沈黙と亡霊とカフェイン中毒者   作:パック

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Coffe or Tea?

 

 

 

 テーブル上のサイフォンがこぽぽと小気味のよい音を立てる。出来あがったのはタールのように黒い深煎りの一杯。胃への刺激が強いので、マンハッタンカフェは少しずつ、珈琲を味わいながら飲む。

 

 「……そう、貴方も……うん、私もふざけているようには……見えなかった」

 

 何もない筈の虚空へと目を向けて、カフェは頷いて見せる。その光景は一見不気味にも思われるが、彼女――アグネスタキオンにとってはむしろ興味の対象だった。

 

 「出たねェ、君のイマジナリーフレンド。今日はなんて言っているんだい?」

 

 ぎろりと、カフェはタキオンを睨むが、彼女はそんなことで怯みはしない。

 

 「そう怖い顔しないでおくれよ~カ~フェ」

 

 一見馬鹿にするような口調のようで、タキオンにそんな意図は一切ない。彼女の言動は全て純粋な好奇心によって構成されていることを、カフェは嫌でも知っている。だからこそ、一層タチが悪いことも。

 

 こういった場合、カフェがとる正しい防御行動は無視をすることだ。サイコ研究者をまともに相手していれば、こちらの身が保たなくなる。

 しかし、今日のカフェは普段とは違う対応をとった。

 

 「――タキオンさんは……トレーナーさん達のスカウトを受けたことありますよね?」

 

 おや、とタキオンは小首を傾げる。いつもと違ったカフェの反応、彼女の好奇心が刺激された。

 

 「ふむ、そうだね。さながらキャベツに群がるモルモットのように……面倒なことこの上無かったよ。それで……そんな話題を出すということは、君もスカウトされたのかい?」

 

 カフェがスカウトされることは全く意外ではない。彼女には、最果てに至り得る資質があると、タキオンは半ば確信していた。

 だからこそ、タキオンは是非ともカフェにはまともなトレーナーがついて欲しいと考えていたのだが。

 

 (……果たして、どんなトレーナーが声をかけたのだろうか?)

 少なくとも、話題に出す時点でカフェの興味を引くだけの人物ではあるようだが。

 

 「……いえ、スカウトを受けたわけではないんです」

 

 「ん? 何だそうなのかい? じゃあ……逆スカウトを考えているかな?」

 

 別にそれも特段珍しいことではない。カフェの性格を考えると、少々意外ではあるが。

 

 「そういうわけでも無くてですね……なんというか、スカウトをするという宣言だけされまして……」

 

 「宣言? さっぱり、意味が分からないな……君が返答を遅らせたわけじゃなくて……向こうが日を改めたいと申し出たというわけかい?」

 

 「まぁ……そういうことになりますね。つい衝動的に声をかけてしまったけれど……何の準備もしていないので申し訳ないと……日を改めて、もう一度声をかけさせて欲しいと」

 

 「ふむ、珍しい形ではあるが……有り得なくはないか? かの皇帝シンボリルドルフはスカウトしてきたトレーナーに3日の猶予を与えて、改めてプレゼンをさせたと聞く。君に声をかけたトレーナーも、何かもっと具体的な形で君にメリットを提示しようと考えたのだとすれば……少なくとも、夢見がちな言葉を弄する者よりは誠実だと言えるだろう」

 

 「そうですか……意外ですね。タキオンさんならもっと……なんというか、ボロクソに言うと思っていました」

 

 「ボロクソって……君、私を何だと思っているんだい? 聞いた限りで判断しただけだよ。どんな奴かは合ってもいないし、分からない」

 

 カフェの評価に抗議しつつ、タキオンはデスクにおいたティーカップを手にとった。

 

 「まぁ、私としては君のデータをとるためにも、是非トレーナーと契約して欲しいと思っているがね」

 

 自分が手伝うことも視野には入れているが、やはりカフェには専門のトレーナーが必要だろう。そんなことを考えながら、タキオンは紅茶を口に含んだ。

 

