シンクレアとクローマーのクリスマス   作:時雨オオカミ

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6日目 マリアッチ

12月20日

クリスマスまであと5日!

 

◯マリアッチ

簡単説明

→襲撃してきたクローマーを多くの構成員を失いながらも捕獲してボスの女として働かせることに成功した世界線。だいぶえっちな路線。

 

 どんちゃん騒ぎの中、ホールでマラカスを振るう音が聞こえる。

 それぞれが思い思いの楽器を手にして盛り上がり、即興の音楽を奏で、沈んだ空気なんてこの世にはないんじゃないかというほどの喧騒。

 

「ボス〜! 追加の注文いっちゃっていいか〜い?」

「いいですよ。皆さんの分までどんどん注文してください。パーティの料金は活動費から出ますから」

「ふぅ〜! やったぜみんな〜! なに食いたい〜?」

 

 次々と上がるリクエストの声。歓声。ワイングラスを鳴らし合わせる音。ホールの上でステップを踏む音。そして僕自身の葉巻を切る音。

 

「はーい、シンクレア……じゃなくてボス♡ 火はこっちよ」

「ん」

 

 クローマーに着火してもらった葉巻を吸いながら今年の活動報告を聞いていく。

 副業的に行なわれている薬の売買やJ社のカジノの一部の管理をして大幅な利益も出ているし、クローマーを無理矢理マリアッチに引き入れてからやらせているストリップショーでも利益が上がっている。クリスマスで盛り上がるくらいの出費は問題にはならない。

 なにより、ワルいことは楽しい。好奇心の赴くまま、自分のやりたいことをやって堕落していくのは楽だ。

 クローマーにやられた組員は、彼女を捕獲して稼がせながら組織員を募集して欠員を埋めることもできたし、結果的にはプラス。

 N社を敵にまわす可能性は……。

 

「クローマー、ちゃんと辞めてきたんだよね?」

「もちろん♡ 辞表は置いてきたよ♡」

 

 胡乱な目で彼女を見ても即答される。

 

「なんなら今この場でシンクレアの女になった喜びでも踊って表現してあげてもいいよ♡」

「……」

 

 見つめ合い。

 派手な衣装で僕の隣に座って体を密着させてくるクローマーから顔を逸らして頬をかく。自分がさせているとはいえ、だいぶ目のやり場に困る格好だから、ふとしたときに正気に戻って照れてしまうこともあった。首を振って手元のマラカスを弄ぶ。

 

「ボス達も一緒に踊ろうぜ〜」

「せっかくのクリスマスなんですから〜」

「……そうですね」

 

自分が立ってから、クローマーの手を引いて立ち上がらせる。

 

「いつもみたいにピアノよろしく」

「ジャズね! かなり上達したから褒めてほしいな〜。上手にできたら〜、あとで奥に激しいのちょうだいね、ボス♡」

「……一度もミスしないで演奏できたらね」

「やった〜!」

 

 学生時代からピアノを弾けた彼女は今、ジャズを弾くことができるようになった。ピアノに向かう彼女の近くでマラカスを構え、周囲にわらわらと集まった組織員達のはやしたてる声に応えるように踊り出す。

 

「ボス達のダンスだぜ!」

「最高のクリスマスパーティーだ〜!」

「ふぅ〜! 盛り上げろ! 俺らもマラカスを持て!」

 

 周りでも組員達が踊り出す。

そのうち、たまにパーティ会場に紛れ込んだ部外者が僕の前に連れてこられてはパニャータパーティの餌食になって歓声が大きくなった。

 

 そうして、マリアッチのパーティはいつもと同じくらい盛り上がりながら夜が更けていく。

 

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