ヒロアカの世界に異物を一つ 作:きょうぞうちゃん推し
志村転孤のヴィランデビューは大成功で幕を閉じた。死者数千人、行方不明者多数、けが人幾人か。生き残りとさえ呼べてしまうけが人に対する死者の圧倒的数。災害とさえ称せてしまうこの被害により周辺地区は封鎖。町一つが地図上より消えることとなった。
オールマイトの登場により二次被害は起きなかったが到着までに十数人のヒーローが死亡するなど無視できない被害を被っていた。まだ、これで犯人が逮捕できていれば少しの救いはあったかもしれない。しかし、現実は犯人は未だ捕まらず、逃走中であった。オールマイトすら駆け付け、捜索に当たったが痕跡一つ見つからず、何処へ消えたのかさえ分からなかった。
この事件をきっかけにヒーローに対する不信とヴィランへの恐怖が増長することとなった。更にその中には「ヒーローに任せていられない」と自衛の手段を求める者もおり、そういった者が求めた時、
そして、ヒーローは当然血眼になって捜索を続けるがそれとは別に公安も動き出していた。
「今回のヴィラン。彼の背後には何者かの存在がいる」
「奴の個性は映像から触れた物とそれに連なる物を破壊する個性だ」
「そんな奴がオールマイトから痕跡一つ残さずに逃げられるはずがない」
「協力者乃至仲間のような人物が必ずいる」
公安委員会の上層部が集まる会議。そこで上がった議題は当然ながら志村転孤が引き起こした事件についてだった。
公安はオールマイトとAFOの決戦と同時期に起こった
そんな彼らでも志村転孤を見つけ出す事は至難の業だった。そもそも、今回突如として現れた事でさえ不可解なのだ。一体いつ、どうやってあれだけの力を手に入れる事が出来たのか。
「そもそも奴の事は何一つ分かっていない」
「髪の毛一本でも落ちていればいいが現場から探すのは不可能に近い」
「いや、そもそも奴の個性の影響で残っている髪すら少ない状態だ。やつめ、それを見越してか去る前にもう一度個性を使って現場を更地にし直している。大胆な動きに反して証拠隠滅は隙がない」
そういって公安の一人が壁のモニターにあの日の映像が映し出される。ヘリから撮影されたそれには笑いながらヒーローを次々と殺していく志村転孤の姿が映っており、その状況を楽しんでいるように見えた。
そんな愉快犯とも取れる彼の犯行はそれでいて証拠を残さないことに関しては徹底しており、映像からもその様子が見て取れた。
「こ奴もAFOの手駒と考えるべきか?」
「だが奴はここ10年姿も動きも見せていない。死んだという噂が真実とさえ言える程にな」
「少なくとも自ら動くことが出来ないレベルである事は疑いようがないだろう。まぁ、奴の事は今はいい。今回のヴィランに関してはどちらともいえないというしかない」
「情報が少なすぎる。奴はオールマイトによって手駒をほぼ全て失っている。新たな手駒として育成したとも考えられるがAFOの手駒にしては動きが大胆かつおおざっぱだ。奴はこれまで支配に拘っていた。それを拒絶したからこその破壊はあれどこんな風にただ破壊を目的としたことはなかった」
「そうなるとAFO以外という事になるがこちらも確証がない。そもそもオールマイトによって組織的犯罪はほぼ撲滅された。これだけの存在を生み出す組織など残されていない」
「ならばこいつ一人か少数でここまで来たと? それこそあり得ない! これならむしろ国外の勢力が進出してきたと考える方が現実味がある!」
「オールマイトがいるこの日本に進出する海外勢力はいない。その盲点を突かれたとも取れるが、やはり考えづらいな……」
志村転孤の情報。その少なさが公安の捜索、ひいてはヒーローの捜索を難しくする要因にもなっていた。突如として現れ、何も情報がないままに消えた。それをどう探せばいいのか。それが分からなかったのだ。
「とにかく、今は次に現れる時に備える事しかできない。我らの新たなヒーロー誕生には最低でも数年はかかる。それまでに我々は我々の出来る事をするだけだ」
「そうだな。この日本をより良き社会に導くためにも……」
公安の会議はその後も続き、日本の平和を、秩序を守るために暗躍を続けるのだった。
現在は原作から5年程前です。丁度AFOとオールマイトが相打ちで終わった時期です