一方、アビドス高校側では苦しい戦いを強いられていた。それはカイザーPMC側の戦力が予想よりも強力だったからだ。ゴリアテやヘリ、戦車など様々な兵器を前にして、アビドス生徒は後退を余儀なくされていた。それでも誰1人脱落者がいないのは、ひとえに先生の指揮のおかげとしか言い様がなかった。
『敵の増援です!!ゴリアテや戦車も見えます!!』
「ヤツら、本気でここを潰すつもりのようだね」
「ん、ここは潰させない」
アビドス高校防衛戦に便利屋68が加わってなんとか戦線を持ち直した一同だが、敵であるカイザーPMCの兵士は全くと言っていいほど数が減っておらず、どんどん奥から湧いてきていた。倒しても倒してもキリがなく、このまま戦えば弾薬切れになってしまうほど状況は緊迫していた。
「“ノノミは敵を薙ぎ払って!!ムツキは敵の中心に爆弾を投げ入れて!!シロコとハルカはそのまま敵を撹乱して!!”」
先生のおかげでまだ戦える。まだ舞える。生徒たちは一心不乱に防衛した。だが、既に背後にはアビドス校舎が見えてきており、敗北が近いのは目に見えていた。
「随分と苦労させてくれたな、シャーレとやら」
そんな時、目の前にカイザーPMC理事が現れた。彼の後ろには護衛と思われる兵士たちがいた。手に持っている銃を構えていつでも撃てるようにしている。
「だが、これで終わりだ。貴様の指揮はだいぶ優秀なようだが、これらを見るがいい!!」
カイザーPMC理事は手を広げて、周りの兵力を指し示す。彼は、アビドス高校は既に包囲されていて勝ち目がないことを突きつけていた。
「先生といえど、これらの兵力には勝てないだろう。既に日ノ本学園とやらの駐屯地も潰しているから、後顧の憂いも断っている。そちらに救援は望めまい。さぁ、降伏するが良い!!」
その言葉はアビドス生徒らの戦意を喪失させるのに充分な言葉だった。便利屋68もアビドス生徒も体力が切れかかっており、これ以上持たないと薄々感じていたのだ。その中での今の言葉は、彼女らの心が折れてもおかしくなかった。仮にここで巻き返しても残るのは膨大な借金だけ。アビドス高校側は絶望感に苛まれていた。
「“ッ!”」
先生も今の状況に為す全てがなかった。先生は、歯を食いしばり、自身に襲いかかってくる無力感に必死に耐える。
『先生……』
アロナも先生のことを心配する。先生は手を力強く握る。そんな時だった。
ババババババババババ
ある独特の音が聞こえた。その音は独特だが、聞いたことのある音だった。そして、その音を聞いたカイザーPMC側は慌てていた。
「おい!!ヤツらは潰したんじゃないのか!?」
「『基地まで到達した』と報告しただけです!!勝手に解釈したのはそちらでしょう!!」
敵を目の前にして味方同士で言い争いを始めてしまう理事。そんな理事を無視して独特の音を発しているものの正体、ヘリコプター『大鷲』10機は容赦なくカイザーPMC側に対地攻撃を始めた。次々と空対地ミサイルやガトリングレールガンから放たれる弾幕を前にカイザーPMC側は為す術がなかった。
ヘリコプターが対地攻撃をしている間、後から着いてきた39式戦車を先頭とした駐屯地部隊はアビドス・便利屋68一同に合流した。
アビドス高校に着いた駐屯地部隊は、39式戦車から隊長のサナが降りた。
「日ノ本学園アビドス駐屯地部隊、アビドス高校救援に参りました!!」
「“ありがとう、助かったよ”」
「いいえ、ご心配なく。私たちは駐屯地が攻撃を受けたために参戦しただけのこと。それにはアビドスとの同盟も口実に入っていますが、主に自衛権の発動を口実にしていることをご理解いただきたい」
サナは真剣な表情でそう言った。さらに続ける。
「それと先程から小鳥遊ホシノさんが見当たらないのですが、彼女はどこに?」
「それが………」
アヤネはこれまでのことを話した。要約すると、ホシノが突如退学届を出して行方不明になったということであった。このことを知ったサナは驚愕で目を見開いた。
何故なら、アビドス高校生徒会メンバーはホシノだけなのだ。対策委員会が連邦生徒会非公認である以上、最後の生徒会メンバーであるホシノがいなくなったのは学校の運営ができなくなるということであり、それはつまりアビドス高校は形だけということになってしまう。
サナは証拠としてホシノの退学届を見せてもらっていた。そこには、しっかりとホシノの字で『小鳥遊ホシノ』と書かれてあり、書類にも退学届と書かれてあった。
(確かに彼女の字ですね……こうなってしまった以上、ホシノさんの退学は確定なのでは?)
