怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 思ったより霧晴が頑張ったので2話が1話に圧縮されました。RTAなのでこれはこれで正解ではあります。来週は日曜が仕事なので一話だけの更新。代わりに今週は三話投下です。

 いまだけのすてぇたす


相戸健太
女 22歳
職:怪対員/課長
出:転生者/妖怪

 

戦闘 4  4D6+2
探索 4  4D6+2
精神 2  2D6+10
判断 4  4D6+4
霊感 2  2D6+5

    スキル   
「餓死耐性」    
「怪奇対応/神格/乙」
『家守り』     
「裏世界帰還者」  
「怪具/雪の皮/丁」 
          
          
          
特典【    】  






霧晴千歌
女  6歳
職:小学生/1年
出:転生者/人間

 

戦闘 0  0D6-20
探索 0  0D6-20
精神 2  2D6+11
判断 2  2D6+5
霊感 16  16D6+40

    スキル   
「脳の眼」     
「盲人」      
「専門/葬儀/丙」  
「怪奇探査」    
『守護霊/霧晴/甲』 
          
          
          
特典【ゲェムガチャ】







ゲェム-これからよろしく

 

 

「課長…課長!生きてますか相戸課長!」

 

 目が霞む。

 

 うん…またなんだ、すまない。取り敢えずこのスノーホワイトを飲んで落ち着いて欲しい。当店だけの配合比率のカクテルだから美味しいよ。私の出した雪で作った氷での仕立てだからね。

 

 後輩を庇って裏世界に落ちたあの日、あれから一年が経って私はまあ結構精神が雪女のものに変わりつつも元気に生きていた。意外かも知れないけど価値観が変わるって案外大した事なかったよ。

 ちょっと一人称が私になって雪を出せるようになったりして雰囲気が女の子になっちゃっただけさ。独身を見ると家庭に乗り込んで妻になって支えたいなって衝動が稀に出る時があるけど…約束があるからね、それまでは我慢だ。

 元気とノリが変わらなければ世の中何とかなるもんだね。いぇーい。

 

「へへ、大丈夫大丈夫。ちょっと意識遠いけどね」

「でも…相戸課長…頭が…ッ!」

 

 今回は予想よりちょっと手強い神様だった。荒神相手だとやっぱ危険はつきものでね、その怒りと嫌悪を鎮めるのに若い女を差し出せと要求されたよ。無論、私が行ったとも。見た目少女だからね。

 お陰で脳みそが抉れてしまった。性交だと思ったら殴り合いになるとはこの私の目を以ってしても…!

 

「大丈夫だ。雪を被せれば治るからさ」

「でも…相戸課長…頭が…ッ!」

「…ん?繰り返すって事は物理じゃ無くて精神の方を心配してる感じかい?相戸成分はまだたくさんあるから安心なさい」

「相戸課長…頭ダイジョブ?あ、コレ雪ッス」

「おーけー煽ってるね君?ありがとうでも叩かせて貰うよ?」

 

 あっだッ!

 

 木枯らしが吹く冬の季節。くるぶしまで積もった雪に、木々が倒れちょっとした広場になった場所、悲鳴一つ響き渡ったとさ。

 

 まぁ、今の職場のノリはこんなのだ。この子もなんだかんだで成長して適切な対処が出来るようになった。私もこの身体になって死にづらくなったし、なんだかんだ良くやれていた。私結構死にかけたけど。妖怪になってなきゃ今回含めて41回は死んでたんじゃない?人を見捨てられない己のサガよ。

 

「でも課長、先輩の診断だとあんまこういうのよくないって言われたの事実っすよね?今回のなんて一人死んでも元取れる奴なんですから、ちょっとは民間にも協力要請しましょーよ」

「まーねー。この辺りの土地神様だし、安全に住める様になるなら近隣の村も協力するだろーね。でもさー…死ぬのは辛いだろ」

「幽霊なるんすから大丈夫ですって。もっと生きたいなら『憑き物人形』としても動けるじゃないすか。子供は作れなくてもそれ以外は楽しめるんですから希望者も出るはずっす」

「でーもーだ。一度死なないとそこら辺分かんないだろうけど、アレ…結構辛いんだぞ?」

 

 私なんて前世じゃ飛行機だからね飛行機。勢いよくぶつかる海って地面より硬いぜ?死ぬって死ぬ程痛いぜ?

 

「…確かに課長は『疎開雪女』にゆっくり変わってるから実質死んでるって言えるんでしょーけど…」

「おや言葉の切り口が鋭い。酷いもんだ」

 

 仕事服の巫女服の袖を振り回しながら怒りを表す。…なんか感情の表現が子供っぽくなったのはやっぱ気にした方がいいか?大人として気にしていこうそうしよう。

 

 さて、そんな風に雑談をしていた所だ。

 

 ごぉーん…

 

 久しく聞いてなかった鐘の音が聞こえた。

 

「…課長」

「逃げなさい。私の背の方にだ」

「応援は」

「不要。警戒区域は10キロで1週間。周囲に簡易な建築物すら建てない事。中に人が居れば扉を開けない様にする様伝えなさい。決して敵意を持ってはいけない相手だ」

「…ご武運を、課長」

 

