とある日。我は自室でメイド小冊子を読んでいた。無論手作りだ。メイドに関する我の考えが色々と記されている。
コンコンとドアがノックされた。
「入れ」
我が応じると、ガチャッとドアが開かれ、アモミールが入ってきた。
「失礼致します」
ふむ。我はパタンとメイド小冊子を閉じる。
「どうした?」
「はい。ラツンとレツンについてご報告に上がりました」
「そうか。聞かせるがいい」
「はい。……一通り基本的な萌えワークをお教えしたのですが、今一歩萌え~~には及ばずといったところでございます」
ほう? 何があったのだ?
「どんな感じなのだ?」
「はい。まずラツンの方は……とにかく不器用ですね。あちらこちらで物を壊すわ散らかすわで。何をやっとんねんって感じでございます」
なるほどな。
「レツンの方はどうだ?」
「はい。レツンは中々に萌えワークはテキパキとそつなくこなしていたのですが、いかんせんラツンの事になると周りが見えなくなる傾向がございます」
「つまり?」
「お姉様好きすぎやろこやつって感じでございます」
なるほどな。我は腕を組んで頷く。
「我の見立てでは2人とも中々萌え~光りしていると思うのだが」
「魔王様の仰る通りでございます。が」
アモミールは目をキラリとさせる。
「私のメイドスキャンによると、ステータスはまだまだといったところでございます」
なるほどな。
「分かった。それならば我が出向くとしよう」
「ま、魔王様直々にでございますか!?」
「ああ、我の萌え~魂を叩きつけてやるとしよう」
我がニヤリとすると、アモミールは途端にああ、とふらつきだした。
「ま、魔王様……萌え~素敵でございます」
「それほどでもあるな。我は魔王だからな」
「はい!」
というわけで我は、アモミールと共にラツンとレツンのもとへと向かっていった。ククク……滾るな。
ラツンとレツンはそれぞれ部屋を与えられていた。我はラツンの部屋へと歩を進める。一応ノックしといてやるか。コンコン。
「我だ」
「はっ! 魔王! 一体何の用なのよ!」
「貴様とレツンにレクチャーしてやろうと思ってな」
「レクチャー、ですか~~?」
「む? レツンもいるのか。ならちょうどいい」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
ラツンがキャンキャンと言う。
「何だ?」
「あ、あんた今から私達の寝室に突撃する気?」
「だったらどうした?」
もともと我の部屋だから自由に出入り出来るというものだ。
「だったらどうした? じゃないわよ! あのねえ、年頃のおにゃのこの部屋に入るのはそりゃ~勇気がいることなのよ」
「お姉様、そのメイド服もちょ~お似合いです!」
「あっ、ちょ、そんなこと言ったら」
ふむ。
「入るぞ」
「ほらあああああ! あと10分待ちなさいよ!」
「オープン! どうぞ魔王様」
アモミールがガチャっとドアを開けた。
「ひゃあああああ!」
「ほう? それは、また別のヴィクトリアンだな」
「はい~、クローゼットにあったので試着していました~」
なるほどな。中々に萌え~ではないか。ラツンは何やら恥ずかしそうに我を睨みモジモジとしている。
「どうした? 中々似合っているぞ。もっと堂々と胸を張るがいい」
我がそう言うと、ラツンが尻尾をピーン! と立てた。
「にゃにゃにゃ、にゃに言ってんのよ!?」
噛み過ぎではないか? 仕方ないやつだ。
「似合ってると言った」
我はラツンの目を真っ直ぐ見て言った。
「!」
「はわわ~~」
「はふん。魔王さまん」
ラツンがカアッと頬をフレイム状態に。レツンがそんなラツンの様子を見て身悶える。そしてなぜかアモミールが両手で胸を押さえ、クラリとする。
「~~~~~~キモいわっ!」
ラツンがそう捨て台詞を吐いて、窓から飛んでいった。
「あ、お待ち下さいお姉様~~!」
レツンが慌てて飛んで追いかけていく。
「ふむ。キモい……か」
我は腕組みをしてなるほどと思う。
「アモミール。……ふらついているが大丈夫か?」
アモミールはピトッと我に寄り添っている。
「はい。大丈夫でございます。申し訳ございません。ラツンには後でキツく言っておきます」
アモミールがお任せを顔で我に言ってくる。
「なぜだ?」
「へ?」
「我はラツンを気持ち良くしたのではないのか?」
『キモい』とは気持ち良いの略であろう?
「……素敵です。魔王さまん」
アモミールはさらにまた我にピトッと寄り添ってくる。潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。ククク……中々な萌え~~アクションだな。
魔王、ツインメイドちゃんに萌え~レクチャーだ~。ククク……滾るな。次回もよろしくです。