怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 魂は無い相手に対して興味を惹かせ、場合によっては信者にさせたりも出来ます。




日常-もやもやする

 

 

「証!遊びに来ました!」

「へぇい、なんだかお久しぶりだねぇ」

 

「…あ、千歌…が2人になってる」

 

 やぁやぁ、2人一緒に証の方に来たチカ達です!何故か千歌が一緒に癒されようと誘ってくれました!嬉しいですね、何気に証と会うのは潜水艦にした時以来ですけど、千歌があれだけデレデレしていたんですから、良い人に違いありません!

 指輪の時は大体夏休みで、怒涛の日々でしたから。殆ど初めましてなんですよね。

 

「いやぁ、夏休み会えなくてごめんねぇ」

「大丈夫だよ。僕も結構忙しかったから」

「何があったんですか?」

「うん、実は両親が医者と弁護士をやっててね。ほら、最近って怪奇関係で随分と騒がしいでしょ?だから僕の方も妹達を見るのに忙しくって…正直、気にする余裕が無かったんだ」

「あー…手伝えなくてごめんね?折角なら挨拶しに行ければ良かったんだけど…」

「大丈夫。そっちも怪奇関係でしょ?仕方ないよ」

「うん。実はさぁ……」

 

 な、なんという事でしょうか…チカが蚊帳の外になりました!

 なんだかオマケで居る感が凄いです!居心地が悪すぎて居ても経ってもいられません!

 千歌と証には悪いですが、実際に経験した事や側から見た性格が違う以上、同じなのにも限度があります。誓いで繋がっているとしても、流石に自己紹介くらいはさせて欲しかったです。

 

「あ、チカは少しお花を摘みに行って来ます!」

「ん、いってらっしゃい」

「人にぶつかったりしない様に気を付けてね」

「はい、それでは」

 

「…………」

 

 千歌に心情は伝わってるでしょうが、コレなら千歌と一緒に読書したり遊んだりした方がマシでした。自分同士で絶対の味方なんですから、チカを思いやるなら2人きりにして欲しいです。

 

「…むぅ」

 

 …理不尽な要求なのはわかってます。チカは千歌の分け身の様な物、誓いで繋がって居ても、万が一の時は切り離せる物に過ぎません。もしチカが死んでも、千歌と証は生き残れます。

 ですが、千歌が死ねばチカは死にます。その差は大きいし、決して埋まりません。

 だから、チカはずっと、千歌に愛されようと、殺されたくないと嘆願し続けてるんです。

 

「…思い違っちゃダメですね!チカは千歌にはなれません。従い続けないとチカは悪い子になっちゃいます。頑張って「奉仕を続けないと…ねぇ?」…あ、はは…聞いてました?」

 

「そりゃあもう、最初から」

 

 困りましたね…千歌は心を隠すのがお上手なの、すっかり忘れてました。

 

 


 

 

「困るよねぇ?そういう隠し事。自分同士でのギクシャクは後に響くって、よくあるでしょ?」

「そうですね…ごめんなさい」

「謝るの禁止で。話を終わらせようとしないの」

 

 やぁ、心を隠すのは『昨夜様』との交渉や【ゲームガチャ】の人達に見られながらの生活で鍛えられてる俺だ。前世の自分を騙すくらい訳ないぞ。伊達に修羅場潜ってないんだわ。

 トイレ休憩のフリした心情整理、どこに行くかと思ったら理科室とか…そりゃあ昼休憩なら誰も居ないし打ってつけだろうな。

 

「それで、どうしてそんなに私に構われようとしてるのかねぇ?」

「べ…別にそんな事ありません!」

「ん、洒落にするには出鼻を挫いてこそでしょ?…安心と納得が欲しいならそう言えばいい」

「…………」

「態とトラウマを穿り返して発作を起こすな。自分で自分に寄りかかったら転ぶだけ。死にたく無いならそう言えばいい。守られたいからって安全を確保してからのフリは禁止で」

「わぁ…全部観られてますね…」

「確か…媚びた自分と本来の自分の境目が分からない…だっけ?昔の事だから忘れた事の方が多いけど、その悩みはどっちも自分だと結論付けたはずだよ。焼き増しするな」

 

 生憎俺は俺を正しくは観れないし、共感も出来ない。前世の俺がどうしたいかなんて理解もしない。確かに俺の大体はチカと同じだろうけど、認識が弄られてる以上は何処かが違う。