 逃げる部下を背に、対峙する。鐘の音を響かせて、懐かしい姿が現れた。

 違うのは、あの時よりも私の方が余りにも変わってしまったということか。

 

「…まだその姿なのかい?私はとっくに別の姿になったから君もそうだと思ってたよ」

 

「開けて」

 

「残念だが、扉は無い。そして私の臓腑も開け渡すつもりは無い。…ああ、そうか。「雪の皮」を家と見立てたのか。だから出て来れたんだね」

 

「開けて」

 

「残念だけど…私にもこの皮は開けられないんだ。だからまぁ…」

 

 ここが雪の積もった土地で良かった。お陰で戦闘を視野に入れられる。

 

「君が部屋に篭りなさい」

 

 周囲の雪を殺到させて出入り口の無いかまくらを作る。扉を開けるのを中の人に頼るなら密閉空間では出られないのではという実験。

 

「【鐘】」

 

「わおめっちゃ省略で発動できてんじゃん。私でも除夜の鐘まで言わないと無理だったのに」

 

 崩壊。周囲の雪がどこかへと送られた。次、雪を圧縮して氷にし、それをそれを全方向から攻撃する。今は私の姿だから物理攻撃効くんじゃね説の実験。

 

「【鐘】」

 

「無理か」

 

 全部虚空に消えた。我ながらチートである。敵意持つと私ごと消せちゃうのは理不尽だよな本当。今は実験としての好奇心で動く様にしてるから誤魔化せてるけど。

 

「でも消したなら効くのは有りそうじゃん」

 

 次、不意打ち効くかの実験。

 

「事前調査はしてるか知らないけど、私の雪を操る範囲、雲の中にある水分は操作圏内なの」

 

「【鐘】」

 

 分厚い雲が晴れる。見渡す限り快晴の空になった。だが外れだ。私の手は空まで届かない。

 

 地面に積もった雪、その下の、()()()()()()()()()()()()

 

「…音もなく全身串刺し。で、結果は?」

 

 『開けて』の肉体が変質し、頭部が鐘になる。距離がある。止めるには先に雪を使い過ぎて、手が足りなかった。敵意は持ってない。だが、その条件の上で身体を変形させたのなら、使()()()()()()()()

 鐘がなる。出来る事をやっても無理だった。神格以外の対応知らないからやっぱり無理かー。

 

 ごぉーん…

 

 

「そしてまぁ…今に至ると」

 

【はい!!そんなの予想出来る訳ねェだろって裏世界探索ゲェムRTA実況プレイパート1はっじめっるよォォォォオオオ!!!本日特別スペシャルで怪奇の皆さんもご一緒ですので本気でやっていきますよぉ!】

 

「テンション高いなぁおい」

 

「あ、動いたぞ!」「誰なんだこいつ」「さあ、疎開した奴らの違いなんて知らんしなぁ」「何の怪奇だ?この辺に身体固まる奴なんていないだろ」「さぁ?」

 

 何?動画バズりでもした?ようつべか?銀盾なのか?おめでとう!でもRTAなのは有り難い。速く戻ってみんなの無事を確かめたかったからね。

 周囲は人の賑わいで満ちていて、硫黄の香りがする。温泉の匂いだ。そしてコレまでと違って私の周りに人だかりが出来ていて、かつてあった沙五間村の様子が伺えた。

 それだけじゃない。なんか私の巫女服の一部である髪飾りにも鈴とは別に人の眼が2つ追加されていて、肩に乗ったのと合わせたら結構キショい服装になっていた。せめて眼だけでも消せないかなこれ。

 

 それらを無視して、身体が走り出す。気楽なもんだ私からすれば。疲れるけどそれだけでこの災難を安全に乗り切れるんだからな。

 

【…あったなぁこういう感じのゲーム。熊人形のフレディから隠れるピザ屋の奴…今の状況とそっくりだわ…すみませんちょい席を外しました。ではゲェム実況していきますね】

 

 …フレディ?この身体になって耳が良くなったからか、この実況の小声の箇所が聞こえる様になっているようだね。所で何のゲームなんだいそれ。

 私前世はゲームとかドラクエとカービィしか知らないんだけど。後マリパとカー。あ、ニコニ◯は見てるから淫◯は知ってるよ!だからこの実況の人が◯夢知らないのも分かってたよ!なんか途中挟まる語録らしき物は知らない。

 

【今回のステージは沙五間村が襲われる日の前、つまり平和で正常な時の沙五間村となっております。初回プレイだと即死しまくってここから本格的に攻略やゲェムを楽しむ方が多いとおもいます。今回は事前に帰還してステータスを上げたり特定時に使える怪具を回収しておりますので幾つかの情報収集イベを飛ばしてのスタートになります】

 

 事前準備はルール違反にならない?大丈夫?

