この戦いで戦力の大半を失ったカイザーPMC。さらに理事も失い、基地中大混乱に陥っていた。そんな中、ついにアビドス高校によるホシノ奪還作戦が開始された。
先頭はアビドス高校の生徒とシャーレが務めた。一同はホシノを奪還すると意気込んでいて、士気は高揚していた。まず、正面からカイザーPMCの戦車やパワーローダー、ゴリアテなどが集まった敵を簡単に撃破すると、横から別の敵が襲いかかってきた。だが、その敵に無数の攻撃が突き刺さった。
二番手には『ヒフミ』ならぬ『ファウスト』が、トリニティの迫撃砲を撃ち込みまくっていた。いきなりの砲撃に対応できず、カイザーPMC側はどんどん戦車やゴリアテなどが撃破されていく。その中でアビドス一同はどんどん進んでいった。
その時、アビドス一同の前に巨大なゴリアテが立ち塞がる。理事が使っていた改良機とやらに似ているが、その性能は本物だった。どのような攻撃をしても、全然ダメージが入らない。アビドス一同の進撃が止まろうとした時だった。いきなりゴリアテ改良機が大きく揺らめいた。ゴリアテ改良機は、砂漠という不安定な足場ではバランスを取るのが難しくそのまま横転した。
ゴリアテ改良機が大きく揺らめいた理由は簡単、三番手が攻撃を開始したからだ。
「命中……」
上空で制空権を確保しているヘリから狙撃は、正確にゴリアテ改良機の弱点に命中した。そのヘリには日ノ本学園の校章がペイントされており、駐屯部隊による攻撃だとわかった。
三番手である日ノ本学園アビドス砂漠駐屯部隊は、ヘリや戦車などによる飽和攻撃でカイザーPMCの戦力を次々に蹴散らしていく。
それに紛れて1人、明らかに強い人物がいた。その人物は、その強大な実力をもってカイザーPMCを蹂躙している。
その人物は空崎ヒナ。ゲヘナ学園風紀委員会風紀委員長である。そう、四番手はゲヘナ学園風紀委員会による攻撃だった。ヒナ、アコ、イオリ、チナツを筆頭に横からの奇襲でカイザーPMC側を蹂躙していった。
様々な支援を受けながら、ようやくホシノがいる場所に辿り着いたアビドス一同。そんな彼女の目の前には大きく硬い扉があった。それを爆破して無理矢理中に侵入すると、そこには鎖に縛られたホシノの姿があった。
「みんな、なんで……」
ホシノは目を見開いて、そう言った。心なしが声が震えている。
彼女はアビドスを守るためにカイザーに行った。誰にも言わず、ただ書き置きと退学届だけを残して。だが、ホシノがカイザーPMC基地の密室に閉じ込められると突如としてカイザーPMCがアビドス高校に侵攻した。ホシノは突然、反発した。おかしいと。契約と違うだろうと。しかし、対策委員会は非公認であり、唯一の公認の組織であった生徒会の最後のメンバーであるホシノがいなくなったことでアビドス高校はもはやアビドス高校と成さない、いわば廃校された学校と同じだということをホシノは知らされた。運営権がない学校は、例えるなら政府がない国と同じ。ならば、その国を侵攻しても、どこの国の所属ではないために黙認されてしまう。現在のアビドス高校は、まさしくそれと同じ状況だった。
ホシノは項垂れた。自分を責めた。自分に契約を持ちかけ、今も目の前にいる黒服を睨んだ。それでも状況は変わらなかった。アビドス市街地は無差別に攻撃され、アビドス高校には今までと比較にならないほどの兵力で侵攻された。
このようなことになったのは自分のせい。また大人に騙された自分のせい。
ホシノはとにかく自分を責めた。恐らく、他の対策委員会のメンバーはホシノのことを裏切り者と思っているだろう。実際にはそんなことはないのだが、ホシノはどうしてもそう考えてしまう。
それでも、助けてくれた大人がいた。その人物は、真面目にアビドスのことを悩んでくれていた。