 (――まだ、プランBに移行するつもりはないからね……)

 

 

 

 

 

 

 

 「――――終わった………………」

 

 ベンチに腰掛け、僕は大きなため息をついた。

 思い出すのは昨日のことだ。グラウンドにて出会った黒いウマ娘、マンハッタンカフェ。テンションが上がり過ぎた結果、彼女とのファーストコンタクトに盛大に失敗したのだった。

 

 「完全にドン引きされたし……」

 

 一応、日を改めてスカウトさせて欲しいと願いでたが、アレも当の本人からすれば?マークが浮かんだに違いない。

 

 「いや……でもまだワンチャン……ないか? 頼む、あってくれ」

 

 「あの――大丈夫ですか、結月(ユヅキ)トレーナー?」

 

 自問自答を繰り返す僕に、ふと声が掛かった。目を向ければ、いつのまにか桐生院トレーナーが傍に立っている。

 

 「あぁ、桐生院トレーナー。お疲れ様です」

 

 「えぇ、お疲れ様です。何か悩んでいるようですが……大丈夫ですか? 私で良ければ、是非お話を聞きますが……」

 

 「いえ、お気遣いなく。ただちょっと……是非契約を結びたいと思った子へのアプローチを思いっきり間違いまして……」

 

 「なるほど、そうでしたか……余程その子の走りに惚れ込んだんですね」

 

 「はい。一応……完全に断られたわけではないので……まだ逆転の目はあると信じたいのですが……」

 

 いや本当に、ワンチャンあって下さいお願いです、三女神様! 心の中で僕は祈った。キス・アンド・クライで点数結果を待っているときにも匹敵する心情だ。

 

 「大丈夫ですよ! そこまでの情熱があるなら、その子にもきっと伝わる筈です!」

 

 ぐっと拳を握るポーズをとって、桐生院さんは僕を励ましてくれる。見た目通りに素直で真っすぐな人だ。

 

 「桐生院さんは……もう担当を見つけましたか?」

 

 「いえ、私はまだです。是非担当して欲しいと仰ってくれた子は居ましたが……焦らずじっくり選ぼうと思いまして」

 

 新人トレーナーが逆スカウトされる、という話はあまり聞かない。それだけ桐生院さんが優秀だということだろう。

 

 (いや、そう言えば桐生院ってのは、日本におけるトレーナーの名門だったか?)

 あんまりこの国のそういった事情は詳しくないが、確か同期がそんなことを話していた気がする。

 

 トレーナー業を世襲している家系は珍しくない。そして長く続く家系ほど、トレーナー養成所だけでは学ぶことのできない、極秘のノウハウというものを蓄えているものだ。それ故に、新人トレーナーでも、名門出身ともなれば引く手数多となる。

 

 「まぁ、ともにトゥインクルシリーズを駆け抜ける子を選ぶんですから、慎重にもなりますよね。僕はその慎重さを忘れて……絶賛ピンチに陥っているのですが……」

 

 思い返せば昨日の自分を殴り飛ばしたい衝動にかられる。あいつマジで何をやっているんだろうか。やってることが不審者でしかないじゃないか。いや、自分のことなんだけれど。

 

 「一応その子に提供するトレーニングメニューとかも作ってきたんですけどね」

 

 「えっ、もうですか? それは素晴らしいですね! その……もしよろしければ……みせてもらったりなんか? あ、いやすみません! 大切な情報ですし……バ鹿を言いました。忘れてください」

 

 慌てて桐生院さんは言葉を訂正する。彼女の言う通り、将来的にライバルになり得る相手に、自分の手の内をおいそれと晒すわけにはいかない。だが、何事も交渉しだいである。

 

 「別に構いませんよ」

 

 「えっ……よろしいのですか?」

 

 ぽかんとした表情を浮かべる彼女に、僕は思わず微笑む。

 