 

【事前準備?このゲェムランダム要素多くて走る条件変えたランが結構あるからダイジョブダイジョブ…続けましょう。今向かっている行き先は『飴坊様』の住む神社です。昔から怪奇に対する存在として怪対員に類する組織はありましたが、沙五間村の繰り返す時代は神格対応の前身となる神職が運営しています。そこに行き、ちょっと『飴坊様』をかっぱらいます。→殺してでも奪い取る…!】

 

「おや、若いお客さんぐほぉ!」

「ごめんなさいお爺さん!」

 

 え、神格を盗む!?驚きと同時に神社に着くと、神主に向けて蹴りをかまして神社にある神格を封じる依代を奪い、逃走した。

 

【ジャコブはあらゆる呪いに対する対抗手段が無い事に腹を立て盗み出し、逃走する!…う わ あ あ !『火卵』が、ガスに!引火決定ェ!…失礼、ちょっと周囲が火事になってますが続けます。…母さんが護ってるからまだセーフか…このRTAは俺の命より重い…!】

 

 待って火事は逃げた方が良くない?あーでもここで辞められたら私が困る!?これはもう仕方ないね。避難しながらやって下さい!でも母さんってなに?消火器でも持ってきたのか?

 

「いたぞ!アイツが神主蹴り飛ばした盗人だ!」「捕まえろ!!」

 

「ごめんなさいごめんなさいでもどうしようもないんです捕まえてみろよホラ!」

 

「怪具出せ!」「あの女煽りやがった!」

 

 しまった口が滑った。

 何だか向こうも大変になってきてそうだが、こっちも逃走を続けてもらわないと行けなかった。

 

【では続けます。コレで村人と敵対し逃走中になりましたが、この条件で友好的になる相手がいます。まだ裏社会とかに潜む事になってない社会性のある妖怪です】

 

『そこの子!掴まって!』

 

 川の近くまで逃げてると、川の中から皿を乗せたどう見ても河童が出てきた。うっわ初めて見た河童なんて!前世で有名でもこっちじゃてんで話聞かなかったのよね!

 身体は感動している間にも飛び立ち、河童の皿を踏み台にして対岸に渡った。パキンと鳴ったから皿が割れたなこれ。やったわ。

 そして雪よりは操りづらくても出来なくはない水の操作で、河童の持った複数の白い玉や壊れた皿を回収して逃げる。あれ、今私普段より上手く動かしてた?

 

【ジャコブは親切な河童に腹を立てて殺害し、尻子玉と壊れた水満の皿を持って逃走する。まああれで死ぬ様な怪奇では無いです。コレで妖怪とも敵対しましたが…どっちも襲撃の日で纏めて死ぬので問題有りません】

 

「そうだとしても倫理観!」

 

 でもゲームじゃこんなの普通にやってるんだよなぁ私も。そして皿の欠片がずっと水を出して手が濡れるのがキツい…!さっきまで冬の中だったから尚更キツい!

 

 嘆いても嘆いても山。そうしてる内に村奥に進み、最初のバス停から随分と遠い所まで来た。この村、山の斜面に出来てて今までずっと登ってたんだけど、ここはその山の山頂辺りだった。そんな何もない場所で身体は躊躇なく飛び立つ。

 

 突然、地面が消えた。違う、初めから無かったのだろうね。宙を舞い、真っ暗な奈落が見える空間を落ちると、地面が着いた時には暑い洞穴の中だった。…ドラクエであったなぁ、火山の中の洞窟。5と7思い出すわ。

 

【はい、異界ワープ。一見バグじゃ無いかと思いますが仕様です。あの辺りにある『のろいし』の怪奇の仕業ですね。現象は鈍くするだけですが、ここに近くの『繰り言洞』を合わせるとこの様にそこへ行く入り口に変化します。では『繰り言洞』の特性は何なのか】

 

 走り続ける。ランナーズハイに漸くなってきた。…もしかしたら暑いから熱中症になっただけかも知れない。

 

【『同じ言葉や現象、時間を繰り返し、あらゆる物を惑わす。時間を繰り返し、鈍くすると周囲とズレが発生するので、それにより空間が歪む。ワープの原理はそのズレによる物でした』】

 

 声が二重に聞こえる。自分の走る音が二つに増える。視界が分裂する。3秒前、5秒前、7秒前に見た視界が残り続ける。増え続ける。

 呼吸音が増える。さっき走ってる自分を見た。鈍くなってる。思考が遅くなる。止まっていくが、完全に停止しない。処理が終わらない。

 声が二重に聞こえる。声が二重に聞こえる。自分の走る音が二つに増える。自分の走る音が二つに増える。視界が分裂する。視界が分裂する。3秒前、5秒前、7秒前、9秒前、11秒前に見た視界が残り続ける。1秒前、3秒前、5秒前、7秒前、9秒前、11秒前、13秒前、15秒前に見た視界が残り続ける。増え続ける。増え続ける。増え続ける。増え続ける。

 

【『『飴坊様』』】

 

「……はぁッ!」

 

 息が戻った。四肢が4つに戻った。視界が一つの時間だけを映す。思考が正常だ。全ての正常を取り戻した。飴坊が私の肩にいた。手のある方と逆の方にちょこんといた。眼を白帯で隠した、赤い線を入れた飴坊様だった。

 

【その為の右腕。ここに来るには協力を得て『飴坊様』の庇護に入るか、盗むか、しなければゲェムもエラーを吐きます。…けほこほ…だから盗む必要が有ったんですね】

 

