別の性格になってたしな。俺よりも相応しい人の元に転がった方がいいだろ。それが指輪の為にもなる。
「さて、指輪も無いなら日向ぼっこも止めるかぁ。万が一の転移の避難も出来ないし」
匍匐前進って偉大だよな、こんな俺でも進められるし、トイレ用の動ける時間を消費しないで済む。足が短い分進み辛いけど、コロコロ転がって眼鏡を落とさなくて良いんだから、今の俺にピッタリだ。
「いやぁ、引退したって感覚だけが残ったね」
敷かれた布団の上に転がる。何だかやり残した事はいっぱいあるけど、まぁ良いだろう。
家に篭ってて分かったけど、2時間しか動けないと、給水と排出だけで使い切っちゃうんだよね。
コレじゃあ学校行くのは無理だし、友達とはもう会わないだろうな。もう、関わるだけ無駄な芋虫になっちゃったんだし。
くぅ…、
「寝るかぁ…それ以外やる事がないもんね」
お腹が空いたが、一人で食べるのが面倒なので寝ることにした。節約は大事だからな。
『らん、らーん』
「ん、何の声?」
『らーん、らん、らー』
「…怪奇ってより、人間が変わっちゃった感じがするね?」
目覚めると、身長1mくらいのらんらん言ってる丸っこいのが二人居た。
どっかで見た様な…ちいかわ…ちいこ…2頭身の丸っこい、可愛い生き物だな。
片方は『魂蝶』を侍らせてるし、片方は巫女服着てるし、まるで母さんと父さんをマスコットにしたみたいな奴らだ。てかまぁ、本人だわ。
どっちも敵意は感じ無いし、むしろこっちに懐いてるけど…そんな怪奇見たことないなぁ、戻る手段あるかな…。
『らーらーらー、らん』
『らんらんらー』
「はいはい、母さんも父さんも手伝ってね。私は一人だと歩けないからさ…ほら、テレビ付けて?…何かしら情報はある筈だよね?」
幸い、どっちも元々の両親程じゃなくても賢いみたいだ。大雑把でも言葉は通じてるみたいなので、テレビを付けてもらった。コレで記憶も引き継いでくれたなら万々歳だったんだけどなぁ…。
[…私個人による緊急ニュースです。『閏日』になる直前、推定全人類の99.9%が2等身の存在、私が任命した名前で『ちい』になる怪奇が発生しました]
『らららー』
『らんららー』
日時を確認すると、『閏日』自体には既に入っている。だからと言って今まではこんな事にはならなかったんだが…うん、どうすれば『ちい』になるかはもう見た。対策も思い付いた。
問題は、もう遅いって事だな。『閏日』の前日に戻っても、俺にはこの対策をする時間がない。指輪は…アレも一応人間…と言うか、アレが発端だろうし、『ちい』になってるだろうな。
『らんー』『ららー』
「母さん、邪魔しないの。私は撫でる手も、抱きつける程の腕も無いし、母さんを乗せる足も無いんだってば」
『らー』『んらー』
「だからって撫でるのはどうなの?……まぁ、そのまま母さんも父さんも大人しくしててね」
[…長い沈黙ですみません。これ以上何を伝えればいいか、考えてました。既に人類は全滅したと言って良いでしょう。既に私以外のまともな人は『ちい』になる前に、『閏日』で過去に行きました。ノアの方舟の風説を作り、この星から脱出する。それなら間に合いますから]
「だろうねぇ…多分今から5年後に『ちい』は起きる筈だったけど…『魔法』と『霊脈』作ったせいで縮んじゃったか」
[最初の変化した条件は不明ですが、増える条件は有ります。長時間の接触で感染するようです]
「うん、でも…見た感じ私みたいに何処かしら欠陥のある人間はならないみたいだね。身体が欠けたり、心が壊れてたら触れても『ちい』にはならない。何だか選別されてるみたいだね?母さん、父さん」
『らんらー』『らー…』
「しょんぼりしないで。もう…自分の子供だって分からないのに…それでも私を気にするんだから」
うん、『ちい』って『霊魂』関係なんだよな。魂が肉体を凌駕して、完全な不死の生き物になる。かなたらの願いで観測した奴は悪霊とかになってたけど、それって『霊脈』が無かったからだし、洗練するには『魔法』が欠けていた。
[そして、戻る手段は見つかっておりませんが、少なくとも『ちい』になった存在は『閏日』の異界から出られないでしょう。今回の条件は此方の文章通りに発言する事、「らん」しか言えない『ちい』は此処から出られません]
急遽用意したのだろうカンペには、「私は『蟲姫』に隷属することを誓います」と書かれていた。…アレだな、見た感じコレ言うと『蟲姫』って怪奇の言いなりになっちゃうぞ?
