怪奇ばかりな日常とゲェム記録   作:何処にでもある

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 仕事がクビになったァ。新しい仕事見つかるまで更新頻度上げてGOーーっ!




日常-協力プレイ

 

 

「それでね、母さんったら女は度胸だってそのまま梅キムチ焼きそば茶漬けをかっこんでね?」

『わーぁ、すごい胆力。それ大丈夫だったの?』

「当然トイレに篭った。父さんと私が2人で作ったんだからって其処までしなくていいのにね?」

『そっか、いいお母さんなんだね』

「当っ然!私が好きな家族だからね!」

 

 以上、幽霊の彼と話した後日の様子である。思ったより会話が上手くて話してて楽しかったよ。後夜を超えるのが大変って言ってたから街灯を使った隠れ方を教えておいた。俺の眼なら怪奇関係なら使い方は大体分かるからな。

 ほら、街灯がチカチカして、突然幽霊が姿を現す奴とかってあるだろ?眼が見えにくくても時間かけて触ればそれくらいなら伝授できる程度には分かる。『地縛霊』でも校門近くまでなら歩けるし、そこに街灯が置かれてるからな。これでより長く生きられるだろう。

 

「思ったより気の合う相手だし、そのくらいなら手助けしても…いいだろ」

「なんか言ったー?霧っち?」

「ん、なんでも。町並み変わったなーって思っただけ」

「確かに!この道も変わったねー!」

 

 あの怒涛の日々を超えて暫く経った時の話だ。

 委員長として頼りにしろ宣言をしても案外頼る必要のある事は起こらないもので、平和な日々を送ることができていた。やっぱあの時の運勢悪かっただけだったんじゃ無いか?

 そんな訳で今日も何も無い平和な日々でしたと日記帳に書かれそうな日を過ごし、帰り道が途中まで同じ橘と2人で帰っている時のこと。

 

「街灯の存在感すごいからねぇ」

 

 怪奇災害をなんとかする過去改変で変わった事はかなりある。母さんの生死や父さんの生死。それに留まらず、日本の行動までもが変わっていた。

 街灯法はその一つだ。改変前はコレから実施していくのが、災害の半月前には鎌ヶ原市は実施が終わってる程度に変わっていた。都市から順にやると、都市近くの鎌ヶ原市は結構早めに施工される。当然の話だが、コレの影響はデカかった。

 

 まず、夜が絶対に死ぬ領域では無くなった。街灯の多い大通りでなら短時間は夜道を歩ける程に改善されたのだ。この成果は大きく、コレまでは夜になると車一つ走らなかったのが『浮遊霊』による運搬を可能にした。

 24時間動ける幽霊をしっかり夜も働かせる様になると、単純に効率は2〜3倍。物流の改善で経済の動きも倍、景気も倍、手紙の動きも倍早くなり、まだまだ危険性が未知数の携帯よりも手紙は対応が確立してる分大々的に人の交流も活性化した。

 

 それだけじゃ無い。まだまだ効果は発揮してないが夜に悪霊や敵対的な怪奇を寄せ付けない光は工事にも影響する。コレによって日本は前世の日本列島改造論に似た動きをしようとしている前兆が俺の世間アンテナにも確認できた。最近母さんと父さん2人とも給料上がったって喜んでたから間違いない。父さん不思議がってたけどボーナスが出てたし。

 

 つまり、今までバブル一つだって起こらずにゆったり上がっていたこの世界の日本の成長期の到来である。戦争で日本に限らず世界規模で前世より発展が遅れてる以上、ここら辺も遅れてきた訳だ。

 

「怪奇に効くって言ってたけど、どうやってるんだろうね?」

「んー、全部には効かないよ。悪い事考えてる相手だけ。()()()()()()()()()()()()()()()んだって」

「はえー…思考が読めるやつだ…!」

「てーれーぱーすーぅ」

「わー!思考を送られてしまうぅ!」

 

 手をわっと広げておどかしてみた。ぎゃわーと言いながらやられた敵役みたいな動きをしてくれる辺りノリが良い。橘のそういうとこ好きだぜ俺。

 敵意に反応って点に【除夜の鐘】を思い出すが、真偽は不明だ。最近父さんがボーナスを貰ってても不明だ。本人は不思議がってたしな。

 …『家守り様』がカバーストーリーだったんじゃ無いかとか、皮だけで中身が裏世界の外に出ない事があるのか?とか、考えてもしょうがないしな。もう、変わる前の事、後の祭りと言うやつだった。