先生と呼ばれたその人物は、とにかく生徒のために頑張っていた。大人として頑張っていた。だからだろうか。アビドス高校を去る時に、後を先生に託したのは。
外が何やら騒がしくなっているが、今のホシノにはそんなの気にする余裕がなかった。ひたすらに自分を責める。
「ん、助けに来た」
しかし、そのような状況に彼女が陥っていた時、扉が突如として爆発した。外から陽の光が入ってきて眩しく感じるが、その影となるように手を差し伸べてきたのは砂狼シロコだった。その後ろには、ノノミ、アヤネ、セリカといったアビドスメンバー、そして、ここまで彼女たちを率いてきた先生がいた。
「ど、どうして……」
「“あなたは私の生徒だから”」
先生が言う。
「“あなたは私の生徒であり、子供でもある。危機に陥った子供を助けるのが、大人である私の役目だから”」
先生は後ろを向いて、対策委員会の方に視線を巡らせる。
「“それに、ホシノには帰ってくるのを待っている仲間がいる”」
「そうですよ〜。1人で抜け駆けなんてさせませんからね〜」
「当たり前よ!!ホシノ先輩は私たちの先輩なんだから!!」
「ホシノ先輩は大事な先輩ですから」
「ん、助けにきた」
アビドスメンバー一同の視線がホシノに向く。それを見て、ホシノはようやく理解した。自分の先輩である
(ユメ先輩、あなたの言っていたこと、ようやく理解できましたよ)
「いつか助けてくれる人がくる」。その言葉は、ホシノの先輩である梔子ユメが言っていた言葉だった。悪い大人の人ばかりではないと信じるユメが、悪い大人しかいないと信じるホシノに言っていたのだ。その言葉は、当時のホシノには届くことなく彼女の記憶の中にあるだけだったが、今回のこの事件によって、ユメが言っていたことが本当のことだったと理解したのだ。
「ホシノ先輩、おかえり」
シロコは微笑みながら、ホシノにそう言う。ホシノは、一瞬目を見開いた後、目を潤ませながら言葉を返す。
「あはは、みんな期待するような目で私を見て……もしかして期待しているのは
ホシノは勿体ぶるかのような感じでそう言った。それに対してセリカが急かすが、ホシノは冷静に
ただいま
日ノ本学園 生徒会室兼ネクロマンス本部
「以上が『アビドス砂漠で起きたカイザーPMCとアビドス高校の大規模な衝突』の詳細です。この事件以降カイザーPMCは縮小傾向に、アビドス高校は変わらず借金返済に努めています」
報告をしているのは、アビドス砂漠駐屯部隊隊長の砂藁サナであった。彼女の目の前には、銀髪で紅い瞳をした、高校生とは思えない低身長の人物がいた。その人物は大和ユカ。日ノ本学園の生徒会会長である。
そんな彼女は、提出された報告書を見ていた。サナは内心ドキドキしながら、詳細を報告した。
「………よし、わかった。これからもよろしく」
「はい!!」
サナは敬礼し、生徒会室から退出した。1人になった生徒会室では、ユカは椅子に背を預けて寛いでいた。片手には緑茶が入っている湯呑みを持っており、高校生とは思えない身長なのに様にさっていた。
「ん?これは?」
ふと、ユカは机に置いてあったあるポスターを見る。そのポスターは、日ノ本学園内で上位に食い込むほどの大企業『チキンボンバー』と『モモフレンズ』のコラボを宣伝するポスターだった。
チキンボンバーは、名前からわかる通り鶏肉を中心に扱っている企業だ。しかし、それだけでなく、様々なところにも事業を展開していて、家電、家具などの暮らしに必要な者を開発、販売したり独自のマスコットキャラを作って、そのグッズを販売したりしていた。
「モモフレンズは人気だからな……これに乗じて先生を招待するのもありか」
ユカは早速、準備に取り掛かるのだった。
次章はイベントストーリーになりそうです。