「神様すご〜い大好きだわ」

 

 生きた心地がしないって言うのはああ言う事何だろう。気が狂うわあんなん。今も脳が揺さぶられてて辛すぎるって言うのに、身体は皿の欠片を握って手から血を出した。血と水が混ざり、身体に纏わり付いた。血が混ざる事で扱い易くなった。初めて知ったわ血を混ぜると水も扱い易くなるって。

 なんかもう私よりも扱いが上手い。プレイヤーってそういう所あるよね。こっちの一年の努力がボタンぽちぽちで超えられるもの。

 

【雪の皮は『雪女』の力を扱えます。満水の皿は溜めた水を出現させます。壊れたら出っ放しです。コレらを合わせるとこの様に水の無い所でコレほどの水遁を!?が出来ます。これ以上の強化手段もありますが、お手軽さを考えるとコレが多分最つよです。走る時は皆さんもやりましょう】

 

 血の混ざった水の中に尻子玉を浮かべる。すると水に溶けていき、消えてしまった。何か、悲鳴や怒りの声が聞こえる気がした。

 

【尻子玉は元は人の魂です。それが固形化してる訳ですから、持ち主の『河童』の手を離れれば簡単にあの世に消えます。…けほ…ですが満水の皿由来の水ならこうして溶けて水に特異性を付与できます。ここで追いかけてた村人の怪具も回収出来れば更に強化でうま味でしたが、今回はご縁がありませんでしたね】

 

「え、マジ?ごめん尻子玉のみなさま」

 

 手早く行われたそれらの動作を見つつ、命のスープ状態になった尻子玉の方々に謝罪しておいた。さっきの悲鳴とか気のせいじゃ無かったか…。今回、迷惑かけてばっかりだな…しょげるわ。

 

 洞窟を通っていくと、途轍もなく広いクレーター…火山口に出た。上側が開いて空が見えていて、夜空が見える。私が立っている場所は急な崖になっていて、足を滑らしたら高熱に燃やされる事が容易に想像できた。

 身体は水を纏い、蹴り上げると同時に水で身体を押し出して下へと落ちていく。…え、このままだと私死なない?死な安か?死な安であってね?

 

【さて、このゲェム、全力で解析して見たところ現在までに到達していた…ごほん…想定されたエンディングらしきデータが2つありまして、「裏世界丸ごと1950年代に戻すルート」と「世間認知度が一定以上になり沙五間村の怪奇が世間に溢れるルート」のどれかになってます】

 

 到達していた?…リザルトの度にエンディングが待っているタイプのゲーム?変わってるなぁ。

 

【戻す方は本来のルートでしたが、帰還者が一名以上いる場合怪奇が溢れて怪奇災害が起きてどこかの市町村が壊滅するルートに変わるそうです。…母さん死んだの運が悪かったからかよ…なんか霊の通る道が変わって怪奇側が帰還方法を確立するからとかありますが罠過ぎますよね。ですので、今回は新たな結果を…いっ…血が…エンディングに到達するのが目的となります】

 

 え、未来で起きるの?怪奇災害って結構大層な事起きるじゃん。前世の大震災と大津波が同時に来るくらいの扱いだから私も知ってる奴ー。歴史でも5回しか起こってない災害じゃん。

 でもアレ私の特典で一発で終わるよね。怪奇の凶暴化って敵意を怪奇全員が持ってるって事だし。ま、奪われてるんだけど。そういう事ならちょっと本気で取り返す事考えないとな…妖魔課から来た先輩ならやれるか?『疎開雪女』の件も先輩のお陰で助かったし。

 

【このゲェム、一プレイのリザルトでどういう未来になるか考えないと後々首を締める事になります。なので欲張って探索して、死ぬ事が多くなる訳ですが…今走ってるチャートなら安定して強いPCを作った上でフラグ管理も問題なくできるので、ここまでのやり方はちゃーんとチャートに書いておきましょう】

 

 火山口の入り口に着いた。身体を覆う水が凄い勢いで蒸発しているが、重量に逆らって水蒸気が戻ってきて水の一部になる。

 

【尻子玉を入れた特性ですね。霊魂の復帰能力が水に対応されます。痛がってますが我慢してもらいましょう】

 

 死んだ奴らの声、ゲーム音声の方では再現されてるみたいだね。私には聞こえないけど…出来るなら楽にしてあげたいな。

 身体がどこからとも無く雪の皮を16枚取り出した。そしてそのまま、マグマの中へと放り投げる。…え、投げちゃうんですか?

