遡る事、300年前。
遡りすぎだと言われても、仕方がないが、
千尋の前世は、西洋の小さな国の、美しいお姫様である。
むかしむかし、その小さな国に、
それはそれは美しいお姫様がいた。
貴族の娘である。
彼女の美しさは誰もが褒めたたえずにはいられないほどで、(うつくし姫)と呼ばれた。
彼女の悩みは誰もが、
外見の美しさのみを褒めたたえ、
その内面を見てくれないことだった。
そうした彼女の悩みを知った魔女が、
うつくし姫にある魔法をかけたのだった。
それは彼女の内面を可視化するというもの。
しかし、彼女の内面はあまりにも美しいため、
その周りにいるものは最も大事なもの、
自らの命を捧げてしまうのだった。
一か所にとどまり続けると、
誰かがやってきて命を捧げてしまうため、
姫は、逃げ出し、小さな教会に火を付けて、
自ら自害をして、20歳で命を落としてしまうのだった。
千尋の前世は、西洋の小さな国のお姫様、
さらに、その前世は、神様に使える天使だった。
天使は、元々姿や形が存在しないはずだった。
しかし、天国で、沢山の徳を積み、
性別を手に入れて美少女になり、
人間界に舞い降りて来て、うつくし姫として転生した。
うつくし姫が、自害した後、
その魂は、300年の時を経て、東雲千尋という、
一人の女の子として、蘇るのでした。
東雲千尋の、その美しい容姿と、
その美しい歌声は、誰もが魅了していった。
そんな、彼女には、愛する人が欲しかった。
それが、宇田川あこという、東雲千尋にとって、かけがえのない存在だった。
「ちーちゃん!」
「あこちゃん…?」
「もーう!昼休みだよ~!」
「そっか、もう昼休みか…ふわぁ~」
と、千尋があくびする。
「ちーちゃん、もう少しで、
一日の授業、終わるから、頑張ろうね?」
「うんっ!千尋、頑張る!」
放課後、あこは、バンドの練習があるため、
千尋は、一人寂しく帰って行って、東雲家に帰宅した。
「あこちゃん…」
と、落ち込んでいた。
(千尋)
「…誰か、千尋のこと、呼んだ?」
(僕だよ、天使様だよ)
「天使様…?そっか、千尋には、天使様がいるんだった」
(忘れているとはな…千尋は、この子のことを、心から愛しているみたいだね)
「うんっ!だって、あこちゃんは、
千尋の全てで運命だから…!」
(そうか)
「どうしたら、千尋とあこちゃんの恋が、叶うの?」
(それは…そうだな…おまじないをかけるんだな)
「おまじない…?」
(そうだ、僕が、とっておきのおまじないを、その子にかけてあげるよ)
「本当ですか?」
(あぁ、もちろんだとも)
果たして、天使がいう、おまじないとは…!?
天使は、千尋に、おまじないの内容を、こっそりと教えました。