 「えぇ、あくまで第一案ですし……どうせ色々と調整することになりますからね。ただ、その代わりに僕の頼みを一つ聞いて下さい」

 

 「頼み……ですか?」

 

 「えぇ、難しいことは言いません。ただ、お互い担当ができたら併走してくれませんか?」

 

 「そんなことで……えぇ、幾らでも!」

 

 元気よく彼女は頷いて見せる。

 少々打算的ではあるが、名門トレーナーの彼女が見出すウマ娘は相応の実力をもった子だろう。練習相手として、未来の自分の担当に良い刺激を与えてくれる筈だ。

 僕はカバンから取り出したトレーニングメニューの書類を彼女へと手渡した。

 

 「これは……なるほど……」

 

 真剣な眼差しで彼女はメニューを見つめる。ページ捲る手は早い。速読ができるタイプのようだ。

 

 「素晴らしいですね……特にこの重心トレーニング……これはもしかして、スケーターだったときの経験を活かして?」

 

 「えぇ、まぁ……あれ? 知ってたんですか?」

 

 「……実は今日人に聞いて知ったばかりです。レース以外にはどうも疎くて……お恥ずかしいです」

 

 「いえ、仕方ないですよ。僕が現役だったのはだいぶ昔ですし……そもそもシニアに移行する前に引退しましたから」

 

 ジュニア期に終わった選手の知名度なんてそんなものだろう。というか、僕としてもそっちの方が有難い。過去は過去、スケーターとしてはちゃんと死んで、その上で僕は今新たに生きているのだから。妙な同情をかうのも避けたかった。

 

 「その……一体どうしてスケートからレースに? あ、答えたくないなら……」

 

 「――()()()()()()()()()からですよ。熱くなってしまったと自覚した以上、ソレに背くわけにはいかなかったんです」

 

 脳裏に浮かぶのは黒い少女の凶悪な笑み。あの日見たレースを、僕は生涯忘れることは無いだろう。

 

 「熱……結月トレーナーは立派ですね。全部、自分で選んでいて……」

 

 ぽつりと、零すように彼女は言った。僕はつい首を傾げる。

 

 「? 桐生院トレーナーも相当に熱中しているように思えますが?」

 

 トレーニングメニューへの飛びつき方といい、相当に熱心なように見えたのだが。

「いえ、私は……」と、何処となく寂しそうな顔で桐生院さんは首を横に振った。

 (……名門故の苦悩、という奴だろうか?)

 まぁ、個人の事情はそれぞれだ。あまり赤の他人である僕が踏み込める領域のものでもない。

 

 「あっ、もうこんな時間!」

 

 ふと、思い出したように桐生院さんは自分の腕時計を確認した。

 

 「すみません、私このあとたづなさんから頼まれた仕事があって……」

 

 「えぇ、構わず行ってください。お時間をとってもらって有難かったです。お互いスカウト頑張りましょう」

 

 「はい! それではまた!」

 

 小走りに去ってゆく桐生院さんを見送った後、僕は特にやることも無いので校内をぶらつくことにした。

 

 

 

 

 担当が居る居ないに関わらず、学園側から割り振られる業務というものも存在するが、新人に振られるソレはそこまで大したものではない。というか、スカウト期間中に仕事漬けになってしまえば、担当を探すどころではなくなってしまうのだ。

 

 だからまぁ、現状僕は割と暇である。この暇な期間を如何に有効活用して、スカウト活動や自身の研鑽に使うか、というのが僕ら新人たちへの課題だといっても過言じゃないだろう。

 

 「……図書館でも行くか」

 

 トレセン学園の書庫は素晴らしい。レース関連の書物は勿論、医大にも負けない程スポーツ医学書が豊富なのだ。

 それらを読みながら、改めて自分の作ったトレーニングメニューを見直すのも悪くないだろう。

 

 (――いや、でもそれだったら、もう一回くらいマンハッタンカフェが走っているところを見たいな)

