ウルトラマン外伝-アマツビト-   作:タソガレン

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第4話 -忍び寄る侵入者-

 SSSSPアオナ台支部に突然訪問してきた芽平、彼女の目的とは一体…

 

御珠「宇宙人の秘密基地探し?」

 

芽平「そう、1週間前J-ASのレーダー衛星に未確認飛来物の反応をキャッチした。反応は一瞬のものではあったが、おそらく大気圏を突破して地球に侵入したと思われる」

 

本間「お、おおぉまるでOuter Limitsの世界ですな!…しかして、それは本当にUFOなのでしょうか?」

 

『Outer Limits』

 かつて日本でも『ウルトラゾーン』の名で放送されていたアメリカのミステリードラマ。特務機関や民間人が宇宙人の起こす怪事件に挑むという、護国作戦群の活動とよく似たストーリー展開をしている。

 

芽平「いかにも、これを見たまえ」

 

芽平が差し出した1枚の写真…。衛星が撮影したもののようで、明らかに円盤状の構造物が見てとれる…

 

本間「す、すごい…!まさしく…アダムスキー型の円盤…!!」

 

芽平「いかにも。それに事前調査で、その円盤が我らが首都東京に飛来した可能性が高いところまでは見当がついたのだが…」

 

取手「だが…?」

 

芽平「相手もそれなりに警戒心が強いようでね、透明化でもしているのか特殊な電波で人々の神経に訴えかけ、無意識に遠ざけるように仕向けているのか…その拠点の在り処、種族、目的は尚も謎のままだ。そこで…」

 

芽平がメンバーの人数分用意したのは、腕時計型の特殊な器具で…

 

井村「なんこれ?G-SHOCK?」

 

本間「これはまたSFチックなアイテム…!」

 

芽平「これは特殊生体反応探知機。地球人を含めた地球上の環境に適応した生物には一切反応せず…それ以外…すなわち地球外のアルゴリズムで活動している有機生命体の生体反応のみをキャッチする優れものだ」

 

本間「なるほど!これ1つで宇宙人と人の見分けがつくわけですか!!」

 

取手「さすが芽平さんです!すごいですぅ!!」

 

井村「…?」

 

黒川「は、はぇ〜すごいんですねぇ…」

 

 早口で説明する芽平に、1人で納得している本間ととにかく芽平を讃える取手。そして何も理解していない様子の他4名…

 

 

芽平「ま、早い話宇宙人探知機というわけだ。」

 

御珠「でも…一般人の僕らが宇宙人捜索なんて危険なんじゃ…」

 

芽平「それについては安心してくれたまえ。君たちはそれを付けて、普通に街を遊び歩いてくれればいい」

 

井村「え!それだけでいいんすか?めっちゃラッキーじゃん!」

 

芽平「彼らは私たちのような特務機関を警戒して尻尾を出さない。そこで…君たち一般の学生であるSSSSPに白羽の矢が立ったわけだよ。」

 

 芽平が立てた作戦プランは彼らにとっても負担の少ないものだった。宇宙人探知機は一定範囲内に宇宙人が通るとモニターにその動きが赤い点として表示されるため、放課後にメンバー2名1組で都内を散策、宇宙人の反応があれば随時J-ASに報告し、報告が多い地点をピックアップし捜索範囲を狭めていく…。

 

職員「それでは、お気を付けて」

 

井村「はいはーい!」

 

黒川「行ってきますね~」

 

 メンバーはJ-AS職員に所定の場所に降ろされ…

 

本間「…おぉ!…反応があったぞ取手くん…!」ヒソヒソ

 

取手「芽平さんに報告っすね…!」ヒソヒソ

 

 一定時間街を歩き反応があれば報告。これを数日繰り返し…

 

芽平「小川橋団地…か」

 

職員「はい、一時期は飛び降りなんかも多くて、一部からは心霊スポットみたいに扱われていた古い団地ですね」

 

 小川橋団地。昭和も後半に差し掛かった高度経済成長期、都心への移住需要が一気に高まり乱立した大型団地の1つ。

13階建てかつ当時としてはモダンで未来的な建屋と、付近に商業施設が点在している利便性で人気を博したものの…その特殊な造りから日当たりが悪く評判は次第に下がっていった。

 今となっては心霊スポット扱いされたり、それこそ宇宙人の基地なのだという眉唾な噂の対象となっている…。

 

 これが最後の探索、20平方キロメートルにも及ぶ団地内から宇宙人の住処を絞るため、御珠、緋真ペアが抜擢されたのであった。

 