 

「所で橘ちゃん、これなーんだ」

「…?何か持ってるの?」

「コイン。見えないんだね」

 

 頭上にはてなマークを浮かべる橘の前でヒラヒラとかざすそれは、この前のゲェムで手に入れた【ガチャコイン】だ。

 そう、裏世界探索ゲェムを手に入れた時と同…じ…同じだっけ?なんだっけ、そういえばあの時の声は【ゲームコイン】って言ってた気が…どうだったっけ。あれ?…あの時疲れてたし後も色々あったからよく覚えてないな。

 

「………」

「霧っちどうしたの?」

「いや、そういえばこのコイン…何なのかなって」

「見えないし怪奇か怪具じゃ無い?…わ、確かに霧っちの手になんかある!本当に何かあるんだ!」

「あんまり触らないでね?自分でも今になって不気味になってきたから」

「霧っち許して」

「あ、今のダメか。許すよ」

 

 人の物を無断で触るなって事ね。

 

 …まあ、一旦取り敢えず違う物として扱おう。

 他の人に見えるのか、触れるのか試す相手に丁度良いかなって橘に見せてみたが、早まったかもしれない。確定ガチャチケと普通のガチャチケくらいの違いはそりゃガチャならあるしな。

 

「それで、そのコインってどう使うの?」

「…宙にガチャポンのコイン入れに入れる感じで?」

「ガチャポンかー…!面白そう!使っていい?」

「……よーしじゃんけんだ勝った方が使ってみよう」

 

 実際特典が他人に使えるのかの実験は街灯の件で試したかったし、向こうから頼まれるなんて願ったりだ。だけど初めての物を他人に使わせて危険かのチェックするのは抵抗がある。

 と言う訳で折衷案のじゃんけんをすることにした。

 

「「さーいしょは」」

 

 チョキで行こう。前世で見たテレビの統計で一番高い勝率の手…!

 

 

「「『ぐー!』」」

 

 

 !?

 

 

「「『『じゃーんけーん!』』」」

 

 

!?

 

 

「チョキ」「グー!」

『チョキ』『チョキ』

 

『『残念』』

 

 結果は橘の一人勝ちだった。途中参戦の足の長い妖怪と手の長い妖怪はどこかに去っていき、俺は茫然とするしか無かった。

 

「…『手長足長』?…えぇ?」

「やったー!霧っちコイン貰っていい?」

「あー…いい…よ?…今何人でじゃんけんした?」

「2人だけだよ?」

「…眼が良く無いと近くにいても気づかない相手増えるんだなぁ」

 

 そういえば橘の近くに居ても神様見えないな。やっぱりまだ完全に戻ってないなぁ。早く治ってくれ本当。驚いて心臓バクバクだよ今。

 

 ズレた眼鏡を直しつつ、心臓に手を当てて感情の整理がついてない俺を置いて、橘は俺の手からコインを取って宙に入れる動作をする。

 

ガチャン

 

 ガチャは正常に回った。

 

「それで!何が起きいったー!」

「あぁ、橘の額が犠牲に!」

 

 痛がる橘を心配しつつ、地面に落ちた物を拾う。額に当たるのはどのコインだろうと共通してそうだった。

 

「…【かなたらの願い】…ねぇ?」

 

 口元が引き攣るのが自分でも分かった。だって、橘の姉の夏奈ちゃんを想起させる名前とか、因縁があり過ぎる。多々良要素もあるしな。

 落ちて居たのはゲームのディスク。PSPで見たことのあるディスクタイプのゲーム媒体だった。大きさ変えれるから普通のディスクプレーヤーでも使えそうだけど。

 …異世界探索ゲェムと比べて随分と凝ったタイトルだ。其処ら辺のセンス引いた人に寄ったりするのか?例が少なくて困るな。

 

「…で!何が出た!?……なにそれ?」

「…じゃーん。ゲームディスク。…家、これ扱える奴…ある?」

 

 どうやら見えてるようで、触って不思議がっている。どうやら引いた人は見えるらしい。

 これを扱える機器が無いことを願う。多分相当悪趣味なゲェムになる予感がしたからだ。

 

「ある!ウチは結構金持ちだし、テレビ置いて『赤テレビ』に対処する仕事があるから!パパのお仕事なの!だから使えるよ!」

「そっかーぁ…じゃ…やってみよっか」

 

 そういうことになった。ここは協力プレイだな。

 

 そんな訳で神社である。橘の家の反対側にある小屋、木々に隠されている分厚い鉄筋コンクリートで囲まれた壁を、上から木で覆って神社とデザインを合わせた小屋だ。…厳重だなぁ!

