皇国の幻想〜青春の物語(ブルーアーカイブ)〜   作:大和ゆか

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第四話 アビドス・日ノ本学園アビドス駐屯部隊・便利屋68vsゲヘナ学園風紀委員会

 事の発端は便利屋68が柴関ラーメンというラーメン屋に訪れたことから始まった。彼女らはここのラーメンを気に入っており、今日も温かいラーメンを食していた。だが、その状態に対してアルは不満を漏らしていた。曰く、アウトローを目指すにあたり今の状況は求めていたものではないと。周りから見ればラーメン食いながら言っているので説得力が皆無で、現にムツキとカヨコが呆れていた。

 

 

「わかりました」

 

 

 だが、ハルカは違った。アルは彼女に理解してくれたと期待するが、実際は想像の斜め上をいく解釈をしていた。

 

 

「つまり、こんなお店は壊しちゃった方がいいってことですね」

 

 

「え?」

 

 

 ハルカは起爆装置を手にして爆破させようとする。急いで他の便利屋メンバーは止めようとするが間に合わなかった。だが、ハルカはスイッチを押さなかった。否、押せなかった。

 

 

 

 

 

ドオォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 ハルカが押す前に柴関ラーメン屋が爆散したのだ。ハルカの様子を見ていたムツキ、カヨコは即座に彼女の仕業ではないとわかり、周囲の警戒をする。しかし、再び同地点で爆発が起きた。よく見ると迫撃砲弾の爆発であり、これをやる者に便利屋68は心当たりがあった。

 

 

 一方、柴関ラーメン屋の爆発はアビドス高校も察知していた。急いで現場に駆けつけるとそこには便利屋68が柴関ラーメン屋の店主を必死で死守している姿があった。

 

 

「アビドスの皆!!店主をお願い!!」

 

 

 一瞬便利屋の仕業と疑ったアビドス一同だが、切羽詰まっている表情を見て彼女らではないと判断、店主の救出にあたった。

 その時だった。

 

 

『何者かが接近してきます!!数多数!!警戒してください!』

 

 

 アヤネのその声と同時にその大軍の姿が露わになる。校章、制服、装備……そのどれを見ても砲撃の犯人を特定することは容易だった。その犯人は便利屋には心当たりがあった。

 

 

「風紀委員会ッ!!」

 

 

 

 

 

 犯人はゲヘナ学園の風紀委員会だった。その行政官アコの話では便利屋68を捕まえるために部隊を派遣したということだった。だが、たった4人で活動している便利屋68を捕まえるためにここまで動員するのは不自然であった。そこをカヨコが言及する。部隊の数を見るに他の勢力との交戦を想定していた。だがアビドスだと5人しかいない。なら、目的は何か。

 

 

「あんたの目的はシャーレ、最初から先生を狙ってやったんでしょ?」

 

 

『ああ、そういえば便利屋にカヨコさんがいることを忘れていました。のんきに話なんてしている場合ではなかったですね』

 

 

 アコのその言葉はカヨコの推測を肯定していると言っても良かった。彼女は指を鳴らす。すると、様々な方向から風紀委員会がアビドスと便利屋68を包囲するように展開した。その規模は大隊規模。複数の中隊に分かれているが合計するとその数になる。

 

 

『風紀委員会、攻撃を開始します。対策委員会と便利屋を制圧して先生の安全を確保してください』

 

 

 アコがそう指示すると、包囲している風紀委員会が一斉に動き出そうとする。だが、ここで横槍が入った。

 聞こえてくるのはある砲弾が飛んでくる音。その音はやがて近づいてきて、風紀委員会のど真ん中に着弾した。敵前で対峙しているイオリやチナツなどの有力者は攻撃を受けていないが、それは時間の問題だった。

 

 

『迫撃砲隊、全滅です!!』

 

 

『第三中隊半壊!!下がって立て直します!!』

 

 

『第四中隊壊滅!!撤退します!』

 