すごいなぁ、『閏日』の脱出条件を自分の支配する条件を被る様に書き換えたんだ。出れたとしても『蟲姫』の奴隷種族を約束されるし、今頃脱出した人達も…今回の『閏日』とっても難しいな?
[…ご覧の通りです。『閏日』から出なければ『ちい』と一緒に時間の狭間に消えて、出れたとしても『蟲姫』という怪奇に支配される。我々は……いえ、諦めないでください。きっとある筈なんです、突破口が。みなさん、諦めずに思考を回して、生き延びてください]
まぁ、アレだ。魂の怪奇の法則を、知らず知らずの内にコンプリートして、この世界を魂のある世界で上書き出来ちゃった。
その結果、その世界の知的生命体の『ちい』に人類が置き換わった。
[…私も、考えてみます。幸いこの『閏日』の空間には人間と『ちい』しか居ません。他の怪奇は存在しません…猶予は3日です。それまでに、誰かが対処すれば…広めれば良い。日本国の総力戦です。共に励みましょう]
分かりづらい?なら、カタカナと物語を使って例えるわ。
今までホラーのジャンル、世界だったけど、メルヘンのジャンル、世界の要素をフルコンプしちゃったから、怪奇優先の法則が発動して世界がメルヘンの物に置き換わってるんだよ。
[…この放送は繰り返されます。10秒後、放送は最初からになります]
このメルヘンが『ちい』で、トリガーは寝る前にやった指輪の解放だ。
対策?魔法消すか、霊脈消すか、霊魂消すか。結局根本さえ何とかなるなら問題ないし、全滅は免れる。
…うん、魔法使える人たちを【ゲームガチャ】が消す訳だ。こんな滅びに繋がるなら、俺だって防ぐわ。でももうちょっと頑張って伝えてくれても良かったと思うよ?
「…時刻は5時。朝早いけど、コレから終末旅行なんだし遅いくらいだね。ほら母さんも父さんも、らんらん言ってないで準備しよ。『閏日』も『蟲姫』も『ちい』も、全部解決しなくちゃね!」
『らららー』『んらんら』
「ほら、どっちでも良いから私を持ってね。足も手も無いんだから、どっちか運ばなきゃ動けないよ」
『ら!』『らん!』
「はい私を取り合って喧嘩しないの。さっさと車にご飯とお水積んで、私も載せる!」
父さんにテレビを消して貰う。他のチャンネルにしても、似た様な放送しか無かったからな。
幸い親子の関係は無くなっても、力はそのままだ。元々賢い人類を元にした分、『ちい』も賢い。
全く、魂のお陰で真倉達とか子供から優秀だったけど、その罠がコレなのアレだよな。四肢のない俺が司令塔として頑張らなくちゃならないとか…世の中何が役立つか分からないものだな?
