芽平「行方を知りたい人…ね?」
緋真は彼女の問いかけにこくこくと頷いた。
緋真「私のお父さんは久遠貴一…5年前謎の青い光に遭遇して消息をたった…航空自衛隊のパイロットです。」
芽平「……そうか。君から直接聞かれたのなら、我々の知ってる範囲は答えないといけないね。一度作戦群本部にご足労願えるかな?一番詳しく話せるのは小鳥遊隊長だから。」
緋真「…あの、…光来くんも連れてっていいですか?事情は話してありますから」
御珠「久遠さん…?」
芽平「うーむ…」
緋真「…ごめんなさい、ちょっと…1人で聞く勇気がなくて…」
芽平「本来あくまでも機密情報…。君たちとは言え、あまり大人数に伝えるものでも無いのだがね」
御珠「っ!…絶対誰にも言わないと約束します。俺も久遠さんの力になりたいです…!」
困った様子の芽平に一押し、まっすぐな目で御珠が前に出て言う。
芽平「…了解した。今回迷惑をかけた詫びだよ。私が司令に掛け合おう。」
緋真「あ…ありがとうございます…!」
そうして2人は、一度作戦群本部へ…。
小鳥遊「いつかちゃんと伝えるつもりでいたのだけれど…ごめんなさい、隠すつもりはなかったのよ」
緋真「…いえ、機密情報…なんですよね?なんとなく分かりますから…それはいいです」
小鳥遊「ありがとう。それで気になっているのは…お父さん、久遠貴一1等空佐のことよね」
緋真は小鳥遊をまっすぐ見つめ、小さく頷いた。音の少ない空間と張り詰めた空気に、御珠は少し落ち着かない様子…。
小鳥遊「まず結論から伝えた方がいいわよね。私たちも、久遠1佐の行方は掴めていないの。」
緋真「…っ」
小鳥遊「ただ…。」
緋真「ただ…?」
小鳥遊「久遠1佐が見たという青い光…間違いなく存在する超常現象よ。」
御珠「!…それって…」
緋真「フーファイター…」
小鳥遊「そう、一般的にはフーファイター、またはUFOの一種と言われている青い光は…私たち巨獣対とJ-AS…そして世界中の特務機関が共同捜査している宇宙生物なの。時折地球圏に侵入し青い彗星のように各地を飛び回る…。まるで私たちの文明や動向を探るようにね」
御珠「生物…?乗り物ではなくて?」
小鳥遊「J-ASはそういう見解を示しているわ。あれは細胞の発光現象らしいの、さながら光のウイルスね…私たちはUFOと区別するために『Blue Meteor Rader』…頭文字をとって…ベムラーと呼称しているわ」
緋真「…ベム…ラー…」
小鳥遊「私たちは久遠1佐の報告を確認して徹底的に調べ上げたわ。でも…F-15の残骸は見つかれど、未だ久遠1佐の遺体や痕跡は一切見つかっていない…。ただ久遠1佐からの報告以降、ベムラーの行動パターンにいくつか変化が見られるようになった。」
緋真「…っそれって…」
小鳥遊「久遠1佐はベムラーと遭遇時に一種の融合状態になり、思考や行動パターンに影響を与えた可能性がある…と、J-ASは判断しているわ。それに、私たちも久遠1佐捜索を続けているの。絶対みつかる…なんて無責任なことは言えないけど…どうか希望は捨てないで…」
緋真「はい…。」
そうは言ったものの…緋真の内心は滅茶苦茶に乱れていた。そして帰り道…
御珠「……久遠さん」
緋真「うん……お父さんを襲った正体、わかったよ…でも…
でも…全然スッキリしない…!結局ベムラーが何なのかも、どこにいるのかもわかんないじゃん…亡くなったと思ってたお父さんがベムラーと融合がどうとかって…生きてるかもってこと?…生きててももうお父さんじゃないってこと…?急に言われてもあたしわかんないよ!!」
それは自分が知りたかったこと…のはずなのに、自身のキャパシティを大きく上回る事実に混乱した様子の緋真…。
御珠「……っ」
御珠は、そんな彼女を前に何も言えないでいた。ウルトラマン…アマツビトの力は神にも等しく、心の奥底で全能感に酔いしれていたのかもしれない…。そんな自分が今目の前で嗚咽を漏らす友達に…一緒に頑張ると約束した仲間に…何も出来ない現実を思い知らされる…。
緋真「……ごめん…自分で知りたいって言い出したのに…さ、わがままだよね…あたし…。ちょっと頭冷やすわ…」
御珠「久遠さ……ぁ…」
ふらふらと歩き出す緋真を止めることも出来ず、御珠はその背中を見ている事しか出来なかった………。
翌日、緋真は学校を休んでいるようだった。御珠は、あんなことがあったのだ、無理もないと思う反面、何か気の利いた言葉の1つも言えない自分に嫌悪感を覚えていた…。
その頃…
小鳥遊「二階堂教授ですね!公安の者です…!」