 

『キャーーーー!!!!!』

 

 燃えると同時に、凄まじい程の歓喜の声が響き渡った。硝子が引っ掻かれたみたいな高音だ。

 

「くしゅ!」

 

 くしゃみをする。さっきまでの暑さが消えて、寒気を感じた。

 

【…『そかいせつじょ』は人に殺されました。そしてその中身は何処に廃棄されたのか?答えは単純。相性の悪い場所に封じる。出る為に『繰り言洞』を通る必要があるこの火山口はその点優秀です。実際、襲撃で『繰り言洞』が無くなるまで彼女達は出る事が出来ず、その身を火に焚べるしかありませんでした】

 

 パリ ペリ

 

「…皮が」

 

 私を…俺を一年覆っていた皮が剥がれていく。ぼやけて見えるだけだが、どうやら皮を取り戻した彼女達が剥がしてくれているらしい。よし持ってけこんな厄介な怪具は。

 身体が浮かび上がる。プレイヤーじゃない。『雪女』がここから一緒に連れ出してくれる様だった。…人の恨みで殺されるかなって思ってたけどそうでも無いな優しい奴らだ。

 

「…あれ、背丈が戻ってないな…あれ、あれれ?」

 

 所で…男に戻っても見た目が変わってないのはどういう事だ?人の身に戻ったのに少女の姿なんだけど。ち◯こは戻ってるけど…あれこれま◯こもあるな。…あれ、これ悪化して無いか?性事情がトラック転生してないか?転生に転生を重ねた交通事故(ハードラック)ってないか?

 

【噴火もついでに抑えられますからね。中身に憑かれた疎開組から引き離し、保護するだけで今後一生温泉という利益だけを享受して火山に怯えなくて済む。合理的ですが…人の都合での話で、過去の話です。未来側としては知ったこっちゃ無いので利用し尽くしてやりましょう】

 

「待って?俺は?俺の性別はどっちだ?俺これでも約束の人が居るんだよ?待って?ねぇ」

 

【…こぽ…げほ…失礼、妖怪として帰る手段がコレで消えましたが問題ありません。慎重に何回か利用しようと思ってましたが急にRTAノルマしないといけなくなったので仕方ないね。では…もうちょっとですね】

 

 地響き

 

 轟音

 

「‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬‭─‬」

 

 絶句。…冷気に空を運ばれてる俺の下で、火山が噴火した。

 

【タイマーストップ。では完走した感想ですが、もっと穏便に済ませたかったですし、魅力的な人達も居たのでそちらも伝えたかったので今回の実況は口惜しい結果となりました。今後はもう少しのんびりとやれるゲェムであって欲しいですね。もしあるなら箱庭物とかがいいなって思ってます】

 

 空からでも分かる響く悲鳴、逃げる人々の声、抑えるものが無くなった事で怪奇が活発になっていく。地獄が生まれようとしていた。

 

 だが…

 

 ヒューー…

 

 飛行音。俺の隣を飛行機が通り過ぎた。何かを落とす。大量の爆発音と、その爆発から現れる重装備の軍人が人を殺し回った。

 

「………地獄じゃ無いな…ここは…何処までも続く人の業、その坩堝だ」

 

【では画面に戻りましょう。現在起きているのは襲撃の日の始まりです。おいおいまだ15日分余裕があるだろと思う方もいると思いますが、『のろいし』でのろのろしてたのでそれ以外では爆速で時間が経ってました】

【それで今行った火山の噴火と『雪女』の解放をこの位の再現された時間に行うと、面白い事に】

 

『…There is something wrong with the time. Normalize it.』

(…時間に異常あり。正常化せよ。)

 

【襲撃中のアメリカが裏世界に囚われてると気づくきっかけを得ます。『のろいし』と『繰り言洞』が火山で壊れてその影響が広がったせいですね。ですのでこのエンディングであれば】

 

『Sit!Trapped in another world. Operation canceled. Deal with abnormalities.』

(ッチ!異界に囚われている。作戦中止だ。怪奇に対処しろ。)

 

【この様に、本来殺すだけの裏世界の機構の一部になっていた彼らがこの裏世界を命懸けで対処してくれる訳です。きゃー頼もしい…あー、目が痛い…無いけど痛い…見つけるの本当辛かったわ…そして…考えろ…この方法でなら、裏世界から戻っても普段より操作出来る時間が長いので…】

 

 複数あった戦闘機や爆撃機が列を離れて分散していく。どうやらこの裏世界ともこれでおさらばになりそうだった。

 

『あは!』『ふふ!』

『きゃはは!』『あっちだ!』

 

 笑い声と浮遊感。

 

「【か『わぁ!』‭」

 

 雪を踏む。同時に『開けて』がもう一度鐘を鳴らそうとして、それを『雪女』達が全員で押さえ込んだ。

 

「開けた」

 

「だよねぇ…」

 

 そして、皮が無い事を開けたと見做して、全てが眼に変わり、そこに『雪女』達が雪で全ての視界を塞いだ。すげぇ本物は無から雪出せるんだな。なんで助けてくれてるのか全然分かんないけど何とかなって欲しい。

 

「開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた【鐘】開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた開けた」

 

【【ゲェムブック:裏世界探索記録帳】…何もカセットを挿してる間変形出来ない訳じゃ無いなそういや…後10秒、片をつけるなら余裕だな】

 

 『開けて』が影を膨らませて、抑えきれなかった箇所から眼を出す。まだ手にあった皿の欠片と繋がった水で自分を覆った。衝撃と、皿と水が消えた。情け無いが、自分は動いてない。まだ操作出来ているプレイヤーが身体をそう動かした。

 

 でもダメかぁ…もう一度かなぁ…そう思った時だ。

 

【観察…一定水準まで完了で…お、対処法が自動記載されて…読了…便利だなこりゃ】

 

「『煙巻』。よ、後輩に頼まれたんで来たぞ」

 

 煙を纏って、先輩が現れた。応援は要らないって言ったんだけどなぁ…!俺より良い対応できるってアイツ判断しやがった…でも助かったわ!

