「どうかお考え直しください! 魔王様!」
ラトーが首をカックンカックンさせながら言う。ヘドバンがしたいのか? ならば音楽を入れた方がいい。
「何をだ?」
「この者どもをメイドにすることをでございます!」
ふむ。
「なぜだ?」
「この者たちの魔力は我々の脅威と成り得ます! 軍を指揮する者として、看過することはできません!」
なるほどな。
「問題ない。我の手許に置くからな」
変なことをしでかさないようにな。
「お言葉ですが魔王様」
アモミールがざっと、前に出る。
「む?」
「この者たちは魔王様の目をすり抜け、私たちを襲う可能性もあるかと存じます」
「ほう? 我の目をかいくぐってか?」
それは確かに困るな。
「はい。魔王様はメイドのことになるとそちらの方にトリップされますので」
ククク……分かっているではないか。
「その点は心配無用だ」
我はニヤリとする。
「と、申されますと?」
「こいつらにはメイドバッジを付けさせる」
「っ! ……左様でございますか。それならば心配は御座いませんね」
アモミールもニヤリとする。萌え~~な共感だな。するとラツンとレツンがきゃいきゃいした。
「ちょ、ちょっと! 私たち置いてけぼりんこなんだけど!」
「お姉様言い方可愛すぎます~~!」
「まあね!」
ラトーがクルッとラツンとレツンに首を向ける。
「静かにしていろ貴様ら! 魔王様のお慈悲で生かされていることを忘れるな!」
「だ、だってこいつ!」
ラツンがあわあわと我を指差す。
「私たちにご、ご、ご奉仕しろとか抜かしやがったのよ!?」
何か問題があるのか? 我は首を傾げる。
「メイドなのだから、当然の務めでしょう」
アモミールがフンスと胸を張る。
「なっ。ななっ……」
ラツンは、そんなバナナみたいな顔をして呆然とする。
「貴様らに拒否権などあると思っているのか!?」
ラトーが首をカックンカックンしながら声を荒らげる。上手い具合に反響しているではないか。
「あるに決まってんでしょ! じゃ、じゃああんた……いつもこいつにしてるってわけ!?」
ずびしっ! と指を我に向けてアモミールに問うラツン。
「何をでしょうか」
「ご、ご、ごごごごごご奉仕よ!」
「もちろんでございます」
「はああああああああああ!?」
叫ぶやつが多いな。レツンはそんなラツンを落ち着かせようと肩に手を置いて、寄り添っていた。
ふむ。中々の萌え~~なメイドメモリーではないか。
我は、アモミールからメイドメモリーカードを受け取る。そして新たなメイドメモリーカードにメイドメモリーをインストールした。ククク……滾るな。
「ほ、本当なわけ?」
ラツンはずっと、顔がフレイム状態だ。今にも火炎魔法が飛び出しそうではないか。
「……あなたは、一体何を〖ご奉仕〗として捉えているのですか」
何かを察した様子のアモミールが、はあ~やれやれだぜ、みたいな顔をしている。ふむ。
「な、な、何って、い、言えるわけないでしょっ!?」
ラツンが泡を食ったように言うと、アモミールはやれやれポーズで応える。
「あなたはちょっくら勘違いをしているようですね」
「か、勘違い?」
ふむ。アモミールは何か勘づいたようだな。我にはサッパリだが。
「いいですか? 魔王様はメイドに対して萌え~~なご奉仕を望まれています」
「それよ!」
ラツンは、声を張り上げる。
「萌え~~なご奉仕ですか?」
「そう、アウトよ、アウト!」
「ですが、魔王様はこうも仰いませんでしたか? 方法は貴様らに任せる、と」
アモミールの言葉にレツンがはっとする。
「もしかして、そーゆーことだけではないということでしょうか~~?」
「その通りです」
レツンの問いかけにアモミールは頷く。
というか貴様らは一体何についてそこまで議論しているのだ? まあ、いいが。
「魔王様!」
ラトーが我の傍らにやってくる。
「どうした?」
「恐れながら、あの者どもをメイドに置かれるということは我々幹部とも接触の機会が多いのではと」
「我の手許に置くのだから、当然であろう」
「そ、そうでございますね。う、ううむ。波乱の予感がする~カックンカックン」
ラトーは急に頭をカックンカックンし始める。日常茶飯事なので特に気にする事でもないかもしれぬが……何度見ても面白い。
「じゃ、じゃあ、私……」
ラツンがあわあわと顔を真っ赤にする。南の海に生息するグランドオクトパスみたいではないか。
アモミールは、小さく頷く。
「はい。あなたの早とちりですね」
「きゃああああああああああ!」
ラツンがその場で叫び声を上げて蹲る。よく叫ぶやつだな。喉は大事だぞ。
「お、お姉様!? 大丈夫ですか~~!!」
レツンはそのままラツンに抱きついている。ふむ。中々萌え~~な光景ではないか。我のメイドメモリーがどんどん更新されていく。良いことだ。
ラツンちゃん可愛いんだから~。ということでまた次回です。ククク……良いことだ。