「沙九子あんたうざーい、もう来なくていいよガッコwww」
私はイジメられていた、そしてついに学校から追い出された。
ずぶ濡れのまま校門のところまで歩いてきた、恥ずかしいけどもう帰りたい。
私は亜人、人じゃない人、その中でもサキュバスって嫌われやすい。誰からも好かれるしチヤホヤされるし何よりモテる。だからしょーもない人間から恨みを買っちゃうのよね、アホらしいけど、これが事実。
「あのー大丈夫ッスか? 沙九子さん」
「2組のカボチャくん」
「いや、北瓜ッスよ……真反対じゃないッスか方角」
2組の北瓜、つい最近仲良くなった男子。
「オレ、ジャック・オ・ランタン、なんスよ……覚えてくれないと次間違えたらイタズラするッスよ〜トリックオアトリート〜」
「つまんない」
「うぐぅ! 鉄板ギャグなのに〜」
そう、ジャック・オ・ランタン。いつもメラメラしてるランタン人間。
「ってずぶ濡れじゃないスか! ちょっとオレの炎で乾かして」
「いいよ、別に家近いし」
「沙九子さん風邪引くッスよ〜っ! 待ってくださいッス!」
彼を無視して家に帰った。どうせサキュバスの体質のせいで彼も私が好きなだけだ、嫌われることは絶対ない。
の、筈だった。
「沙九子さんとはもう口聞かないッス」
「えっ……」
翌日、いきなりそう告げられた。廊下の向こうでいじめっ子たちが笑っているのが見えた、そう……なら、仕方ない。
今日は、何を食べても味がしなかった。
「沙九子さんが北瓜さんをイジメましたwww」
翌々日、いじめっ子達が私が北瓜をイジメたと嘘を言って、私の肩身は益々狭くなった。
キリキリと胃が痛くなった。
「なぁ聞いたか? 北瓜が不登校なんだってよ」
ある日北瓜は不登校になった、私のせいだと皆は言う、私は何もしてないと言っても信じてもらえなかった、いじめっ子達がクラスの皆に嘘を吹き込んでいて私の言い分が信用されなくなっていた。次第に私から離れていく皆、サキュバスなのに皆から嫌われた。
私はその日からずっと、白い目で見続けられて、限界が来た。
「屋上って、寒いわね」
風にあたりながら柵に腰掛けた、この世に未練はある、けどもう生きていたくない。
「沙九子さん、風邪引くッスよ」
「カボチャくん」
「だーかーらー北瓜ッス」
不登校の北瓜が屋上に来ていた、別に今から死ぬ私には、その理由は気にならない。
「沙九子さん、戻りましょう」
「嫌よ」
「本当に風邪引くッスよ、どうしても嫌ならオレ温めるッス」
「いらない」
冷たく断った、死んだら関係ないから。
けれど北瓜は……
「ダメっすね、名前を間違えたのでイタズラするッスよ〜」
「……何してんの」
「後ろから抱きしめてるッス」
「離して」
「駄目ッス、オレ死んだ沙九子さんみたくないんで」
「関係ないわよ」
「オレは好きな人には長生きして欲しいッス」
「サキュバスの体質は「本心ッス」……っ」
「オレが休んでたのは、沙九子さんがイジメられてる証拠を集めてたからッス、不登校になったのはあの子たちを油断させる為、それと好きな人を泣かせた自責の念……ッス」
体が、熱くなってきた。きっとランタンのせいだ、けど離れたくない。
「今頃先生達があの子たちを取り調べてる所っスよ、だから沙九子さん、戻りましょう」
全部本当なら、私はもういじめられることはない。だけど……一つ、やらなきゃならないことが出来た。
「ねぇ北瓜」
「ハイっす」
「あなたをくれなきゃイタズラするぞ」
「ハッピーハロウィン、ッス」