今日は宇田川あこちゃんが、東雲家にやって来る日だった。
(ちーちゃんの家って、いっつも圧倒されるなー
まるで、お姫様かお嬢様が住んでいる家って感じだしな~)
あこは、千尋の家の高貴さに、いつも驚かれている。
とはいえ、こころの家程では無いが、
庶民から見たら、立派なお屋敷である。
「ちーちゃん!」
「あこちゃん!ちょっと、待っててね!」
「あら!あこちゃん!千尋ちゃんが支度する間、
リビングで待っててね!」
と、千尋の母が、あこを案内した。
「あっ、ありがとうございますっ!」
と、あこはお辞儀をするのだった。
数分後、宇田川あこの前に愛しの恋人。
東雲千尋がやって来た。
「ちーちゃん!」
「お待たせ。あこちゃん♡」
と、東雲千尋は宇田川あこちゃんにメロメロな状態だった。
瞳のハイライトは無く、瞳の部分がハートになっていた。
「ちーちゃん…」
「どうかしたの?」
「ううん!何でもない!」
「ホントに?」
「ホントだよ!」
「よかった♡」
(ちーちゃんって、あこに会うたび、
瞳をキラキラッって、輝かせているからな…)
と、あこはどこかで怯えていた。
「ねぇねぇ、あこちゃん」
「どーしたの?ちーちゃん?」
「千尋ね。あこちゃんと、もっと一緒にいたいんだ。
それに、あこちゃんといるとね、
嫌な事や辛い事や悔しい事とか、全部忘れちゃうの。
あこちゃんは、魔法使いだね」
「ままま、魔法使い…あこが!?」
「うんっ!あこちゃんは、千尋に魔法をかけてくれたの。
一生、永遠に一緒に傍にいる魔法!」
「ちーちゃん…」
「千尋は毎日、お星さまにお願い事をしているの。
あこちゃんとずっといつまでもいられますようにって!」
「う、うん…」
「羽丘を出ても、千尋はあこちゃんと一緒にいたい」
「ちーちゃんは、あこと一緒が良いの?」
「うんっ!だって、千尋はあこちゃんのことが大好き。
誰よりも、あこちゃんを愛しているんだよ?」
「あっ、あこ!そろそろ、ドラムの練習に行かないと!」
もちろん、本当だが、千尋には通用せず…
「嘘だよね?どうして、千尋から離れるの?」
「だって、ドラムの練習があって、
あこ!友希那さんが必要としているし!
わかってくれる?ちーちゃん?」
「わかった」
あこと離れ離れになった千尋。
千尋は、自室であこと一緒にいる妄想をしていた。
(あこちゃんは、千尋のあこちゃん。
愛しい存在。唯一無二の存在。
千尋に魔法をかけてくれた存在。
千尋に価値を与えて、生きる力を与える存在。
だから、千尋には、あこちゃんが必要なの!)
と、千尋は病みはじめるのだった。