学園一の美少女に脅されて付き合うことになりました。 作:赤瀬 涼馬
九音にメールアプリでメッセージを送って断られた私は恋人の透哉と放課後デートをしていた。
―――脅して付き合っちゃえば?
と無責任なことを九音にいってしまったことを今になって激しく後悔する。
「―――るみ、く―――、胡桃ってば――――!」
隣からがっしりと肩を掴まれてハッと我に返る。
「どうしたんだ?そんな思いつめた顔なんかして」
透哉が心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
「ううん、別になんでない」
上手く誤魔化そうとするが――――。
「いいや、嘘だね」
きっぱりと見抜かれてしまう。
「そういう表情をしている時の胡桃は十中八九、なにか悩んでいる証拠だ」
と言って私の顔を優しく両手で包み込む。
「悩んでいることや困っていることがあるなら遠慮なく言ってくれよ?」
幼げな顔を綻ばせながらそう言ってくれる透哉の顔を見てますます後悔と懺悔の気持ちが増す。
そんな気持ちの中、透哉の顔がゆっくりと私の方に近づいてくる。透哉から微かに漂う爽やかな匂いが鼻腔をくすぐる。
数センチ、私が顔を近づければ二人の唇がぴったりと重なる。ゆっくり、ゆっくりとお互いの息遣いを感じながらどちらともなく唇を近づけていく。
静かに瞳を閉じた、その時――――。
どこからか着信音が聞こえてくる。
「………胡桃?スマホ鳴っているよ」
ちょっと残念そうな顔をした透哉が私のバックに入ったスマホを指さす。
ちょっとどこの誰よ、せっかくのいいところだったのにと不満げにスマホの画面と九音からだった。
どうしたんだろうと不思議に思いながら電話に出ると開口一番、とんでもないことを言い出す。
「胡桃―――!やっとユウマくんに告白できたよ。これも胡桃のアドバイスのおかげだよ」と嬉しそうに九音。
「私のアドバイスって、まさかあんた―――本当に実行したの?」
困惑しながらそう尋ねると、無垢な九音ははっきりとした迷いがない口調で「もちろん!」と答える。
――――おーい!マジか――――――――!!
心の中で盛大にツッコミを入れていると。
「急に黙ってどうしたの? 胡桃」
衝撃のあまり言葉を失っていると心配した九音の声が聞えてくる。
――――本当に実行するなんてお嬢様ってこんなに無知で無垢な子ばかりなの!?
と驚きを隠せずにいた。というか、まさか九音がここまで純粋だったとは知らずに変なことを言ったことに対してさらに申し訳なくなってくる。
さらにそこから興奮した様子で事の一部始終を話している九音に気圧されて冗談だということと謝るタイミングを逃してしまう。
(まずい、 厄介なことになってしまった…………)
胡桃は心の中でそう思いながら九音の話を訊いているのだった。