 何より、何度も同じ事を言わされるのは好ましく無い。

 

「ん、要望はコレで聞いたよ?コレからの運用は私が前、そっちが後ろだね。分かったらさっさと戻るよ。証から「最近異食症の患者が多いって父から聞いた」って話が出たから、そっちの眼が必要だ」

「…えっと」

「誓いで共倒れならもう解くやり方は見つけてある。怪異の儀式なんだから、鯨と月人の制御器で無害に出来る。…おかしいな、コレはそっちの眼でも辿り着ける筈だけど」

「…知りませんでした」

 

 おっと…?俺の筈なのに、眼もある筈なのに怪具の性能も読み解けないのか?…試すか。

 

「…よし、急だけどテストの時間だよ。今から腕と思考を怪奇に寄せるから、解答してみて」

「!?…は、はい!」

 

 縲?螯也イセ縺ョ謫ャ諷九?縲∝ョ悟?縺ォ謚頑升縺励※縺?k迚ゥ縺ォ髯舌k縲ゅ◎繧後?迚ゥ雉ェ讒矩??縲∝「玲ョ匁擅莉カ縺ォ逡吶∪繧峨★譛峨j縺ィ縺ゅi繧?k鬆?岼繧堤衍繧雁ース縺上☆縺ョ縺梧擅莉カ縺?縲ょ屁閧「縺ョ荳?縺、縺ァ縺ァ縺阪k縺ョ縺ッ1縺、縺セ縺ァ縲ゅ@縺九@縲∵凾髢薙r縺九¢縺ヲ豺キ縺懷粋繧上○繧倶コ九〒蜀咲樟縺励◆迚ゥ繧貞粋菴薙&縺帙k莠九b縺ァ縺阪k縲

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「今の思考はヒントでしか無い。そっちを注視しても利益は少ないぞ?」

「ええと、ううんと…」

「制限時間は後30秒、私なら普通に出来る範囲だね」

 

 両腕で作った物は、蟲にも歯車の塊にも見える物だ。からころと身体を噛み合わせて、生きてる様に振る舞う。チカはそれを見て、俯いて悩んでいる様だった。

 

「時間だ。答えを聞こう」

「…『神格』と『魂蟲』の融合体?少なくとも、今まで見たことのないタイプの怪奇です」

「具体性を上げて」

「えっ……時間関係と蜈蚣の組み合わせ…です」

「それは見た目で分かる範囲。じゃあ質問しようか。起こせる現象は?」

「……過去に戻す…です」

「ハズレ」

 

 両腕を元に戻して、答え合わせをする。うん、ダメだなコレは。

 

「答えは『妖精』だよ。妖精の手足なんだから、どれだけ見た目を変えても中身は一緒。怪奇現象とかを真似れば再現可能な力はない。精々が麻酔や蜘蛛の糸みたいに実際にある物質を再現するだけ」

「………」

「アレだね。私から薬になって、解析能力落ちてるでしょ。出来なくなってるんじゃなくてさ、見ようとしてない。人の心は兎も角、怪奇は見た人が発狂する奴とか、情報量で殺しに来たりとかのトラップあるからかな?」

「そ、それは!」

「そりゃそうだよね。死にたく無いなら、怪奇は視界に収めないのが大正解だ。心がまともなら、それを崩させる怪奇は天敵と言える」

「ほ、本番なら、本番ならちゃんと出来ます!」

「無理だよ。人相手なら踏み込めても、今のチカに怪奇は見れない。性能じゃなくて、恐怖心で眼を閉じてしまうから」

 

 因みにヒントの思考は、

 

 妖精の擬態は、完全に把握している物に限る。それは物質構造、増殖条件に留まらず有りとあらゆる項目を知り尽くすのが条件だ。四肢の一つでできるのは1つまで。しかし、時間をかけて混ぜ合わせる事で再現した物を合体させる事もできる。

 ただし、怪奇現象が起きる訳じゃ無い。

 

 だな。見れば、少なくとも過去に戻るなんて言わなかった筈だ。

 だって擬態だし、虚仮威しの試験も直視出来ない様じゃ戦力にもならない。

 

