魔王城の外はパニクっていた。我は、私室の窓から外の様子を、スパークリングワインが入ったグラスを片手に眺めていた。
「わ~~!」
「敵襲~~! 敵襲~~!」
「なんて膨大な魔力なんだ!」
「一体何者だ!」
「こちらにどんどん向かってくるぞ!」
あちらこちらで騒ぎ出す魔族たち。ラトーは部下たちに冷静に指示を出す。
「うろたえるな! お前たち、一点に固まり、魔力を結集させろ! ここで迎え撃つ!」
「「「「「はっ! ラトー様!」」」」」
ガヤガヤとしている。どうやらすぐには事態の収集はつかなそうだ。ふむ。幹部どもでも手こずる程の魔力値……。いささか興味があるな。
我はスパークリングワインをクピクピしながら、物思いに耽る。
やがて我は座っている豪奢な椅子から立ち上がり、羽織っているマントをバサッとはためかせた。
側に仕えるアモミールが我に問う。
「魔王様。どちらへ?」
「ちょいと散歩にな。メイドメモリーカードを用意しておいてくれ」
「かしこまりました」
恭しく頭を下げるアモミール。話が早いな。
我は、窓を開けてバルコニーに出ると、フワッと浮き上がり、そのまま上空へと飛び立った。ククク……滾るな。どんなメイドメモリーが手に入るか楽しみだ。
「あれね! 魔王城!」
「はい! お姉様!」
息の合った飛行で真っ直ぐ魔王城を目指す2つの影があった。それはそれは膨大な魔力を伴って。
「強行突破で行くわよ!」
「はい!」
長い金髪を靡かせながら、不敵な笑みを浮かべるのはラツン。魔族と人間のハーフ、半魔族の少女だ。
そしてそのラツンにぴったり追従するのは長い銀髪を誇るレツンだ。こちらはニコニコと柔和な笑みを浮かべている。レツンも半魔族の少女だ。
そう、2人はきゃわうぃ~双子だ。見た目がそっくりなので髪の色や性格で見分けをつけるのであーる。服もペアルックであーる。
ラツンとレツンは猛烈なスピードで魔王城へと向かっている。ラツンとレツンにはある目的があった。その目的の達成にはある宝が必要不可欠だった。それを魔王が所持しているという情報を手に入れて今に至る。
「というか、魔界のエリアって初めて来たけど全然大したことないわね! 楽勝じゃない!」
ラツンが勝ち誇るように笑う。
「それはお姉様が強すぎるからですよ~~」
レツンがここぞとばかりにヨイショする。
「そうね! 私に敵うやつなんていないわよね!」
ラツンがさらに調子に乗る。その様子を見てレツンは悶えていた。
ラツンとレツンは膨大な魔力を周囲に撒き散らして、魔族たちを寄せ付けない。
あわや魔族たちの魔力の塊と衝突するかと思いきや――厳かな声が空に響いた。
「メイドサンクチュアリ」
ブオン。夥しい魔力のオーラがラツンとレツンの目の前に広がった。
「な、何よこれ!?」
「お姉様! 別空間にワープされます! 避けれません~~!」
「上等よ!」
ラツンとレツンはワープホールの中へと吸い込まれていった。ワープホールはやがて小さくなり、その場から消える。魔族たちはそれを唖然と見つめていた。
双子ちゃん達登場。可愛いです。次回いよいよ魔王と双子ちゃん達が邂逅します。