ラブコメ漫画が原作の世界で主人公の幼馴染に転生したのでサポートしてたらなんか主人公に告られた 作:クロ
『俺と付き合ってくれ』
「え」
校舎の裏。
甘酸っぱくも青臭い春を切り抜いた様な一ページがそこにあった。まるで彼の高鳴る心臓の音がこちらにまで聞こえて来そうなほど、緊張する場面。それに対して告白された相手の方は戸惑っている様だった。言葉を選びながらも理由を尋ねた。
「な、なんで……」
『ずっと前から好きだったんだ。いつの間にか急にいなくなってそれからたまたま今日会えてさ、これは運命なんじゃないかと思って。ってごめん、急に言われても困るよな』
「そ、そっか。まずはありがとう!だけど、僕は君とは付き合え……」
ベタな振り方で話を終わらせようとする相手に彼は待ったを掛けた。
『分かってる。でも、今しかないと思ったんだ。いつもアイツがいるし。アイツがいない今がチャンスだって、だから返事は要らない。ただ、俺はお前の事が……』
「いた、さささー!探したんだよ〜全く。さぁ、帰ろう!」
告白一歩手前で美少女がそれを阻む。溢れんばかりの笑顔で笑いながら登場した彼女は告白されていた方の手を掴み、有無も言わさないまま颯爽とその場を離れた。
『クソッ!またアイツ……』
少年は自分以外誰も居なくなった校舎裏で怒る。だが、勿論それを知る相手はそこにはいないので伝わる事は無かった。
「新しいクラスどうだった?友達出来そう?」
「うーん。まだ分かんない」
帰り道。僕らは並びながら家まで歩く。久々に彼女と会って歩くのに、そう感じないのはきっと彼女の距離感なんだと思う。昔から変わらない何と言うか……一緒に居て落ち着く距離感だ。
「そっかー私はね、もう友達出来たよ!凄いでしょー」
「おー凄いじゃん。おめでとう!」
「ありがとー!でも一番の友達はさささーだからね!」
このさささーとは僕の事だ。佐々木彩人だからさささーってある日呼ばれてからずっとそのままだ。
「うん!ありがとう。僕も朱里が一番(の友達)だよ」
そんな会話をしながら、僕らはこれから通い慣れていくであろう通学路を歩いて行く。
「にゅ、に、にしても!入学式は人がいっぱいいたねー」
「そうだね。その中でも二人は目立ってた様な気がするよ」
そうかなー?と首を傾げる様子の朱里に対して僕は頷く。なんせ彼女と、もう一人の幼馴染はこの世界の主人公と数多くいるヒロインの内の一人なのだから目立たなかったら意味が無い。
『ハァハァ……おい俺を置いてくなよ!仲間外れは酷いぞ?』
そんな事を考えていたら主人公がやって来た。さっき告白されたばっかりだから少し気まずい。
「あ、いたんだユータ」
『さっき会っただろ!』
僕らの真ん中に入りそう主張する。
「そうだっけーそう言えばそう言う気もするけどー。じゃあさっきは二人で何してたのー?」
『ははっ』
「あはは……」
僕達は苦笑いをする事しか出来なかった。