まぁ子供向けのテンション高めでやれば言うこと聞くし、幼児をあやす感覚で行こっか。
「じゃ、れっつごー!最初の目的地は『荊棘の書』だよ!」
『らー!』『らん』
「母さんは車の運転頑張って。元々免許持ってたんだし、行けるよね」
『らー?』
「ほら、此処がハンドルで此処がアクセルで、ブレーキで…」
いやー、教えれば出来るって優秀な奴らだ。聞いた感じ既視感を感じてるみたいだし、直ぐに把握出来るだろうな。
元々『閏日』の影響で車や飛行機は停止されてたから道が塞がってる事も無いし、東京までは直ぐだろう。ナビゲートは生きてるんだし、ちょっと座席とハンドルの距離が近くで潰れ母さんになってる以外は問題ない。ぬいぐるみにあったなぁ、潰れ◯◯とか。
そんなこんなで運転開始。ガソリンは余裕が有ったから途中で補給する必要も無いし、今から1時間もすれば無事に着くだろう。念の為にゲェムは持ってきてるし、万事問題ない筈だ。
実際、順調に進んだ。
母さんは辛抱強いし、高速道路も空いている。
途中まだ無事な人や彷徨う『ちい』を見かけたけど、幸い『ちい』は車道に出たりしないし轢くこともない。区切りとか見て入っちゃいけないって悟ったんだろうな。
賢い奴らだ。まぁ、だからちいになったんだけどさ。
『らー』
「どうしたの?父さん」
『らんら』
「トイレ?ちいって食べたり排出したりするんだ…まぁ生き物だしねぇ…途中止まる?」
『んーら』
「トイレは此処にあるってどう……待ってね、私はトイレじゃ無いよ?」
『ららん』
「へー、出したの食べられる…そう言う話でも…はぁ…抵抗出来ないからやるけどさぁ…後で覚えておくように。私は忘れる事にするから」
いちごの味がしたと言っておこう。因みに母さんはグレープだった。何処までもメルヘンな連中だなぁ…絵面がヤバかったけど、身体に別状は無いし、むしろ元気になってきたし…複雑な気分だな。
虫歯になりそうだけど、栄養としては問題ないみたいだ。何だか俺の扱いが面白いおもちゃみたいな立場になって行ってる気がするが…まだ引きちぎられてたりはしてないから大丈夫な筈だ。
「ほい、到着。父さんは私を待ってね。母さんはムシカゴを構えて、『魂蟲』は出なくても盾にはなるからさ」
『らー』『んらー』
「いい子だね、どっちも素直な子なのは助かるよ」
さて、特に重要な怪具は国が管理してたりするのだが、その置く場所が何処にあるかと言えば東京だ。
それも宮の近く、父さんの仕事場から更に宮内に近づいた場所だ。危険だから離すんじゃないかと思った物だが、何でも天皇の近くに置くと性能が抑制されるから逆に安全になるらしい。
明らかに何かしら血に宿ってるけど、何が原因かは分からないんだと。天皇の家系は色々怪奇から貰いすぎて把握し切れない様だ。
「まぁ、スキルの上限を考えると、それを圧縮出来る怪具を沢山用意して、9個を超えて死なない様に…って考えが有りそうだなって予想できるんだけどさ。本当かは分からないねぇ」
『らんらん…』『らら…ら』
「同族の死体見て怖がってるねぇ…どっちにとっても今更なのにねぇ?」
怪具を入れている倉庫を開けて中に入る。既に誰かが俺みたいに怪具欲しさで侵入したのだろう。
鍵は空いてたし、罠や妨害も全て解除されていた。楽なのは良いけど、『ちい』の死体が散乱してるのは見てて面白くはないな。
『ちい』は頑丈だし、罠を根性解除させるなら打ってつけなのは分かるけど…人の心がない方法だな。そんな手段を取れるから人のままで入られたんだろうけどさ。
「ええと…有った有った。未分類の怪具の最高危険度の置き場所にあるわ。母さん、そっちに行ってね」
『…らん』『らら?』
『ら』…
「うべ…急に投げ捨ててどうしたの?」