サナはジッと退学届を見つめる。ホシノの退学を無効にできるような不備はないか確かめていた。
(不備はなさそうですね。これはどうすることもできないの……ん?これは…)
サナは何かを見つける。その目線の先には退学届の隅に書かれてあったサインを書く枠があった。その枠の上には誰のサインを書く場所かを示されており、そこには『担当顧問』の文字が書かれていた。
担当顧問。今回の場合は『先生』がそれに該当する。つまり、ホシノの退学届が受理されるのには、先生のサインが必要なのだ。それに気付いたサナは先生に視線を向ける。
「先生、ここにサインがありませんけど顧問は先生なのですよね?」
サナのその言葉だけで理解したのだろう。先生は「盲点だった」と言わんばかりに手をポンと叩いた。
「“そういうことか!確かに顧問である私がサインしない限り、この退学届は受理されない!”」
それは少し考えればわかる簡単なことだった。入学するにしても退学するにしても、それが受理されない限りいくら届け出を出しても無効となる。そして、それを判断するのは、本来なら先生が判断する。しかし、ここがキヴォトス故にそのような当然なことが思いつかなった。
「……ということはホシノさんはまだアビドス高校生徒会所属ということになりますね。だったら、アビドス生徒会はまだ存続しており、カイザーPMC側のこの攻撃は正当性がなくなります」
この言葉を聞いていたアヤネは目を見開いて驚いていた。だが、アビドスにまだ希望があることを認識して目に光が戻ってきていた。
敵を見てみると、未だに横から奇襲に慌てふためき混乱していた。それをチャンスだと見た一同は駐屯地部隊と協力し、一気に反撃を開始する。
「“シロコはミサイルを敵中央に!!ノノミは敵前面を薙ぎ払って!!ハルカは敵に突っ込んで撹乱して!!カヨコはハルカの援護!!ムツキはどんどん爆弾を投げ込んで!!アルはパワーローダーの弱点狙って狙撃!!”」
「ヘリ部隊はそのまま対地支援を!!機甲部隊は先生たちの支援を開始して!!」
先生とサナの指揮が戦場を支配する。駐屯部隊が放った砲弾の雨の中を潜り抜けながら、一同は敵を蹂躙していく。辺りにはカイザーPMCの物と思われるゴリアテやパワーローダーなどの残骸が捨てられており、戦いの激しさを物語っていた。
「
サナが呟く。神秘が込められた銃弾がリロードされている銃を構えて、敵が密集しているところ目掛けて引き金をひく。放たれた銃弾は、寸分の狂いなく命中した。
「
サナがそう呟くと、敵に命中した銃弾は突如として爆発する。5回ほど爆発したが、それによって敵に与えた損害は大きかった。
敵中央部に大穴を開けたサナは、そこに向けて自ら突貫する。敵は慌てて銃口をサナに向けるが、時既に遅く、彼女は敵に肉薄していた。
「くたばりなさい!!」
肉薄した彼女は、敵の腹部に至近距離で撃って倒すと、いつのまにか持っていた刀で薙ぎ払った。その後、スナイパーライフルに刀を取り付けて銃剣にしたサナは、先程と同様に敵に肉薄して銃剣で突きを放つ。その突きをくらって敵を倒したことを確認した彼女は、すぐさま次の敵を目掛けて引き金を引く。
サナのこの蹂躙劇には、先生すらも驚愕していた。先生が見たことがある生徒の中で、高い実力があるのはヒナやワカモ、ホシノぐらいだからだ。さらに、サナは部隊の指揮をしながらのために先生が驚くのは無理もない。
「おのれー!!!おのれ、おのれぇー!!」
