12月18日
クリスマスまであと7日!
◯ツヴァイ協会シンクレア
簡単説明
→クローマーの護衛依頼で、邪悪な好奇心と打算でワンチャン死んでくれないかな……と依頼失敗したのに、なぜか協会には高評価を伝えられ、わざと失敗した秘密をクローマーに握られてるシンクレアの話
◇
「シンクレア、今日もお仕事よろしくね!」
「……う、承りました」
ツヴァイ協会で働き始めてからクローマーと嬉しくない再会をし、依頼を失敗したのにその事実を隠して「依頼は成功」と称賛だけを協会に伝える彼女に脅され、専属の護衛任務にあたるようになってから少し。
クローマーの口添えで実績も作れたうえに、戦闘指導なんかをされることもあり、彼女といて実力が上がったのは確かなことだ。だから、今日も僕は真実を協会に伝えることができずにクローマーの護衛として駆り出されている。
「今日も護衛?」
「ええ、そう。場所は◯区の巣のホテルで……」
聞けば、だいぶ高級なところだ。護衛と称して呼び出されて、ホテルで襲われる……なんてことも多かったから思わず身構えてしまうけど、さすがにそこまで高ランクのホテルともなると、そんなことに使うわけないよなと考える。
「いつも言うけど、君のほうが強いのに僕がいる意味ってあるの?」
「え? 君のフィクサーとしての実力には興味ないけど……でも、今日に限っては頼りにしてるわ! シンクレアはただそこにいてくれればいいから!」
「いるだけ? そんなのでいいの?」
「ええ、仕事の関係でね〜断りきれない人とクリスマスディナーに行くことになっちゃってすっごく困ってたの! 取引先の人だから断っちゃダメなんだって〜。だから虫除けになってほしいんだ! ね、私達の仲……でしょ?」
「そ、そういうことなら……」
頷けば、クローマーは機嫌良さそうに口笛を吹いた。
…
「ところで、クローマーさん。そっちの男性は?」
会食の最中、相手の人がついに僕のことを言及した。
護衛のはずなのに同じテーブルについて食事をすることになってしまって、ひじょうに気まずい。高級ホテルのディナーなのに味も分からず胃を痛めていると、クローマーは楽しげに口を開く。
「彼氏で〜す♡ いつも守ってくれてるから、私のほうからアタックして先日付き合うことになったんですよ!」
「っぇ」
ギョッとした。そして文句を言い出す前に、クローマーが僕の太ももを思いっきりつねってきたので俯いて悶絶する。黙ってろという意思なのは理解したけど、やりすぎじゃないか!?
「だから、あなたとの婚約はできないんです。申し訳ありません♡」
取引先にそんな軽い断り文句言って大丈夫!?
…
「く、く、クローマー! 僕あんなの聞いてないんだけど!」
胃痛で死にそうな会食は無事に終わり、恐ろしいほどに高級なホテルの一室で彼女に詰め寄る。結局泊まることになったからだ。
「言ってないもん。あんなのと婚約してセックスなんてしたくないでしょ? 合法的にお断りするための理由が欲しかったんだよね〜協力ありがとう! さすが私のシンクレア♡ 協会の意義通りに盾になってくれてありがとう〜♡」
「セッ……うう……まあでも、言い訳に使うだけなら、いいけど」
「え、なに言ってるの? ああ言っておいて付き合ってなかったら取り引きが終わっちゃうかもしれないでしょ! だから、今日から正式に君は私の彼氏になったんだよ♡」
「え!?」
「これからもよろしくね♡」
一瞬、彼女がなにを言っているのか認識できなかった。
「……え!?」