「まぁ、不意に視界に入ったなら…私と別れる前に見たことのある物なら怖く無いだろうけど…未知と向き合わないんじゃ意味は薄いかな。やっぱり怪奇には私が行かないとだね」

「チカは役に立てます!」

「その体たらくで役に立つとか二度と言わないでね。あ、望みは叶えるんだから文句言うなって意味ね?もう私に媚びる必要も無いんだから」

「…自分同士のギクシャクは後に響くって」

「私は一年以内に死ぬ。その間なぁなぁに過ごせる範囲なら問題ないよね。大丈夫、手伝いの範疇に収めるし、約束したんだから言われたことくらいやる……うん、楔は打ち込めたね」

 

 よし、聞いた感じしっかり言われたことをやる使命感は打ち込んだ。本当に死にそうになったら逃げるだろうけど、その分前の比良みたいに確度の高い安全を与えられれば飛び降り自殺紛いはやれる。

 少なくとも、じわじわ手伝う範囲を狭くすることはしなくなるだろうな。

 

「じゃあ教室戻ろっか。もう時間も無いし、証には楽しかったって言って離れた。いつもちょっと大変な日常くらい、チカにも出来るでしょう?」

「…はい」

 

 頬を赤くしてるし、不満はあるだろうな。でも、内心やって欲しかった事はしてあげたし、従順になって生きながらえる作戦通りにも動いてあげた。半分はお望み通りで、何が不満だ?もう半分は死にたいとかそっち方面の鬱い感情の欲だし、そっちを無視したのがお気に召さないか?

 

「…あの!」

 

 まぁいいや。後は適当に聞き流せばいいだろ。

 

「なぁに?」

「千歌も一緒に…ずっと守られて欲しいです」

「寿命伸ばす怪具作ってから言って。裏世界の4層目に居たでしょそういうの。私は必要ないから獲得チャート作りはやらない」

「でも、コレは千歌に一番必要です!」

「やだ、面倒、チカが居るんだから使わないチャートの方が早い」

「イヤです!チカには必要なんです!」

「だったら自分のやりたい様にしてて。自由時間は設けるから、その間にでも」

「うぅ〜…ドライです…!」

「こうして突き離さないとダメだって学習したからね」

 

 なんせ昨日の発作の対応して寝たら、朝に胸を吸われてたからな。取り敢えず頭撫でてから離したけど、俺なら拒否しないとか考えてどんどんエスカレートしそうなんだよな。

 俺はたんぽぽコーヒー味ではあるけど、朝一のコーヒーじゃないんだわ。

 放ってたら自分同士でとんでもない事をしそう、それがチカです。まぁ、キツく当たるべきだよね。

 

「むぅ…それならこうです!」

 

 あ、メールだ。

 

「よっと」

「うわぁ!?……宙ぶらりんです」

 

 俺が避けたから転ぶ所だったチカを持って運びつつ、メールを確認する。

 

「何が書いてたんですか?」

「複数の誘いかな。真倉お父さんから採掘班への教育ゲストにならないか、霧晴家から神格を手伝う代わりに出来れば来て欲しい、雪町から魔法の事を教えて欲しい、ピアノ教室の広告メール…」

「最後は言わなくてもいい奴です!」

「冗談だよ。最後は多々良からの怪異の件を受けたいって奴だ」

「…直接言わないんですか?」

「夏奈はボケても其処の判断は割と正気になるから、こっそりとやりたいんだろうね」

「…なんだか悪い事してる気分です」

「誑かしてるんだから、悪い事だよ」

 

 どれも俺らの予定に合わせたのか土日を希望しているし、2人で協力すれば全部受けられるだろうな。ピアノは個人的に気になるけど、よっぽど暇じゃないと行くことはないか。

 チカに合いそうなのはしっかり割り振るとして、最適なのは…。

 

「よし…私は実家と魔法、チカは真倉父と多々良の方を頼んだ」

「その心は!」

「危なそうって所感と偏見」

「ん、身も蓋もありませんね!」

 

 となると、土日までに病院に寄っておくか。母さん達に渡された財布なら、チカの診断分を使ってもまだ余裕があるし、『ちい』の特性がどれだけ残ってるか医者の視点を聞きたいからな。