 

「手がかり見つけてたら報告しろ」

 

【「先輩!鏡に血で四角を書い】…て下さい!」

 

 口が勝手に動き、途中で切れた操作の続きを挙句に言った。い、と続くなら書いてと言えば間違いは無いと判断した。

 

「取った」

 

「怪具使いじゃねぇからそんな都合よく持ってねぇが…なんで代用だ。」

 

 もう既に『開けて』の姿は今の俺になっていた。先輩は血を流してる俺の手を掴み…いや、その手に再び集まろうとしていた水を掴み、不格好ながら四角に変形させた。俺の血も、何となく四角に集められていた。後で聞いたが、どうやら水を先輩が、尻子玉の霊達が血をそうなる様に動かしてくれたらしい。マジで助かるわ本当。

 

 ざっ しゃん

 

 紙がぶつかって、鈴が鳴る音。『開けて』が真似た俺の持ち物を取り出して、神事を行い始める。

 

「畏、畏。開けられる(のろ)いが申し仕る。我は其方の巫女とならん物。故あって鎮められた荒神たる神格『雨落ち様』に迎えんと願い祀る」

 

 あ、コイツ巫女としてさっき鎮めた神様に仕えて護られようとしてやがる。除夜の鐘も使えないしこのままだと封じられると判断し人生一回分使って今の危機から逃れようとしてやがる!

 

「交渉、人権と戸籍と今後99年の安全を用意するから水とあのよく回る口を凍らせろ。『雪女』」

 

 その一言で水は凍る。『開けて』の口もだ。妖怪が何が欲しいのかすぐ分かるのは元妖魔課の実力と言えた。足を鐘にして鳴らそうとしても、一瞬の差でこっちが早い。

 

 ここに、条件は整えられた。

 

 血の四角、氷の鏡、後まだあるだろうプレイヤーが達成させている条件。どれかは知らないが今の状況のどれかなのは間違いない。

 

 瞬きする。その一瞬前、『開けて』が白けた顔をした気がした。遊びを邪魔された子供の顔だった。

 

 した後は、その姿は無かった。

 

 ばさぼさぼと、と。

 

 変化したのは氷の中の血と、『開けて』が落とした何かだけ。血は赤い血に塗られた木製の立方体に変化して、氷の中にふわふわと浮かんでいる。『ことりばこ』…と。何故かそう頭に浮かんだ。

 

『開けて』

 

 声がする。きっと氷を壊して仕舞えば、箱を開けたくなる様好奇心を利用するのだろう。ちょっと今それを願うのは無理があるわ。

 

「おーい、コイツが落としたやつで見覚えあるやつあるー?」

 

 先輩の声に釣られ、『開けて』が落とした物を見たらすごい見覚えあるやつがある。というか、そればっかりあった。

 

 ガチャポンの入れ物、神さまが転生させてくれる時に引いたガチャの景品。その入れ物が、

 

 ()()8()()

 

「…あー、八戒と掛けて渡してくれた感じ?洒落たことしてくれるじゃん。マジで遊んでただけだったか」

 

『まだあるよ』

 

 隣から、子供が笑いながら言う声がした。…思ったより相当昔から姿形変えて居るタイプの奴だわ。自分ルール、守ってくれてる感じかよ。取り敢えず祀ってみるか?

 

「なんだ、知ってるのか?」

「あー、はい。その内の一つは俺のですわ。今まで取った人の能力とかそんなんです」

「お、相戸成分戻ってんじゃん。皮剥がして貰ったのか」

「見た目そのままですけどね。あ、でもち◯ち◯は戻りましたわ」

「ぷ、クク…マジかよそのツラで?超シュールじゃん」

 

 中身を見て、鐘のストラップがある奴を選んで開ける。ストラップが消えて俺の身体に入ってきた。うん、一年ぶりだね。おかえり。

 

「ま、色々災難だったけど…コレで一件落着…て感じだよね?」

「後片付けが多い案件になったがそうだな。ま、お前は先ずは帰って寝よう。疲れたろ」

「じゃ、お言葉に甘えまして…後頼みます」

 

 ふぅ…何とかなって良かったが…コレからは裏世界に行かない様気を付けなきゃな。壊れた異界とか…流石にプレイヤーでも帰れないだろうしさ。

 

「…ま、後は起きてから考えよ。はー、疲れた!」

 

 


 

 

ゲェム記録

 

2020年4月6日

 疲れた。コレからの攻略プラン全部ぶっ飛ばして強行した。本当なら沙五間村の人達も助けたかったんだけど…流石にね。当面はメガネを取れない代わりに何とかした。

 災害は何とかなった。母さんに聞いたら発生自体はしたが、怪対員が迅速に鎮圧したから…コレまでと違って唯一対応に成功した怪奇災害として歴史に残ると思う。

 暫くは配給生活になると思うけどな。家の窓も結局壊れたままだし。でも、夏までには元通りになるだろう。建築技術は前世よりこっちが勝ってるしな。

 

 次に裏世界に行けば、今度はより過去の方へ行くと思う。沙五間村完全に壊したし、見てわかったけど、アレは幾つもの空間が積み重なって出来てるから、攻略する程過去に積み重なった層とそこに落ちた人に干渉する事になる。

 そのPCになる基準は「俺に縁のある人物や関係者が優先される」。クソだろ。父さんが最初に来るのも納得の基準だわ。ゲェムなのに違いないわざけんなよ。

 

 まとめ

 長くなるから後で書く。

 

4月7日追記

 考察:俺の左手はどうなっている?