二階堂「…来たな…国家の犬どもめ…!!」
銃を構えて山奥のある施設に乗り込む巨獣対。相対するは、かつて恐竜狂いと呼ばれた古生物学者の二階堂教授で…
二階堂「誰も私の研究を止められはせんぞ!!…私の…私のかわいいゴルメデは…誰にも渡さん!!」
二階堂がスイッチを押すと、施設が大きく揺れて崩れ出し…
小鳥遊「!…やっぱり古代怪獣のゲノムを隠し持っていたのね…!」
隊員「よし!…動くな!!確認ーー!!」
二階堂「ぐぬぅー!……ゴルメデ!壊せ!壊せ!」
小鳥遊「黙ってなさい…!総員退避!!」
取り押さえられた二階堂を抱えて施設を駆け出す巨獣対一同…。
全員が飛び出した所で、施設がめくれ上がるように倒壊し、中から巨大な怪獣が胴体を引き起こして現れる。
クローンゴルメデ「ガウゥ!…ゴウゥ!!」
小鳥遊「怪獣…!あんなものを作っていたの!?」
二階堂「ククク…私の恐竜愛の結晶だ…ゴルメデ!こうなったら全て踏み潰してしまえ!!」
クローンゴルメデ「ガゥ!?…グルルルルゥ…!?…グッ!グォォオ!!?」
隊員「何だ…苦しんでる…?」
二階堂「ゴルメデ…?どうしたというのだ…!」
クローンゴルメデ「グォオォオ!?」
恐竜狂いの二階堂がかつて秘密裏に手にした古代怪獣の遺伝子…それをベースに生み出されたクローンゴルメデは、非常に遺伝子が不安定な状態であった。休眠状態から二階堂の発した電気ショックで無理やりに覚醒させられたため、急激な運動によって身体機能に異常が発生したのだ。
クローンゴルメデ「ゴウウゥ!?…グォオォオン!!」
ついには頭部を覆うヘルメットのような甲殻は針地獄のように突起を生やし、巨体ながらつぶらだった黒い瞳は真っ赤に充血する。明らかに異様で、不気味な姿に変ぼうした。
クローンゴルメデ「グオオォォン!!!」
小鳥遊「早く演武に乗って!…麻酔弾の用意を!」
隊員「了解…!」
一方の御珠は、昨日の緋真の件で心ここにあらず…ぼーっとした表情で黒板を眺めていた…。
友人「光来…?おい光来ってば…当てられてんぞ…?」
御珠「……」
そんな中、いつもの悪寒が体に走る。怪獣が現れた気配だ。
御珠「…!」
教師「は、はい光来くん、この答えは?」
ガタンと音を立て、椅子を倒さんばかりに立ち上がる御珠…。彼を当てていた教師は驚きつつも回答を求めるが…
御珠「すみません、ちょっと…トイレに…っ!」
教師「ちょ、ちょっと…!光来君!?」
自身でもどうすればいいか分からない、明らかな不調。大切な仲間に優しい言葉の1つもかけられない自分への嫌悪感、力さえあれば何でも出来るという自信の崩壊…。それでも本能に訴えかけてくる…怪獣出現の信号に呼応して、御珠は戦場に向かう。
クローンゴルメデ「ガウウゥ!!ゴウゥ!」
アマツビト「シェア…!!」
小鳥遊「…ウルトラマン!」
暴れ回るクローンゴルメデには演武の麻酔弾やレールガンも通用せず残弾も尽きてしまった。万事休す…という所でウルトラマンがやって来る…が
アマツビト「…!」
キコンキコンキコンキコンキコンキコン…
小鳥遊「ウルトラマンの危険信号…いつもより早い…!?」
演武とクローンゴルメデの間に割り入ったウルトラマンだったが、出現早々にエネルギー不足を訴える胸の勾玉…
クローンゴルメデ「ゴウゥ!…ガァァ!!」
アマツビト「!…グァ!!」
クローンゴルメデが火球を放つと、かわすことも出来ず胴にまともな一撃を食らう。ババーーン!!と火花と爆煙を上げ、ウルトラマンは地に膝をつき…
クローンゴルメデ「ガァァ!!…ガァァ!!」
なおも火球で追い打ちをかけるクローンゴルメデ。ウルトラマンの周りに爆煙と粉塵が舞い上がり…
クローンゴルメデ「グルルルルゥ…ゴウゥ!!」
クローンゴルメデは踵を返し、穴を掘り始め、地中へと消えていく
小鳥遊「まずい…逃げられるわ!マーカー弾を…!」
小鳥遊が指示を出すが間に合わず、クローンゴルメデは逃走。粉塵が晴れる頃にはウルトラマンも姿を消していて…
御珠「…ぅ…く…っ」
??「…」
ウルトラマンの倒れた場所で気を失った御珠…。そんな彼の側に忍び寄る影とは…
続く。
さて今回はちょい重めですが、次回をお楽しみに…ということで、今回は曲がりなりにもオリジナル怪獣ということで、簡単な解説を載せようと思います。
復元古代怪獣
クローンゴルメデ
身長:50m
体重:5万トン
恐竜狂いの二階堂教師が生み出した、古代怪獣ゴルメデのクローン。長い間冷凍睡眠させられ保管されていたが突然の覚醒によって遺伝子異常を起こし、カオスゴルメデと同様の姿に変貌、凶暴化して暴れまわる。