我が名はトーノベル。この世の全てを統べる力を持つであろう魔王だ。我が魔王である以上、この魔界の平穏は約束されたようなものだ。ククク……。滾るな。
血と魔力に飢えた獣どもよ。ここは貴様らにとっての楽園だ。存分に力を振るうがいい。
我は魔王城にある最上階の私室から見下ろしている。魔族たちが争い合って力の研鑽をしている。我はそれを見てほくそ笑むのだ。
コンコン。ドアがノックされたようだ。
「入れ」
「失礼致します」
ガチャッとドアが開かれ、側近メイドのアモミールが恭しく礼をとって入室してくる。
「魔王様。お食事のご用意が出来ました」
「そうか。もう昼か。ならばまず、貴様からいただくとしようか」
ニヤリと我が冗談を口にすると、アモミールは「あ、あの……」と顔を赤く染めながら身を捩る。
アモミールは、我が一目置くメイド長。長く艶やかな黒髪、シュッとしたプロポーション。そして、豪胆である女だ。
「ククク……最高の冗談であろう」
「え、あ。冗談、でございますか……」
む?
「そういえばなぜ貴様は顔を赤くしているのだ?」
「あっ!」
アモミールはバッ! と自分の両頬に手を当てる。
「な、何でもございません!」
「ふむ。そうか。ならばいい。食堂に行こう。今日のメインディッシュは何だ?」
「はい。ゴールデンドラゴンのステーキでございます」
「ククク……滾るな」
我の血肉になるのは、レアモンスターのレアステーキか。
「焼き方はミディアムレアの方でございます」
「分かっているではないか」
我の事を理解するメイド……ククク。滾るな。
昼食後、我が書斎で文筆活動を行っていると、扉の外からバタバタと足音がする。
「魔王様! こちらにいらっしゃいましたか!」
何やら慌てた表情でドアをバン! と開ける部下のラトーが我のもとへとやってくる。
「何事だ? 我はメイド小説を書くのに忙しいのだが?」
我が若干の不満を露わにすると、ラトーは、震えながら頭を綺麗に下げた。
「も、申し訳ございません!」
器用な奴だ。ラトーは体中に包帯をしているミイラ男だ。普段は魔王軍幹部の1人として尽力している。
「ですが、魔王様に、早急にお伝えしたいことが!」
「萌え~~な事か?」
「…………」
「なぜ黙る?」
「も、申し訳ございません!」
再び震えながらラトーは上下に頭をかっくんかっくんさせる。器用な奴め。宴会芸に使えるではないか。許そう。
「よい。用件を話せ」
「はっ! 北の方角より、この魔王城に向かってくる膨大な魔力を、見張りがキャッチ致しました!」
「ふむ。……メイドか?」
「それは分かりません!」
「メイド以外ならば迎撃して構わん。まさか味方でこの魔王城を襲撃する愚か者などいないだろうからな」
我は、嗜虐的な笑みを浮かべ、ラトーにそう言い渡す。
「かしこまりました!」
ラトーは、そう返事した後、首尾よくドアを開けて、外へ出て行動を開始した。
萌え~~な感じで書いていきたいと思います。ドキドキです。よろしくお願いします。