「あなたの血、吸わせてください!」
ある日、ショッピングに出かけていたら、男の人にそうやって声をかけられた。こんなとき、私はどうしたら良いの? あ、分かったわ。
「警察にお電話させていただいてよろしいですか?」
「あっ……! 違うんです! ごめんなさい! やめて!!!」
男の人は、土下座してまで許しを求めてきたので、私は大人しく電話を引っ込めた。でもスーパーでショッピング中だったので人の目を引く男の人を無視して逃げるようにその場を立ち去った。
「あーっ! 待ってください!」
……追いかけてきた。
「ごめんなさい! 誤解させるようなことを言ってしまいました!」
男は深々と頭を下げる、別に私は怒っている訳じゃないし謝って欲しい訳でもない、変な人を警察に突き出すのが合理的だと思ったのでそうしただけなのに。
「えと、私はジル、吸血鬼です。吸血鬼なので血液を必要なんです!」
「あのもしもし警察ですか?」
「待って! お願いします最後まで話を聞いてもらえれば納得していただけるかと! お慈悲を!」
……私、かなり親切丁寧な対応をしたと思ったんですが。
「私は本当に吸血鬼なんです! それでですね、吸血鬼は血液を主食としてまして、血の合うものから血を頂かないと体を壊してしまいまして……それで、あなたなら血が合うと思ったので、いただけないかと……!」
「もしもし亜人猟友会ですか?」
「ぎゃーごめんなさい! 私は悪い亜人ではないんですぅぅ!!」
……土下座した。この男頭が軽いな……もう一回くらいは許してやろうかな。
「あの……私本当に困ってまして……血を、1000CC、いや100CCでも良いんですけど……いただけませんか……お願いします」
「無理、キモい」
「ヴッ!!! ……で、ですけれども、そこをなんとか……お願いします……」
ふぅむ……どうしようか。
「もし仮に、私の血を分けて上げるとして、大丈夫?」
「へ? 大丈夫とは……?」
「だって私、ゾンビなんだけど」
「……ぇ……?! だって血色すごく良いじゃないですか! 嘘ですって!」
「メイク」
「ぐぉぁぁぁぁぁぁ!!!」
吸血鬼のジル、そのまま走って逃げてった。
あーあ、可哀想、だから警察に電話してあげようと思ったのに、警察に事情話せば血を分けてくれるのに……。
ま、見た目だけで選んだ自分が悪いってことで一つ勉強になったね、吸血鬼君。
そして、翌日。
「おはようございます!」
「あれ、吸血鬼のジル君、奇遇だね」
また同じスーパーでばったり出会った。
「実はこのスーパーでバイト出来るようになったんです! しかも血をくれる人もいて、最高です! これもそれもゾンビさんのおかげ!」
「そんなことないけど、もらえるなら銃弾以外はもらっとくよ」
そのまま帰ろうとしたら引き止められた。なんだろう。
「ゾンビさん! ……その、あなたのハート、ください!」
「ハツ?」
「違いますぅ! えと……お付き合い、してほしいなぁって! その私、あなたに一目ぼれでして……」
こいつ……
「もしもし教会ですか?」
「ぎゃー十字架はホントにダメェ!」
「結婚式一組予約したいんですけど」
「……うぇ?」
この後滅茶苦茶結婚した。