ヒロアカの世界に異物を一つ   作:きょうぞうちゃん推し

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第六話「死」

 その日、ヒーローは“ナイトメア”の捕捉に成功した。

 順を追って説明すればとある地方のヒーローが“ナイトメア”と遭遇した。通常であればヒーローは呆気なくやられ、被害者の一人として紹介されることとなっただろう。しかし、このヒーローは運が良いことにそうはならなかった。

 理由は二つある。一つはヒーローだが正確にはサイドキックとして大手のヒーロー事務所に所属していたこと。そして二つ目は彼の個性が超再生と呼ばれる致命傷でなければ簡単に回復出来てしまう能力を持っていた事にある。

 最初、彼は二つ目の理由である自らの個性によって助けられた。そして、超再生をフル活用して“ナイトメア”の攻撃を防いだことで彼が所属する事務所のヒーローが総出で駆け付けてくれたのだ。これにより、彼と“ナイトメア”の力関係は一転した。

 多種多様な攻撃を行い、“ナイトメア”を追い詰めていくヒーロー達だが彼女が刻々帝を使用した途端にあっけなく覆ることとなった。

 ある者は加速した彼女に殺され、ある者は自らの時間を止められたうえで殺された。次々と死んでいく仲間たちを見て超再生を持つヒーローは呆然と見ている事しかできなかった。

 

「これでおしまいですわ」

 

 僅か1時間。それが“ナイトメア”遭遇から彼以外の仲間たちが全滅するまでにかかった時間だった。“ナイトメア”相手に1時間も時間を駆けさせたことはある意味では快挙だがヒーローとしては失格だった。そして、仲間の死に呆然とするしかない彼はこめかみに銃口が突き付けられても指一本動かすことが出来なかった。

 

「厄介な個性をお持ちのようですしこの場で死んでください」

 

 そして、彼女が持つ銃のトリガーが引かれる。流石の超再生でも即死ならば発動はしない。彼は仲間の下に向かうのだと思い、目をつぶった。響く銃声。しかし、弾丸は空を切った。

 

 

「待たせてしまったね」

 

 

 なぜならば。

 

 

「もう大丈夫。何故って?」

 

 

 彼らが稼いだ1時間は

 

 

「私が来た」

 

 

 無駄ではなかったのだから。

 

 

 

「っ!!??」

 

 予想外の大物。それの登場に彼女は反射的に銃を放った。しかし、それはまたしても外れてしまう。強化された彼女でもギリギリ目で追える程のスピード。気絶した超再生のヒーローを抱えたその人物は物陰に寝かせると改めて彼女と相対した。

 

「漸くだ。漸く、君を捕捉できた」

「……どうやら、少し遊び過ぎたようですわね」

 

 コスチュームの上からでもわかる鍛え抜かれた肉体。全てのヴィランを畏怖させる圧力。市民に安心を与える包容力。

 

「残念だが君の悪事もここまでだ」

「それは残念ですわ。貴方に私は止められないですわ」

 

 時崎狂三は二人目の大物、オールマイトと接敵した。

 

 

 

 

 最初に動いたのは当然ながらオールマイトであった。彼は彼女に反撃の機会すら与えないと速攻で勝負を決めに行った。しかし、彼女もオールマイトの目の前から消えるように移動する。先ほどの戦闘で使用した【一の弾(アレフ)】の効果は続いていたのだ。

 

「っ!? 想像以上に速いな!」

「貴方こそ今の私についてこられるなんて思いませんでしたわ!」

 

 二人が動くたびに路地裏は崩壊していく。足を付き、次に移動するたびに、地面は、壁はえぐられ、すさまじいクレーターを生み出していく。途中、自身に【一の弾(アレフ)】や【四の弾(ダレット)】を使い身体能力を強化するがオールマイトは一切の疲労を見せることなく彼女に相対している。

 

「くっ!」

 

 そして、戦闘が長引くほどに目に見えて彼女は弱体化していった。スピードは遅くなり、傷が増えていく。【四の弾(ダレット)】は最初に使ったきり使用する事はなく、ついには【一の弾(アレフ)】すら使用しなくなった。

 

「……残念ですがここまでのようですね」

「なんだ? 漸く観念する気になったのか?」

 

 既に彼女はボロボロだった。時間にして数時間程だろうか? 近接メインとはいえAFOと戦えるだけの戦闘能力を持つオールマイト相手に粘った方だがそれもここまでのようだった。

 

「ええ。ええ。残念ですが()()これ以上の戦闘は出来ませんわ」

「……ならば大人しく捕縛されるんだ。君が犯してきた罪を償うんだ」

「ふふ。いかにもヒーローらしい答えですわ」

 

 AFOとは違い何処までもヒーローな彼の姿勢に彼女は嗤う。そして、そんな彼に答えを突き付けるために、()()()()()()()()()()()

 

「答えは否ですわ!」

「なっ!?」

 

 瞬時にオールマイトが飛び出したが彼をけん制するようにもう一つの銃を発砲。それを避けた隙に頭部に突き付けた銃を発砲。天使の能力が付与されていないその弾丸はたやすく彼女の頭を貫き、彼女を一瞬で絶命させた。

 笑みを浮かべたまま崩れ落ちる彼女にオールマイトは絶句しつつも慌てて駆け寄る。もしかしたら生きているかもしれない。そんな彼の願いは彼女の頭部に開いた穴とそこより漏れる血によってあえなくかき消された。

 追い詰められた末の自殺。ヒーローとしては避けたい事態だった。そして何より油断もあった。あれだけの凶悪犯がこの程度で諦め、死を選ぶはずがないという油断があった。故にオールマイトは一歩間に合わなかったのだ。

 

「なぜだ……」

 

 AFOを除けばオールマイトが最も捕まえたいと願っていた犯罪者、“ナイトメア”。そんな彼女との戦闘は追い詰められた末の自殺という後味の悪い形で収束するのだった。そして、その日のうちに“ナイトメア”の死亡は報道されることとなり、オールマイト伝説の一つとして語り継がれる事になるのだった。

 




当然ですが死んだのは分身体で本体はぴんぴんしています。
因みに分身体が普通に天使を使っていますが原作だと多分使えないっぽいんですがその辺よくわからなかったので劣化版で使用できるという設定にしました。転生特典だし多少の設定矛盾は許してほしいです。

因みに劣化版天使のスペックですが以下の通りとしてます。
性能:8割程度
消費時間:多め
効果時間:同等から少し短め

完結に言えば燃費は悪いのに性能は劣るといった感じです。時間が限られた分身体では乱用は出来ない感じになってます。当然ながら時喰みの城なんて使えないので時間の補充は出来ません。
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