 そうして昼休みと授業を終えて、多々良にウィンクされたり比良にチラチラ見られたり、真倉の内心が荒れてたりするのをスルーして2人一緒に病院に行った。

 全員聞きたいことがあるんだろうけど、そのうち自然と分かる事を説明するよりは証の手伝いが大事なんだよ。木金に聞いてくれ。

 

「では!チカは診断に行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

 

 そんな訳で怪療院にチカを突っ込みつつ、俺は普通の病院に向かった。地元の病院は夏休み前に来たきりだから、久々だ。

 チカよりも俺は見えづらいとは言え、よく見れば怪奇が居るかどうかは分かる。

 入院してる患者の居る扉を、お見舞いに来た人にこっそり着いて突破し、軽く一回り。

 

「返してくれ…」

「魂が欲しい。理想の自分が…」

「また走れるように…」

「世界が…くらい…」

「またパンが食べたい…」

「忘れたくない忘れたくない忘れ…」

「みんなどこ?…前世のみんなは…」

 

「んー…一回りしただけでネガティブな感情に満ちてるねぇ」

 

 真っ白な廊下と木製の手すり、心拍計の音や呼吸器の音。その振動全てが懐かしいな。

 その手すりや猿轡されてる患者は懐かしくないけど。

 

「見た感じ魂が欲しくて手当たり次第に齧ってる人が多いかなぁ…まるで禁断症状の出てる患者…いや、その物か。魂のお陰で生きていた人も少なくないだろうし…出来る事は精々、祈ってあげるくらい…」

 

「匂いがする…」

 

 声に反応して振り返った。

 

「…わーお」

 

 俺を見ている患者、着いてきてた患者、床を這ってこっちを覗いてる患者……もしかして魂って結構目立つタイプ?…そう言えば四肢欠損で霊感が10面になってたなぁ…他の死に近づく物も似たような特性が有ってもおかしくない。例えば…魂を感じる、とか。

 どうしようかな、俺は手足が強くても、長く走れる訳じゃない。胴体は生身だから、全身の運動には弱いんだよ。瞬発力は良くても、早くはない。話術で潜り抜けられないかな。

 

「…あー、お集まり下さった皆々様に、大変都合の良い話が有りますが…今の私みたいに…魂の代わりになる物、欲しく有りませんか?なぁにお金は取りません!私はただ親切をしに来ただけです!」

 

 んー、獣を相手にしているみたいだな。今の一言で様子見が選ばれたみたいだけど、話題運びに失敗したら食べられそうな感じがする。

 怪具屋の荒木を真似て胡散臭く…言葉には説得力が生まれない様に…。

 

「そしてこの際私が誰であるか…それは大して重要ではないでしょう。今回ご紹介しますのは今皆さんの身体に埋め込まれております、『怪異』です!…知らない人は御座いませんね?」

 

 話の流れは興味を惹く様に、足の爪先を変形させた糸には気付かれないように、

 

「こちら、政府は害は無いと発表しておりますが…逆に、利益がある事が隠されていたのはご存知でしたでしょうか?あー!いえいえ疑わしい話なのは承知の上です!えぇ、えぇ、胡散臭い話ですよね?」

 

 糸を伸ばしてる足を軸に身振り手振り。こんな所でアイドルステージ用のダンスが役立つとは思わなかったよ。

 

「…我慢が限界な人もいる様ですので結論から。この怪異、魂の代わりになります。方法は簡単!その怪異に噂を吹き込むだけ!ネットで探し、雑誌を調べ、人の話を聞き耳を立てて!それを自分の怪異に向けて話し、こう言うんです。『それがお前だ』…とね?」

 

 よし、適当な患者のナースコールは押した。看護師が来るまで適当な怪奇豆知識で場を持たせる…できるかぁ?

 

「『それがお前だ』、『それがお前だ』、この噂こそがお前なんだ!……あぁただし、お一つご注意を。魂が欲しいなら、魂に関した噂をお集め下さい。幽体離脱、悪霊の溜まり場、ポルターガイスト…そう言った物です。事実無根で構いません。ウワサである事が大事なのです。…定期的に似たウワサを与えるのもお忘れなく。空腹で暴れちゃいますから」

 

 多々良に話す予定の奴使い切っちゃった……あ、そうだ。憑依された少女みたく演じればいけるかも。

 

「‭…おっと、そろそろお時間の様ですね?」

 

 ゆっくりと堂々と、立ち去りながら言う感じで…。

 