→【ゲェムガチャ】が用意した手の代用品。眼の方は母さんが代わりを用意したから別だが、どうやらこの特典は「ゲェムを行うのに支障のある欠落を補う」特性がある様だ。

 

 考察:裏世界は戦争で消えたものの集合体なのか?

→この世界の外側に飛ばされた物全ての集合体だった。戦争だけじゃ無く、この世界で都合の悪いもの全ての集まりだ。その性質上、落ちる人は少ないからPCにするなら過去まで遡る必要がある。過去改変はあくまでも苦肉の策であり、「今現在で裏世界が周知されよく探索される様になればそっちが優先される筈だ」

 

4月8日追記

 考察:戦争が終わったのは65年前だ。

    何で生きている?何で戦争に連れてかれてるのに村に居る?

    位の低い神格なら死んでなきゃおかしい時間だ。

→死んでないのは『繰り言洞』と『のろいし』の影響だった。逆を言えば、今後裏世界を探索するなら「全て終わった状態の物の方が多いだろう」

 

 考察:PCは1人だけで済むのか?

→このゲェム、本質を端的に言うなら「ボンドルド式攻略推奨派」だ。カートリッジ代わりのPCを使って進める想定のシステムをしていた。つまり、人数がいれば使い捨てで進められるシステムがあった。

 

4月9日追記

 考察:このゲェムにデメリットはあるのか?調べよう。

→誠に残念ながらあります。無い方がスッパリ捨てられたが、リザルトや回収した怪具、副産物の過去改変、リスクはあるけど今回母さんや鎌ヶ原がより良い状態になった時点で相応にメリットもある。なにより、本来想定された挙動を見ると「世界の延命がテーマのゲェム」だ。何だよ世界崩壊カウントって。608ターン残ってるらしいけど1ターン1年とか短いわ。

 

 考察:裏世界に行く前の様子から健太さんの方とこちらの時間の進みが違う。だが左手の感覚から向こうも現実だ。原因はなんだ?

→単に裏世界に行った時期が変化しただけだった。後面白い挙動で『のろいし』の遅延が『守護霊』の母さんの延命にもなってた。怪奇次第でゲェムをしている側にも影響があるようだ。

 

4月10日追記

 考察:今回回収した皮が繰り返す中でどうなるか確認する必要がある。

→『雪女』の元に戻った。先生に聞いたが、前に母さんに聞いた時より扱いが良くなっていた。元から怪対員に協力してくれた相手には怪奇相手でも誠実に対応するらしいから、そのお陰もあって話は早く終わったらしい。それはそれとして…コラムの『花神楽組』と『遊戯苑組』の関係が改変前より悪くなってるのは大丈夫か?絶賛血を血で洗う闘争中らしい。

 

 『青空腹様』と『小道地蔵様』を至急調べる必要がある。これを起点にすれば、健太さん側のいる場所と時間がわかる筈だ。

 考察:時間の流れが違うなら、選択肢は2択だ。別世界か、生きる時間が違うか。

→先ずは怪奇について。これも先生に聞いた。『青空腹様』は空を見ると空腹になり腹水になる神様で日本全国規模の相手。『小道地蔵様』は虫にとっての安産の神だった。…よく全国規模の相手に生き残れたな?父さん。

→健太さん…もとい、父さんの今の場所と時間を伝えよう。

 今扉の前でピンポン押してる……出た方がいいか?

 

 


 

 

 ピンポーン

 

「……あー、顔合わせ辛い…」

 

 ノートを閉じて、コラムの間に入れた。少しずつ書いていたが、漸くそれも今日で終わりだ。

 

 ピンポーン

 

 あれから数日経ち、学校に避難しつつもあっと言う間に全部直して自宅に帰ることができた。この世界の建築技術すげぇ…すごいし。

 …過去改変をどの様に利用したか、言った方がいいだろう。

 

 ピンピンポーン

 

 俺はメガネを掛けなければ怪奇や人をより深く見れるんだが、それでゲェム越しに村の人や遠くからから軍人、怪奇の全てを調べ、さらにゲェムのシステムまで全てひっくり返して見渡し、一つの答えをだした。

 これ俺の声が聞こえるんだからそれで怪奇災害が起きるって伝えて、それから裏世界に父さんが落ちたく無いって思わせないとダメだなって。

 

 ピンピピンピンポーン

 

 その結果、沙五間村の裏世界を壊すことに決定。30分以内に壊して伝えて裏世界行きに積極的にしてくる『開けて』から鐘を取り戻す方針にした訳だ。途中対処法を伝えきれなかったのは肝が冷えたが、そこは父さんが補ってくれたから問題ない。

 

 コンコン

「おーい、百葉いるー?」

 

「…うぜー」

 

 そんな訳で元々考えていた沙五間村の人々は救助はできませんでしたとさ。葬式はしたのでそれで許してくれ。こっちも余裕無かったんだよ。

 

 …そろそろ眼を向けるべきか?でも金曜の夕方に来るとか無いだろ。出直せよ。せめて土曜か日曜だよねパパ?

