学園一の美少女に脅されて付き合うことになりました。 作:赤瀬 涼馬
胡桃から事情を訊いた私たちは仲直りできる方法がないかを考えていた。
「どうすればいいのかな? ユウマくん」
話をしている途中で胡桃が、「ごめん。用事を出した!」と言って通話を切ってしまったため、どうしようかと考えていた。
「あのバカップルの二人が喧嘩だなんて珍しいな」
九音の呟きを訊いたユウマが不思議に口にする。
「もしかして、あれじゃない!?」
「あれってなんだよ?」
「だからあればってば―――」
九音が何を言おうとしているのか、まったく理解できない。
まったく理解していない彼氏を見た九音はどうして分からないのよとフグのように頬を膨らませていた。
「倦怠期ってやつだよ」
小さくため息を吐いた後にそう言う。
「け、倦怠期―--?」
「そう、倦怠期」
得意げに言い放った九音には申し訳ないのだが、つい、初めての彼女ができたばかりで、その『倦怠期』がまったく分からなかった。
話に水をさすようで申し訳ない気持ちになりながら、九音に尋ねてみる。
「あの、悪い。西園寺、その倦怠期ってやつはどういうものなんだ?」
ユウマの言葉を訊いた九音は途端に素っ頓狂な声を出す。
「ユウマくん、本当に倦怠期知らないの!?」
心底、驚いたように九音が声を出す。
「そうなんだ。倦怠期について教えてもらっていいか?」
「え、えっとね。倦怠期っていうのは、その――――」
さっきまでの熱量はどこへ行ったのか、九音は軽くパニックになっていた。
オロオロとしながらガサゴソと音を立て何かをしだす。
「…………ちょ、ちょっと待っててね」
画面が保留になる。待つこと数秒後。
ミュート機能をオンにした九音が戻ってきた。
「良い? ユウマくん。倦怠期って言うのはね」
急いで戻ってきたらしい九音は軽く肩で息をしながら話を始める。
それから九音による倦怠期についての講座が開かれるのだった。
~~~~~
九音から『倦怠期』についての説明を受けた後。
ユウマは親友である透哉に電話をかけていた。
プルルル、呼び出し音が鳴る。一コール、ニコールと過ぎていく。
いつもなら、三コール以内に出るのだが、まったく繋がらない。
「どうしたんだ? 透哉のやつ」
いつもおちゃらけているが、根は真面目でいい奴だ。
そんな彼が大事な彼女である胡桃と喧嘩をするなんて、何か理由があるんだろう。
ユウマは直感でそう思っていた。
何度目かのコールで電話が繋がる。
「どうした? ユウマ」
電話に出た透哉はいつもより声が低く、覇気がない。
「透哉、悩みがあるなら言えよ。俺でよければ訊くぞ?」
さりげなく言うが、何かを察した透哉は小さく笑みを零す。
「………胡桃から訊いたのか? 俺と喧嘩したって」
ユウマの言葉から確信を得たのか、透哉はそう訊いてくる。
「…………ああ」
隠しても仕方がないので、正直に答える。
「…………」
ユウマの答えを訊いた透哉は、バツが悪そうに黙り込む。
数秒、時間が止まったように静寂だけが流れる。
それから、ゆっくりとユウマが口を開く。
「なぁ、何があったんだよ。透哉」
心配したユウマが問いただす。熱気に根負けした透哉が重たそうに口を開く。
「実はな――――」
事の真相を訊いた、ユウマははあぁぁぁ―――――!!と呆れたような大声を出していた。
「…………っえ? 私たちに贈るためのプレゼント選びで喧嘩したの?」
同じく胡桃から事情を訊いた九音は呆れたように言う。
「そう、私はお揃いのマグカップが良いって言ったのに…………透哉ったらプレートが良いなんて言い出して」
胡桃の話を訊いた、九音は安堵したせいか大きなため息をついていた。
後から訊いた話では、その後すぐに二人は仲直りしたらしく、バカップル度が急上昇したようだ。