父さんと母さんが俺を投げ捨てた後、そのまま立ち去ってしまった。どうやら、死体を見て俺に従うのは良くないと判断した様だ。…うん、賢いな。
「…そっか、二人とも変っちゃったもんねぇ?未練がないなら、そりゃそうだ」
ずる…ずる…、
「…こんな…事なら…杖も…持って…くれば…!…ふぅ…よかったかな…!」
まぁ此処まで来れただけまだマシだな。高速道路の上で捨てられてたら死んでたし。
まだ2時間のストックは有るけど、この後万が一があるかもだしな。芋虫スタイルで進むぞ。
ずる…ずる…ずる…ずる………ずる…ずる…ずる…
じゃあ、暫くは無心で進むからな。気張って行こう。
案外長そうだし、途中は歩く感じでな。
大丈夫、山崩れの時よりはマシだ。
ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる……………
「よし半分」
ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる…ずる………………
「ほい到着。27時間は長かったなぁ」
ぐぅぅ……
「お腹空いたなぁ…眠いなぁ…」
そんな訳で徹夜で『荊棘の書』の前まで到着した。もう2日目の9時だし、糞尿撒き散らしながら進んだわ。いやー、下りの階段は鬼門だった。こういう建物は広いのが定番でも、2日分の4時間歩いて降りても下に着かないんだもの。危険物への警戒心の賜物だよね。
「でも…そのお陰で此処まで来れたって…ね!」
少しだけ残しておいた時間の分で手を伸ばす。手袋の方で倒せさえすれば身体に触れられるからな。そうすれば後は唱えるだけだ。
「よし、後は触れて…手が使えないからページを捲れないな…捲れないと魔法の詠唱が分からないな…其処ら辺は指輪の領分だったからなぁ…」
…いや、確か浮かせる感じに運ぶとか言ってたし、そういうのは詠唱無しでやれる筈だ。だってあの時何か唱えてたりしてなかったし。……製作者だけは言わなくて良いやり方があるとかだとお手上げだけど。
「…本の皆さん、どうか力を貸してください。今頑張らないとみんな死んじゃうんです。ゆっくり寝てたいのは分かります。こんな汚い子供に力を貸したくないとか思ってると思います。でも、此処にいるのは私だけで、今は皆さんの力が必要なんです」
まともに言えてる自信はない。徹夜で動いたからな。ただでさえ貧弱なのに無理をしたんだ。もう限界が近いんだよ。
それでもやらなくちゃ終わりなんだ。テレビのアナウンサーも言ってたように出来る限りはやらなくちゃだ。みっともなくても願うしか無い。コレが畳む足がない土下座のチカラァ!床に頭突きしていけ!
こん…ごん!
「ページを、本と私を浮かべる奴まで…それから、それから…お願いします。手伝ってください」
ぱらり
お、反応があった。相手が人な分やっぱ誠実にやれば伝わるんだな。不完全な土下座…ってより、ほぼうつ伏せだったけど、手伝ってくれるなら何でも良いや。
あ…あー…頭から血が出てきた。勢い付け過ぎたな。だがまぁ良いや。魔法は…と…。
「…『魂は膨れ上がり宙に浮く』…『その身の穢れは離れていく』…『その身体は瞬きする間に歩き終わる』」
順に浮遊、清潔、転移だ。汚ったない子供が綺麗になったぞ。
転移した先はコンビニだったし、多分先に飯を食えってご要望だ。食べ物が勝手に浮かんで俺の口元に運ばれてるし、何だかこの本って俺が魔法を使う許可出して、それから魔法使ってくれてる感じだな。
成程ねぇ、今よく見た感じ990人居るから普段は其々の思考がバラバラで動けない。
しかし詠唱された魔法だけ使用許可が出て、その魔法を使った動きだけバラバラでも動ける。