カイザーPMC理事は自軍の惨状を見てそう叫ぶしかない。そんな理事が乗っていたゴリアテの改良機も反撃に出たアビドス生徒に破壊されており、侵攻計画は完全に失敗していた。
「撤退だ!!」
逃げるように撤退していくカイザーPMC。それを見た駐屯部隊は追撃を開始した。ヘリ部隊が先導して敵をどんどん葬り去り、その対地支援のもと機甲部隊が電撃戦を行う。その際、敵に追いついて殲滅するという追い越し殲滅が各戦線で起こり、カイザーPMC側は混乱に見舞われていた。
「理事!!報告します!!日ノ本学園の奴らが我々の退路に展開しています!!」
「何!?」
さらに、アビドス市街地にいたカイザーPMCの兵士を殲滅し終えたミツキ率いる先遣隊は、別働隊としてカイザーPMC理事率いるアビドス侵攻部隊を包囲するために退路となる場所に布陣していた。これで理事たちは完全に包囲されたことになる。
「「総員、攻撃開始!!」」
偶然にもサナとミツキは同時に攻撃開始命令を出した。その命令に従って、駐屯部隊は攻撃を開始する。
空にはヘリ、地上には戦車や装甲車という逃げ場はない中でのこれらの攻撃は、敵の心を折るには充分過ぎた。次々と降伏する兵士がいる中、唯一、理事だけは頑固に抵抗していた。部下が説得しても聞く耳持たない理事に愛想を尽かしていく者たちまで現れる始末だった。
「完全に降伏するまで攻撃を続けなさい」
「はい!!」
運良く攻撃をくらっていなかった理事だが、それは唐突に訪れた。39式装甲車イ型から放たれた陽電子砲が理事に直撃して、見事融解させたのだ。上半身のほとんどを失った理事は、ピクリとも動くことができないまま倒れた。
意識が完全になくなっている理事にサナは近づく。そして、偶然にも残っていた頭に手を突っ込んだ。そこには理事の全てのデータが入っているチップがあり、それを彼女は取り出した。
「どうします?これがあれば借金帳消しにできますけど?」
サナはチップをアヤネに渡しながら、そう問いかける。アヤネは少し悩んだ後、
「………それはみんなで決めたいです。アビドスは私たちのものですから」
「ふっ」
サナはそんなアヤネを見て、ふっと微笑んだ。
ープロフィールー
名前:ミツキ
フルネーム:菅原ミツキ
レアリティ:星3
役割:STRIKER
ポジション:FRONT
クラス:アタッカー
武器種:SMG
遮蔽物:ー
攻撃タイプ:貫通
防御タイプ:軽装備
学園:日ノ本学園
部活:アビドス高校駐屯部隊
年齢:17歳
誕生日:3月29日
身長:165cm
趣味:映画鑑賞
市街地戦闘力ーS
屋外戦闘力ーA
屋内戦闘力ーS
EXスキル: 砂漠の決闘
COST:2〜4
COST:2
指定した敵1人に攻撃力666%のダメージを与える。
COST:3
指定した扇形の範囲内のランダムな敵5人に攻撃力666%のダメージを与える。
COST4:
指定した扇形の範囲内の敵全員に攻撃力666%のダメージを与える。
ノーマルスキル:
50秒毎に神秘を纏った銃弾が飛んできて、直撃した敵に攻撃力333%をダメージを与える。その後、円形範囲内の敵に攻撃力250%のダメージを与える。
パッシブスキル:
回避率50%増加、命中率50%増加。攻撃速度40%増加。
サブスキル:アビドス駐屯部隊副隊長
防御力60%増加、攻撃速度30%増加、会心値30%増加。
固有武器:Clapper Board
ミツキが愛用している39式短機関銃。カラーは白黒。彼女が映画好きで、その影響なのか映画の撮影で使うカチンコを武器名にしている。