 

 次々と入る損害報告にアコは事態を理解する。風紀委員会を攻撃する者を探すように部隊に命令する。

 その時、ヘリの音が近づいてきた。その独特の音は聞いただけで複数あり、ヘリが複数来ていることがわかる。そしてその音の方向にアビドスは心当たりがあった。

 

 

『あの方向は!?』

 

 

 最初に気付いたのはアヤネだった。それに続いて他のアビドスの生徒も気付く。ホシノがいない中で起きたこの来援はアビドスにとって事態を好転させるものだとアビドス生徒は理解していた。

 

 風紀委員会上空に移動したヘリ数機は一斉に攻撃を開始した。放たれる弾幕は風紀委員を次々にノックアウトさせていく。ヘリを撃ち落とそうと銃を上に向けたりするが、それを察知したヘリや謎の砲撃によって対処する暇もなくやられる。

 

 明らかに訓練された生徒。そう判断した有力者は風紀委員の混乱の中、ヘリについている校章を確認する。そうして気付く。

 

 

「!?あ、あれは日ノ本学園!?どうしてここに!?」

 

 

 チナツが目を見開いて驚き、その声でヘリが日ノ本学園のものだと周りの者も気付く。アコは事態が拡大したこととゲヘナ-アビドス間の問題ではなくなったことに冷や汗をかいていた。

 

 

「“アヤネ、なんで日ノ本学園がいるかわかる?”」

 

 

『はい。日ノ本学園はアビドス砂漠に租借地があり、そこに基地を建てていまs……え?嘘!?』

 

 

「“アヤネ?”」

 

 

『租借地の範囲にギリギリ柴関ラーメン屋が入っています!!つまり、日ノ本学園のこの攻撃は正当性があります!!』

 

 

「“アロナ”」

 

 

『はい、どうやら彼女の言っていることは本当のようです。正式な契約のようですね』

 

 

 一同は突然起きた事態に各自理解しようとしていると、その当事者らがその場にやってきた。日ノ本学園の制服を着て、39式自動小銃を構えて、その背後には39式戦車が照準を風紀委員会に向けている。

 

 

「ゲヘナが何のよう?我が租借地に攻撃をしておいて何か弁明はあるの?」

 

 

 39式戦車のハッチから降りた租借地にある基地の司令官、砂藁(すなわら)サナがアコに向け問いかける。その目は嘘は許さないという気概が感じられた。睨み付けるようなその視線にアコは顔を青ざめる。

 

 

『け、決して日ノ本学園に対して攻撃するような意図はありません。我々は犯罪者を捕まるために攻撃したのです』

 

 

「で?それがどうしたの?いくら犯罪者を捕まえるためだとはいえ、風紀委員会であろう者が通告なしに他の自治区に攻撃するの?」

 

 

『そ、それは…』

 

 

「今回は完全にそっちに非がある。悪いけど殲滅させてもらうわよ。総員、攻撃開始!!」

 

 

 その合図が出た瞬間、ヘリ、戦車、生徒による一斉攻撃が開始された。迫撃砲しかない風紀委員会は火力で圧倒され、また、肝心の迫撃砲は初撃で破壊されているためにアビドス駐屯部隊にとっては烏合の衆同然だった。

 

 

「さて、あなたたちが便利屋ね?私はアビドス駐屯部隊隊長兼基地司令の砂藁サナよ。事態の経緯を伺いたいのだけどよろしいかしら?」

 

 

 サナはそんな風紀委員会を横目に便利屋68に聞く。彼女はだいたい事態を把握しているが本人の口から聞いた方が説得力があるとして聞いていた。そうして語られた経緯は彼女が推測していたのと同じだった。

 

 

「わかった、ありがとう」

 

 

