学園一の美少女に脅されて付き合うことになりました。   作:赤瀬 涼馬

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Season3
1話 初詣と願い事


 ユウマと正真正銘の恋人になってから迎えた冬季休暇。

 

私は自室で悶々とした日々を送っていた。

 

(せっかく夢にまで見たユウマくんとの恋人生活が始まったのに…………)

 

 このタイミングで冬季休暇に入ったことを猛烈に呪いたくなってしまう。そんなことを考えていると私の願いが届いたのかユウマからメッセージが送られてきた。

 

『今週末って何か予定ある? よければ二人で初詣に行かない?』

 

 恋人になってから初めて送られてきたユウマからのメッセージ感動しながら『もちろん行く!!』と二つ返事でOKする。

 

『朝9時に長野駅の西口広場に集合で』と続けてメッセージが来る。

 

 そのメッセージに返事を送った後に追加で『せっかくだし当日は着物で行こうよ』と送ると『俺はいいけれど西園寺は大丈夫か!?』

 

 私を気遣ってくれることに喜びつつも『大丈夫だからお願い!』と頼む。

 

 早く初詣当日にならないかな、と楽しみにする九音だった。

 

 

 

 それから大晦日と年末を過ぎ、あっという間に初詣当日になった。

 

 母親に頼み込んで綺麗な花柄の純白の着物を用意してもらい、着替えるのを手伝ってもらっていた。

 

「良く似合っているわよ、九音」

 

 着付けを手伝ってもらった母親がニコニコしながらそう言ってくる。

 

「…………そうかな」

 

 照れくさそうにそう訊くと「当たり前でしょ。私の可愛い自慢の娘なんだから大丈夫よ」と言いながら私の頭を優しく撫でてくれる。

 

 母の言葉にますます当日が楽しみなるのであった。

 

~~~~~

 

 念入りに着付けをした九音はルンルン気分で玄関に向かって扉を開いた。

 

 満面の笑みで一歩を踏み出そうとしたところで一瞬にして九音は凍り付く。その理由は目の前に見慣れた邪魔者がいたからだった。

 

「どうしてあなたがここにいるのよ? 伊織―---」

 

 目の前に立っている黒服の執事に不満げに口を開く。

 

 すると 専属の執事である伊織はいつもの調子で「昼神様とお出かけになるんですよね? 途中までお送りいたします…………お嬢様」と伊織がお馴染みの恭しい所作で一礼してくる。

 

「…………まったく分かったわよ。もうせっかくユウマくんと二人きりで行けると思ったのに――――」

 

 拗ねたように唇を尖らせながら不満を口にしているとそれを見た伊織が優しく微笑みながら――――――。

 

「御心配には及びません。お二人の邪魔は致しませんし、あくまで私の目的はお嬢様を昼神様のもとに送り届けることですから」と言って、玄関前に止めてある車の後部座席のドアを開く。

 

 

 

 

 適度に温かく暖房が利いた車内でワクワクとした気持ちに駆られながら約束の広場へと向かう。

 

 数十分後くらい車を走らせたところで長野駅の西口に到着する。車から降りた九音は広場に向かうためにある出そうとする。

 

 だが、履き慣れていない草履のせいで足を取られてしまい、こてっと転びそうになる。

 

「きゃっあ!」

 

「…………ッ! お嬢様」

 

 後ろの方で珍しく焦ったような伊織の声が聞こえてきた。そして俊敏な動きで助けに入ろうとしている伊織を目の前にドンと柔らかい感触にぶつかる。

 

 「―----大丈夫か!?」

 

  そう言われて驚いて目を開くと――――。そこにいたのは伊織ではなく、淡い黒色の着物に暖かそうなふわふわなマフラーを首に巻いたユウマだった。

 

 数秒遅れて伊織が「お怪我はございませんか? 申し訳ございません。私がついておりながら」

 

 と、伊織が申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「ええ、大丈夫よ。ありがとう。ユウマくん」

 

 ユウマに抱き支えられるように体勢を立て直す。

 

 「それよりどうしてユウマくんがここにいるの!? ここは集合場所は向こうの広場でしょ?」

 

 不思議そうに小さく首を傾げる九音に「たまたま西園寺の車がこっちに来るのが見えて、今日、浴衣着てくるって言ってたからもし何かあったらと思って様子を見に来たんだ」

 

 ユウマが照れくさそうに頬を掻きながらそう言う。その言葉を訊いたは九音は嬉しさのあまりニヤニヤとした顔つきユウマを見ていた。

 

 そんな二人のやりとりを見守っていた伊織が「お二方、そろそろ出発なさった方がよろしいかと思われます」

 

 冷静な口調でそう促される。

 

「そうね、行きましょうユウマくん」

 

 と言って、ユウマの手をとって車に乗り込む。二人が乗り込んだことを確認した伊織が善光寺に向けて移動をする。

 

 

 

 

 「…………すごい人混みだね」

 

 目的地である善光寺に着いた九音たちは一面にいる人々に感嘆の声を上げる。

 

 親子連れやカップルなどたくさんの人たちが参拝に来ていた。

 

「とりあえず、行こうか」と隣に立っているユウマに手を引かれて歩き出す。

 

「こんなに人が多いとはぐれそうで怖いなぁ」と独り言を呟くと。

 

「そんなに不安ならもっとしっかり繋がないとな」

 

 と言って、ユウマは軽く握っていた手をしっかりと指を絡ませた恋人繋ぎに変えていく。

 

 手袋越しだったが、初めてユウマからしてくれた。そのことが嬉しくてついニヤニヤしてしまう九音だった。

 

 人混みをかき分けながら本堂に向かっていく。しばらく人混みの中を歩くと礼拝所やが見えてくる。

 

 九音が転ばないようにゆっくりと歩きながら本堂の前に立ち、賽銭箱にお賽銭を入れて二例二拍手一礼の順で参拝する。

 

 ゆっくりと瞳を閉じて神様にお願いごとをする。

 

(今年もユウマくんたちと一緒にいられますように~!)

 

(西園寺たちが健康に過ごせますように!) 

 

 各々、お願い事を済ませてから隣にある授与所にておみくじを引く。

 

 二人でおみくじを開けてみるとそれぞれ『中吉』だった。

 

 それぞれの神社でおみくじの種類や数はは異なるようだが、一般的に7種類が主流のようだ。

 

 ちなみに善光寺のおみくじは5種類ほどらしい。

 

 一般的に見れば中吉と言うのは『大吉』の次に良いらしい。

 

 二人そろって中吉という結果に九音は大はしゃぎしており、それを見た周りの大人からちらほらと周りの微笑ましい視線が送られてくる。

 

 おみくじを引いた後お揃いのお守りも買う。どれにしようか真剣に悩んでいる九音を見て思わず苦笑が漏れる。

 

 数分悩んだ末、無病息災のお守りを二人分買うとしたところで。

 

「これお願いします」と巫女服のお姉さんに指をさして取ってもらい、会計を済ませて本堂を出る。

 

 会計が終わった後に巫女服のお姉さんが「とっても優しい彼氏さんですね」と言って九音に微笑みかけていた。 

 

 お姉さんの言葉に照れくさそうに頬を赤らめてはにかんだ笑みを返す九音だった。

 

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