御珠「…こんなところに宇宙人の拠点なんてあるのかな?」

 

緋真「でもデータだとここが一番多いんでしょ?行こ?」

 

 と、団地の敷地内…建屋が並ぶ通路へと入っていく2人。道沿いにはちょっとした商店や公園が並んでおり、さびれていると言われつつも入居者や付近の子どもたちのワーキャーと活気ある遊び声も聞こえていて、のどかな雰囲気が辺りを包んでいる。

一見、2人は帰宅中の学生カップルにでも見えるだろう。

 

緋真「え…ヤバ、いた。」

 

 そんな日常を引き裂くように緋真が息を呑み、短く呟いた。探知機には赤い点の表示が1つ、チカチカとその存在を示している。

 

御珠「…!!」

 

途端、御珠は全身の毛が逆立つような悪寒に襲われた。タブラと遭遇したときと同じ感覚…辺りからは、人の声が消えた。

 

緋真「な、何…?」

 

 いつの間にやら、2人は住人たちと思われる人々に包囲されていた。老若男女。小学生や主婦、スーツ姿のサラリーマン、老夫婦まで…まるで機械のように正確に何重にも円を組むように2人を取り囲みまっすぐ人差し指を突き出してジリジリと円を狭めていく。

その目はまるで夜の狼のように瞳孔が開きらんらんとした黄色い瞳をしていて、眠たげというか、魂を奪われたかのような…感情の一切が読み取れない不気味な様相を見せていた。探知機は赤い点で満たされている。

 

サラリーマン「やぁやア、君タチはマだなんだネ!サあ行こウ,いイとコに連れてツてあげよウ!?」

 

緋真「な、なんなんですか!?ちょっ…どいて!」

 

御珠「やめてください!道を開けて!!」

 

 円の一番内側、2人の正面に立つサラリーマンが口を開く。日本語覚えたての外国人…否、まるで翻訳した言葉を意味も知らずに読み上げているような異様なイントネーションでそう言うと、2人を人の円で囲ったまま、ぞろぞろと何処かへ連れ去ってしまう。

 

ーーーーー

 

 

 その頃…護国作戦群司令室にて

 

芽平「申し訳ありません、私の判断ミスです。」

 

蓮乗院「そらしゃあない。気になるのんは2人の安否と、連中の素性や」

 

 御珠たちの反応がJ-AS側でもキャッチ出来なくなり、芽平は状況報告にやってきた。相変わらずのミステリアスな微笑を崩すことはなく、誠意があるのか無いのか…蓮乗院に謝罪する。

 

芽平「おそらくですが…彼らは…」

 

 

 場面は戻って小川団地、2人は住人たちによって居室の一室に閉じ込められてしまっていた。

 

緋真「ちょっと!開けなさいってば…!!」

 

 ドアを叩くが反応はない。理屈は分からないが、御珠は第六感で理解していた。この部屋は未知のエネルギー波によって、世界から孤立したような状態になっている…。そんな2人の背後から…

 

「…君たちも捕まったのか」

 

 

 突然声をかけられて驚く2人。

そこには、同様にこの事態に巻き込まれた様子の大学生程の青年が座り込んでいて…

 

御珠「…!あなたも…?」

 

青年「…あぁ、実家を出てここで暮らしてる兄と連絡が取れなくなって…来てみたらこんな目に…。あいつらは宇宙人だ…あいつらから話を聞かされた時はゾッとしたよ…」

 

緋真「話…?」

 

青年「…あいつらは自分たちの目的を俺に話した…恐ろしい奴らだよ…知らないなら…聞いて覚悟をしておいたほうがいいよ…あいつらの名前は…」

 

ーーーーー

 

蓮乗院「バルタン星人?」

 

芽平「ええ。かつて地球より遥かに進んだ科学技術で名を馳せた、文明型宇宙人です。」

 

蓮乗院「そないな奴らがなんでド田舎の地球に?」

 

芽平「彼らの母星、バルタン星はとうの昔に滅びました。彼らの進みすぎた科学力は土壌、大気を蝕み、生命の暮らせない星と化したのです。」 

 

蓮乗院「そんなら、連中の目的は…」

 

芽平「十中八九…移住でしょうね。彼らは散り散りになり、宇宙全域で自分たちの住める星を探していると聞きます。」

 

蓮乗院「ほーん…?争いの意思は無さそなんか。そうやとして…共存の可能性どうなん?仲良うやってけそなん?"アンタら"目線の意見が聞きたいわ」

 

