ヒロアカの世界に異物を一つ   作:きょうぞうちゃん推し

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説明回です


第七話「戦いの後」

 彼女にとって今回の戦闘は都合がよかった。オールマイトと接敵した分身体は活動可能時間が残り少ない個体であり、失っても問題なかった。そのため、死を偽装する事で“ナイトメア”への警戒度は低くなり、彼女が動きやすくなるだろう。幸いにも自殺した分身体はそのまま消えることなく埋葬まで行われたために死を疑う者はほぼいなかった。唯一、接敵したオールマイトのみが手ごたえの無さを感じていたが実際に死を目撃した以上勘違いとして無理やり納得させていた。

 

「これから暫くは闇に潜り、密かに活動をしましょうか」

 

 以降、彼女は数十年に渡り闇に潜み、密かに力を蓄えていくことになった。連続衰弱死事件も“ナイトメア”死後も発生したために彼女との関連性は否定される事となり、目論見通りに“ナイトメア”への警戒は薄く、そして過去の人という形になっていった。

 原作の時崎狂三と違い、彼女に目的はないが為に、奪い取った時間は自らのストックや分身体の作成に回され、余力を多く生み出していくことになる。そして死の偽装より十年後に活動拠点を海外に移し、グローバルに活動をしていくことになった。この時点で犠牲者は原作の時崎狂三を軽く超える数にまで膨れ上がり、それらは全て彼女の糧として蓄えられることとなった。

 

「日本に帰るのはもう少し先でもいいかもしれませんが……。ヒーローとヴィランが存在するだけあってどこも治安が悪いですわ」

 

 原作においては描写はされなかったものの、世界中の国々でヒーローとヴィランは存在していたがやはりというべきかヴィランによって荒廃した国々ばかりであり、中には無政府状態の国すらあったほどだ。

 

「まぁ、そのおかげでこうして時間をとっても気づかれないのですけどね」

 

 多すぎるヴィラン犯罪は時崎狂三の犯行をうまくカモフラージュさせていた。それにより、今に至るまで彼女が生きており、且つ犯罪を犯しているとは誰も気づいていなかった。

 

「日本に戻るのはもう少し先、分身体を数体派遣する形で良いでしょう」

 

 結果、最高の狩場を得た彼女はそのまま世界中で暗躍を続け、彼女が日本に目を向けるのはオールマイトとAFOの決戦が近づきつつある頃になるのだった。

 

 

 

 

 

 時崎狂三と戦ったオールマイトだが彼女が自殺してから暫くはバッシングの嵐を受けることとなった。いかに新進気鋭のヒーローとはいえヴィランを自殺に追い込んだなどゴシップの標的でしかなかった。結果的にオールマイトは自殺に追いやってしまった事を悔やみ、ヴィランを一撃で昏倒させ、何もさせないような戦い方をしていくことになるが完全なる余談である。

 しかし、一方で“ナイトメア”の自殺という明確な脅威の排除は更なる民衆の支持を得る結果となった。連続衰弱死事件の犯人と予想されていただけに彼女の死は自分が今すぐにでも死ぬかもしれないという不安を取り除くこととなり、国民に英気を与えていた。とはいえ連続衰弱死事件は直ぐに発生したため彼女とは別のヴィランによる犯行とされていたが。

 兎にも角にも世間のオールマイトへの目線は同情的であり、否定する物は少なかったと言えるが本人は違っていた。今回の事を大きく引きずっていた。

 皆を救うヒーローになりたい。その思いでここまで来た彼にとってたとえヴィランであり、死刑が免れないような凶悪犯であろうと目の前で自殺させてしまったというのは大きな傷をつけることとなった。

 大衆の面前でこそそのような様子を一切見せず、常に笑顔を絶やさないが一人になればあの日の事を自問自答し、後悔に苛まれた。就寝時には悪夢としてあの日の事を思い出す事さえあった。

 通常であればここまでの傷をオールマイトが負う事はなかっただろう。しかし、それは平和の象徴としてなら、である。今は人気急上昇中の中堅ヒーローでしかない上に、OFAを継いでから初めて間に合わなかった相手であった。それが原因で彼はトラウマと呼べるほどに傷を負う結果となったのだ。

 とはいえそれで立ち止まり、崩れ落ちる程オールマイトは軟ではない。むしろこのトラウマを抱えながらも二度と同じことは起こさないと覚悟を改める精神も持ち合わせており、以降オールマイトの活躍は更に躍進することとなり、AFOを加速度的に追い詰めていくことになるのだった。

 

「もう大丈夫! 何故って? 私が来た!!」

 

 その言葉を胸にオールマイトはヒーローとして活動を続けていく。AFOとの因縁にケリをつけ、真の意味で平和な世の中になるその日まで。

 

 

 

 

 

「……」

 

「……全く。嫌になってしまう」

 

「まさかあの日取り逃がした継承者にここまでいいようにやられるなんてね」

 

「せっかく集めた部下たちも加速度的に減ってきている」

 

「前のOFA継承者である志村奈々にここまでの脅威はなかったというのに」

 

「本当に嫌になるね」

 

「だからこそ」

 

「決着をつけようじゃないか」

 

「オールマイトォ!!!」

 




次回、オールマイト対AFO(ナイトメアを添えて)
※あくまで予定です
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