 

「…はーぁ。そろそろ夜だし…家に上げてやるか…」

 

 扉の前に立つ。不思議と始業式の時を思い出した。あの時は『開けて』が居たなぁ…念の為ね?

 

「ところで私の名前は?」

「千歌!丁度良かった。開けてくれないか?」

 

「ボロが出たなぁ!『開けて』じゃんか!」

 

『開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて』

 

 あっぶね。そう都合よく来る訳無かったわ。創作に毒されてたわ今。あっぶね。あれでもう脱出してるのかよ早いなぁオイ。…ちょっと眼が弱ってるな。違い分かんなかった。暫くは本当に注意しないと…。

 

 暫く連呼していき、静かになった。扉前で待機してるのは始業式の時に知ってんだよ誰が開けるか。

 

 ガチャ

 

 更に1時間。ゲェム記録にリザルトを書いていた時、鍵は開いた。丁度終わったので急いで閉じて間に挟んでおく。考察を書いたりするのはまた今度だな。

 

「ただいまー千歌。今日は早めに帰って来たぞー?」

「母さん!おかえり!」

「おー最近甘えん坊だなアンタほれ撫でてやるから離れなって」

「むぅー!」

 

 帰って来た母さんに抱きつく。前世考えたらキモいと思うかもだが、今は小1女子だから問題ない。…熱を感じないと死んでないか不安になっちゃうしな。暫くはこうさせてくれ。

 

「そうだ千歌、お前前に父さんについて聞いてたな」

「…そうだけど、何その前フリ」

「紹介しよう。待ち合わせの駅前で見つけたウロウロしてたヘタレだ」

「百葉待ってよそんな紹介はないじゃ無いもうちょいビシッと決めたかったよ俺」

「そりゃ失礼。お互い裸で寝て手ェ出さないビビり」

「子供の前だよ!?」

 

 あらやだ夫婦漫才が目の前にある。

 母さんの後ろからヒョコっと出て来た15歳くらいの鈴のついた髪留めで纏めた白い髪と肌、青い眼。そして巫女服。…仕事服で来たのかコイツ?スーツ感覚なんだろうけど…マジかよ。前世じゃコスプレだよもう。

 でも皮は剥がれてるから成長出来たんだな、良かった、ちゃんと人に戻ってる。

 

「えっと、あー…その、なんだ?こんな見た目だけど…父さん…だよ?」

「オメェその見た目で言って親と受け入れられる子供何人よ、子供の前だぞオイ」

「だって!どうしようも無かったから!」

 

「えっと、父さん…でいいんですよね?」

 

 取り繕う。流石に自分の子供が転生者なのは言えなかった。元から母さんにも取り繕ってるから同じ対応だ。

 

「えっと、はい。俺が変なお父さんです」

「ばっか!」

 

 母さんが背中を叩く。流石に変なお父さんは無い。

 

「なら、私からも自己紹介を…」

 

 その言葉に親二人は言葉を持つ。ここまでの漫才は、俺に受け入れてもらう為の行為なのは察していた。実際は二人とも、結構緊張してるのが見て取れていた。なら、俺から言えるのはそれを受け入れる事だ。

 

「私の名前は霧晴千歌。好きなものは平穏と母さんと父さん、それから友達のみんな。嫌いなものはだれかの命の危機。小学1年委員長、最近友達が2人出来ました。得意な事はよく見る事と手先の器用さ。苦手なのは身体を動かす事」

 

「これからよろしくお願いしますね?霧晴家の健太父さん!」

 

 俺は笑顔でそう言った。

 

 






霧晴千歌
 ゲェムしてる時は燃えたり腹に穴開けられたり吐血してたりしてた。頑張った。
霧晴百葉
 生きた。見た目が変わっても中身が同じなら気にしない派。
霧晴健太
 生きた。最近神格対応の甲になりました。


『雪女』
 今日もどこかで突然独身の家に上がり込んで妻ですが何か?ってしてる。生きた。
『米軍飛行機』
 怪奇に囚われた米軍の軍隊。漸く沙五間村を壊滅させ、成仏した。
『河童』
 よくいる河童。人の管理をしていた。死んだ。
『旅籠歓楽街』
 元沙五間村。裏世界に囚われてるのは自覚してた。その上で楽しく生きてた。滅んだ。
『一声蛙』
 旅籠歓楽街の住民。裏世界に落ちる前からとっくの昔に成り変わってたし、住民は家の奥に押し込んでた。死んだ。
『蛭沼』
 今日も住民が美味しい。死んだ。
『悪霊の家』
 ありがとう、許すよ。成仏した。

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