芽平「そうですねぇ…彼らの倫理観や哲学的観点から考えれば……

 

論外、ですね。」

 

 

ーーーーー

 

御珠「…全にして個…」

 

緋真「個にして…全?」

 

青年「彼らはそう言っていた…。彼らは種族全員が共通の思考を持ち、共通のの意思のもとに動いてる。個性や他者、という概念が存在してないんだ…」

 

緋真「そんな人たちが地球に移住…?難しくないですか…」

 

青年「僕もそう考えていた…だが、彼らはこれに対する明確な答えを持っていた。郷に行っては郷に従え、そんな言葉を覚え、彼らはこう例えた…」

 

御珠「…!」

 

緋真「ウソ…っ!」

 

青年「そこを郷にすればいい…人類が皆バルタンになればいいと…!僕はもう…半分バルタンなのさ…!」

 

 

 恐怖や不安からかずっと俯いていた青年…。突然顔を上げるとその目は黄色く濁り、体育座りの姿勢で隠されていた両の手は不気味な金属質のハサミのようになっていて…

 

青年「フッフッフッフッフッ…」

 

住人たち『フッフッフッフッフッフッ…』

 

御珠「囲まれた…!」

 

 ドアが開き、先ほどの住人たちがなだれ込んできて2人は囲まれてしまう。

 

青年「バルタンになろう…」

 

住人たち『さぁ…共にバルタンになろう…』

 

 御珠はポケットに手を入れ勾玉を手にする。しかし緋真の目の前で変身することを躊躇していた…。もし正体がバレたら、自分が人間ではないと知られたら…色んな思いが、御珠を焦らせ、思考をかき乱す。しかし…

 

青年「ぅ!…」

 

住人たち『…っ』

 

御珠「え?…」

 

緋真「なんなの…!?」

 

 ドサドサと倒れ込む人々。彼らを避けるように室内に入ってくる人影が…

 

芽平「やぁ申し訳ない。怖い思いをさせただろう?」

 

緋真「芽平さん…!」

 

御珠「でもどうしてこの人たちは…」

 

芽平「特定の身体機能を持つ者にだけ作用する催眠音波装置を使ったのさ、最もこの程度の作用では…」

 

 芽平が作戦群の特務兵装、セレクターショットを手に振り向く

 

芽平「完全な肉体のバルタンには通用しないようだがね」

 

バルタン「フォッフォッフォッフォッフォッ…」

 

緋真「これが…」

 

御珠「バルタン星人…!!」

 

 笑い声ともとれる不気味な音を発しながら、3人に迫るバルタン

 

芽平「荒事は苦手分野だがこれも仕事なものでね、君たちは先に逃げるんだ、外でJ-ASが待機している。」 

 

御珠「でも…!」

 

芽平「大丈夫、むしろ私も2人を庇いながらどれだけの時間を稼げるか分からない。急ぐんだ…」

 

御珠「…っ!」

 

 意を決した御珠が無意識か緋真の手を引いて駆け出した。

 

 

バルタン「キルテ・カル・ケレテッタ!!」

 

芽平「はぁ…コレ・キールレキッテ・カルコレート…?」

 

 芽平は流暢な宇宙語を話して見せる。なぜ地球の言葉を理解しているバルタン星人が宇宙語で話したのか、そしてその会話の意味はまだ、分からない…。

 

一方建屋を出た御珠と緋真だったが…

 

御珠「!…な、なんで…!」

 

緋真「…皆…固まってる…!?」

 

建屋の外で待機していたJ-AS職員たちが、皆身構えたかのような姿勢で静止している。 

 

御珠「!…久遠さん危ない!!」

 

緋真「…え?…………」

 

御珠「久遠さん…?久遠さん!!」

 

 2人の前にバルタン星人が現れ、不気味な怪光線を放つ。狙われていた緋真とそれを庇った御珠…2人ともその光を浴びたはずだが、静止したのは緋真1人で…

 

バルタン「何故ダ、何故細胞停止光線ガ効カナイ。」

 

御珠「そんなこと知るか!…久遠さんを元に戻せ!!」

 

冷静に状況を疑問視するバルタン星人に対して、御珠は怒り心頭。もう周りの目を気にする必要もなく、アマツヒの勾玉を取り出した。

 

バルタン「…!!…ソレハ…プラズマスパーク点火装置…!?ス、スペシウム…!!」

 

勾玉から出る光を見て慌てるバルタン星人は突如巨大化し、飛び去っていく

 

御珠「まて!!」

 

アマツビト「シェァ!!」

 