「それでは皆々様、信じるも信じぬも貴方次第。解説は「憑依の怪異を持つ親切な人」がお送りしました。…あ、襲わないで下さいね?この子、運悪く憑依されただけですから。では〜」

 

 ポケットに手を入れて、片手を振って、男らしく、しかし紳士らしさも付け加えて…よし、逃げられそうだしさっさとエレベーター乗って帰るか。

 

「あ、悪い事に使っちゃダメですからね〜?特に性犯罪と殺人は私の友達が怒っちゃいますから〜」

 

 エレベーターに乗る直前、物陰から見てる患者達にそう言ってから、俺以外の居ないエレベーターで、一階を選んで一息ついた。

 

「…ふぅ、いつ食べられるかとヒヤヒヤしちゃった…本当の事じゃなくて嘘言っとけば良かったかな…まぁ信じる訳ないからいいか。そういう胡散臭いキャラ演じたんだし」

 

 証の助けになるかなって思ったけど、コレに関しては俺は無力だな。大人しく応援するだけに留めておこう。なんか下手したら派手にやらかしそうだし。

 

「お疲れ様、どうだった?」

「おぉ…チカはお疲れです…」

 

 怪療院に到着し、診察でクタクタなチカを回収してバスに乗る。公共の場だとみんな大人しくていいね。不審者が居ないもの。

 

「調べた結果、チカの血糖値は終わってました…数十万とか出てました…血が最早シロップの領域です…」

「まぁ汗が甘いからね。それで脱水もせずなんだから、もう体質として受け入れよう」

「後、尿を調べたら同じ感じに…アンモニウムや尿素酵素がないとかで、毒素が一切確認出来なかったみたいです…バイ菌もないので普通に食べられるとお墨付きが…」

「体調に問題はないから…もうそういうのを消滅させる機能が有りそうだね」

「はい、試しにあちこち触ってから手の菌を確認しても、一切存在せず…常に無菌状態が維持されてると診断されました」

「本当に生きたお菓子って結果だね」

 

 思ったより人間と違うなぁ…見た目と記憶は同じでも、生菓子人間過ぎる。

 

「…なんだか自分が人じゃないみたいです!体臭まで徹底的に調べられましたし…恥ずかしかったです」

「なに?全裸にでもなった?」

「…………」

「マジでなったんだ…」

「…初めは人扱いだったんです!でも、だんだん実験動物を見る目になってきて…沢山食べさせられて、糞も丸々回収されました…」

「思ったより『ちい』だったから、興味深かったんだろうね。まぁ、私の下に返してくれただけ良心的かな」

「はい、証くんのお父さんだと、話してて判明したからだと思います」

 

 マジ?あの人証のお父さんだったの?証って普段目元隠してるから全然顔見てもピンと来なかったわ。

 

「そりゃあ奇縁だね。後は…髪や爪、汗もか」

「はい、着込んで暑い部屋に入れられて…辛かったです」

「その部屋線香と甘い匂いが染みついただろうなぁ…」

 

 この体臭、リンスやシャンプー変えても変化ないからな。多少アクセントにはなるけど、完全には消えないんだよな。

 

「で、健康だった?」

「それは…微妙です。人から外れた数値が多過ぎますから」

「ん…まぁお疲れ。食べる物を変える必要とか無いなら、今回の目的は達成だ」

「…チカは帰ったら甘えます。決定事項です」

「ん、少しなら良いよ」

 

 そんな感じで、お店で買い物してから俺らは帰った。なんだか今日は空振った気分だが、やりたい事はやったから良いだろう。余計な事もした気もするが…いや、大丈夫だ。俺の胡散臭い演技を信じろ。

 

「…チカ、お箸を出しなよ」

「チカはいい事を思いつきました…口移しとかいいんじゃないかなって」

「犬食いは論外だから。はい箸」

「それもそうですけど…ツレませんね!」

「口移しとか…恋人でもしない事をするなって話だよ」

「仕方ありません…ジュースで妥協します」

「…チカが含んだのは一層甘くなりそうだねぇ。それはそれとしてやらないけど」

「あぁ…!もう…」

 

 今日は一際キッショい事するなコイツ…診察のストレス溜まってるのかな。

 困るなぁ、そういうのは他の人にやって欲しいんだけど。

 