コレ、本の形した990人の魔法使いのが集まった特典だわ。指輪の奴特典を参考に魔導書作りやがった。通りで本人の連続性があるとか言う訳だわ。特典がそうだもん。
「あむ……もぐ……おひほまひゃいえ……んぐ…」
まぁ、何でアレ全会一致で俺に協力してくれなきゃ、一人でにページを捲るとか起こらない訳だ。
みんないい人で良かったなぁ、サンドイッチやお菓子とか押し込んで来たり、なんか撫でてる感じの力が頭上に発生してるけどさ。
いつ頭を潰されるか怖いからそれやめてくれない?990人居るのは分かるけどさ、特典を参考に作られたからか見えないんだよね。見えない人に撫でられるのって怖いんだよ。
「んぐ……ごちそぉさまでした…終わった、終わったから。もう食べられないの!」
口の前にバッテンを作ろうとして手がないのを思い出し、唇をしまって首を振る。
ダメだ、インド辺りの横振りが肯定になる文化圏からの攻勢が止まらない。子供の食べられる量をみくびるなって思ったね。
「ふぅ……吐いたお陰で食え食え攻撃が終わったね……勿体無いから啜ったのが効いたかな。まぁ背中叩かれて啜ったのもまた吐いたけど……ふぁ……眠い…撫でるな眠くな……うみゅ…」
まぁ、兎にも角にもだ。コレで魔法は使えるようになった。次は『閏日』を何とかしないとか…運と時間足りるか?
「まぁ、やるけどさ…カセット来い…【裏世界探索記録帳】」
もう慣れた手つきで記録帳の左腕を作り、万能ゲーム機を取り出し、自己育成を起動する。
お、しばらく見ない間にガチャコインが合計58になってる。父さんの連続死亡での俺の人生振り返りが効いてるっぽいな。
さて、どうか一つでも良いから良い物出せよ?時間が押してるんだ。短縮要素くらい出ろ。
がちゃちゃちゃちゃちゃ………
「うっわ、ゴミ山」
まぁ、大半は小学生の工作みたいなゴミだった。怪奇関係が2個しか無いし、どれだけ作ったんだ?ダブりもあるし、明らかに生産ライン作ってるな。
それで良い感じなのは…装着してる時だけ妖精になる義眼「怪具/妖精眼/乙」、着け過ぎると戻れなくなる。でも飛べるのか。
もう一つは謎のペンダント、あからさまに罠って感じ。触っても何も起きなかったけど、装着はしない方が無難だなぁ…。
「……準備も…ふぁ…終わった所で…あ、コレ外してね…」
それじゃあ意識を切り替えるかぁ…此処から本番だし。
チャートは作った。準備は終わった。時間は…24時間も有れば十分過ぎるか。
「今は…2日目の朝10:02:34…から…ふぁ…」
「───『ちい』『蟲姫』『閏日』…とその他諸々の同時攻略。はい、よーいスタート」
魔導書に頼んで眼鏡を外し、空洞となった眼から血が流れ出す。
魔導書を持ってるだけなのにどんな魔法が使えるか理解できた。
やっぱり指輪の奴、仕込んでたな。
さて、今見たら潜んでるのが沢山居たし、何個やれるかな。
霧晴千歌
巡り巡って自分のせいなので自分で後始末する事にした。
霧晴百葉と霧晴健太、及び大多数の人物
『ちい』になった。
真倉朝凪、笠木雪町、座式比良
『ちい』になって無い。
『閏日』
4年に一度8月31日に人を閉じ込める異界。だんだん縮小し、早く戻るほどより過去に戻れる。
「世界の上書き」『ちい』
今回の場合は1/100だけ残して『魂の世界』の『人類』にする現象。怪奇の由来の世界、その全てが揃った時に起きる。
『山奥の骸』+『魂蟲』→『蟲姫』
『一つになる』魔法で生物になった異界。従うと宣言すると逆らえなくなる。
『荊棘の書』
990人の魂を纏めて物質化した物。『付喪霊』でもあり、怪具でもある。
『消した』
「人間」は何十万人の総意でこの怪奇を扱えるが、『ちい』は10人の『ちい』が嫌がるだけで反応する。