 御珠もウルトラマンに変身し、飛び去るバルタン星人を追う。東京の夜空をバックに二体は掴み合い、お互いを蹴りやチョップで牽制しつつ互いに隙を伺っていたが、ついに背後を取ったウルトラマンによって姿勢を崩されたバルタン星人が工場地帯に墜落…2体の地上戦が始まる…。

互いに距離を取り、間合いを計る2体…

 

バルタン星人「…我々ノ種族ガ…オ前タチニ対抗スベク編ミダシダ姿…見セテヤロウ…ウルトラマン!!」

 

アマツビト「…!」

 

バルタン「フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ…!!!」

 

 バルタン星人は形態を変化させていく。耳のような頭部の器官は鋭利に尖り、目は吊り上がり、両手のハサミは鋭くナイフのように狭く鋭く変容して、その間からは人体のような5本の 指が現れる…。

戦闘体と呼ばれる格闘特化の形態に変化したバルタン星人は、ウルトラマンに向け突進、怯んだウルトラマンの腕を掴んで巴投げ。

受け身を取れず悶えるウルトラマンを蹴りつけ、起き上がる隙を与えない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

アマツビト「グァッ!!デュァァ!!」

 

バルタン「フォッフォッフォッフォッ…」

 

キコンキコンキコンキコン…

 

 さらにその人型の掌から放たれた熱光線、バルタンファイヤーを浴びせかけウルトラマンを苦しめる。ついにはウルトラマンの胸の勾玉が鳴動し始めたその時…

 

バルタン「フォッ…!?…」

 

芽平「今だ…!君の光線は奴に有効なのだよウルトラマン…!!」

 

 激しい音波がバルタン星人を襲い、動きを鈍らせる。

芽平が例の催眠音波を半人間状態では死んでしまうレベルの最高出力で放ち足止めをしていたのだ。

 

アマツビト「シャッ!!」

 

 すかさず立ち上がったウルトラマンはバルタン星人を掴み上げ、空へと放り投げる…

 

アマツビト「シェァァア!!!」

 

 そして必殺のアマツイカヅチがバルタン星人の腹を貫いて……大爆発を起こす。

 

 バルタン星人が倒されたことで、緋真が受けた細胞停止光線の効果は切れ、J-AS職員共々無事回復した。

 

臨時の基地テントで改めて謝罪を受ける2人…

 

芽平「本当に申し訳なかった。ここまで危険な目にあわせるつもりは…なかったのだがね?」

 

御珠「…バルタン星人にされた人たちは…?」

 

芽平「彼らに関しては…正直治療の目処も見込みも立っていない。今しばらく対処法が見つかるまでは、護国作戦群施設で冷凍睡眠を施されて保護することになるだろうね」

 

御珠「それじゃ…その人たちの家族や、周りの人にはどう説明するんですか…」

 

芽平「事故による行方不明…。目下捜索中、という扱いになる決まりさ、過去の事件でも、こういう場合はずっとそうしてきた。」

 

緋真「!…あの…!それって、前にも同じような事があったってことですか?」

 

芽平「まあ、そうなるね?」

 

緋真「……1人、行方を知りたい人がいるんです。」

 

続く




どうもタソガレンです。
前回より防衛チーム枠の『護国作戦群』が本格的に登場!秘密兵器も出始めたので、ここで登場兵器の簡単解説をしておこうと思います。

巨獣対特務潜水艦『深鯨』
全長:135m
速度:50ノット
 巨獣対が主に海洋怪獣探索、攻撃任務や、日本から離れた地点での作戦時に運用する大型母艦。最大5000mまでの潜水が可能で、海中での怪獣攻撃用の魚雷や音波兵器フォノンメーザー砲の他、海上から陸上及び空中の目標を攻撃可能なハイパーレールガンを装備している。

特務戦闘機『演武』
全長:13.5m
速度:マッハ4
 護国作戦群傘下の3組織全てで運用されているUFO型の特務戦闘機。天才少女として名を馳せた現J-AS隊長・芽平リサが、墜落した宇宙人の遺物を解析して造られた反重力エンジンを搭載していて、ホバリングや怪獣捕獲に適した円盤形態であるディスクモード、翼や機首を展開し高速機動形態であるファイターモードに変形する。

セレクターショット
銃身長:25cm
重量:1.2kg
 護国作戦群構成員が装備する特殊銃器。銃身が3種類のシリンダー式になっており、レールガン、麻酔弾、レーザー砲を切り替えて使用できる他、銃身を付け替え様々なカスタムが可能。
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