「お姉様。魔王さんは嘘はついていないようですよ?」
銀髪の半魔族の少女が首をちょっと傾げながら言う。
「ほう? 分かるのか?」
「はい~~。心の動きで」
コクコクと銀髪の半魔族の少女は頷く。
我は感心した。大したものだ。精神系のあの魔法を使えるとはな。
「はあ? じゃあ何? こいつはパーフェクトオーブをメイドなんちゃらとか言ってるわけ?」
金髪の半魔族の少女が戸惑いの声を上げる。
「メイドエナジーオーブだ」
我がウムと力強く訂正する。大事だからな。
「ちっがうわよ! 何よそれ!」
キャンキャンとよく吠えるな。やれやれ……説明してやるとしよう。
「メイドエナジーオーブは、我のメイドパワーを極限まで引き出せる代物だ」
「メイドパワー?」
「メイドパワーは我が萌~~と感じるものを力に変えたものを言う」
「もえ~~? って何ですか~~?」
「我も上手くは言い表せぬが……我の魂にズキュン! とくるもの、と言えばいいだろうか」
「こいつさっきから何言ってんのよ!」
「ククク……まだメイドの真髄を知らぬか。半魔の双子よ」
「クククじゃないわよ! もういいわ! あんたのお宝全部頂くから!」
金髪の半魔族の少女が腕を振り上げて魔力で作ったサーベルを出現させた。
「ほう? 中々の魔力値だな」
我は素直に褒める。
「あったりまえでしょ! 私が作ったんだから!」
フム。面白い。
「よかろう。少し相手してやる」
我は右手の上にメイドエナジーオーブを出現させる。
「メイドパワーチャージ」
我は厳かに唱えた。メイドエナジーオーブから強烈な光が飛び出す。ククク……滾るな。
「ぐっ……! 中々やるわね」
金髪の半魔族の少女は魔力の値に驚きを隠せない様子だ。当然だ。我は魔王だからな。
「メイドブレード」
我は、萌~~な力宿りし剣をその手に握る。
「何だか桃色な魔力ですね~~」
銀髪の半魔族の少女が不思議そうな顔でそう呟く。ほう? この色を認識できるのか? 萌~~の素質があるな。
「まだ、貴様らの名を聞いてなかったな。許す。名乗るがいい」
我が双子たちに名を尋ねると、金髪の半魔族の少女はキッとしながら言う。
「ったく、えっらそうね! 私はラツン! よく覚えときなさい!」
続くように銀髪の半魔族の少女もペコリと会釈する。
「私はレツンです。どうぞよろしくです~~」
「ラツンとレツンか。……よい名だ」
「行くわよっ!」
カッ! と我とラツンの剣がぶつかり合い、萌~~なバトルが幕を開けた。
我のメイドブレードと互角に渡り合っているラツンのサーベルだが、なるほど、斬れば斬るほど威力が上がっていっている。やるではないか。
「ククク……中々の剣さばきだ。褒めてやろう」
「やかましいわよ! あーもう! 何で当たんないのよっ!」
イライラとした声を上げ、サーベルを振るラツン。ふむ。段々と攻撃が単調になってきたな。
「お姉様! 魔王さんに剣筋読まれてますよ~~! ファイトです~~!」
レツンがラツンに回復魔法をかけながら鼓舞する。姉のサポートに徹する姿か。ククク……よいではないか。
「っせい!」
キィン! と刃と刃のぶつかる音が甲高く響き渡る。ラツンが気勢を上げていた。
「ってい!」
「お姉様! 腕が大振りです!」
「ってや!」
「お姉様! 右斜めから反撃が来ます!」
ふむ。なるほどな。剣を交えて大体把握した。
ラツンが近接型で攻撃役、レツンが遠隔型で支援役といったところか。なかなか連携が取れているではないか。
「ククク……貴様の雑な攻撃を妹がカバーしているとはな。中々出来た妹ではないか」
我が余裕たっぷりにそう言うと、ラツンはキッと目を据える。
「あったりまえでしょ! あの娘に手ぇ出そうとしたら容赦しないわよ!」
「お姉様……!」
ラツンの咆哮に、感銘している様子のレツン。姉を想う妹、妹を想う姉。ククク……滾るな。
「だが、甘い」
「うぐっ!」
我が萌え~~なパワーで剣を水平に一閃する。その力に押されラツンは後退を余儀なくされた。
「お姉様!」
レツンが急いで駆けつける。
「だ、大丈夫よ。あんたは絶対私が守るから……!」
ラツンは、ふらつきながら立ち上がる。
「もう終わりか?」
我が問うと、ラツンがふうと息をつく。
「まだよ。……さすがは魔王ね。やっぱ強いわ。メイドなんちゃらは意味分かんないけど」
「メイドエナジーオーブによりメイドパワーが強化されたメイドブレードのことか?」
我は、メイドブレードをひょいと上に掲げる。
「メイドメイド多いわよ! ……レツン。私が時間稼ぐからあんたは逃げなさい」
「い、嫌です! お姉様を置いて逃げるなんて出来ません!」
「いいから行きなさい!」
「行きません!」
「あーもうあんたって娘は!」
「お姉様~~!」
我は双子のすったもんだを見て、ふうと息をつく。
「貴様らに条件を出そう」
そう、我がわざわざ出っ張った理由がここにある。ククク……萌え~~な理由がな。
魔王VS双子ちゃんたちです。果たして萌~~な条件とは? 次回に続きます。