「それなら…よいしょ」

「頬がくっ付くほど近づいてどうしたの?」

「…あーん」

「…それならまぁいいか。はい、あーん」

 

 食べさせ合いは食べずらいが、それで気が晴れるなら付き合おう。土日が控えてるんだから、これくらいはね。

 

「次は…寝ます!」

「…一緒に寝るだけなのになんでお互いに全裸なの」

「靴下は履いてます!」

「余計ダメだね。はい服を着て靴下は脱ぐー」

「わぁぁ…」

 

 …おっかしいな。小学生なら性欲はない筈なんだけど。

 いや真倉が居たな。それならストレスでこうなってもおかしくないか?…そう言えば前世だと性欲処理出来なかったなぁ…手が無いと本当に大変なんだよ。

 

「仕方ありません…とう!」

「…寝る時に重ならないでよ。重いから」

「それを…こう!」

「自分が下になってどうするの」

「……はぁ…はぁ……圧迫感が良いですね!」

「…まぁ妥協しよう」

 

 認識を弄られて無いってのも大変だな。こんな奇行をしなくちゃいけないんだから。

 肩噛まれてるし、うつ伏せは我慢…無理だキツい。上を向くわ。

 

「あぁ…妥協するって言ったのに!」

「お前は学習しないのか?やっぱり呼吸がキツいんだよ」

「良いんですか?チカに触れ放題ですよ?」

「んん…まぁ…不快な…ん…だけだし」

 

 自分で自分の身体触ってもなぁ…多少の不快感はあれどなぁ?

 どうしようか。嫌ではあるけど拒否する程ではないし、常識的に考えても問題はない。

 口移しや裸は流石に行動や一般的な感性から考えてダメだったけど…自分の身体を触るのはギリギリで喋る面倒さが勝つ。

 寝る時に胸や腹を触るのは変でも無いし…へそを弄ったり胸を重点的に触るのはどうなんだ?コレはダメの範疇かなぁ?俺的には微妙だぞ。

 

「んん?……ん?…ん」

「…くすっ!寝る時に自分が触っても問題ない範疇なら抵抗がありません!チカとの自己境界が曖昧なほど、境界の線引きが強いほど、どちらも面白い結果がありそうです!…あ、もうチカは満足したので、降りていいですよ!」

「そう?…なら降りるけど…次からは同じ事は禁止ね」

「くすくすっ…はい!」

 

 やっと終わったか。何故かずっとじんわりとした不快感が続くから嫌だったんだよな。アレだな、自己分析は大事だけど、やっちゃダメな分析もある。今回はダメな奴だな。

 自分同士だし手遅れにさせる様な…裁縫糸を切って達磨にするとかはないと思うけど…俺って自己愛強い方だったっけなぁ?興味なくて覚えてないわ。

 

「じゃあ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

「…もやもやするなぁ…むにゃ」

 

「…くすくすっ。あんなに強引でステキな告白して…そんな千歌はチカの恋人になる刑です」

「千歌は証に熱心ですけど…あんな告白されたら、チカは千歌に夢中になっちゃうんですよ?」

「コレからもいーーっぱい、チカ無しでは生きていけないように、手遅れなカラダにしてあげますね?」

「…おやすみなさい」

 

 

 寝た思考を確認してから、思考を再開させる。全く、やっぱり変な事を考えていたな。

 …警戒度上げておくか。向こうの目的が共依存になった以上、途中までは味方なだけの潜在的な敵だ。俺は自由に気ままに日常を過ごしたいんだよ。

 はぁ…何処で言葉選びを間違えたんだ?

 

 






霧晴千歌/チカ
 サカるなって思ってる/ハーレムしたい程度の性欲はある。
木香証
 宇宙に行った衝撃でまだ相手を思いやる余裕が無い。
病院の人達
 試してみたら出来たし病気や怪我も治った。

『肉の木』
 動物の死体を実らせる木。食べると無機物が食べたくなる。
『めめしめ』
 雌の動物に寄生する蔦。食べるとアレルギーが増える。
『語彙渡し』
 血族に食べ物を口移しすると記憶も渡される怪奇。鳥や虫がよく利用してる現象。
『歯車蟲』
 歯車で造られた魂蟲。千歌の創作怪奇。腕時計の中に入る大きさ。
『らくがき』
 絵が実体化する怪奇。細かい条件がある。

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