 

 できれば模擬レースの場が望ましい。それができれば、この汎用的なトレーニングメニューにも調整のしようがある。ただ、一つ懸念すべき点があるとすれば……

 

 (……中央のトレーナーが、彼女の走りを見て何も感じない筈がない)

 

 フランスに留学して学んだ、という経験は一応武器になるだろう。だが、それでも自分が新米トレーナーであることに変わりはない。

 ただでさえ、ファーストコンタクトに成功したとは言い難い状況。他のトレーナーとの争奪戦に正直自信がない。

 

 (とはいえ、こちらの手札があまりないからな……)

 

 前途多難である。そんなことを考えていたからか、僕はきっと眉間に皺をよせていたのだろう。そのせいで、妙な手合いに捕まることになった。

 

 「ややっ! そこの貴方! ズバリ、悩みがありますね!?」

 

 悩みがあるのか、と問われるのは今日で二度目だ。しかも、今度はよりによって生徒である。流石に子供に相談するつもりはない。僕はどうやって流そうかと考えつつ、できるだけにこやかな顔を浮かべて対応する。

 

 「えぇっと……君はたしかマチカネフクキタルさんだったかな? 心配してくれてうれしいけれど、別にそこまで困ってないんだよ」

 

 廊下の一部を陣取って、占いスペースを設けていた橙髪のウマ娘は、僕の言葉に首を傾げた。

 

 「おや、私のことを知っているのですか?」

 

 「勿論、これでもトレーナーだからね。絶賛活躍中の期待のウマ娘の顔を、知らない筈がないじゃないか」

 

 「えへへ、そうですか! 私も有名になったんですね……ふふ、これも私のトレーナーさんとシラオキ様のお蔭です!」

 

 シラオキ様、という独特の響きが気になったが、言及するとそれはそれで面倒なことになりそうだと思い、僕はスルーすることを決めた。だが、彼女はそれを許してはくれなかった。

 

 「おっと、お待ち下さい! まだ貴方を占えてませんよ?」

 

 「占い? 悪いけど僕、あんまり占いの類が好きじゃないんだよね。別の人を探したほうがいいよ」

 

 僕はオカルト否定派というわけではないが、それはそれとして占いが好きではない。というか、占い師や宗教家というものが嫌いだ。脚を故障した僕の前へ現れた、あの胡散臭い連中と来たら……やれそれは前世の因果どうこう、我々の言う通りにすればきっと治るやら……あぁ、思い出せば腹が立ってきた。

 人の不幸につけ込む蛆虫どもめがっ。

 

 「あの……どうかしましたか? 怖いお顔をなされてますが……?」

 

 少し怯えた様子でフクキタルが尋ねる。

 僕としたことが、どうやら顔に出してしまったらしい。

 反省せねば。目の前の少女は、連中と違って純粋に僕を心配してくれただろうに。

 

 「ごめん、なんでもないよ。それじゃあね」

 

 「あぁ、待ってください! お時間は取らせませんので! 是非、占いを!」

 

 「……分かったよ」

 

 何故そんなに占いにこだわるのかは知らないが、彼女を怯えさせた引け目もある。大人として、子供の遊びに付き合う余裕も必要だろう。僕は諦めて折れることにした。

 

 「本当ですか! よーし、精一杯あなたの運勢を占って見せますよー!」

 

 彼女は嬉しそうな顔で卓上の水晶玉に手をかざし、熱心に何か念じ始めた。果たしてその行為に意味があるのだろうか。

 

 「ふんにゃか~、はんにゃか~! 見える、見えますよ! これは……黒い、闇のように漆黒の……珈琲?」

 

 「どういう占いなの? それ?」

 

 「静かに! まだ終わっておりません!」

 

 怒られてしまった。大人しく待っていると、また彼女は妙なことを呟き始める。

 

 「むむ! これは正反対の……しかし、ともに並びたちもする……紅茶」

 

 (――マジで何の占いだ?)