 サナは戦場に向き直る。この頃になると風紀委員会はほぼ壊滅していて、残っているのはアビドス駐屯部隊副隊長の菅原ミツキと戦闘しているイオリとチナツぐらいだった。他の風紀委員も残ってはいるが、アビドス駐屯部隊とアビドス生徒に悉くやられていっていた。

 

 

装填(set)

 

 

 サナが持っているスナイパーライフル『アリジコク』の銃口を弾に神秘を込めながらイオリに向ける。

 

 

「彼女なら大丈夫でしょう」

 

 

 そう呟いたサナは引き金をひく。放たれた弾丸はスコープなしで100メートルはありそうな距離を動き回ってミツキと交戦しているイオリに見事命中した。命中した弾丸は爆発し、周囲の人を巻き込む。その後も何回か爆発して合計で5回爆発して止まった。標的にされたイオリは気絶、爆発に至近距離で巻き込まれたチナツはなんとか意識は保ったがダメージは大きかった。同じく巻き込まれた味方であるはずのミツキは額に青筋を浮かべて、顔を怒りで真っ赤にしてサナに詰め寄った。そんなミツキは無傷だった。

 

 

「おい!なんで巻き込んだ!!私じゃなかったらやられてたぞ!!」

 

 

「だからやったんですよ。どうせ耐えるでしょ?」

 

 

「それでも痛いもんは痛いんだよ!!」

 

 

 ギャーギャーと喚くミツキを軽く遇らいつつ、サナはこちらに急速に近付いてくるある気配を確認する。その気配、神秘の大きさ、現在の状況からその人物を推測するのは容易だった。

 

 

「………これは、どういうこと?」

 

 

 現れたのは風紀委員長の空崎ヒナであった。ヒナの目の下には大きなクマができており、そんな彼女の登場にアコは慌てた。

 この状況の原因はアコが独断でアビドス砂漠に進撃するよう指示したからであり、それをヒナに知られるとどうなるかわからなかった。だが、彼女が来てしまったために大慌てしているのだ。

 

 

「あ、あの、こ、これはですね…」

 

 

「もういい。だいたいわかった」

 

 

 ヒナはアビドス生徒と駐屯部隊、先生に向き合う。アビドス側一同は警戒するが、当のヒナは内心頭を抱えたくなっていた。それはこの後のことを考えた結果であり、風紀委員会の手綱を握れなかったヒナの責任といえる。

 

 

「アビドス自治区及び日ノ本学園に対する攻撃、また民間人を巻き込んでしまったことに対して、ゲヘナ学園風紀委員会を代表して謝罪するわ」

 

 

 ヒナは頭を下げた。それに対して一同は了承すると、ヒナは風紀委員会に撤退指示を出した。気絶から目を覚ましたイオリが便利屋68のことを言うが、ヒナの眼光に怯んで大人しく撤退した。ヒナ自身も撤退しようとしたところで、彼女は先生に近づき何かを呟いた。

 

 

「ヘリ部隊、風紀委員会の監視を。租借地から出るまででいい」

 

 

 サナはその間、部隊に撤退を指示するとともに風紀委員会の監視を命じる。やがて、全員が租借地から出たことを確認すると、ヘリ部隊も駐屯地に収容。この一連の事件はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 ゲヘナ学園ではアコが大量の反省文を書かされていた。ヒナは頭を抱えながらも日々の治安維持に没頭する。風紀委員会はあの事件によって戦力を大幅に削られ、戦力を再編中だ。それの穴埋めをするかのようにヒナは頑張っていた。

 

 

 

 

 

 一方、日ノ本学園アビドス駐屯部隊は突然のユカの来訪に驚きつつも、今回の一連の事件の経緯を報告していた。そんな中でユカは柴関ラーメン屋が潰れたことにショックを受けていた。それは駐屯部隊の面々も同様であり、それだけ愛されているということでもあった。故に、この報告を受けてすぐに柴関ラーメン屋に対する資金援助を決定した。

 

 

 

 




原作と違い、ホシノは黒服と接触しているがヒナと対峙していない。
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