天使の歌姫は大魔姫に恋をする   作:アッシュクフォルダー

9 / 15
第九話 悪魔のように囁く

それは、あこと千尋のデートの帰りの時だった。

 

「東雲さーん!久しぶり~!」

 

「行こ、あこちゃん」

 

「えっ?」

 

「千尋をイジメていた奴だから」

 

「小学生の時の!」

 

「よく、覚えているね…逆に感心したわ。

どう?羽丘女子学園での、

お嬢様ライフは?さぞかし、楽しそうね」

 

「ちーちゃんに、何の用?」

 

と、あこは、小学生時代、

千尋をイジメていた、溝端という、女の子を睨む。

 

「ちーちゃんに、嫌がらせしたら、あこが、許さないから!」

 

「ふーん、恋人ごっこは、続いているようね…」

 

「言わないで」

 

「は?」

 

「これ以上、あこちゃんの悪口言ったら、

息の根を止めて、アンタを地獄に堕とす」

 

と、千尋をイジメていた子を脅迫。

千尋の瞳は、ドス黒い瞳をしていた。

 

「こわっ、それに、気持ち悪」

 

「いこ、あこちゃん」

 

「そーだね、ちーちゃん」

 

二人は、この場を後にする…

 

東雲千尋は、軽度の発達・精神障がいを持っており、

さらには、自閉症を持っていた。

 

生まれつきの障がいと、その美しい容姿と、その天使の歌声から、

あこ以外のクラスメイトに、イジメられていた。

 

それを、宇田川あこは、ずっと、守って来た。

 

あこは、思うのだった。障がいがあるからって差別したり、

容姿が美しいからといって嫌がらせをしたり、

歌が上手だからという理由で嫉妬するのは、

間違いだと、思っている。

 

(ちーちゃんは、特別そうに見えて、普通でもない。

唯一無二の存在で、あこのことを一番に思ってくれる恋人!)

 

あこにとって、千尋は、守らないといけない存在。

 

あこがナイトとして守るなら、

千尋はプリンセスとして守られる存在。

 

あこは、思った。

これから、ずっと、何としても、

千尋を守りたい。ちーちゃんを守りたい。その一心だった。

 

(ちーちゃんは、いつも、いつも、あこのことを、

思ってくれるけど…逆に思いすぎっていうか…

でも、ここまで、あこのこと、思ってくれる人って、

きっと、世界中、どこを探しても、ちーちゃんだけだよ!)

 

と、あこは、確信した。

 

 

 

 

 

 

 

一方、千尋は…悪夢にうなされた。

 

(千尋ちゃんは、顔は良いし、スタイルも良いし、

歌も上手!アイドルじゃん…)

 

(容姿や見た目や歌声に優れていて、

おまけに、発達・精神障がいって、

付き合いずらいな…)

 

(何て言うか、千尋ちゃん、人間じゃないよね?)

 

(人間じゃなくて、天使?)

 

(そうそう、千尋ちゃんは、人間じゃなくて、天使だよ。

彼女の前世は、間違いなく天使。

だって、悪行を起こすように見えねーし)

 

(だとしたら、虫を殺したことねーとか?

もしくは…悪行を一切、してないか、知らねーとか?)

 

(心がキレイな程、逆にムカつく。

千尋ちゃんは、人間じゃないよ。見た目が可憐な天使サマ。

心は残酷な悪魔だよ)

 

千尋は、目を覚ました。そして、泣いた。千尋が囚われのプリンセスなら、

あこは、それを助けるナイトかプリンス。

 

「うぅ…辛いよ…あこちゃん…ギュッってしたいよ…

助けてよ…あこちゃん…」

 

しばらく泣いた後…

 

「この世は、おかしくで残酷で、哀しい…

汚れと醜さ、憎しみに満ち溢れている。だからこそ…千尋は…」

 

(ようやく、感じ取ったか)

 

「!?」

 

(私は天使、東雲千尋と契約している天使です)

 

「へっ?」

 

(貴女は、いずれ、天国に行き、天使としての、使命を果たすために、

全ての悪人を、この世界から抹消しなければなりません)

 

「フフッ…そうだよね?

千尋をイジメた奴等は、みーんな、地獄に堕ちればいい。

千尋が神様の代わりに、天罰を下してやるんだから…」

 

と、千尋の瞳は、再びドス黒く悪に染まっていた。

星状の瞳には、悪の色に染まっていた。

 

千尋は、元より、心の中は、天使に乗っ取られており、

善行しか出来ないようにしている。

 

故に、虫の一匹も殺すことも、許されないし、出来ない。

肉や魚や卵を食べたことが無い。

 

そう、彼女は、悪行を起こさないように、

天使が無理矢理コントロールされているのであった。

 

故に、悪の心や普通の心を一切持っていないのだ。

 

しかし、この時から、千尋は、悪の心を持ちつつあった。

天使によって、新たな感情を植え付けられる。

 

東雲千尋の悪は、宇田川あこをわがものにする為のみに、

植え付けられた悪である。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。