 

「ねぇ大丈夫これ。言って何だけど私たち近づいちゃダメじゃ無い?」

「大丈夫!夜に見なければ平気だし、昼間は案外番組もやってるよ?大体は幽霊向けだけどね!」

「わぁ死んだ人向け。万が一死ぬの考えたらそりゃそうだけどやだなぁそれ」

「大丈夫鍵空いてるし、時計とタイマーと砂時計は持ってきたし、時間の注意は払う!」

「今が16時だから…まあ1、2時間ならやっても夜にはならないか」

 

 子供の好奇心はすごい。こんな怪しいゲェムをこんな怪しい小屋の中で平気でやるとは。俺なら怖くて一生封印だね。

 

「取り敢えず鍵と扉は開けっぱなしにして、いつでも出れる様に。霊障で閉じない様にストッパーも忘れずに。電気付けてろうそくを置いて、換気もしておく。外には『人形』が待機していつでも助けられる様に。コレでようやくテレビを安全に見れる…そりゃ流行んないわ」

「ろうそく消えたら直ぐに逃げようね!」

 

 この世界のテレビの広まらない原因に納得しつつテレビの横にある入れ口にディスクを入れる。

 キュルキュルという音、アナログテレビの画面は水晶の反射で映すからか僅かな()()が上から下に走っていた。

 じじじ、と。電子と機械が働く音と読み込む時間が流れる。もう怖い雰囲気が出て居た。

 

「ゲームかぁ…!楽しみだね!」

「…そうなの?」

「うん!ウチ、そういうの禁止だったからさ。ずっと神社で走ったりけんけんしたり、1人で外遊びするの…寂しくて……ごめん!ちょっとしんみり!だから友達と遊ぶの楽しいし、一緒にこうしてゲームするの、ワクワクする!」

「…うん、そっか」

 

 俺は大人の心がある。だからこの世界の幼少期が平気だったが、普通の子供はこっちが普通なんだろう。1人であることの恐怖、悪霊その他にいつも自分の体を狙われる恐怖。きっと、前世よりもトラウマの多い日々を過ごした子供が大半だ。

 だからこそ学校が楽しいし、他の子と遊ぶのが楽しい。きっと今が一番幸せな子は少なく無いんだろう。

 

 それに、橘は姉を失っている。俺が消してしまった。

 

 なら、俺ができるのはその日々を少しでも良い物にする事。楽しい日々の時間で悲しみを薄れさせる事だけだ。

 

「…どうしたの?」

「なんでも。…楽しもうね」

「うん!どんなゲーム何だろうね!」

「…うん、どんなゲェムだろうね」

 

 読み込みが終わる。黒と青で彩られた背景。宇宙をイメージした景色。黄色で描かれたタイトル。

 

「…おお、怪奇だ!」

「あー、コントローラー無かったから出来ないは通じないか…」

 

 でかでかと【かなたらの願い】が出てくると同時にゲームから配線が作られて、コントローラーが2つ現れる。同時に乙女チックで壮大な音楽が流れた。ビットの音でよくこんな曲調の曲を作れる物だと思う。そして豪華さが異世界探索ゲェムと違いすぎた。あっちそんなBGM無かったんだけど?

 

「はじめるにはどうすれば…」

「あー、右端のボタンで…」

 

 それぞれのボタンやスティックの説明をして置く。多分人の命が掛かる感じだろうから、其処は丁寧にしておいた。

 

「…って感じかな。これで分かった?もう一度する?」

「大丈夫!2回聞いたし、後はやって覚えるから!」

「そっか、ならやっていこう。二人で協力プレイ。()()()()()()()()()()()()()

「…?…うん!」

 

 2人で開始のボタンを押す。片方だけでも良かったけど、そこは折角だから合わせておいた。

 

「それじゃあゲームすたーと!」

 

 






霧晴千歌
 初心者をフォローしながらゲェムをすることになった。
橘多々良
 怪奇でも友好的な『人形』に囲まれてるから危機感が薄い。ゲーム楽しみ。

『手長足長』
 子供にちょっかいをかける妖怪。遊びに勝ってる間は安全。

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