東雲千尋と藤咲七海は同じ羽丘女子学園の高等部の二年生である。
七海自身は千尋と仲良くしたいが、上手くはいかない日々…
「千尋ちゃん!」
「どうかしたの?」
「えっと、おはよ!」
「おはよう」
「…今日は何かあるの?」
「あこちゃんと遊ぶ」
「あこちゃん…本当に好きだね…」
「千尋のあこちゃんだから」
「えっと、あこちゃんは、千尋ちゃんの為に存在している訳じゃないよ?」
すると、千尋の瞳のハイライトは消えて、瞳の奥がハートになった。
「ううん。違うよ?千尋とあこちゃんは、運命なの」
「へっ?」
「健やかなる時も、病める時も、
喜びの時も、悲しみの時も、
富める時も、貧しい時も、
これを愛し、敬い、慰め合い、
共に助け合って、その命ある限り、
真心を尽くすことを誓っているから」
「ヤバイ…」
「千尋はね、あこちゃんとケッコンするの!
それでね、幸せな家庭を築くの!
それでね、あこちゃんとずっと幸せに暮らすの!
あこちゃんが幸せなら、千尋も幸せだから」
「そ、その…あこちゃんから、離れないの?」
すると、千尋の声のトーンが低くなり、ドスの効いた口調になり。
「どうして、そんなこと言うの?
ひょっとして、邪魔するつもり?
邪魔するなら…」
「わかった!ごめん!アタシの言い方が悪かった!」
「謝って」
「ごめんなさいっ!」
「あこちゃんに」
「あーあこちゃん、ごめんなさい!」
と、あこがこの場にいないにも拘らず、七海が平謝りした。
「あこちゃんと千尋の邪魔をしないで」
「わかったから…その…千尋ちゃんは、それで良いの?」
「うん」
「他の人とかじゃ、ダメなの?」
「あこちゃんじゃないと、ダメ」
「そ、その!友達!友達になりたい」
「友達?」
「そう!友達!アタシは友達がなかなか出来ないの!」
「なんで、千尋なの?」
「そ、その…えっと、何て言うか…
ほっとけない!明日香ちゃんも六花ちゃんも言っていた!
千尋ちゃんが心配で…あこちゃん以外に友達がいないから…
「…」
「アタシは千尋ちゃんの歌を聴きたい!」
「じゃあ、聖歌隊の歌」
「聴きたいですっ!お願いします!」
音楽室。千尋が七海の為に聖歌隊の歌をアカペラで歌った。
(凄い…アカペラでも、世界観を出して、
まるで、千尋ちゃんが天使に見える…
千尋ちゃんが天使の声と見た目とか言われるのは、この為か…」
「?」
「あっ、千尋ちゃんが天使過ぎて」
「?」
「そ、その…癒された」
「そっか。バイバイ」
「あっ!千尋ちゃん!」
(千尋ちゃんは、あこちゃん以外のガードが固いし…
これは…難しいにも程がある!)
と、藤咲七海はそう感じた。