 珈琲と紅茶がラッキーアイテムということだろうか。なんだかお腹がたぷたぷになりそうな組み合わせだ。あと夜寝られなくなりそうでもある。

 

 「――ふうむ、完全に判りましたよ。トレーナーさん、あなたは近いうち、大きな決断に迫られるでしょう」

 

 真剣な顔で、急に何かそれっぽいことを言われた。

 

 「はぁ……で、珈琲と紅茶がラッキーアイテムってこと?」

 

 「いいえ、違います。貴方を悩ませるのは正にソレなのです!」

 

 「……?」

 

 要領がイマイチつかめない。眉を顰める僕に、彼女は言葉を続ける。

 

 「――――珈琲をとるか、紅茶をとるか……貴方が悔いなき決断をすることを私は祈っております」

 

 「えっ――至極どうでもいいんだけど……」

 

 「フンギャロッ!? 何故です? 大切なことですよ!?」

 

 「いやだってどんな大仰なことを言うのかと思えば……珈琲か紅茶かって……大体僕、割と両方飲むし……」

 

 「何とッ!? 二兎を追うと⁉ それはっ……とても険しい道のりになると出ておりますよ?」

 

 「大げさじゃない?」

 

 何というか、随分喧しい娘だ。いや、別にこういう元気な子は嫌いじゃないのだけれど。

 

 「むむ、そうですか……ならば、苦難の道に行く貴方に……道を切り開くラッキーアイテムをお教えしましょう。ズバリ、それは――」

 

 「――フクキタル!! 貴様、また勝手に廊下を陣取りよって! 苦情が来ていたぞ!!」

 

 廊下に怒声が響き渡る。びくりと肩を震わせたフクキタルは、突然現れたその声の主を認めて、さっと顔を青ざめさせた。

 

 「フンぎゃろッ! エ、エアグルーヴさん⁉ いえ、これは……違うんです!」

 

 エアグルーヴ、ティアラ路線の実力者であり、『女帝』とも評されるウマ娘だ。確か、生徒会に所属しているのだったか。

 彼女は目を吊り上げて、既に戦意喪失しているフクキタルに詰め寄った。

 

 「何が違うというのだ、たわけっ! お前の胡散臭い占い自体にも苦情があったぞ! 誰かれ構わず強引に占うのを止めろ」

 

 「そんな、強引だなんて……私はただシラオキ様の素晴らしいお告げを皆さまに広げているだけでして……」

 

 「それが胡散臭いといっているのだ! 全く貴様という奴は……ん?」

 

 怒りで周りが見えなくなるタチなのだろうか。ようやく彼女は僕の存在に気付いたようだった。胡乱げな目で、彼女は僕をじろりと見渡す。

 

 「貴様は……見ない顔だが新人か? 悪いことは言わん、こいつの占いはアテにするな」

 

 「いやまぁ、別にあてにはしてないから。成り行きで付き合うことになっただけで……」

 

 「そんな! 酷いです!」

 

 涙目で縋るようにフクキタルが僕を見るが、流石に庇いだてする義理まではない。というか、無許可で廊下を陣取っていたのか。何が彼女をそこまで突き動かすのだろう。

 

 「それじゃあ、忙しそうだし僕は今度こそ行くね。これあげるから、まぁ元気だしてよ」

 

 とりあえず占っては貰ったので、お駄賃代わりに僕はポケットからミントキャンディを幾つか取り出して、卓上に置いた。

 触らぬ神に祟りなし、僕はここから早く立ち去ることにしよう。

 

 「あっ、お待ちを! ラッキーアイテムは()()です! ()()を選べば、珈琲と紅茶を両方ものにできるかもしれないと占いに出ております!」

 

 「……本当にどういう占いなの? それ……」

 

 エアグルーヴに首根っこを掴まれ、連行されるフクキタルを見送りながら、僕は封をきったミントキャンディを口に放り込んだ。

 

 




 
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